イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

28 / 385
 ベガパンクに(サテライト)が出来たのはいつからなのか?

 原作で、頭でっかちのベガパンクにボニーが会ったのは子供の頃との事。
 その後だという事になりますが…ボニーはカノンよりも3つ年上。
 ということで、この物語では既に猫が居るという設定とします。

追記
 3つ年上ではなく、9つ年下でした!!
 o( ̄Д ̄o)(o ̄Д ̄)oナンテコッタイ…

 でもでも、以前から猫は居た!!
 という事でいいんです!!

 ”開き直った!!?”






01-26話:ベガパンクとの面会

 カノンがベガバンクと会う事になった理由。それは…

 

 9歳になったお祝いにと、カノン専用の住居を建てようという話になったのだが、カノンは、パンゲア城内に住居スペースを作れないか?と提案。その理由がなんとも五老星を喜ばせた。

 

「だって、五老星(おじいちゃん)達はほとんどここにいるでしょう?会いにくくなっちゃわないかな?それに建物が別だと、遠慮しちゃって来てくれなくなるのとか私…嫌だな。」

 五老星はもう、それはそれは見ていられないほどのにへら顔…。そうかそうかと、パンゲア城内に立派な居住スペースを作る事になってしまった。

 

 別宅を建てるという事で警護の話もあるからと呼び出され、その場に居合わせていたCP0の総監フアリは思った。

 

《こいつ、とんでもねぇな。五老星を手のひらの上で転がしてやがるぞ?》

 

 フアリには、カノンの思考が透けて見えていた。

 この城の外に住居をかまえたとするならば、修練場に行く時や自分の部屋に仕事を手伝いに来てくれる時にいちいち城門をくぐらねばならず、それが『めんどくさい』と思っているであろう事が…。

 それに…

 

 五老星は知らないだろうけど、この娘は本当にとんでもないのだ。

 強さは恐らく、かの四皇をも遥かに超える。事務処理能力もバカみたいに高く、その影響範囲が本当にバカにならない。彼女の行った改革とも呼べるものは書類整理術だけに留まらず、仕事の進め方や改善の仕方など、働き方にまで及んだ。恐ろしい速度でCP全体の業務効率は上がり、かつてはブラック職場と言われていたのがウソのような状態になった。それがこの1年ほどで行われたのだ。

 さらに今見せた人の心をあやつるようなこの智謀…(智謀というか人たらしというか…)。これはもう本当に手が付けられない。

 

 悪い子じゃないのよ。それはわかってる。仕事手伝ってもらってるし、すごく有能だし。そのせいで副官暇そうだけど…

 うん、いい娘だと思うわ。確かに五老星の思う通りの天使でしょうよ。修練場の所業とあの微笑みがなければだけどね!

 

 この娘がもしも、敵に回ったらなんて…。考えたくもないわね。

 えっ、私? 私はもちろんこの娘についていくわよ!!そうなったら世界政府になんて未練はないもの。

 

 

 その後、建築関係に携わる者が呼ばれ、間取りが話し合われることになった。

 間取り図にはカノンの提案で、五老星も泊まれるようにとバストイレ付のゲストルームが5つ。それ以外にも寝室が複数あって、パーティーでも出来るような大きなリビングまであった。

 

 カノンが自分で自分の事をしてみたいと言うので、いろいろ機材をそろえようかと五老星が話している時にカノンが言った。

 

「ベガパンクっていう科学者を雇っているのよね?いろいろ便利グッズとかあるって聞いたけど…会って話とか聞けないかな?」

 

 という流れがあっての事である。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 呼び出されたのは本体(ステラ)ではなく、(サテライト)の一人である(リリス)

 五老星が見た目と大きさを気にしたゆえの事だった。爺バカ的な発想である。

 

 あいつら、この()の実態知らねぇからな…

 でも、五老星はあの微笑み向けられて叱られたって事も聞いてるのよねェ…

 なんか最近、この()の実態語って聞かせても『だから?』とか言われそうな気がしてる。

 

 

「研究資金をくれるというから来てみれば、こんな子供の相手をしろというんか五老星は!!」

「初めまして。わたしはカノンと言います。五老星(おじいちゃん)たちの事を悪く言わないで。私がわがまま言っちゃったからなの。ごめんなさい。」

「…いや、すまん。ああ、わしはベガパンクの(サテライト)の一人(リリス)と言う。カノンちゃんと言ったか?別に怒っとるわけではない。資金と暇がなくてちょっと余裕がないんじゃ。許してくれ。ところでわしが会うのはおぬし一人か?」

 

「私も同席してますけどね?」

「お前は護衛じゃろ?わしにも護衛はついとる。」

「そうですね。ですが私は護衛と立ち合いを任されています。カノン様が部屋にあなたの発明品を置きたいとおっしゃられているので、それの安全性を確認するのも私の仕事です。」

 

「何をいうか!わしの発明品が危険じゃと?失礼な奴じゃな!」

「ザンネンながら、カノン様が求められているのは完成品ばかりではありませんので…」

「なんじゃと!!?おぬし死ぬ気か?」

 

 カノン様が目をパチクリとさせている。うん、かわいい。

 

 完成品に関しては危険だと言われて腹を立て、未完成品については使おうとする者に『死ぬ気か?』などと言うとは…それはどうなんだろう…ギャップでかすぎでしょ?

 

「大丈夫だと思うな。私、死なないと思うし」

「発明品を甘く見てはいかんぞ(むすめ)!!」

 いやぁ、ほんとに大丈夫じゃないかな?たぶんパンゲア城が吹っ飛んでもこの娘、無事だと思うよ?

 

 

 この日はとりあえず、完成品の中からいくつかの物を選ばせてもらった。その際、未完成品に関して注文をつけた。

 

「私ね、F-RONPの社長の『ユナ』と交友があるの。その娘と会ってくれないかしら?」

 実はこれ、本当の話。ユナが造った下着の1着は実はカノンの物だった。

 

 フアリは採寸の際、護衛として同席していた。カノンの顔を見て、会社のスタッフとユナが驚いていたのをよく覚えている。フアリ自信も表情には出さないもののユナの顔を見て驚いていた。

 髪の色が違うだけ。双子のように見えなくもない。話を聞くと、ユナは孤児だったとの事。念のため調べて見ればその通りで、孤児院も判明し記録もきちんと残っている。

 きちんとし過ぎている感じはあったが、特に怪しくはなかった。

 ただし、気になる事はある。親の手がかりが全くなかった事だ。場合によっては本当に双子という事もありうる。もしもそうだとしても表舞台に出て来た事から本人にはその自覚はないのだろう。

 もしかして、資質も同じものを持ってたりして…なんて事あるわけないか。

 

 しかし…世界政府が雇っている科学者を一般企業の社長に引き合わせようとするとは…

 この娘、なにか企んでる?

 

 日程を調整して、ベガパンクが会社を訪問する事にすると話がまとまり、その日の面会は終了した。

 

 

「カノン様」

「ん?」

「何か企んでます?」

「え、ああ。ベガパンクをユナに紹介しようとしてる事?」

「はい。」

 

「別に企んでないわよ?ただ、ユナの方がベガパンクを説得できるかな?って思ったのよ。」

「は?」

「彼女は企業の社長でしょ?その視点から見たらベガパンクの言う未完成品は宝の宝庫かな?って思ったのよ。」

「宝の宝庫…ですか?」

「ええ、たぶん。いろんなものが発売されるんじゃないかな~って期待してるの!」

「…」

 

 たぶん、この娘が言うのならきっとそうなのだろう。

 私も少し、楽しみにしておくとしましょうか。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 それから数週間後…

 

「初めまして、F-RONPの代表、『フランド・ユナ』です。ベガパンクさん…だとややこしい事になりそうだからリリスさんでいいかしら?」

 会社に呼ばれると思っていたのだが、ユナが指定したのはパンクハザード。政府の研究機関である。一般人にここは知られていないはずなのだが?おそらくカノンの手引きであろうとリリスは理解した。

 

「リリスでかまわん。しかし民間人がここに来るとは…わしはおまえの会社に呼ばれるものと思っておったが?」

「それは、実物を見てみたかったからよ。未完成品と呼ばれる品の数々をね。」

「ほとんどがガラクタじゃぞ?」

 

「それは見てのお楽しみって事で!!最初に言っておくわね。『より良く』というのが私の信条よ!」

「より良く…つまりベストよりベターという事か?」

 

「そう。さすが天才ね。話が早くて助かるわ。それであなたがこれまで開発したもので100%じゃなくて放置されているものについてなんだけど、早速見せてもらえる?」

 

「放置とは何じゃ!!完成しとらんものをどうしようというんじゃ!!」

 

「ちょっとまって!聞いてちょうだい!!あなたが100%完成していないというのは全て致命的な欠陥か何かなの?」

「!!? それは…」

 リリスが驚いて、躊躇した顔を覗かせる。

 

「致命的な物もあるかも知れないけど、使えるものもあるわけでしょう?」

「しかし…完成しとらんのじゃぞ?」

「いいから見せて!」

 

 

 山と積まれた書類と物をユナが高速で振り分けていく…

 

「何しとるんじゃ?」

「使えそうなものをこっちに振り分けてるのよ!」

 

「はあ?何を言っとる、適当に振り分けとるんじゃないのか?」

 ベガバンクからすると写真を見て、良さそうと思ったものを取り出しているようにしか見えない。

 いや、それでも早すぎないか?と思うほどだ。

 

「地熱発電か…」

 リリスが振り分けられた1つの書類を取り出しつぶやいた。

 

「それ、ほとんど永久機関に匹敵する発明でしょ?地熱を利用して電気を起こし、それで機械を稼働してさらに大きな電力を得る。そのどこが未完成なのか理解できないけど?」

「おまっ、読んでるのそれ?え、マジで?」

 

「これくらい普通でしょ?私は多い時にはこの4倍の書類に目を通すのよ?」

「いや、無理じゃろ普通…おまえバケモンじゃん!?」

「!!?」

 驚いた。まさか事務処理能力でバケモノ呼ばわりされるなんて思ってもみなかった。あれ?

 

「わわわ…な、何も泣く事ないじゃろ!!すまんかった! わし、驚いただけじゃから!!別に本気でバケモノとか思っとらんから!!」

「だ、大丈夫。ごめんなさい。私もおどろいちゃっただけ。」

 

 リリスは思った。

 なんて素直な子なんじゃろう。こちらの言葉にそのまま感情を返してくるとは…

 天然なのかそれとも計算か?どちらにしても人たらしじゃな。

 じゃが…それでいてまったく気分は悪くない。

 

「「…………」」

「友達にならんか?」「友達にならない?」

 二人同時に同じ言葉を発していた。

 

「「えっ!!?」」

 二人で吹きだして笑った。

 

 あれ?リリスってこんな娘だっけ?

 

 

 こうしてユナとリリスは友達となり、ベガパンクはF-RONPとも契約を結ぶことなる。

 軍事利用のものではなく平和利用のものではある。カノンの口利きという事もあり誰も反対はしなかったのだが…

 

 その後の事は、またのお楽しみ。

 

 

 

 

 




 物語の中で会社名の由来は明らかにしていません。

 会社名 F-RONP(フラン・ロンプ)
  頭のFはフラン → フランス→仏→イム
※ユナの名前のフラン()も、ここから来ています。

  後ろの4文字は
   循環型社会 Recycling society
   アワーカンパニー Our Company
   自然派 naturalist
   プロシューマー prosumer
  の頭文字を取っています。

 1文字目はとくかく、
 会社の名前はそのまま会社の理念を表しているのでした。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。