イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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浴衣0227さん、誤字報告ありがとうございます。


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09-263話:超えるべき壁

 既に雑兵の数はかなり減っている。こんな機会は滅多にないので、紅雨一味の面々がいろいろな技を試して遊んで(?)いるからかも知れない。

 

 ウルフも3mサイズで戦っている。最近格闘技にハマっているようで、よくパージェスとやり合っているようだ。

 技の数では叶わないが、同サイズならば力はウルフの方が強いみたい。6億超えは伊達じゃないってか?

 元B・Wメンバーの姿も見える。この2年の間に海都の住人となったのだ。

 

 広場の中心付近では、一人の女性が雑兵の数を削っていた。動きやすい和装の服を身にまとった彼女は弱そうに見えたのだろう。ホーディ軍の雑兵達はこぞってその女に襲いかかった。

 

「ぎゃぁ~~~!!」

「てめェ!何すんだ!!」

 

「お…おれじゃねぇ!!コイツが…」

 

 実際、彼女が直接倒した敵はほとんど居ない。相手の力を利用して、同士討ちをさせているのだから当然だ。

 

 そこへ、魚人島の外からホーディがシャボンを突き破り、彼女の近くで雑兵を吹き飛ばし地面に激突した。

 

「ハァ!!?…なに、これをこっちで何とかしろって?」

 ルフィ達のいる方を見上げ、ため息をつく。

 

「面倒くさいなぁ~もうっ!!」

 彼女はが帯から楊枝のようなものを取り出す。するとそれが巨大化して刀になった。

「「!!?」」

 

「はい、ちょっとそこどいて!!」

 上段に構えた剣を振り下ろすと、無数の剣圧による斬撃のつぶてが地面にめり込んだホーディの周りの雑兵をなぎ倒す。

 

「うわああ~何だあ~~!?」

 

 原作W7でカクが使った『麒麟時雨』のようなものだ。もっともどこに降ってくるか分からない斬撃(それ)とは違い、きちんとコントロールされている…今のでおよそ500名の雑兵が減った。

 

「(…2年前のゾロが耐えられたのに、魚人共は耐えられないみたいね。あれ?魚人は人間の10倍じゃなかったっけ?地上での耐性は低いのかな?まぁ、いいや…)」

 

 地面にめり込んだホーディをつまみ上げて引き抜くと、無造作に地面に置いた。

 

 あ~あ、白目剥いてるや…

 

「「ほ…ホーディ船長~!!?」」」

 ホーディだと気づいていなかったらしい幹部達と雑兵達が仰天している。島民達もさらにバケモノ化したホーディを見て背筋を凍らせているようだ。

 

「気絶してるだけよ?まぁでも、船長対決は麦わらの一味の勝ちね!」

 そう言って枷を付けて縄で縛る。ワポメタル製の錠と縄だから力で引きちぎることは不可能。これでホーディは終わった…

 

「皆さん、ご安心下さい。!!ホーディはこの通り捕縛しました。もう、自由にはさせません!!!」

 島民に向かって女が言った。彼女の事を良く知っているのか、島民達から歓声がわく。遠からずバンダーデッケンも捕縛された姿を晒すことだろう。

 

「あっ!!イチユリさ~ん!!」

「「!!?」」

 サンジが気づいて目をハートにする。名前を言ったので敵兵も誰なのかようやく気づいたようだ。

 

「うわああっ!どっかで見たことあると思ったら、『姫徹・イチユリ』だぁ~!!」

「ぎゃ~!!こ…殺される!!」

 なんでやねん?あんた達に何かした?

 

「わたしって…そんなに恐ろしいのかしら?」

 チラリ、とネプチューン軍を見ると皆に目を逸らされた。うん。まぁ、あんたらはわたしがシゴイたからねぇ。

 そもそも、しらほし以外はイチユリ(わたし)とイオリが元は一人だという事すら知らんが…

 

 ちなみに2つ名の『姫徹』は刀工名そのままだ。海賊ではないというのがわかり、手配書は失効したようだが、その額を知っているのだろう。ホーディ軍に捕まった海賊たちは目を剥いている。

 

 さて…ホーディは沈んだので、後は幹部を沈めてこの騒動は終了。

 剣士2組の対決以外はすぐに終わりそうだし…

 周りにいる雑兵には静かになってもらおうかな?

 

 一度、実践で試してみたかったんだよねぇ…

 

「カラミティ・ウォール!!」

 地面に向かって扇ぐようにして剣を振るうと圧縮した覇気を纏わせた渦が弧を描くようして地面を削る。

 削った地面は渦から派生した風に巻き上げられ、覇気を纏った高さ10mほどの壁をつくり前進していく…

 壁はそれに触れた者をなぎ払いながら自転車程度の速度で移動して行った。

 広域版なので幅は100mをちょっと超える程度だろうか?

 ※幅10m程度の高密度版もある

 

  ― バアァッ… ズドドドドドドドドドドドッッッ!!! ―

 

「なんじゃこりゃぁあぁぁ~~~~~!!」

「うわあぁぁぁぁああぁぁぁ~~~!!」

「ぎゃぁぁぁあぁぁ~~~~~!!」

 

 出力弱め(3割り程度)で放ったので死人は出てないと思う。

 

 元ネタは『〇イの大冒険』ラスボス、大魔王〇ーンの同名技。オリジナルは暗黒闘気を放つ技だが、そんなものはこの世界には無い(と思う)ので武装色を纏った渦で代用した。

 試行錯誤の末に出来上がった技を実践で使うのは楽しいなぁ!!

 四皇戦?で是非とも100%を使ってみたいものだ。

 

 300mほど進んだところで渦の威力が減少…500mほどで消滅した。

 途中、壁を通り抜けたり飛ばされずに耐えられる者もいたが、無傷とはいかなかったようだ。

 そして追撃…弱ったところに広域の覇王色を浴びせる。

 

 ― ドクン ―

 

「うぐっ…」

 

 ― ブクブク… ―

 

 周りの雑兵1万はそれでほぼ片付いた。

 

 と、そこで気絶したデッケンを連れた3兄弟が到着。一緒にネプチューン王の所に移動する。

 

「イチユリ殿…!!」

 

「フカボシ王子、どうでした?しらほし姫は問題なかったでしょう?」

「はい、あれを御覧ください。」

 フカボシが広場上空をゆびさすとネプチューン王と軍の兵士、島民が天を見上げる。

 

「おおお…なんという数の海王類!!しかもノアが海王類達によって…」

「しらほし…成長したんじゃもん!!」

 しらほしの力を見て感涙している皆。島民達はここからでは海王類を操っているのがしらほしだとは誰も気づくまい。

 あれだけ集まると、しらほし達は全く見えないもんね。

 

 先程捕縛したホーディと同様に、デッケンも捕縛。その姿を見た島民達が安堵の息を漏らした。

 

 さて…残りは無手で潰しながら、みんなの成長を見学して回りますかね?

 

 

 ジンベエに頼まれ、みこしを担ぐ奴隷(人間の海賊)を解放したロビンは、ハモの魚人ハモンドと対峙。

 原作と違い、見聞色を身に着けたロビンは相手の動きが読める。単にESで力を高めただけのハモンドが敵うはずもなく、

 二人に増えたロビンが背骨を折り瞬殺した。武装色を使うまでもなかったらしい。

 

 ゼオとやらはこれまた見聞色を身に着けたブルックにあっさり斬られた。まぁ透明になったからってなんにもならんし、原作でもあっさり見つかってたからねぇ…

 ちなみにブルックの剣はイチユリ作である。素材には角質の粒子が使われてたりする。

 

 ウソップもチビ魚人を倒した。あの衝撃狼草とか言う緑星は、排撃貝並の威力がありそうだ。武装色を纏わせたら威力は倍増するだろうか?

 

 暴走を制御できる様になったチョッパーもドスンをあっさりぶっ飛ばした。

 これはまぁ…相手が可哀相かな。体格差が半端ないんですけど…

 たぶん、ヘビーポイントで鉄塊を使えば勝てたんじゃね?

 それに、あの姿って確か…戻った後しばらく動けなくなるんじゃなかったっけ?

 

 フランキーはなぜかフランキー将軍からわざわざ降りた。そして両手を合わせそこから大出力のレーザービームを放った。

 あんなものを喰らったらイカの魚人はひとたまりもないだろう。

 ウソップとチョッパーが目をキラキラさせて感動しているのが見えた。(崖の上の魚人島の男の子と若い男共も同じ。)

 でも何で、フランキー将軍にはビームをつけなかったんだろう?

 ついてるのかな?だとしたらなぜ降りた?

 

 サンジとジンベエの相手はワダツミ。ふくらませる必要もなく、ジンベエの正拳とサンジのケリで上空へ飛ばし、剃刀で追ったサンジが”地獄の思い出”によって更に蹴り上げ火だるまにした。

 

 なんか、決着がすごくあっさりな気がする。

 みんなが強くなったことはわかったけど、見学の意味はなかったような?

 

 まぁ、これからも修練場でイオリが鍛えるんだろうし、そこで確認してもらえばいっか!!

 

 

 ~ ハチ VS ヒョウゾウ ~

 

 ハチは水と土の精霊を使役できるようになっていた。

 この2つの精霊が使えると、かなりの解毒が可能になる。ヒョウゾウの毒程度(?)なら無効化できるのだ。毒が効かなければ、純粋な剣技対決に持ち込める。

 剣技については基礎から鍛え直し、さらに武装硬化も出来るようになった。

 ビゼンに鍛えられた為、ハチのスピードと動体視力は以前とは比べ物にならない。

 ヒョウゾウはまったく歯が立たず、苛立ちのあまり酔いが次第に覚めてしまい、酔拳の威力も衰えた。

 ハチの武装硬化された剣により、八本の刀、そして全ての毒触手を斬られただけでなく全身も斬り刻まれたヒョウゾウはなす術なく倒れた。

 ハチが魚人島のナンバー1剣士になった瞬間であった。

 

 

 ― ゾロ VS シリュウ ―

 ゾロとシリュウの戦いは傍から見れば静かに行われていた。

 すでに何十回も斬り結んだ後でパッと見互角に見えるけど…

 

「チッ…コイツ強ぇな…」

「聞いてた以上のパワーだな。反応も獣みてェにずば抜けてる…。身体能力で言えば、新世界でもかなりのモンだな!」

 

「じゃあそれを軽くあしらってるテメェはなんなんだ!?」

 

「こちとらおめェが生まれる前から剣士をやってんだ。その程度で簡単にやられるわけにはいかねェなぁ。ここだけの話…、おれは途中で一度腐っちまった。どこぞの誰かさんのおかげでこうしてここに居るわけだが、復活させてもらったからにゃあ、超えなきゃならねぇ壁くらいにはならねェとな!!」

「…壁?…」

 

「そいつはおめェの夢を推してるみてェだからよ?」

「…なら、今すぐ超えてやんよ!!」

 

 ゾロが刀に武装色の覇気を纏わす。

 

「ほお…覇気の力はずいぶんと強いみてェじゃねぇか。驚いた。」

 

「テメェ…その上から発言、いい加減にしやがれ!!三刀流…極虎(ウルトラ)狩りぃっっ!!!」

 ゾロの三刀がシリュウを両断した。

 

「!…手応えがねぇ…! いや…なんだ?」

 ゾロがこま切れにしたシリュウが霧散していく。

 

「残像だ。」

「!? うおっとぉ!!」

 ゾロが慌てて地に伏せると今までいた所に刀が疾る。

 

「(コイツ…気配の消し方が異常に上手ぇ…)」

 

「多用は出来ねぇが『無拍子』って技だ。おめぇも直ぐに使えるようになるから教えてもらえ!!」

「…」

 

「それじゃ、おれもいくつか技を繰り出すぞ?」

「チィッ…」

 

「おめぇも知ってる技だ!行くぞ『九頭竜閃』!!」

 

「ぐわぁ!!」

 ズガガガーン!!

 

「…牙突まで受けきるとはな…」

 瓦礫の中からゾロが立ち上がる。

 

「まだまだ行くぞ!!『飛燕・雨』」

 上下左右から降り注ぐ雨のような無数の斬撃。シリュウのオリジナル技だ。

 さらに覇気を込めたこの技が決まれば大将をも撃破できるほどの威力を持つ。

 

 2年前は上下の斬撃だったが、九頭竜閃を覚えた今、突きを覗けば八方向からの雨を降らせることも可能になった。

 

 ― マジかよ…こんなヤツがまだ居たのか? ―

 

 血しぶきが舞い、飛ばされたゾロが落下。血まみれになってグッタリしている。普通ならこれで終わりなんだけど…

 

「!!?」

「ぐ、う…なんて技だ…」

 …立つんだよなぁ、ゾロは。

 しかし…相変わらずアホみたいなタフさよね。生物としておかしいと思うわよ?

 まぁ、人の事言えないんだけど…

 

「…能力無しとは言え、この技をまともに食らって直ぐに立ったヤツはおめぇで二人目だ…。そのタフさ、新世界でも5指に入るだろうよ」

「…二人目?」

 

「まだ戦えそうだな?新世界の入り口としちゃ上出来だ。柔の技を組み合わせりゃそうそう敵はいねぇだろうよ」

「ちぇっ…見抜かれてたか…」

 

「当たり前だ。ほれ、これ飲め!!回復するぞ!」

「…」

 シリュウは回復薬をゾロに投げて渡した。

 

「おれもまだまだ鍛え上げるつもりだ。ミホークに行く前に必ずおれと闘れ!返り討ちにしてやる。」

「…なるほど…あんたは壁だな。しかも分厚くて高けぇ…」

 

「ふん…おだてても何も出ねェぞ?」

 葉巻に火を付けながらシリュウが応える。

 

「近い将来もう一度…今度は本気で闘ってもらうぜ?」

「ああ…そん時ゃ、能力も全開でな!!」

 

 

 

 




原作でもシリュウがゾロの壁になる?
そんな感じもしますけど…どうなりますやら。

でも、スケスケかぁ…
この話でのシリュウは何の実食べたんでしょう?
たぶん、そのうち明かすと思います。
ええ、たぶん…



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