イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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09-264話:3つの力

「うぉおぉおぉおお~~~!!」

「わぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁああ…」

 

 ギョンコルド広場に歓声が沸いていた。

 

 

「あの凶暴な幹部たちが……!!!」

「まるで相手にならんとは…何という強さ!!!」

 

「上を見ろ、危ねェぞォ~~~~~!!!」

「わぁああぁぁ!!ワダツミが落ちてくる~~~~~!!!」

 

 

「さすが、ルフィ君とイオリさんの仲間達…」

 周りの状況を確認して、ジンベエが言う。その後ろに黒焦げになったワダツミが落ちて、その巨体を横たえる。

 

「もっと遠くへ落とせヘボコック」

「うっせー!!てめェの頭に落としてやろうか!!」

 

「すげーなー、サンジ」

 

「フランキ~~~!!ビーム最高だぜ~~~!!」

 

「おいチョッパー、お前もう少し縮め。巨大ロボが形無しだ!!」

 

「あのロボット、何の役に立ったのかしら?」

 

「ナミさん、ミニスカートはいてください。」

「お黙り」

 

 

「…」

 

「ノアも止まった…」

「それにしても、すごい数の海王類だ…」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

「それでは皆様…ノアを海の森へお願いします。」

 

 《 わかった、まかせてよ~ 》

 《 心得た。 我らが王よ、そして神主(かみぬし)よ!それでは… 》

 

 《 あ~、忘れるところだった… 》

 マダラが口を開けると、海賊船が現れた。

 

「あっ、そうでございました。」

 

「!? ジャイロ船長! 助かりましたぁ!!」

「なっなんじゃぁあぁぁぁ~~!? か…海王類ぃいぃぃ~!?」

「ぎゃぁあ~~~~~!!!」

「逃げろ~~~! 魚人島へいそげぇ!!」

 

 あらあら…あいつら、しらほしに気づかず行っちゃった…。

 まぁ、この海王類の群れを見たらしょうがないか。

 

「じゃあ、私たちも戻りましょうか?」

「そうだな。あっ!そういやアイツ(ホーディ)、タフだったから下で暴れてねぇかな?」

 

「ヤツの気配はもう強くないわ。問題ないでしょ!」

「こういう時、姉貴って便利だよな」

 

「お~い、今『便利』って言った?」

「い…いえ!『便利な力』だなぁと言う意味です!!」

「ししし…」

 

「うふふ…では、みなさま、参りましょう!!」

 

 

 《 気のせいかな… 》

 《 ん? 》

 《 あの帽子の人間…ぼく達の声に気づいたよ 》

 《 まさか… 》

 《 ちょっと前にもこんな事があった 》

 《 うん、あったね 》

 

 海王類達は過日のオーロジャクソン号との遭遇を思い出していた。

 そこへ、イオリから分離したリヴァイアサンが合流する。

 

 《 あっ…神様!! 》

 

 《 あの者はいずれ、万物の声を聞くことが出来るようになる…やも知れぬ 》

 《 えっ?それってまさか…? 》

 《 …それはわからぬがな… 》

  ()()() ()

 

 《 神様達のおかげで、ノアは傷つかずに済みました。 》

 《 鎖も船もちゃんと使えそうです。 》

 

 《 それは良かった… 》

 

 《 約束の時まで、今しばらく… 》

 《 海の森に置いておくよ 》

 

 

「おお…これだけの数の海王類ははじめて見たな。本当に、ノアをここへ運んでくるとは…しかし、あの娘は一体…」

「キャ~~~~~!!!食べられちゃうよ~~~~~!!!」

 

 《 それでは神様… 》

 《 われらは、これにて… 》

 《 また、いつなりと、お呼び下さい 》

 

 《 うむ…ご苦労だった。それではな… 》

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 その頃…、竜宮城では宝物庫から財宝が全て盗まれるという事件が発覚していた。

 

「まさか、麦わらの一味に差し上げるための宝物ではあるまいな?」

『いえ、そちらは無事だったのですが…盗まれたのは”玉手箱”を保管しておいた宝物庫の方で…』

 

「国王様、留守を何者かに狙われた様で…!!」

 

「聞こえておった。財宝泥棒など、ほおっておけ…」

「ホエール!!」

 

「それよりもホーディ軍の兵士達の区分けと処分を急がねは…早く済ませて今度こそ宴を開くんじゃもん…」

「はいはい…」

 

 

「おい、チョッパー!大丈夫か?お前…」

 ウソップがロビンにひざ枕をされているチョッパーに声をかける。

 

「ああ…大丈夫だ。『怪物強化』使っちゃうと全身疲労で1、2時間歩けもしねェんだ。けど、治療くらい出来るぞ?みんなケガはないか?」

 

「動けねェおめぇに言われたくねぇ…」

「ロビンちゃん、おれも大技使ったからもうダメだ!ひざ枕してくれ―!!」

 

「イオリ達も戻って来たわよ?」

 上空を見ていたナミが、しらほし達の姿を認めて皆に告げる。

 

「えっ…イオリちゃん??」

「どうしたの、サンジくん?」

 

「え、だってさっき…あれ?」

「?」

 サンジは先程イチユリの姿を見ていたので混乱していた。

 ちなみに魚人島の人達にイチユリが麦わらの一味だという認識はない。白ひげ連合の食客という認識がほとんどだ。新聞報道により、彼女がワノ国の刀工だという事も知れている。

 

 ルフィと私はみんなと合流し、私が渡した回復薬でチョッパーは復活した。

 

 体力の完全回復だけなら仙豆一粒から10本の回復薬が作れる。(レシピは『製薬の本』に載っている)

 多少の傷ならそれも一緒に回復する。

 この2年でかなりの数の仙豆が収穫出来た。半分以上使ったけど…

 現在、月に50粒~120粒ほど穫れるので、まぁ、なんとかなるっしょ!

 

 回復薬は訓練で重宝した。全力で戦って直ぐに回復。また全力で戦うという具合で使って訓練を行った。

 一見、ムダな事のように思えるが、回復は体力を満タンにするという事だけでなく、超回復をも伴う。

 つまり肉体は短期間で鍛える事が出来るのだ。普通なら数ヶ月を要する強化が数日で行えたりする。

 エースが1年ちょっとで四皇に肩を並べる事が出来たのも、一つには回復薬の恩恵があると言える。もっとも、青い炎を手に入れたことが一番だと思うけどね…。

 これから一味の訓練でも重宝する事だろう。

 

「ねぇ…」

「ん?」

 ナミが小声で話しかけて来た。

 

「あんた、大丈夫なの?こんなところに居て…」

「?」

 どゆこと?

 

「お店!」

「!!…ああ、だって魚人島のほぼ全員がここに集まってるんだから問題ないでしょ?そもそも避難指示が出てたんだし…」

 ※イオリはナミが整理券を持っていた事を知りません。

 

「まぁ、確かに…えっ!?もしかして…イベント中止?」

「イベントは明日に延期にする事にしたみたいよ?この後、宴もあるしね!」

 

「そう…。まぁいいけど…(よかったぁ~!!)」

 

「…なに喜んでんの?」

「別にいいでしょ!!」

「?」

 

 

 一方…こちらはホーディ軍からやっと解放された海賊たち…

 ホーディ軍の区分けもほぼ済み、とりあえず人間の海賊の解放が行われた。

 

「うお―っ!!!」

「やったぜ解放だァ~~~!!!」

「ホーディめ、イイ気味だァ!!!」

「おおう…!!おれァ一生奴隷暮らしかと…!!!」

 

「”麦わらの一味”!!!おめェらに借り一つだァ~~~」

「やっと行けるぜ”新世界”へ~~~!!!」

「……」

 

「ホーディへの恨みが…”魚人族”に向くのでは…?」

「…それはそれで…別の話。この島は元々、海賊たちの観光・休憩の地…留める理由がない。」

 大臣の言葉にネプチューン王が答える。

 

「ホーディは海賊ですし、彼らは戦いの最中ジンベエさんに救われたんですから心配はいらないと思いますよ?それにイオリが言ってたんでしょ?選ぶのは自分だって…」

「そうですね!!」

 イチユリが続き、フカボシがそれに応えた。

 

 

 広場での騒動が終わり、紅雨海賊団のメンバーとジンベエ、麦わらの一味、ケイミー達は竜宮城にお呼ばれになった。

 

 目的はもちろん宴会。

 

 移動中、ルフィはジンベエを一味に誘ったが、ジンベエは断った。

 実は状況としては原作と同じなのである。なので、やりとりもほぼ原作通り。

 

 麦わらの一味については私とロビン以外、世間一般に流れる新聞情報しか目にしていない。

 とりあえず知らせていい情報については共有化しておいた方が良いだろう。

 まぁルフィはそんな事どうでも良さそうだけどね。あのだらし無い緩みきった顔を見るに、今は食い物の事しか考えてないだろうなぁ。

 

 …最後にこいつが宴会したのは頂上戦争後の女ヶ島かな?

 サボが来た時だから約2年ぶりになるか…

 

 そして全員が城に到着し宴会の準備を待っているのだが…

 

 広間の一角では、ナミとアーロン達が対峙して、クロオビが見事な土下座を決めていた。武術家なだけあって礼儀がちゃんと身についている。

 

「チュッ…今更償えるものでもないけど…すまんかった。」

 チュウも頭を下げる。

 

「…まぁアーロンだけ許してアンタら許さん!じゃ格好悪いし…反省してる様だからもういいわ。」

 

「ココヤシ村や近隣の村にも行った。正直命を捨てる覚悟だったが、彼らは許してくれた。」

 アーロンが告白する。私が許しを貰っていたけれど、本人たちが現れたらどうなるか…。実は私にもわからなかった。

 けれど彼らはアーロン達が現れたことで謝罪の本気を見て取ってくれた。

 

「! そう…ゲンさん達だけでなく他の村の人達も…。そうね。まだ馴れ馴れしくは出来ないけど…とりあえずはこれから頑張りましょ。」

「本当に…感謝にたえねぇ…!」

 

 まさかナミ達(ココヤシ村含む)とアーロン達が和解出来るとは、当時はまったく考えてなかったからね。

 

 

 

「待たせたな。いよいよ宴会だ。」

 

 王族達のはからいで竜宮城の宴会の間に大量の食事が運ばれ、更に色んな出し物が催されていく。魚人島一の

 歌姫のおばちゃんや美女揃いのダンサー達、ここら辺は原作と一緒だ。みんなは遠慮なしに飲み食いしている。

 そして何時間か経ち…

 

 

「ウィ~ 話とは何じゃもん 海賊娘…」

「ごめんなさい。今なら二人きりになれると思って…」

 

「ゆ!!ゆうておくが、わしには一生の愛を誓ったオトヒメという妻があり、死んだとはいえ、妻を裏切る様な-」

「ジョイボーイって誰?」

 

「!!?」

 

「海の森の歴史の本文を読んだの。彼は一体誰に何を謝っているの?」

「まさか…読めるのかアレを…イオリ殿と同じく!!?」

 

「そうだった…。あの場所を教えてくれたのはイオリだものね。あの娘もあなたに聞いたのね?ならあの娘に聞くわ。手間を取らせてごめんなさい。」

 

「いや…イオリ殿がアレを読んだ事は聞いたが、何も聞かれてはおらん。まだ海神様を従えて居なかった頃の事じゃもん…。わしは、何か聞きたい事はあるかと問うたのだが…」

 

 ― 今はいいや。2度手間になるだろうから時期が来たら一緒に聞かせてもらうわ ―

 ― ?? ―

 

「そう言っておられたのだがまさか、こういう事とは…」

 

「そういう事!」

 

「イオリ殿!!」

「! イオリ…もう!あなたの気配は察知できないんだから突然声をかけないで!心臓に悪いわ。」

 

「ごめんごめん。それはともかく…私も一緒に聞かせてもらっていいかな?」

 

 そして、私とロビンはネプチューン王から話を聞いた。ほぼ原作通り。

 

「今日…島の上空で全てが終わった後…『ノア』は海王類たちによって海の森へと運ばれたと聞いたわ。ノアを使おうとした”ジョイボーイ”には…海王類を動かす力があったのかしら?」

 

「― いや、その力を持っていたのはかつての人魚姫の方じゃもん」

「やっぱり……しらほし姫にもその力が…?」

 

「そうじゃもん。海神様に鍛えてもらい、今日がその最終テストだったんじゃもん」

 

「最終テスト?」

「ちゃんと海王類達を統率できるかどうかのね。まぁあそこまでの数が揃うとは思わなかったけど…」

 

「2年前…私たちは『空島』で古代兵器のありかを示した歴史の本文を読んだの。場所は確かにココを示していた。ジョイボーイと同じ時代に生きたその人魚姫…。もしかしてこう呼ばれてたんじゃないかしら…?つまり、同じ力を持つしらほし姫も…これと同じ名を受け継ぐ事になる。”古代兵器”『ポセイドン』」

「……」

 ネプチューン王が暗い表情を見せる。

 

「まぁ、『ポセイドン』って名前はともかく、”古代兵器”ってのは否定したいけどね?」

「!!?」

 私の言葉に驚くネプチューン…

 

「?どういう事?」

「これは私がリヴァイアサンを従えるようになってから思ったことなんだけど…」

「!?…まさか、イオリも海王類を?」

「うん。間接的ではあるけど、私も海王類を従える力は得たからね。だからいろいろと調べたりしてみたのよ。」

 

 ~ ~ ~

 

 海王類は脅威にはなるけど普通なら兵器とは言わない。それらを操る能力も同じだ。しらほしの前の人魚姫が『ポセイドン』と呼ばれたのは『海王神』の意であって、兵器という意味ではない。

 兵器と呼ばれた所以は、相対するもの(ウラヌス、プルトン)が兵器と呼ばれたからだと思う。つまり”3大兵器”という言葉は後から付けられたに違いない。だとするならば、神の名を冠した3つの力には別の目的があったと考えるのが妥当だと思う。

 

 原作アラバスタでの、ミス・バレンタインの言葉を思い出してほしい…

 

 ― 目的がどうであれ、人を殺める事ができる物を、武器と…そう呼ぶのよ… ―

 

 武器は兵器と置き換えることができる。

 

 あの言葉から私は、古代兵器と呼ばれる3つのモノは別の目的を持って生まれたものなんじゃないかと疑問を持った。

 そして、W7でもアイスバーグさんが過去に設計図を見た時、『何のためにこんなものを』というようなセリフを言っていた。

 過去に船大工達が造ったそれは、暴走したら確かに兵器なのだろう。

 

 けれど、そもそもの疑問…

 

 ― 何のために ― それが造られたのか?

 

 なんとなくだけど… ノアもプルトンもウラヌスも… 同じ目的で造られたのではないだろうか?

 

 ウラヌスの存在がはっきりしていないのでなんとも言えないのだけれども、ポセイドンは海王類を率いる人魚姫の事ではなく、ノアを引く海王類を制御する事…

 古代兵器と呼ばれる3つは全て、乗り物なのではないだろうか?

 

 それこそ、『箱舟』のように…

 

 

 ~ ~ ~

 

「何の為にか、遠い昔に実在した、世界を滅ぼせる程の力…」

 

「つまりイオリは、神の名を持つ3つの力は…”兵器”では無いと?」

「うん。それらに兵器と成り得る力は有るけれど、作られた目的は別にあったのだと私は考えてる!!」

 

 残念ながら、私はその答えを知らないけれど…

 

 

 

 

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