イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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 ベルメールさんとの出会い
 ナミ、ノジコとの出会い

 目的からすると、『ナミに会いに行こう』なのかな?






01-27話:ベルメールさんに会いに行こう

 ここに来た一番の目的は、ナミに会う事。

 それと、みかんを食べておいしかったら…考えている事がある。

 

 変装の面は便利だ。それを付けると大人になれるのだから。

 過去の新聞に載っていた写真を使って記憶させた顔。マネマネの実同様モンタージュができるので複数の顔を組み合わせ、適当な顔を作り、分身がそれを付けて従者を装う。さすがにこんな子供の一人旅は怪しまれてしまうからだ。

 

 観光という事にするとこの島に寄るのはちょっと無理があると思われるため、偉大なる航路から来て、ドーン島へと向かう途中にここへ立ち寄ったという事にする。

 

 港にて、この島にはおいしい『みかん』があると聞いた。

 生産者を尋ねると『ベルメール』さんとの事。

 是非食べてみたいと言うと駐在さんに聞くといいと言われた。

 

 なんともとんとん拍子に話が進むなぁ…

 

 ベルメールさんのところに行くのは簡単だった。ゲンさんに聞いたら案内してくれたからだ。

 

 彼女はみかん畑を経営?してて、娘二人と一緒に暮らしてる。そう、ナミとノジコだ。

 みかんをごちそうになった後に話を聞いた。二人は戦争孤児という事らしい。

 

 二人の話をする際に、海兵の頃の話は避けて通れないのだろう。ベルメールさんが海兵の頃の話も聞いた。戦闘の最中に二人の娘と出会ったのだとか。戦闘で傷つき死を覚悟した時に…。

 

「私があの子達を助けたんじゃなくて、あの子達に私は助けられたの…あの子達がいたから、私は生きて戻ってこれた。だから、私は海兵を辞めた。あの子等と生きていくために。」

 

 普通なら、施設などに入れられる。才能があれば海軍や世界政府の訓練施設に…なんて事もある。

 食うには困らないかもしれないが、それが幸せなのか不幸せなのかは疑問が残る。

 ベルメールさんもそのあたりの事を知っているからこその決断だったのだと思う。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 運がいいのか悪いのか…

 その日、たまたま海賊がこの島を襲ってきた。海軍支部が応戦したけど東の海にしては相手が強くやられてしまった。

 非番の海兵がベルメールさんに応援も求めにやって来て、ベルメールさんが武器を手に家を出ていく。

 

 ベルメールさんは残った海兵と一緒に戦うも、心配?興味?で見に来ていた娘を人質に取られてしまう。

 

 私はナミ達を助ける為にベルメールさんに協力する事にした。その戦闘の最中、私が銃で狙われているのをベルメールさんが気づいて間に入り込んだ。それをナミが見ていて…

 

「ベルメールさん、あぶない!」

 

 見聞色で狙われているのはわかってたんだけど、ベルメールさんの行動が予測出来ずに驚いて動きが遅れた。銃弾を止めるのは…無理ね。

 

『停止!』

 咄嗟に時間を止めて、ベルメールさんの前に移動して鉄塊で弾を掴んだ。掴んだ弾をその場に落とし、銃を持った男の所に移動。指銃で肩を打ち抜くとグーパンチを放った後、元の場所に戻って停止を解除した。次の瞬間、ベルメールさんの前で弾が落ち、撃った男は肩と鼻から血を噴き出して気絶した。

 

 そいつが(かしら)だったらしく、海賊共は逃走するも囲んでいた海兵たちによって捕縛された。

 ※この時の支部の長は中佐です。『ネズミ』じゃないです。

 

 その時、ベルメールさんは私の指を見て驚いていた。

 

 その夜、海軍支部にて…

 ベルメールさんと支部長の中佐は交友があるらしく、今回の件は感謝状が出るような事を言われていた。復帰しないか?とも言われている。仕事があるからと断っていたが、さて…どうしたもんかね。

 

 家に戻ってから、ベルメールさんと話した。

 

 二人はもう寝たらしいとベルメールさんが言った。起きてるみたいだけど?…まぁいいか。

 

「あの時、銃弾の対処と相手の(かしら)を倒したの…あなたよね? あれは指銃じゃないの?」

「知ってるんだ。」

 

「あれは、海軍本部の将官クラスが使える技術よ。あなた…ほんとに何者なの?」

「あなたは海軍に戻るべきよ。海軍本部に行って力をつけるべきだと思うわ。いくら東の海だからって今日みたいな事は起こる。今後の事を考えたら急務ともいえると思うんだけど?」

「質問には答えないのね。」

 

「どうせ言っても信じないわよ。復帰については本気で考えてみなさい。」

「あんたはいくつだっけ?さっきから年上の人と話してるみたいなんだけど…。まぁ不思議としっくりくるんだけどさ」

 

「ふふっ…年上かもよ?まぁそれはいいとして、復帰しないのなら…絶対に死なないと約束しなさい!何があっても生き延びると誓いなさい!あの子らの為に…ね!」

「…そりゃあ…死ぬつもりはないわよ。あの子たちを残してなんて絶対死ねないわ。あたりまえでしょう?」

 

「ほんとね?絶対だからね!」

「え…ええ」

 

「はい。じゃあこの話はおしまい。それじゃ寝るわね!おやすみなさい!」

「お、おやすみなさい。」

 

 

 翌日・・・

 

 ベルメールさんは海兵を辞めているので、三人にピースメインとモーガニアについて話す。四皇もピースメインの白ひげ、赤髪とモーガニアのカイドウ、ビッグマムがいる。いずれ、自分はピースメインの海賊になるかも知れないという話もしておく。

 

「自由に海を航海するなら今や海賊しかないじゃない?でも一般の人から略奪なんかしたくないし、そうかといって世界政府と仲良くなんてなりたくないから賞金稼ぎもねぇ…だからピースメインの海賊がいいかな?って思ってるんだ!!」

 

 それを聞いてナミは

 

「ピースメインかぁ…それ、いいかもしれないわね。あたしも世界を見て回りたいんだ。世界地図を描くの!」

 ベルメールさんも、いい顔はしないが、まぁ最悪ピースメインなら海賊もいいか…という感じになる。

 

「あたしが引退してなかったら引きずってでもあなたを海軍に入れたかもね。これだけの逸材だもの。でも、そこまで世界政府が嫌いだと、難しいかな?」

 

 1週間ほど滞在して、ナミとノジコと交友を深めた。枕投げしてベルメールさんに怒られたりもした。ナミの書いた海図も見せてもらった。

 

「へぇ!ナミ、すごいじゃん! 将来ナミ達の事、誘っちゃおうかな?ベルメールさんには内緒で!」

「イオリが居るなら、その船に乗ってあげてもいいわよ?」

「あたしはパス。船は苦手なんだ。」

 他愛の無い会話…でも本心だ。

 

 

 今回の海賊事件が、ここに大佐を置くきっかけとなり、ひいては『ねずみ』をここに来させる結果となった。

 その為に8年もの間、ここの人たちは虐げられてる事になってしまった。

 ただし、それはイオリがここに来た結果ではない。イオリが居なくとも、ベルメールが負傷しながらも解決した事件だったのだから…

 もしも…ベルメールが海軍を辞めなかったなら。あるいはこれを機に海軍に復帰していたら…

 ナミは麦わらの一味に加わることはなかったのかも知れない…

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 イオリが帰ってから数週間後。港には立派な商船が浮かんでいた。

 

「ここにおいしい『みかん』があるって聞いて来たんだけど?」

 そこに現れたのは『F-RONP(フラン・ロンプ)』の社長、ユナだった。

 

 偉大なる航路の前半、ウォーターセブンの海列車の通る場所である、セント・ポプラに1年ほど前に立ち上がった企業である。

 社長は女性。しかも子供という事で、世界経済新聞に大きく報じられ、一時世間を賑わせた。

 

 女性用品を扱う会社として立ち上がったことから当時はすぐにつぶれるだろうと言われていたが、あれよあれよという間に業種が増えて会社は大きく成長し、あちこちの国にも支社、支店、工場などが増えていき、今や大企業の仲間入りを果たした会社である。

 

 そこの社長が突如、コノミ諸島に現れたのだ。港は一時騒然とした。

 特に騒いだのは女性たちである。ユナを囲んで中にはサインを求める者までいた。

 

 皆が落ち着くとゲンさんが現れ、ユナをベルメールの元へと案内した。

 そして…

 

「イオリの言ったとおりね。この『みかん』は普通じゃないわ!ベルメールさん。コノミ諸島内の販売はお任せするとして、我が社と独占契約を結んで頂けませんでしょうか?」

「!!?」

 

 こうして、ベルメールのみかんはコノミ諸島以外へも売り出される事となった。

 

 ベルメールはユナにイオリの事を聞いた。

 ユナが言うには、彼女とは会社を立ち上げる前に偉大なる航路で偶然出会い、同じ年という事もあってすぐに意気投合。友達になったらしい。

 おいしいみかんを見つけたと彼女から話を受けてすぐさま赴いたとの事だった。

 

 今回は交渉の為に来たので、いったん会社に持ち帰り、後日改めて正式に契約を結びに来る運びとなった。

 

 実際においしいみかんだった。通常よりも糖度が高く、程よい酸味が後味をすっきりとさせている。みかん単体では高級ブランドにするのは難しいかもしれないが、加工品ならそれも可能と思われる。

 これはいいものに出会えた。イオリに…いや、ルフィに感謝しないと!!

 

 サイズが3種類ほどあるので、それぞれ5箱づつ買い付けた。

 サンプルとして一度売り出してみるか。

 ユナは青果担当者と電伝虫で話をしながら、ほくほく顔で帰って行った。

 

 後日、明らかになった事。このみかん、実はまだ品質が安定していなかっただけで、高級ブランドにも負けないほどの味を持っていた。

 その後、ベガパンクに作成してもらった糖度測定機を用い、

 糖度の高いものだけを抜き出し試し売りをしてみると、貴族連中に飛ぶように売れたのだった。

 

 結果、品質が安定して、糖度の高いものが多く取れるようになったら仕入れ価格を上乗せするという文言も契約書に盛り込み契約をかわすこととなった。ベルメールが品質管理に力を入れるようになったのは言うまでもない。

 

 

 

 




 まだ、F-RONPの名は世界的には有名ではありません。
 一度、新聞に載って世間を騒がせただけです。
 世界的に有名になるのは、1年以上先の事。
 ユナが社長を退任した後のお話です。



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