イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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10-271話:シャッフル

 ブルックの案内で暫く進むと、知った気配が近づいてきた。

 

 う~ん…。

 ローの能力はちょっと厄介ねェ…。気配が分散して見聞色だけだと良くわからなくなる。

 そういえば、さっきからナミ達の気配が感じられない?

 

「ホラ、これ軍艦じゃねェか!!」

「じゃあ海軍が来てんのか!?」

 ウソップが半分になって落ちている軍艦を見つけて言った。

 続けてルフィが疑問を口にする。 

 

「えー!?さっきまでここには何も…」

 ブルックは、少し前にここを通ったらしく状況の変化に困惑気味だ。

 

「……」

「あそこに誰かいるぞ!!」

 

「…くれない屋?」

 

「あれ~~~!!?お前は~~~っ!おーい!!お前じゃんかー!おれだよおれ!あん時ゃありがとなー!!」

 ルフィがローを見つけて声を上げているけど…この感じだとコイツ、名前覚えてねぇな!

 

「あいつはシャボンディのヒューマンショップであった奴だな」

「トラファルガーローよ…彼は今…」

 

「そうそう!トラフォル…トラ男!そうだったあいつよー!白ひげの戦争の後、おれ達の事送ってくれたんだよ!イオリの知り合いらしくてよ!すげーいいヤツなんだ!!な!」

 

「そうなの?」

「まぁ、そうね」

 ロビンが聞いてきたけど、私はローとは別のモノを見ていた。ロビンも私の視線の先を追う。

 

「…」

「こんなトコで会うなんてな!あん時ゃありがとう!!あれ?喋るくまは?」

 

「……2年ぶりだな、麦わら屋。あの時のことは恩に感じる必要はねぇ。気にするなと言ったろ?おれはくれない屋に大きな借りがあるんだ。」

 

「おいあそこ海兵が倒れてる?あれ…もしかして…」

 ウソップも気づいたようだ。

 

「それに忘れるな!おれもお前も海賊だ!!」

 

「…ししし!そうだな”ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”を目指せば敵だけど…2年前の事は色んな奴に恩がある!こんなところでお前に会えるなんてラッキーだ!!本当にありがとうな!!」

「……」

 

「スモーカーさんっ!!!!」

「スモさーん!!」

 

「わっ…海軍!?…ん?あそこで倒れてんのって、もしかして…」

 

「おいマズイぞルフィ!イオリ!!海軍だ!!!」

「「ああ…」」

 

「スモーカーさん!!!」

 たしぎがスモーカーに駆け寄り、その声と名前を聞いてルフィが気づく。

 

「やっぱケムリン達じゃねぇか!!懐かしいな~~~!!」

 海軍に向かって手を振るルフィ…。ゾロとウソップが何してんのコイツ?みたいな感じでビックリしてる。

 まぁコイツの場合、知り合い(?)に2年ぶりに会ったらそうなるよね。

 

「胸に、穴が…よくも!!!」

 穴が空いた上司の胸を見て、たしぎが怒りを露わにする。

 そして、剣を構えてローに向かっていく。

 

 気絶してるだけなんだけど?

 

 たしぎって見聞色使えないんだっけ? まぁ、動揺してるみたいだから使えてないかもね…

 

「! おいおい…よせ!そういうドロ臭ェのは嫌いなんだ」

 ローがたしぎとスモーカーの”ハート”を入れ替える。

 

「うわっ!!?」

 なんだこりゃ!?気配が混ざって(・・・・)わかりづらい!!

 思わず声を上げちゃった。

 でも、なるほどね。ナミ達の気配が分からなくなったのはこのせいだったか!!

 

 …って事は?

 

「たしぎちゃ~~~ん!!!」

「畜生、二度までも!!」

「スモさんも倒れてんぞォ!!!」

 

「…!?何したあいつ、今…」

「気づいたゾロ?あの2人の気配が混ざり合ってる…」

「あ?…!!どういうこった?」

 

「懲りねぇ女だ…!!そう深刻になるな」

 気絶しているスモーカーに向かってローが声をかける。ややこしいわね…

 

「ルフィ!急げ!ここはヤベェ!!」

「うん!そうだおいトラ男!!ちょっと聞きてぇんだけど…」

 

「研究所の裏へ回れ…」

「!?」

 やっぱりコレか…

 

「お前らの探しものならそこにある。また後で会うだろう。互いに取り返すべきものがある」

 そう言って、ローは建物の中へと消えた。

 

「よしルフィ!海軍達から離れるぞ!!」

 ルフィが手を伸ばし、みんなで引っぱりワニタウロスの上に乗せる

 

「大丈夫かなケムリン達!!トラ男に敗けたのかな!!」

「でしょうね。スモーカーは心臓も取られたみたいだし。しかも入れ替わってるし…」

「「!!?」」

 私たちは研究所の裏へと移動した。

 

 

「いた~~~!!!お前ら~~~!!!」

「みなさんご無事ですか~~~ヨホホ~~~」

 

 

「ルフィ達だ~!!イオリ~、ゾロ~、ウソップ、ロビン、ブルック~~!!会えてよかったぞコンニャロー!!!」

 サンジが飛び跳ねながら手を振っている…

 

「何だあのバカコックのハイテンション。寒さでとうとうイカレタか?」

「あのサンジに見えるのはチョッパーよ!そんで、チョッパーに見えるのがフランキー。フランキーがナミで、ナミがサンジみたいね。」

「あ?」

 ゾロが混乱した顔を私に向ける。私も言ってて混乱して来た。思った以上にややこしいわね…

 

「あれ何だ?デッケー子供たちに見えるけど?」

 

「え?おい何してんだ!やめろフランキー!!!」

 フランキーがナミを殴ろうとしているのを見てルフィが叫ぶ。

 あ~あ、大きなたんこぶこさえちゃってまぁ…

 

「さっき、サンジがナミ(自分?)の体を覗いてたからねぇ…」

「おめぇはさっきから何言ってんだ?」

 だって、そうなんだもん!!

 

 合流を果した私たちは、子どもたちがいることもあり、吹雪をしのげるところへと移動した。

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「ここもさっきの施設と部品が似てるな」

「だけどボロボロ…大爆発でも起きた跡みたいね。」

「吹雪をしのげりゃなんでもいい」

 

「えーん!か弱い私を傷つけちゃった!」

「すぐ治療するから!」

「ちょっとサンジ君!私の体に何してんの!?」

「おれチョッパーだよ!」

 フランキー姿のナミが、殴られて気絶する自分の姿を見て涙する。サンジ姿のチョッパーは難くせ付けられ困り顔…

 

「下半身が戻ったでござる!」

「『足まろ』ォ…!おれの後ろ足がぁ!!」

「だから、ああいう生物いるわけねだろ!」

 こちらではサムライが喜び、ルフィがozy状態に…

 

「さて何から話すか…」

「とってもシュール…」

 チョッパー姿のフランキーが他の3人を見ながら呟く。隣ではロビンが混乱している感じだ。

 

「ゾロ、私が何言ってたかわかった?」

「…」

 

「ねータンクやってー!ロボ姉ちゃん!」

「ビームだせる!?」

 男の子たちがフランキー・ナミにまとわりつくが…

 

「…!! だまれ~~~!!!!」

 ナミが怒った。

 

「え~~~!!?」

 

「中身誰だっけ~~~!!?」

 

 

 

  ― ボトト…! ―

 

「…え、いいの?」

 フランキー姿のナミが、ナミ姿のサンジにタバコを投げてよこす。

 

「…我慢してるんでしょ?いいわよ吸って!とにかくみんな!冷静になって話しましょう!!」

 

「まずはおれがフランキー!ケガしてもおれを頼るな!」

 チョッパー姿のフランキーが言う。

 

「おれがチョッパーだぞ!ケガはおれが治してやるからな!」

 サンジ姿のチョッパー

 

「私がナミよ!ビームなんか死んでも出さないから!!」

 フランキー姿のナミ…

 いや別に…それは出してもいいんじゃね?そんな事言ってると、危なくなったら困るわよ?

 

「そして我らが、ん~!ナミさんだ!!!!」

 ナミ姿のサンジがバストを強調して叫ぶ。あんたはサンジだろが!!

 

「「いよォ!!待ってました~~~!!」

 そんなサンジの仕草にウソップとブルックが声援を送る。

 

「私そんなに品がなかったかしら!!」

 またもナミが拳を構える。だから危ないって!

 

「うおぉぉ!もうしねえ!!ナミさんをこれ以上傷つけないでくれ!!」

「やめろナミ!ナミが死んじまう!!」

 慌てるサンジとチョッパー…傍から見ると姿が違うから、もう訳わからん…

 

 実際、危ないんですよ。今の状況って…

 原作でもナミは怒ると武装色を使っていた。彼女はこの2年で武装色を完璧にしたので、フランキー姿でそれを発動した場合の威力は想像を絶する。

 サンジも武装色と鉄塊で防ぐ事も可能だろうけど、あの体格差はいかんともしがたい。

 加えてナミの鉄拳は不意打ちに近い状態で繰り出される事が多いので、下手をしたらナミの体が壊れてしまう!!

 

「私の体に触れたら20万ベリーよ!のぞき10万!!」

「そんな殺生な!!」

「当然です!ちゃんとカウントしとくからね!!」

「!…はい…」

 軽く手刀で頭を叩くと、私を見たナミ・サンジは一瞬ハッとした顔をした後シュンと項垂れた。

 

 

「いつまで笑ってんのよ!人ごとだと思って!」

 ゲラゲラと笑うルフィとウソップに、フランキー・ナミが怒っていた

 

 

 

「つまり、初めから解明していくと コイツが例の”ワノ国の侍”なんだ」

「…」

 下半身の上に首が乗ったスタイルで、サムライが私のことをじっと見ていた。私が見ると視線を逸らすので、睨んでいるというわけではなさそうだ。気になっているという感じ?

 私…なんもしてないよね?

 

「おれ達が拾った救難信号は”ボス”と呼ばれるあのワニタウロスへ部下から送られた信号だった」

「……」

「この侍がケンタウロス達を斬りまくった事が全ての元凶だったんだ!」

 

「しかし拙者は行方知れずの息子モモの助を救うべく、邪魔する者を斬ったまで!!現に、見ろ!これだけの子供らがあの施設に閉じ込められていたのだ!きっとモモの助もまだ中に!!」

 

「うん!ここにいるのは全員じゃないよ!!」

「新しい子達はまだ名前も憶えてないし…」

 子どもたちが言う

 

「だが問題は信号の後だ!何が起きた?」

 

「さっきの男でござる!!まわりの者達が”七武海”とはやしたてていた…」

「えー!?トラ男か!?あいつ”七武海”になったのか!?」

 

「ええ…この2年で加入したのよ!ねぇイオリ?ルフィに教えてないの?」

「話したわよ?でもコイツは人の話を聞かないからねェ…」

「ああ、なるほど」

 

「拙者、あっという間に体を三つに斬られ… 頭は施設へ胴は置き去り足は何やら猛獣のエサになる所、気配を頼りに逃げ回っていると何かにくっついたようで…」

「それが竜の後頭部だよ!」

 

「そういや『七武海め』とか言ってたよな!」

「え?下半身でしょ?なんで喋るの?」

「ん?それもそうだな」

 

「あぁあれは屁でござる!」

 ”元々拙者の特技でござブー”

 

「屁だったのかよ!!!最悪だ!!!」

 ”そうでござブー”

「あ!!室内だとくせェ!!」

 

「ヨホホ!しかし頭と足の人なんて滑稽ですね!逆に私は先程胴だけの人にお会いしましてね~」

 

「それどう考えてもコイツの胴だろ」

「ホントだ!!」

「見たのか!お主!!!」

 

 ブルックに話を聞くと、私たちとの通話の後にブラついていたら胴体と接触したとの事だった。

 突然斬りかかられたので応戦したのだが、何を言っても通じず(当たり前だけど…)異形な上にかなりの手練れだったようで、怖くなってブルックはその場を離れたとの事。その後湖の方へと走って行ったので胴体の行方はわからないという。

 原作知識から、ブルックが胴体と接触する事を知っていた私は、通話の後ブルックの気配を追っていた。

 その後も胴体の気配をずっと追っているので今何処にいるのかまでわかっている。

 何で気配をっていたのかと聞かれたが、原作知識の事は言えないのでサニー号の周りに感じられた知らない気配がブルックと激突したので敵だと思い、アジトの場所を掴むために追っていたと告げた。

 

「お主、拙者の胴体の居場所が分かるのか?」

「一応ね…でも、自分の体の場所が分からないの?」

「…」

 サムライは目を伏せ無言で頷いた。自身の一部の居場所がわからないという事を指摘されたからだろうか?

 恥じているような悔しいような表情を見せていた。

 

 

 

 

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