イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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10-278話:厄介者

「…便利な能力ですね」

「まぁね。このおかげで子供達も運べてるわけだしね!」

 

 移動中、子供達の症状と収納貝の事をたしぎに話した。ヴェルゴとの戦闘と実践稽古で疲れていたたしぎは、原作同様めまいを起こして倒れてしまった。なので私が能力で小さくして手のひらに乗せて運んでいる。

 それまではたしぎに合わせて走っていたので、スピードは増した。

 当然ながらゾロとは違うので、サンジ達はすぐ目の前だ。

 

「大丈夫?降りて走れそう?」

「ええ、もとに戻してくだい!」

「解除!!」

 

「あっ!イオリちゃーん!!たしぎさーん!!おかえり~~~!!」

「あァっ!!大佐ちゃ-ん!!」

「よかった無事で!!鳥女倒したんだな!!」

 

 サンジ達と合流して程なく、ナミ達にも追いついた。

 チョッパーが医務室を見つけ、子供達に処置をしようと待ち構えていたのだった。

 既にここに居た子供達の処置は終わっているとの事。ブルック達が助け出したらしい。

 

 小さくした子供達に処置をするのは簡単だった。収納貝に入っていたので、爆睡星の効き目はそのまま継続中。10分もかからずに鎮静剤の投与は完了した。当然だけど、モチャも無茶をしなかったので無事である。

 爆睡星の効き目が切れたが、鎮静剤が効いているので暴れていた子供たちも正気を取り戻していた。少しでもクスリが抜けるようにと子供達は元の大きさに戻して移動することになった。

 

 ちなみに…

 

 倒したミニ竜をそのまま小さくして収納貝に入れたのを見ていた錦えもんは、逆走する事なく私の到着を待っていた。せがまれたので竜を出して見せたのだが、その竜は違うと子供に言われ愕然とする…

 暴走気味だったので、チョッパーから鎮静剤をもらって射たせてもらいました。

 

 原作とは微妙に時間軸がズレてる気がするけど、まぁ許容範囲でしょう。

 ウソップの活躍の場を奪ってしまった気もするが、モチャの無茶をなくすためだから仕方ない。

 ルフィがシーザーをぶっ飛ばしてから、ルフィの所に到着すればいいんだし、時間的には余裕があるほうが調整しやすい。

 

 さて…、ウソップも秘密の部屋に居るみたいだし、ここには主力も揃ってる。

 状況を確認できるように精霊(シルフ)を出しておけばいいか。

 

 私はみんなから離れて別の場所へ飛んだ。

 

 

 

 ~ D棟『SAD製造室』 ~

 

「…畜生!明日の朝食をどうやって食えばいい?とんだ復讐にあった…!!」

 首だけになったヴェルゴが鉄柵にくっついた状態で呟く。

 

「ずいぶんじゃないか、ロー!こりゃあ番狂わせだ…。だが、お前は必ず後悔する!」

「…」

 

「よく憶えておけ!お前は”ジョーカー”の過去を知らない。それが必ず命取りになる!!!」

「!?」

 

「少し名を上げたくらいの新世代に取って代われる程世界は浅くない。教えてやれよスモーカー!威勢だけの小僧共にこの根深い世…!!!」

 

 ー スパン!! ー

 

 ローはヴェルゴの顔を割ってその口を塞いだ。

 

「せっかくなんだから最後まで言わせてやればいいのに…」

 

「くれない屋?」

「!!?」

 

「なにしに来た?」

「手こずってるのかと思って、様子見がてら呼びにきたのよ。面白そうな話が聞こえてきたから顔を出したんだけどね?」

 

「…お前は知ってるのか?」

「さて、どーでしょう?それより、脱出を急いだほうがいいわ!」

「…そうだな…」

 ローがヴェルゴに向き直る。

 

「おれの心配よりてめぇの身を案じるんだな!!この部屋はやがて吹き飛ぶ。じゃあな…”海賊”ヴェルゴ」

「…」

 

 

 私たちは、脱出の為のトロッコが置かれた倉庫に到着した。

 

「…!!」

「どうした、くれない屋?」

 

「シーザーが海岸付近に吹っ飛ばされた。たぶん、ふっ飛ばしたのは…ルフィね!」

 

「なんだと!!?約束は誘拐だぞ!!」

「私に怒鳴られてもねぇ…」

「…」

 まぁ、うちの船長の事だからローの気持ちもわからんでもないけども…

 

「とりあえず、近くにフランキーがいるみたいだから、連絡して捕まえておいてもらうわよ!」

「そうしてくれ!!しかし、お前んとこの船長は…」

 

「ロー、あんたさぁ…私がフォローする事を前提で同盟組んでないわよね?」

「そんな事はねぇさ。マリンフォードでのヤツを見て同盟を組みたいと思ったのは、何もおれだけじゃねぇはずだ。それにお前が戦闘じゃ何もしねぇって事も広く知られてる。その上で同盟を持ちかけたんだ。もっとも…、本当にヤバくなったらなんとかしてくれるって希望が無い事もねェ!!」

「なるほどね…」

 そりゃそうか…

 

「おい、ロー!必要なのか!?これが」

「SADを運び出す為のトロッコだ!!これに全員乗せる。脱出は一刻を争うんだ!!!」

「そんじゃ、二人共乗って!!」

 

「バカかお前!!どうやって-」

「…小さくするのか?」

「そうよ!小さくして私が持って移動したほうが速いわ!!」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

「麦わら屋!!!」

「ん…トラ男の声!?あっ、イオリじゃねぇか!!」

 

 トロッコから二人を下ろして、元の大きさに戻す。ローはルフィに向かい、スモーカーは葉巻に火を付けた。

 

「トラ男!!ケムリン~~!!なんだ、イオリと一緒だったのか!!」

「ギャ~~~スモやん~~~!!よくぞ無事で!!…あ…あんたに話してぇ事が…!!!いろいろォ~~~…!!」

 

「……」

 私たちの方を見て、たしぎが『ほっ』としているのが見えた。

 

 

「シーザーはどこだ!!」

「ああ…あの扉ごと、あっちの方へブッ飛ばした!!どこまで飛んだかな~」

「やっぱりか!!…おい!!お前…!!約束は誘拐だろう!!!」

 そうよね。約束したのにねェ…

 

「でも、あんなやつ…!もう捕まえんのもイヤだおれ!!」

「イヤでもそういう計画だ!!― もし逃げられたらどうしてくれる!!!」

 

「いーじゃん別にあんなの]

「気分で作戦を変えんじゃねぇよ!!」

 ルフィが鼻を”フン!!”と鳴らしているけれど…

 

「へぇ~…そうなんだ!約束したのにそれを守らないんだぁ!?」

「うっ!!?」

 

「そうだよね~!ルフィもローも海賊だもんね!海賊同士の約束(・・・・・・・)なんて守る必要ないもんね?」

 その理屈からすると、赤髪との約束もどうなんだろうね?という意味を込めてルフィに問いかける。

 鼻息が荒かったのが一変。駄々っ子のような顔を経て、ルフィが項垂れシュンとする。

 

「…」

「謝る相手は私じゃないわよ?」

 私の言葉を受けて、ルフィがローに向かって頭を下げる。

 

「ゴメン…トラ男…」

「…もういい、わかった!!…さっさと追うぞ!!!」

 ローの言葉を聞いて、ルフィの顔がぱぁっと明るくなった。

 ほんと素直な子だよ。

 

「今、フランキーから連絡があって何者かがこの島に来たってさ。まぁ、間違いなくドフラミンゴファミリーの誰かだろうね?応戦してるって!」

「なにを笑ってるんだ?くれない屋」

 

「だって、きっとドフラミンゴは連絡を受けてシーザーの奪還にやっ気になってるわけでしょう?でもそれは叶わない。持ち上げられて落とされた時のドフラミンゴの顔を想像したら…」

 面白いんじゃね?

 

 クスクスと笑っていたら、ローに引かれた。

 

 あれ?あなたドフラミンゴに対してものすごく恨み持ってたよね?

 ルフィには引かれると思ったけど、まさかローにまで??

 後ろでは会話を聞いていた一味の面々も引いてるよ?

 ウソップとチョッパーなんて抱き合ってガタガタ震えてる…ってそこまでかっ!!?

 

 そして、仲間が全員揃ってトロッコで脱出。ちなみに秘密の部屋の下でシノクニに固められた者を数体一緒に乗せた。何故かって?錦えもんが固まってないからです。

 その事を、誰も聞いてこないのは私に何か考えがあっての事と思っているからなのか、それとも気にしてないからからか?理由を言ったところで意味不明なので、聞かれなくてよかったのかも?

 錦えもんはそれを見て、逆走しなくて良かったと思ったようだが、まだ沈んでいる。モモの助は竜の姿のまま、ルフィに巻き付いて居るので、どちらも相手に気づいていないみたい。海岸に着いてから感動の再会となるのかしら?

 

 出口付近までは何も無いはず…

 ここはしばらく一味のメンバーにまかせておいて大丈夫だろう。

 

 私はこっそりモネのところへと飛んだ。

 

 

 

 ~ 第三研究所 起爆スイッチ前 ~

 

『 ― だが、万全を期しここで若造共を消しておきたい!』

「…」

 

『その第三研究所には ― 4年前に第一第二研究所及びその島を滅ぼした兵器がもう一つ眠っている…!!起爆スイッチを押せばその島で生き残れるのはもう毒ガスに耐えられるシーザー唯一人…スイッチの場所は…』

 

「それ以上言わないでジョーカー!はじめからそのつもりよ」

『!?』

 

「今、その起爆スイッチの前にいる… ― 爆発はタンカーまで及ぶわ。一隻無駄になるけど、いい?」

『…悪いな 全てを道連れに…死んでくれ…!!!』

 

「了解 ”若様” うっ!!?」

『どうしたモネ!?』

 

「くれない!!?」

『!!?』

 

「今しがた到着した部下二人も見捨てるってわけ?それほど私たちを恐れているとは思わなかったわね…」

『くれない!!…なんでてめぇがそこにいる!!』

 

「シーザーの思考はとっくに読んでたのよ。いざとなればこの起爆スイッチを奴が押すかもしれないと思ってた。その事をあなたが知ってる事も一緒に知れてるわ。そしたら今の状況なんて予想するのは簡単でしょ?」

「…」

 

『…忘れてたぜ…てめぇが一番厄介だって事をなァ!!』

「誉め言葉として受け取っておくわ!」

『…』

 

「あぁ、そうだ。シーザーから取り返しておいたあなたの心臓よ。返すわ!」

「なっ…なぜ!!?」

『てめェ、何を考えてる?』

 

「ローの心臓と交換してたんでしょ?彼の心臓は戻ったみたいだからこれも本人に返すまで。何かおかしい?」

『…』

 

「…後悔…するわよ?」

「あなたが自殺でもしたらそう思うかもね?」

「…」

 

『モネをどうする気だ?』

「そうねェ…とりあえずドレスローザまでの安全確保の為の人質にでもって思ってたんだけど、この娘はダメね。人質になりそうにないからこのままここで拘束しておくわ。ルフィたちの所に連れて行ったら海軍に捕まっちゃうしね?それに、この展開ならあなたはここまで来るんでしょう?」

 

『おれに恩でも売るつもりか?』

「恩になんてならないでしょ?彼女はあなたのために死ぬ気だった。それを阻止したんだから、むしろ逆じゃね?」

『フッフッフッ…わかってんじゃねぇか!』

「…」

 

 

 

 

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