イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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今話でパンクハザード編終了です。

どうぞ!







10-281話:取り引き

 タンカーの修理は終わったようで、たしぎを頭としてG5の半数が子供達を連れて先に基地へと向かうことになった。

 

 現在荷物の積み込み中…

 

「タンカーはお前らが使うものかと…」

 スモーカーが言ってるけど、最初っからなんでそう思ったんだろうって疑問だったんだよね…

 

 たしぎに聞いてみたら、フランキーが修理してたから、だって…

 

 イヤイヤ、私たち船あるし!!

 子供らだって小さくすれば問題なく運べるし!

 って言ったら、『あっ!!』だって…

 

 たしぎ…お前もか、お前もなのか!!?

 

 どうやら私の能力は記憶に残りづらいらしい…

 

 ナゼだ!?

 

 

「違うんだ、それが…コドモらの出航を確認しねェと、ウチも絶対船出さねェってナミとチョッパーが言うからよ!お前ら以外の海軍を待つのもややこしいから、アレで先にコドモ達を出してくれ!」

 スモーカーと話しているのは宴で風船のように膨らんだ状態のルフィ。

 

「船に乗れ!ガキ共~~~!!ウチへ帰してやるぞ!」

「わーい!!」

 

 ― わいわい きゃっきゃっ!! ―

 

「おうおうおう!麦わらの一味~~~!!タンカーが海軍のもんなら…こうだ!!」

 地面に書いた線を引き直す海軍…

 

「こっちからこっち入んじゃねェぞ!!!これが正義と悪の境界線だァ!!」

 

「またかよ!さっきまで宴やってたじゃねぇか!!」

「バカバカ!バーカ!!それに関しちゃ、本当にどうもごちそう様でした!!」

「だがお前らは海賊!!人間の恥だ!!」

 

「私たちはピースメインだけどね?」

「そ、そうだけど…!ここは新世界だァ!!」

 

「ナミのお姉ちゃーん!!」

「くれないのお姉ちゃーん!!」

「チョッパーちゃーん!!」

「ロボは―?」

「あれー?海賊のにーちゃん達は―!?」

 子供達がタンカーの欄干から港を見下ろす。

 

  ― バサッ バサッ… ―

 

 海軍達は幕を張り、子供達の視線から私たちを隠した。

 

「ジャマだ、お前ら!しょーもねェな…!!」

 サンジが呆れながら言う

 

「バリヤー!!海賊など目の毒だ!!」

 

「お前らも似たようなもんだろG-5」

 G-5の言い分にフランキーが物申す

 

「でも、みんな無事乗り込んだみたい!」

 ナミはホッと胸をなでおろした。

 

 

「おれ達こそが!!正義で、市民を泣かす海賊共をブッ殺すのだ!!」

 そう言う海軍たちの脳裏には、この島での出来事が浮かんでいた…

 

 ~ ギャアアアア ~

 

 ヴェルゴに倒されていくG-5たち…

 

 たしぎにはニセモノだと言いはっていたが、あれは本物のヴェルゴだと、皆わかっていた。

 

 指銃を撃たれた時、不思議な事が起こっていた。撃たれた瞬間数センチ、自分達の体がヴェルゴから遠のく感じ…

 どういうわけか、確かに移動させられていた(・・・・・・・)。 そうでなければ致命傷になっていただろう。

 ヴェルゴが攻撃する瞬間に、背後に黒装束の女の姿を見たと言う者もいる…

 ヴェルゴが時折止まって指を見ていたのはきっとそういうことなのだろう。

 彼女が麦わらの一味と無関係とは思えない…だとするならば…!!

 

「海賊共はこの世のクズでェ!!」

 

 

「じゃ、おれ達も出航すんぞ!」

 ルフィが踵を返してそう言った。

 

 海軍が悪口を言っているけど、誰も気にせずサニー号へと向かう。

 

「キャンディの治療の事はベガパンクに相談してくれるって!」

「ホントか!よかった!!」

 ナミの言葉にチョッパーが安心している。ベガパンクに対する誤解も解けて良かったと思う。

 

「おい、アイツも一緒に行くのか?」

「そうだ、まだ同盟のこと言ってなかった!」

 ゾロが先を歩くローを指さしてウソップに聞いていた。

 

 

「おれ達こそが正義!!ガキ共に海賊どもを見せるな!!」

 

 

 ~ 走れお前ら!!!死にたくなきゃ走れ!!! ~

 

 サンジが叫ぶ場面が脳裏に浮かぶ…

 

「ぐるぐる兄ちゃ―ん!!」

「かいぐんがじゃま!!! どいて!!!」

 

「……!!ぬう…!!」

 

「海賊共とあいさつなんかするヤツは悪いガキだ!!礼なんか言いやがったら島に置いてくぞー!!」

「!! ……!!」

 

「いいか、海賊は悪で、海軍こそ正義!!」

 

「…でも…”助けて”って言ったら…」

「!」

 小さくつぶやく子供達の言葉に、たしぎが目を見張る…

 

「”助けて”って言ったら助けてくれたんだ…!じじょうも何も知らないのに…すごく大きかった私たちを!ジャマにしないで連れ出してくれたんだ…」

 

 ~ おうちに帰りたい…! ~

 

 ~ もうすぐ帰れるよ…がんばろう!! ~

 

 誰も助けに来てくれない状況で…。子供達は互いに励ましあって頑張っていた。

 けれど…もう限界だった…

 

「何もない島で誰も来てくれなかったのにっ…!!あの人達が…来てくれたんだ!!」

 

 ― えぐ… ひっく… ―

 

「………」

 

 ~ ごめんな! もっと早く見つけてあげられなくて…!! ~

 

 助けに来てくれたのに…

 チョッパーちゃんは自分が悪いわけじゃないのに…私たちに謝ってくれたんだ…

 

 

「海賊はくさくて汚くて、いっぽう海軍は…」

 

 

「お別れにお礼も言わせてくれないなら…かいぐんなんて…」

 

「待って!!ごめんね!!」

 

 

「海軍はァ!!とても勇敢で正しくて…」

 

「やめなさいあなた達!!みっともないと思わないの!!?」

 子供達の必至な願いを聞いた、たしぎが泣きながら叫ぶ…

 

「!!?」

 

「……」

「……!!」

「ウ…だ!!だがよ、たしぎぢゃん!!悪口でも言い続けてねェと!?おれ達ァこの無法者どもを…!!」

 

「!?」

「好きになっちまうよォオ~~~~~!!!…か…海賊なのによォ~~~!!」

 

 頭を抱えるスモーカー

 

 思わず笑ってしまうたしぎ…

 

 泣きじゃくるG-5の面々…

 

 

「なはは!変な海軍!!」

 ルフィが笑う後ろで、モモの助と錦えもんは驚いたような顔をしている。私が言ったピースメインという言葉も、どうやら初めて聞いたらしい…

 

「海賊のお兄ちゃんお姉ちゃん!!助けてくれてありがとう!ボクたち、大人になったら絶対海賊になるからね!!」

「なるなー!」

 

「今度会ったら覚悟しとけよ!そんときゃ敵だからな!」

 

「そのときまでな!」

 

「捕まえてやるっ!!」

 

 みんなに見送られながら、サニーへと乗り込む私たち…

 

 チラリと見ると、ローはため息を吐きながらも微笑んでいた。

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 

 

 サニー号の上では、ローがみんなと少し離れた所で電伝虫の音に耳を傾けていた。ちなみに私はローの後ろで柱に縛られたシーザーの近くに腰掛けている。

 

 そして程なく…

 

『若!!!』

『ちくしょう!!ローの奴、本当に裏切りやがった!!』

 電伝虫の向こう側からバッファローとベビー5の声が聞こえた。

 ”若”という事はドフラミンゴが来たことを示す。

 

『すまぬだすやん!!死んで詫たい…!!』

『私は、必要とされたのに…!応えられなかった!!』

 

『ウチのタンカーの救命ヨットじゃねェか…』

 ドフラミンゴの声が聞こえる。どうやら彼は発煙筒の煙を見つけ2人に行き着いたらしい…

 

『面目ねぇだすやん…!!結局あの後…!!』

『いいさ、何も言うな…お前らは、おれに従っただけだ』

 

「…」

 私がモネを助けた事は、一味の誰にも言っていない。もちろんローにもだ。

 私はドフラミンゴが来る事を知っていたけど、ローはずいぶんと驚いているようだ。

 

「こりゃ驚いた…!!ボスが直々お出ましとはな…」

 

  ― グシャ・・!! ―

 

 恐らく発煙筒装置を無造作に踏み潰した音だろう。その行動からも相手が苛ついているのが分かる。

 

『ローか…。久しぶりだってのに…中々会えねェもんだな…』

「お探しのシーザーなら…おれと一緒にいる」

「…ジョ…ジョーカ~~~助けてぐれェ!!!ぐぇっ!!」

 

「はい、あんたはもう黙ってようね?」

 向こうには聞こえないように言って、シーザーの襟を絞めて大人しくさせる。

 

『ベビー5とバッファローの体はどこにある?』

「さァな…余計な質問はするな!取引をしよう!!」

 

『フッ…フッフッフッフッフッ!!おいロー頭を冷やせ!ガキが大人のマネ事をするんじゃない!!今どこにいるんだ!?…おれを怒らせるな……!!』

 

「怒らせる?お前にとって今、一番大切な取引相手は『四皇』の一人…大海賊”百獣のカイドウ”!お前の方こそ、この男だけは怒らせる訳にはいかねェはずだ…!!」

『……!!!』

 

「お前が『SMILE』をもう作れないと奴に知れたら、一体どうなる?」

 

『…!!』

『若…顔色が…』

 

「話し合いの通じる男じゃない…!!激しい戦いになるだろうな。」

『!!』

 

「お前は消される」

『オイ、冗談がすぎるぞロー…!!どうすりゃシーザーを返す…!?さっさと条件を言え!!』

 

「王下七武海を辞めろ!!!」

『!!?』

 

『何ちゅう小僧だすやんっ!!』

『もう、ドレスローザに居られなくなるわ』

 

「…」

 

「10年で築き上げた地位を全て捨て…一海賊に戻るだけだ。ただし、そうなれば今度は『海軍本部』の大将達がお前を逃さない…!!」

『!!』

 

「リミットは明日の『朝刊』!!お前の”七武海脱退”が新聞に報じられていれば…こっちから、また連絡する。何もなければ交渉は…決裂だ!! …じゃあな」

『おい!待てロー!!!』

 

  ― ガチャッ!! ―

 

「こんなもんでどうだ?くれない屋!!」

「今頃ドフラミンゴはブチギレてるだろうね?」

 

「だろうな…。さて、ジョーカーはどう動くかな…!!っておい、何やって…!…覇王色!!?」

 私はみんなにも気付かれないように極小範囲でシーザーを気絶させるとローに視線を向けた。

 

「それじゃあ、あなたの知らないジョーカー(ドフラミンゴ)の過去について、ここで話しておきましょうか!!」

「!!?」

 

 

 

 

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