イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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11-286話:半分

『こっちでもさっきCP0を見かけた。まぁ予想通りだな!おれ達は作戦通りグリーンピットに行くつもりだが…シーザーの事は本当に任せて大丈夫か?』

 

 街で配られていた号外を手に、私はローに連絡を入れた。これからグリーンピットへと向かうらしい…

 

「大丈夫よ!とりあえず、橋を渡り切ったら連絡して頂戴!!」

『わかった。』

 

 

 

 ~ グリーンピット 『南東のビーチ』 ~

 

「…」

 シーザー引き渡し時刻まであと2分のところで、再びローの電伝虫が鳴る…

 

『オイ!!ロー!!こちらサンジ!!』

「黒足屋か…”工場”は見つかったか?」

 

『それ所じゃねェ!!よく聞け!! ― すぐにそこを離れるんだ…!!!』

「…お前も、何か掴んだのか?」

 

『え!!?』

「ドフラミンゴは”七武海”を辞めてねぇってんだろ?」

「何ぃ!!!それはほんとかロー!!」

 シーザーが叫ぶ

 

『何でそれを?…まさか…』

「ああ、くれない屋は読んでやがった。さっき裏が取れたと連絡があったところだ!!シーザーの回収も任せてある」

 

『…マジかよ…何だか気が抜けちまうなァ…』

「おめェら以上におれがだよ!まったくトンデモねェな、おめェんとこの副船長はよ!!」

 

『まぁ、あの娘は別格だからな…!おめェもうまく逃げろよ!!』

 

 そんな…別格だなんて!!ホメすぎよサンジ!!

 

 森から現れた海軍の中で、藤虎が電伝虫を使っているのが見える。恐らく赤犬からの連絡だろう。

 そして、サンジの通話が切れると、ほぼ同時にロビンの上半身が現れる。

 

「ウォー!!何じゃ、女が半分出てきた!!」

「今の連絡聞いたわ!サンジからね!?」

「ニコ屋!!おい!お前の本体と鼻屋はどこにいる!?聞いてたならわかるな!交渉は不成立だ!!」

 

「不成立とはどういう事だ!じゃあおれの引き渡しはどうなる!!?」

 

「ニコ屋!!鼻屋を呼べ!!この島からすぐに脱出するぞ!!」

 

「それが…私達、今地下に居るの!!」

「地下!?」

 

「ちょっとトラブルに巻き込まれて… ― でも二人共無事よ」

「!?」

 

「補助はできないけど脱出するなら先に行って!約束の港には後で必ず向かうわ」

「そうかわかっ…!!?」

 

 上空からドフラミンゴが現れた…

 

「…!!」

「武運を!」

 そう言ってロビンが消える。

 

「おめェらもな!」

 

 そして、約束の3時になった…

 

「フッフッフッフッフッ…!!!」

 

「ジョ~~~カ~!!!」

 

「!?」

 

 シーザーがドフラミンゴに呼びかける名を、森から出てきた藤虎が聞く。

 実はこれを待ってたんだよね!!

 

「ゲェ-!!か…海軍!!いや…いいのか!?」

「まぁ、お前には関係ないけどね?」

「!!?」

 

 

「お前にしちゃあ上出来じゃねェか!!まさか『海軍大将』がお出ましとはなァ…」

 ドフラミンゴが海軍の方を向く。私の仕事はその一瞬で十分だった。

 

「おいロー!!七武海をやめたおれは怖くて仕方ねェよ!!」

「……」

 

「ウソをつけェ!!!しかし、世界政府の力を使ってわずか10人余りのおれ達をダマす為だけに…!!世界中を欺いたってのは驚きだったなァ!!」

 

「…まるで知ってたような口ぶりじゃねぇか…ん!!?おい、ロー!!シーザーはどうした?」

 

「くくくっ…残念だったな?こっちにゃ『大参謀』が居るんでね!!」

「まさか…!またヤツか!? フッフッフッ!本当に厄介だなァ…」

 

「…(こちらの大参謀さんも今回の件を読んでらしたとは…恐れ入りやすねェ…)」

 

 

 ~ イッショウ…あんたには言っておくよ?… ~

 

 

 藤虎は出発前のおつるとの会話を思い出す…

 

 

「今回のドフラミンゴの件が事実だとしても、政府はヤツに手を出せやしないんだ。」

「事実だとしても?ってなぁ、どういうこってすかい、おつるさん!」

 

「あの子はウソでこんな事が出来ちまうんだよ。それだけの()を持っている…」

「? しかし、こんな事がウソで出来なさんのは…」

 

「そうさ…、あんたの思った通りだよ。”元”だけどね? それにあの子はカードも持ってるんだ。公表されれば世界が揺れるほどのね…」

「センゴクさん…いや、サカズキ元帥はご存知なんで?」

 

「赤犬に言っても何の解決にもならないよ。せいぜい五老星に文句を言いに行くくらいだろうねぇ…!それより今回の件に麦わらの一味が関わっている事のほうが問題なんだ。悪いけど、あの娘が暴走(・・)しないように気をつけてくれるかい?」

「あの娘ってなぁ、例のくれないの事で?」

 

「ああ…。もっとも何故かあの娘の情報網は、あたしらの想像以上の様だから、心配ないかも知れないけどね…。念の為だ、頼んだよ!!」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

「そういう訳で、取り引きは白紙に戻させて貰う!!」

「フッフッフッフッ!!!それが10年以上も無沙汰したボスに言う言葉か!?おとなしく返せロー!!シーザーはおれのかわいい部下だ!!」

 

 

「イッショウさん…先程ローと一緒に居たのは確かにシーザー・クラウンでした。」

「そうですか…あの、毒ガス事故の科学者。しかしあれだ…七武海の旦那の部下なら免除ですねェ…恩赦だ…。まぁ、いねぇんじゃどうにもなりやせんが…」

 

「フッフッフッ!!お前か…『世界徴兵』で海軍大将に特任された”藤虎”か! 噂はよく聞いてる… ”緑牛”と共に実力は折り紙つきの化け物だとな!」

「こらどうも恐れ入りやす…」

「フン!!とぼけた野郎だぜ…!!」

 

「まだ軍の新参者のあたくしにはしかし…!あんたの行動は理解し兼ねますね。はっきりと裏は取れちゃいねえが、七武海としてちょいとルール違反をなさってるって情報も入ってやす。先程ローさんと一緒にいなすったシーザーさんがおっしゃってた”ジョーカー”って名は、あんたさんの、あだ名か何かで?」

 

「フッフッフッ!!おれを調べたきゃあ…それなりの覚悟で周到に裏を取って物を言うんだな!!」

「……」

 

「フッフッ…それで?『海軍』は今回の…ローの処分をどう決めた」

「…」

 

「…報じられた”麦わらの一味”の件、記事通りの同盟なら”グレー”!!彼らがローさん、あんたの部下なら…”白”だ!!」

「!!」

 

「なんだァ?そのグレーってのは!!」

「ここは新世界!ピースメインの海賊の扱いについてはその場にいる海軍最高位の一存で白黒を決めます。つまりこの場じゃあっしになりやすが…」

 

「…で?藤虎!おめェの見解は?」

 

「さぁ…?さっきも言いやしたがあっしは新参者ですからねェ…ローさん、あんたの返答によっちゃ…あっしらの仕事はひとまず(・・・・)あんたさんと”麦わらの一味”の逮捕って事になりやす。」

 

「…(ジョーカーについては、くれない屋の言った通りだが…”ひとまず”でも海軍が敵にまわるのは厄介だな…。いや、逆の場合、この場に海軍の敵が居ねェって事になる。そうなったら海軍は撤退する事になるかも知れねェのか?…当面シーザーを奪い返される恐れはねェが…)」

 ローは思考を巡らせた。その上で…

 

「”麦わら”とおれに上下関係はないっ!!!記事通り”同盟”だ!!!」

 藤虎に対して、正直に告げた。

 

「(この国に、海軍を留めておいたほうがよさそうだ…!時間を稼ごう!!)」

 

「!!?」

 

「フッフッフッ!!不器用な男だおめェは」

 

「では、ひとまずあんたは逮捕だ!ニュースはそれだけで済めばいいが…」

 

 藤虎が能力を発動する…

 

 程なく上空から隕石が…

 

 って、こらこら!!直径10mの隕石て…!あんた何してんの!!?

 

「…ウソだろ…」

「「隕石!!?」」

 

「冗談じゃねェぞオイ!」

 

「走れ~~~!!隕石が落ちて来たァ!!!」

 

 逃げても間に合わんて…!この辺一帯が吹き飛んじゃうじゃん!!

 しようがないわねェ…!!

 

 ローはROOMを発動して隕石を斬った。ドフラミンゴは五色糸で隕石を細切れに…。藤虎は自分のまわりから隕石を弾く。

 

  ― ドッ…ゴゴゴォン!!! ―

 

「!!!」

 

 私は隕石の中心から半径50mの風の壁を作り、隕石による衝撃波の大半を上空へと飛ばした。

 

「!!?」

 藤虎は気づいた様だけど…?

 

 さて、私もやることやっとかないとね!!

 

 爆風が過ぎ去った後、海軍兵士たちが隕石の落ちた場所を見る…

 

「三人の足場だけ無傷だ!!!」

 

「…!!」

 

「元帥の教育はどうなってんだ!?ふざけやがって野良犬がァ!!!」

 ドフラミンゴが吠える。

 

「…目が見えるかどうかの次元じゃねェな…」

 ローがつぶやく…

 

「へえ、どうも ほんの…腕試しで… あちらさんは、また消えなすったようで…」

「「?」」

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 原作通り、事は進むのだろうか?

 

 

 シーザーは私が確保したので、ローがサニー号を呼ぶことは無い。

 

 原作通り、ジョーラに乗っ取られたサニー号はグリーンピットへと向かう。もちろん(?)ここは原作通り。ブルックの機転によってジョーラは倒され、私は、ブルックがジョーラを倒した頃合いを見計らって、シーザーを船に置きに行った。

 ちなみにサンジはまだ居ない。

 

 あれ!?

 そういえば、サンジはサニー号が闘魚に襲われて、それを見たヴィオラに言われて駆けつけてくるんたっけ?

 やばいじゃん!!サンジ来ねぇじゃん!!

 これじゃゾウに向かわせられないじゃん!!

 と思ってたんだけど…?

 

 なぜか慌てて駆けつけてきたサンジ…

 

「なんだ、イオリちゃんだったのか!よかったァ~!!」

「「?」」

 なんでも得体の知れ無い何者かが船に近づいているとの事で駆けつけてきたらしい。

 ちなみにこの時の私の格好はいつも出歩く時の男装です。

 

 ああ、なるほど!!ヴィオラはこの姿は知らんもんね。

 

 ともかくこれで、サニー号にはメンツが揃った。ジョーラをどうしようかな?と思ったんだけど…

 

「くれない屋?」

 そこにローが合流。藤虎とドフラミンゴから抜け出したとの事。

 

「トラ男さん!!」

「くれない屋!シーザーはどうした?」

 

「この中よ?」

 私はパックダイヤルを取り出し、中からシーザーを出してもとの大きさに戻した。

 パックダイアルに入れていたのでシーザーに時間が経過した感覚は無い。

 

「何だ突然小さくしやがって!ん?ここは何処だ!?ぬあァ!!!畜生!またこの船にィ~~~!!?」

「シーザー!!」

「おおジョーラか、助けろ!!」

「わたくしも捕まってるのざます」

 

「黒足屋!『工場破壊』はどうなってる!?」

「場所はわかったが想像以上に大仕事になるとフランキーが」

 

「父上は!?カン十郎は!?サン五郎っ!!」

 なぜに五郎?しかも突然!?

 

「侍も工場だ。事が済めば助かるハズだ」

 しかもサンジがスルーした!!?

 

「 ― まだ時間がいるか…!!」

 

「おい!!ロー!それ今、船室から取ってきたな!?おれの心臓返せ!!」

 シーザーが船室から出てきたローに詰め寄る。

 

「これはおれのだ。お前の心臓はおれが持ってた…。黒足屋、お前が持ってろ!!」

 ローはシーザーの心臓をサンジに渡し、自分の心臓をもとに戻した。

 

「何だとォ!!?」

 

「お前ら、コイツを連れて今すぐ「ゾウ」を目指せ!!」

「!!」

「…」

 

「ゾウ!!?」

 ナミが首を傾げる。

 

「次の島へのビブルカードを渡してあったハズだ」

 

「次の島って、ルフィさん達はどうするんですか!?」

 ブルックが驚いたように疑問を口にする。

 

「工場破壊さえ完了すればこの島に用はない。おれ達もすぐに後を追う」

 

「いやよ!!待つわよ!!船長なしで出航できるわけないでしょ!?私達は”麦わらの一味”よ!?」

 

「ロー!見つかったわよ!!」

「えっ!?」

 私の言葉に驚いたのはローではなくナミだった。

 

「何かピンクの鳥みてェのが飛んでくる!?」

「ドフラミンゴだ!!」

 サンジが叫びローが答える。

 

「わぁ~!あっちからは軍艦が飛んできたァ~~~!!!」

「「何で~~~~~!???」」

 

「残るのは自由だが、絶対にシーザーは渡すなよ!」

 

  ― ドッドッドッ!! ー

 

 砲撃の音が聞こえ、サニーの周りに砲弾が撃ち込まれて水しぶきが上がる…

 

「わァ~~~~~!!」

 

  ― キィーン!! ―

 

「!!!」

「空から何か降ってくるぞ~~~!!!」

 

  ― ああぁあああああ ―

 

「い、隕石ィ~~~!!?」

「3個も降ってくる…」

 

 しかも1個は直撃コースじゃん?

 

「ROOM!!」

 ローが能力を発動する。

 

「イオリはどうするの?」

 

「私もドレスローザに残るわ!故人との約束を果たさなきゃならないの!!」

「約束?しかも故人って……!!わかったわ!!」

 

 魚人島で白ひげ連合についての話しは一味のメンバーにしてある。その後、女部屋でナミとロビンには白ひげとの約束についても話しておいた。私の真面目な目を見てナミは納得したようだ。

 

「ロー!私は準備があるから先に行くわ!!無茶しないでよ?」

「ああ…」

 私はその場の状況を把握する為に、シルフを配して国の端まで飛んだ。

 

「トラ男君!”ぐるわらの一味”も出航しますっ!!!」

「早く行け!!」

 

「おいロー!!」

「!?」

 サンジがローに声をかける。

 

「シーザーを遠くへ運ばなきゃならねェのはわかる。先へ行くのは構わねェが!」

「……」

 

「ドレスローザは作戦の通過点の筈だ。共通の目標は「四皇」カイドウの首!!! お前、ドフラミンゴにこだわりすぎちゃいねェか!?」

「!」

 

「隕石、隕石~~~!!!」

 

  ― ああぁあああああ ―

 

「タクト!!」

 

  ― ドゴォン!! ―

 

「!!!」

 ROOM内に入った隕石がローの合図で向きを変えて軍艦へと衝突する。すると軍艦はドレスローザの方へと移動を開始した。

 

「フッフッフッ!!」

 

「何か鳥さんから縄みたいのが出てますよォ!!」

 ブルックが叫ぶ

 

「ジョーカー助けてェ~~~!!」

 

超過鞭糸(オーバーヒート)!!!」

 

  ― ガキィン!!! ―

 

 ドフラミンゴの攻撃は、ローが剣で受け止めた。

 

「いいか、雲のない場所を探して進め!!ドフラミンゴは”イトイトの実”の能力者だ!雲に糸をかけて空中を移動してる。雲のない場所じゃ追って来れねェ!!」

 

「”風来バースト”いくぞ―!!!」

 チョッパーが声を出す

 

「ドフラミンゴ!!これを見ろ!!」

「!!ヒー!!ロー!!あーた何て事!!」

 ローがジョーラの喉元に剣を当て、ドフラミンゴを脅す。

 

「若様!あたくしの事など気になさらずに!!!」

「……!!」

 ドフラミンゴが止まったのを見計らい、ローは橋まで移動した。そしてサニー号は飛んでゆく…

 

 その後はほぼ原作通りの流れとなった。原作と違うのはドフラミンゴとローの強さだろうか?

 

 

「麦わらの一味を半分逃して何の意味がある…!!もう半分はドレスローザにいる…!!あいつら全員人質にすりゃシーザーなんてすぐ返しに来る」

「そうやってナメきって大火傷をした奴らが数知れずいるんじゃねェのか?だいたいソレが無理だって事をてめェは知ってるはずだろ?」

 

「…くれないから何か聞いたか?」

「さあな…」

 

 

 

 




別に『カザマ』を気にしているわけではありませんが、
風の精霊シルフは便利なので多用しております。
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