イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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クラスター・ジャドウさん、誤字報告ありがとうございます。


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この話、原作81巻の最初の方ですね。

チョッパーが出かけて、
それを見たルフィの疑問の声から始まります。

どうぞ!







12-303話:イヌアラシ公爵

「んー?」

 

「ワンダ!イヌアラシ公爵が、ぜひ恩人達にお会いしたいと…!!」

「!」

 

「…あァすぐに!」

 涙を浮かべながらほっとするワンダ…

 

「よかったね!ワンダ!!」

 

「ゆティア達、共に来てくれぬか」

「いいけど、誰だイヌアラシって?イオリはチョッパーと行っちまうし…」

 

「イヌアラシ公爵は、モコモ公国…つまり、この国の王だ…!!都市の消滅と共にずっと昏睡状態であったのだ!!」

「…」

 

「この国には二人の王がいる!昼の王『イヌアラシ公爵』と夜の王『ネコマムシの旦那』」

 ワンダの案内でルフィ達はイヌアラシ公爵の館へと向かう。

 その道すがら、話の続きが語られていた。

 

「事件は…半月前に起きた」

「!!」

「正確には16日前の話だ。ペポ達以来…一カ月半ぶりにモコモ公国に”来訪者の鐘”が鳴り響いた…!だがそれは”歓迎の鐘”ではなく、まず鳴るはずのない『敵襲の鐘』だった…!!!森を裂き平和な都に敵は進軍して来る!!ただならぬ地響きに”象主”は吠えた…!!! ― 例えば…!!私達が持っていないものを…凶悪な敵が欲していたら…!それをどう引き渡す?」

「!?」

 

「さァ、すぐに差し出せ!!!この国に”雷ぞう”というワノ国の武人がいるハズ(・・・・)だ……!!!」

「!!?」

 

「…マンモス!!?古代の動物がなぜ…!!?」

 

  ― カン!!カン!!カン!!カン!! ―

 

「敵襲~~~!!!」

 

  ― カン!!カン!!カン!!カン!! ―

 

「門が破られたァ―!!!海賊だァ!!!奴らを追い出せェ~~~っ!!!」

 

「ワノ国の武人!!?ライゾー!?そんな奴知らない!!」

 

「この国を壊すな!!出て行ってくれ!!」

 

「ハハハ…あったんだなァ幻のミンク族の国…!動物風情がよく喋る!!」

「!?」

 

「名乗れ!ゆガラら何者だ!!!」

 

「お前一体誰に名を聞いてんだ!!ここにおられるお方は!!!かの四皇カイドウ様の腹心!!3人いる”災害”と称される懐刀のその一人!!”旱害のジャック”様だ!!!ジャック様の通った土地は、まるで旱バツでも来たかの様に朽ち果て滅ぶ!!!さァ”雷ぞう”を引き渡せ!!ガキを抱く様な穏やかな暮らしを脅かされたくはないだろう!?」

「…」

 

「それとも戦る気なのか?」

「「ゲーッヘッヘッヘッヘ!!!」」

 

「戦いなど望むハズがない!!」

「モンジイ!!」

 

「しかし、そちらにも聞く耳を持って貰わねば話はまとまらぬ…ジャックさんと言われたか…!我々はウソなどつかない。もし人を探したければ一軒一軒…」

 

  ― ドッゴォン!! ―

 

 ジャックはその巨大な鼻をでミンク族達を薙ぎ払った。

 

「「!!?」」

「キャー!!!」

 

「ギャハハハハ 女、子供、年寄り 容赦なし!!!」

 

「おれ達は話し合いに来たのか?ジンラミー」

「いいえジャック様”侍”を一人捕らえに来たのです」

 

「バーカ!侍じゃねェ 雷ぞうは”忍者”だ!!」

「黙れシープスヘッド様!!”侍”はワノ国武人の総称!!どっちでもいいのだ!!」

「…!!!」

 

「おれの要望は一つだ!!!雷ぞうをここへ連れて来い!!!」

 

「そんな無茶な…!!いないと言っているのに…!!」

 

「なら、国中を探し回れ”プレジャーズ”」

「ウオォオォオオオ!ギャーッハッハッハッハッハ!!!」

 

 戦闘が開始された。ミンク族は生まれながらの戦士がほとんどだ。エレクトルという名の武器を生まれながらに扱える。

 

「ゆガラ達、この国の全国民を敵に回せるのか!!?さらに鍛え上げられた銃士団の実力は言語に絶す!戦えば両軍ただでは済まぬ!!!人探しならせめて…我が国の公爵様と話をつけてくれまいか!!」

 

「話……を…?」

 

 その発言はまずかった。しかし、よもやそんな言葉がトラウマになっていようとは…

 

 ジャックが思い出したのは1年ほど前の出来事だ。

 イチユリがワノ国の一つの村を治める事をカイドウが許したのだが、その統治の条件についてイチユリと話をつける様にとジャックがまかされたのである。

 

 カイドウは自分が話をつけると言っていたのだが、イチユリに惚れている事が知れている為、何もかもイチユリの思い通りになってしまう可能性があった。

 それはマズイと三害3人が止めに入り、結果として一番下っ端のジャックが押し付けられたのだ。だがしかし、細かい打ち合わせを嫌ったジャックはイチユリの話を聞き流していたのである。

 

 ~ ちょっとカイドウ君!!彼と話をつけてくれって言ったわよね? 私の話ちゃんと聞いてくれないんだけど? ~

 ~ 何ィ!!? イチユリちゃんの話を聞かねェだァ!!!ジャック!!おめェちょっと来い!! ~

 

 ~ え!!?そ、そんな…カイドウさん!!?…ギャァ~~~…!! ~

 

 

「…じょ、冗談じゃねェぞ!!断固として断る!!!」

「!!?」

 

「”ギフターズ”前へ!!!」

「!!?」

「おう!!!」

 

 ~ 国を破壊し侍を見つけ出せェ!!! ~

 

 

「 ― まったく話など通じず…戦いは始まり平和な”クラウ都”は一瞬にして戦場と化した…」

 

「…!!よ…『四皇』の部下達だったのか!!!この国を襲ったのは…!!」

「そうだぞ!!イオリが言ってた!!」

「カイドウの…]

 

「 ― ああ…なぜこの島に辿り着けたのか…なぜ、侍がいると思ったのかもわからない」

 

「(ね!!これで『侍』『ワノ国』が禁句だとわかったでしょう!?)」

「確かに…」

 ブルックの言葉にフランキーが同意を示す

 

「でも、イオリはその”ジャック”の事を知っていたんでしょう?そんな注意事項があるのに彼女が私達に何も指示していかないなんて事…」

「それはそうだけど…イオリだって何もかも知ってるわけじゃないわ!!」

「…とりあえず何はともあれNGワードは出さねぇでおいた方がいいだろ?」

 ロビンの疑問に反応して、無難なところに着地させたのはナミとウソップだった。

 しかし…

 

「…しかし何だな」

「!?」

 

「キンえもんの言ってた”忍者”はいねェのか~~~!がっかりだな!!」

 

  ― !!! ―

 

 ウソップ、ブルック、ナミがルフィのKYぶりに驚愕する。

 

「え?」

 ワンダが振り向く!

 

「”ニンジャ”とは…ワノ国の武人の事か?」

 

  ― ぎゃああああ ―

 

 ワンダの問いかけはゾロに…

 

 その間にルフィは3人にフルボッコにされていた

 

「ゆティア、何か知っているのか?」

「いえいえまったく!!!… え ―… ”カンジャ"!! 患者の具合はどうかと…!!」

 

「! ああ、公爵様の療養所ならもう見えた 出向いてもらって悪いな…!話の続きは後にしよう」

 

  ― しくしく… ―

 

 ルフィはボロボロになって泣いていた。

 

「ギャ―!!申し訳ないシシリアン様ァ~~~!!!」

「!」

 

「ギャ―!!シシリアン様がご乱心だ~~~!!」

「わー!!」

「!!?」

 

「何だ!?」

 

「うわぁァ~!!」

 

「シシリアン殿!?何事です!?」

「フ―…フー… おォワンダか…!!フー…あガラ達が甘いことばかり言うのでな!!千尋の谷へ叩き落してやった所だ!!!」

 

「シシリアン殿、”麦わらの一味”です」

「!!」

 

 シシリアンと呼ばれたライオンが跳躍して近づいた。

 

「え!!?」

 

「この度は国を救っていただきありがとう!!この恩は一生忘れない!!!」

 着地と同時に膝をついて頭を下げる。

 

「シシリアン殿は何事にも常に全力だ」

「暑苦しいライオンだな」

 

 

「公爵が中でお待ちだ!!!ワンダ、お前驚くぞ!!私も驚いた!!」

「ええ…?」

 

「さァ中へ!!グズグズするな!!]

 

 

「あ、ルフィ達だ!!」

 

 そこにはベットにではなく椅子に腰かけて新聞を読むイヌアラシ公爵がいた。

 

「ゆガラ達が…”麦わらの一味”かね」

 新聞から目を離し、ルフィに向かって問いかける。

 

「公爵様!よくぞ御無事で! でも…そのお姿は…!!?」

「「?」」

 

「秘薬をもらったのだ…!そこに居るイオリ殿にな!!」

「秘薬?」

 

 ワンダに答えた後テーブルの上に新聞を置いたイヌアラシ公爵は、改めてルフィに顔を向けて言った。

 

「何から何まで救われてしまったな!本当にありがとう!!」

 

「仲間達が助けたらしいんだけど、まだ詳しく聞けてねェんだ」

 

「いや、ゆガラ達にもさ…”麦わらのルフィ”君」

「?」

 

「…しかしおっさん強ェだろ?相当強ェな!!」

 

「何を!!無礼だぞ!公爵様はこの国一番の戦士だ!!!」

「…フフ おいよせ…それが敗者にかける言葉か」

 

「敗者だなんて!!確かに敵は厄介でしたが…!!戦いは優勢でした!!ジャックがあんな兵器をこの国に持ち込まなければ!!」

「…」

 

「…!!ん…?兵器?」

 

「うん、そうなんだ!ルフィ!!この国を滅ぼしたのは…シーザーの”毒ガス兵器”なんだ!!!」

「!!?」

 

 

「シーザーの”毒ガス兵器”で!?」

「……」

 

「はっ!!!よだれ!!?」

「わかります!彼も恩人です!」

「何てうまそうな恩人だ!!」

 イヌアラシ公爵のよだれを見てブルックが驚く。ワンダとイヌアラシ公爵がブルックを舐めるように見ていた。本当に舐めるように…

 

「そうですね…後で私も…」

「後でって…ちょっと!私やですからね!!!」

 

「シーザーが作り…!ドフラミンゴが密売し…!カイドウにまで兵器は届いていたのね…」

 

「シーザ~~~っ!!!」

 

「まァ敗北の話より…ゆガラ…”麦わら帽子”がよく似合うな!!」

「ん?」

 

「私も昔…あー…誰だあの猫の…」

「ネコマムシの旦那ですね」

「それと共に海に出ていた時期があってな…!今や”四皇”の海賊…シャンクスが昔そんな帽子を…!!」

 

「えー!!おっさんシャンクス知ってんのか!?何で!?この帽子おれ、シャンクスから預かっ…」

 

「ぐー…」

「「寝たァ―!!?」」

 話の途中でイヌアラシ公爵が寝た。ルフィとウソップが驚いてるけど…

 ルフィ、なんであんたが驚くの?

 

「 ― もう午後6時を回ってる」

「まだ6時だろが!!そいつは子供か!!?」

 ワンダが言うとすぐさまツッコんだのはウソップ。気持ちはわからんでもない。

 

「さっきも話したが、モコモ公国は常に二人の王によって治められている…正式な国の王はイヌアラシ公爵だが、代々神聖な”くじらの森”を守るネコマムシの旦那にも同等の権利があるのだ」

 

「それが今寝たのと何の関係があるんだ!?」

「二人はとても…仲が悪い!!」

「!?」

 

「顔を合わせると殺し合いをし兼ねない程にな!」

「え!?何で!?」

 

「理由は誰も知らない…。昔は親友だったらしいが、ケンカをしても力は互角…!!あまりにもいがみ合いすぎて、顔も合わせたくない二人は『太陽と共に朝6時から夕方6時まで』そして『月と共に夕方6時から朝6時まで』と…生活時間を分割して暮らすようになった」

 

「うお!!いつの間にか医者達も寝たーっ!!」

「この砦の人々も今頃みんな寝ているだろう。」

 

「私も…眠くなってきたガルル」

「ん?お前…」

 

「シシリアンだ。全力のな!!昼夜逆転は我々にも影響している『町』の者達は昼に活動を『森』の者達は夜行性だ ― 先の戦いにおいてもそうだった…」

 

 シシリアンが眠いのを我慢しながら戦いの様子を語ってくれた。

 

「昼夜途切れる事なく…戦いは5日間続いた… 海から次々と援軍が現れるジャックの兵達の侵入を阻止しきれず、敵はまるでとめどないゾンビの軍団…!! だが、着実に我々は敵を圧倒していた…!!しいて言うなら…ただ一点だけ崩すことが出来なかったのが『ジャック』 あれはやはり怪物だ…!!」

「「!!」」

 

「このおっさんで勝てねェ程の奴がカイドウの部下か!!すげェな…!!!」

「…」

 

「しかし、それは逆も然り…ジャックにとっても己の力で倒れぬ二人の王にしびれが切れたのか…6日目にして、とうとう『兵器』を持ち出してきた…!!それが『毒ガス兵器』だったのだ!!」

「……」

 

「一瞬だった…」

 

 ( ― ドォオォン… ― )

 

「爆風の速度で国中に広がる『殺戮ガス』…一体誰が避けられる…!!?」

「「…」」

 

「ガスは”町の全て”と”森の半分”を飲み込んで私達の動きを完全に奪った…!砦の奥に避難していた者達以外ほぼ全滅…!! そこから先は思い出したくもない…!!」

 

 ~ 質問に答えろ…!! ワノ国の武人はどこにいる ~

 ~ …い、いない…!! ~

 

 ― グサッ!! ―

 

 ~ ぐわァアア!!! ~

 

 ~ ギャハハハハハ ~

 

「答えのわかり切った質問を繰り返しては戦士を手にかけ国を壊していく…!!!」

 

 ~ ワノ国の武人はどこだ ~

 

 ~ 知らない…!! ~

 

 ― ボコォン!! ―

 

 ~ ウワァ!!! ~

 

「強者達は磔にされ拷問を受けた…」

 

 ~ 知らん…!! ~ 

 ~ 隠すか!!そんなやづ…!! ~ 

 

「もうやめてくれ…この国の者達は皆、何も知らん ― こんな無益な死はない…!!!無慈悲だ!!!」

「死んでも忘れんぜよジャック…ネコの恨みでゆガラを呪い殺す日まで!!!」

 

 

「丸一日の惨劇が続き…7日目…もう破壊に気が済んだのか…同じ答えに飽きたのか…」

「!?」

 

「数十人の部下を残し、ジャックはこの地を去って行った…」

「ヒドすぎる!!」

「何て救いのねェ話だ…!!!」

 

「いや、それすらも…救われていたのだ…!!」

「わー!!起きてたのか”?」

 

「新聞にあったジャックの『死亡記事』を読んでわかった。ゆガラ達がドフラミンゴを倒したその日だ!!ジャックがこの国を去ったのは」

「!」

 

「ジャックはドフラミンゴ救出の為にこの国を出たのだ。何か深い繋がりがあるのだろう ― つまり、この国からあの怪物を追い出してくれたのは、ゆガラ達だ…!!」

 それだけ言うとイヌアラシ公爵はまた眠りについた…

 

「 ― そうか!!…そう考えるとまた更に大きな”恩”と”奇跡”…!!」

「 ― その次の日なんだ…おれ達がここに着いたのは!!」

 

 ナミ達によって、『ぐるわら一味』がゾウに到着してからの一部始終が語られた。内容はほぼ原作通りである。

 

「私達が何者かも知らないのに…見捨てず助けてくれた。この恩は皆…一生忘れない!いつか必ず恩返しするぞ…!!!」

「まーまー、それはいいから」

 

「うおおーん!!イイ事したなーおめェら~~~!!誇らしいどおれ゛ァ!!」

「そんなに壮絶だったとは…おれ達が歓迎された理由はよくわかった」

「しっかし、ジャックって奴、腹立つなー!!!」

 

「まぁ、奴はここに”武人”が居るから連れて来いって言われてきたんだろうからね。連れて帰らないと自分の身が危ないとなれば無茶もするわよ!!」

 

「何だよイオリ!そういやお前、そのジャックって奴、知ってる感じだったな!!」

「ジャックはカイドウ率いる『百獣海賊団』の主要メンバーよ。知らないわけないでしょ?」

 

「あ、そっか!!まぁどーでもいいけど、いつかカイドウと一緒にブッ飛ばしてやる!!」

 

 白ひげ連合と百獣海賊団の抗争はゾウにも知れていた。ルフィの納得した意味は正確には違うけど、私がジャックを知っている事についてはエースにでも聞いたのだろうとみんな納得してくれた。

 

「…ですが、ジャックは『死亡記事』が…」

「とても信じがたい。当人を目の当たりにしたらな…」

 ルフィのブッ飛ばす発言にブルックが反論したが、ワンダはジャックの死亡を否定した。そしてそれは正しい。

 

「記事にも死体は未確認と書かれていたからね。まず間違いなく生きてるわ!カイドウと幹部”三害(大看板)”のタフさは異常だから…!」

 もともとタフだった上に、動物系悪魔の実を食べたからね。

 

 けれど私の言葉を聞いて、一味の面々が視線を向けた先は…

 

「おい!!何でそこでおれを見んだよ!!?」

 そりゃね!

 

 だって、ゾロ!あんたも同じく異常だからだよ!!

 

 

 

 

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