イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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01-31話:(ダイアル)を求めて

 現在私は、リリスを小さくして専用のカプセルに入れ、それを持って天空に向けて飛んでいた。

 目的地は空島・スカイピア。

 エネルに会いに行くとか、そういう事ではなく、いろいろな(ダイアル)を入手して、青海で活用しようと思っての事だ。

 

 音楽業界ではTD(音貝)が。

 BD(風貝)、RD(光貝)、HD(熱貝)などは家電業界で使えるだろう。

 リリスには養殖を依頼している。

 

「でも、なんでついてきたの?」

「わしも空島行きたかったんじゃ!!ユナ嬢ならわし一人くらいなんてことないじゃろ?」

 まぁ確かにね。小さくして持って行く分には特に面倒ではないんだけどさ?

 でも私をこんな事に使ったって知れたらリリス、怒られないかしら?

 

 

 リリスと友達になってから、いろいろあった。

 私は全体の1/8なので、カノンやイオリの半分くらいの強さである。

 海楼石は身に着けてないけどね?

 

 ミニミニの能力がバレたのは、私が船を港に置いて大きくしたから。

 リリスが港に来てたのに気づかなかったのは失敗だった?

 

~ 回想 ~

 

「なんじゃ今の!?」

 到着して持ってきた船を浮かべて大きくしたのだが、誰もいないはずの場所にリリスが居た。

 見聞色で確認したのが、到着する少し前だったのは失敗だったかも知れない。

 

「持ってきた船を浮かべて大きくしたのよ?」

「いや、なんで?ってかお前、どうやってここに来たんじゃ?」

「あ~、バレちゃったら意味ないや。この船戻すね?」

 

「そうでなくて!! え? 何おまえ、船無しでここに来たの?どうやって!!?」

「剃刀でね!」

「”でね”じゃないわ!!なんじゃそれ?剃刀て…セント・ポプラから?ここまで何百キロあると思っとるんじゃ!!?」

「5分くらいよ?」

「はぁ!!?」

 

 バケモノとか言われた。あたしゃ泣いたよ?また慌てて謝ったよコイツ…

 

~ 回想おわり ~

 

 

 雲をいくつか通り過ぎると、空に浮かぶ島、スカイピアが見えてきた。白海は飛び越え白々海のスカイピアに到着。

 見聞色で確認してから、エンジェル島の人が居ない場所に降り、リリスを降ろし縮小を解除する。

 エンジェル島には繁華街があるはずなので、そこで買えばいいんだと思う。

 収納貝、あるといいな!

 

 エクストルは持っていないけど、ベリーも使えたはずなので問題は無いはず。

 輪ゴムはダメね。今使っちゃうとウソップがかわいそうだから。

 

「ほぅ、ここが空島か。そして、これが島雲。ふかふかじゃな。どれ、少し採取して…」

「それが目的じゃないでしょうね?あなたには養殖をお願いしたいんですけど?」

「わかっておる。が、珍しいものを見たら研究心が止まらんのじゃ!」

「そういう事言ってるから本来の研究が遅れるんじゃないの?」

「むぅ…言い返せんのがつらいとこじゃな。」

 科学者としての本能か、興味深そうにキョロキョロしているリリスに呆れていると、後ろで何かが光ったかと思うと気配が現れた。

 振り返ってみるとそこにエネルが居た。

 あら、気づかれちゃった?

 

「ヤハハハ、我が国に随分と大胆な侵入をする不届き者が居たものだ!我が直々に…」

 笑みを浮かべてなにかを言いかけたエネルだったが、私と目があった途端に、何やら固まって動かなくなった。

 大丈夫かしら? 私、何もしてないわよね?

 

「ごめんなさい。ちょっと買い物に来ただけなの。ルールとかあるなら教えてもらえる?ちゃんと従うから。」

 とりあえず下手に出てみた。

 今回は買い物に来ただけ。エネルに会うなんて思ってなかったわよ。

 

 何しに来たのよコイツ。もしかして暇してたとか?

 

「そ、そうか、そうだな。青海人ともなれば、スカイピアの法に疎いのも必然。驚かせてしまった代わりと言ってはなんだが、今回の事は不問にするとしよう。入場料も免除とする。」

「入場料が必要だったのね。うれしいわ、免除していただいて。」

 というか、驚いたのはあんたの方じゃないの?

 

「と、ところで、差し支えなければ、ここには来た理由を聞かせもらえぬか?」

 あら、ずいぶんと下手に出てくれるのね?もっと高圧的なヤツだと思ってたけど…

 思考を読んでみれば、私の力に驚いているみたい。自分よりも数段上の力を持っていると判断したらしい。

 正確に…とは言えないけれど、私を恐れているようだった。

 

 現在私は気を静め、気配を普通の人と同じくらいまで抑えている。これはDBの気のコントロールなのだがエネルの見聞色は私の気配の大きさを察知しているようだった。

 正直これには驚いた。今更試すわけにもいかないけど、エネルには見聞色の相殺のほうが有効なのかもしれない。

 

 スカイピアに来る時には気を抑えるのと同時に、見聞色の相殺を行うように、イオリに伝えておこうと思うのだった。

 彼らの気配は憶えたので共有しておけば大丈夫だろう。

 ※覇気の相殺は、相手を特定する事により、より強力に打ち消すことが出来るのだ。

 

「いろいろな(ダイアル)を仕入れに来たの。特に音貝と収納貝をね?他にもいろいろ種類があるそうだから、一通り揃えたいのよ。それが終わったらすぐ帰るつもりよ?」

 

「いや、わし、もっと見てまわりたいんじゃけど?」

「買い物に行くって言ったでしょ?残るなら勝手にどうぞ。養殖なら他の猫に頼むから。」

「むぅ、それは困る……しかたがない。諦めるか」

 

 

「また連れてきてあげるわよ」

「また!!?」

 なんでここでエネルが割り込んでくるかな?

 

「あ、今度来るときはちゃんと入場料払うわよ?」

 すっごくイヤそうな顔してますけどエネルさん?リリスは怪訝そうな顔してるし。

 

「何よ、その顔…。私は来ちゃダメって事?」

「ダメ…という事では…決してないが……なるべくなら、その…来ないでほしい…かなァ…

 ちっちゃ!声ちっちゃ!!

 最後のほうなんて聞き取れませんでしたけど?

 

 まぁね。もともと私の目的は貝なので、それを買ったらさっさと帰るつもりだったんですよ。

 そのことを告げると、エネルは急に明るい表情に変わった。

 

「そ、そうか!では、しばし待たれよ!」

 

 そう言って雷になって姿を消したかと思うと、すぐさま両手に大量の貝を抱えて戻ってきた。

 

「では、この貝を進呈しよう! 音貝も、収納貝もある。」

 

「こんなにいっぱい?もらっちゃっていいの?」

 

 かなりの量の貝を進呈するというエネルに、私は戸惑いの表情を浮かべる。買いに来たって言ったのにね?

 

「かまわない。私が進呈したいのだ!! ただ…その代わりといってはなんなのだが……その…

 また声が小さくなってますけどエネルさん?要するに、とっとと帰ってくれって事ね?

 

「わかったわ。それを受け取ったらすぐに帰ることにします。」

 

「そ、そうか!すまない、感謝する!! では、こちらは進呈しよう」

 

 私の返答に目に見えて明るい顔になったエネルは大量の貝を渡してきた。

 よっぽど私たちにさっさと帰ってほしいようなので、大量の貝を素直に受け取り、それを収納貝に入れると、宣言通り空島から帰ることにした。

 

 引き攣った笑顔で手を振るエネルの視線を背中に受けながら、私はリリスを抱えて青海に戻るのでした。

 

 

 また来たら、エネル…怒るかしらね?

 

 

 

 

 そういえば、原作で空島に来た時、ガンフォールが言っていた。

 6年前。

 って事は…

 

 エネルが君臨してからすぐじゃんね。

 

 

 

 

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