イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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私の中ではプリンはいい子。
この話の中ではさらにいい子になるかもね?

えっ!?だから?

まぁはい。流れはあんまり変わんねェっす。

では、どうぞ!







13-318話:おれでよければ

「ちくしょう!けっこうダメージ食らっちまった…。やっぱコレはキツイや…!!でも…サンジはすげェ強くなってたんだなァ…」

 仰向けになり、ルフィは左腕を触りながら呟いていた。ナミはそこにある腕輪を見て目を細める。

 

「…まさかとは思うけど、ソレ…!イオリのと同じ腕輪じゃないでしょうね?」

「イオリのよりは弱ェヤツだ!これ付けてるとおれの力が1/4くらいになるんだよ!!将星以外と闘る時はイオリがコレ、つけてろってよ!!」

 実はルフィ、ドレスローザでは外してました。

 しかもこの腕輪…原作ワノ国で付けられる枷より強いのです。

 

「呆れた…こんな時まで訓練なんて!それよりルフィ、ホントに待つ気?」

「ああ…待つ!!」

 

「バウンドが言ってた…将星を討ち取った者の末路。嵐と共に押し寄せるビッグ・マムの復讐の軍団に瞬く間に抹消される」

「…」

 

「敵なら来るけど…サンジ君は…」

「サンジは来る…おれはここで待つ…!!!」

 

  ― ぞくっ!! ―

 

「え?急に雷雲が…!!」

 

「…!!ああ…」

「どうしたのキングバーム!!」

 

「あの山はママの住むホールケーキ城…!!ママが怒ってるジュ…!!」

「!!?まさか…ウソでしょ…!? これが人一人の能力!!? あ、でも…」

 

  ― リンリンは『天候を従える女』!! 怒れるビッグ・マムを止めるすべはないのよね!! ―

 

 ナミはバウンドの言葉を思い出していた。と同時にイオリが同じ事を出来るかも?という事にも驚いている。

 

  ― やべェ…おれ今、”『四皇』って大したことねェな”って思っちまった… ―

 

 ゾウでのウソップの言葉が思い起こされた。

 

 戦闘にはほとんど参加しないとはいえ、一味の中に四皇と同等、あるいはそれ以上の存在が居るかもしれないという事が、これほど心強いとは…

 

 …とにかく、この後どうなるかわからないけど…敵は減らしておいて損はないわね!!

 

 あれだけ大きな雷雲があれば強力な雷撃を落とす事も可能だろう。

 どれだけの軍勢かはわからないけれど…

 

「雨だ…! 違う…コレ…水あめ!」

 

  ― くるっ べちゃ!! ―

 

「?」

 ルフィが仰向けからうつ伏せに体を反転させる…

 

「水あめだって…口にいれねェ!!おれはサンジのメシしか食わねェんだ…」

 

 私がイオリに聞いた事…ルフィに言わなくていいのかな…?

 私も聞かなきゃよかったのかも…

 

「お~~~マズイジュマズイ…」

 

「ルフィ!!大軍が押し寄せて来るから隠れたかったんだけど…あんたはココを動く気ないんでしょ?」

「そうだ!!隠れてる間にサンジが来るかもしれねェ…!!お前らは隠れてろ!!」

 

「あんただったら見聞色でサンジ君の気配が判るでしょうに!!なにもここで待たなくたって!!」

「ここで待つって約束したんだ…!!」

 

「も~!!約束って!!あんたが勝手に言ってただけじゃない!!」

「うるせェな!!いいからおめェは隠れてろよ!!」

 

「もう遅いわよ!!」

「「!!?」」

 

 

 戦闘が始まった。

 

 大軍が押し寄せ、チェス兵達が突進してきた。ルフィが迎撃するも、多勢に無勢…

 

「まったくもー!!まだ腕輪したままだし…いいわ!!イオリもこの規模の雷雲を用意できるなら…今後の為に試しておくのもいいかもね!!ルフィはゴムだし問題なし!!」

 

 ナミが天候棒を振りかざす!!

 

 超越(ハイパー)・サンダーボルト・テンポ!!! ―

 

  ― ゴロゴロゴロ… ドドォーン!!!

 

 巨大な雷撃が大軍の中心に落ちた。ルフィが戦っている辺りでもある。

 

 

「えっ!!何…きゃあ!!!」

「ナミィ!!!」

 突然ナミは腕の自由を奪われた。手錠をかけられ吊るされた様な恰好になっている。

 

「…油断したわ ― まさかこんな小娘が…」

「ウ…(これは何?イオリと同じ…念動力!!?)」

 

「あんなバカでかい雷を落とすとは!!」

「私にはあんな大きな雷雲は作れないけど…!!雷雲を利用する事はできる…!!」

 

「くそっ…ナミを離せ!!邪魔だ!どけェ!!」

 ルフィがナミの所へ向かおうと敵を蹴散らす

 

「マジかよ”麦わら”!!とても一晩中クラッカーの兄貴と戦ってたとは思えねェな!!チェス戎兵も弱かねェぞ!?ゴミみてェに潰しやがって!!!」

 

「ハハハハハ!!」

「ルフィ!!!」

 

「ゼェ…ゼェ…」

 

「クリームモンスター!!!」

「!!」

 

「くっ!!うおぁ!!痛ェ!!!」

 生クリームがルフィに当たると勢いよく燃焼した。酸性が強く暑さよりも痛さがルフィを襲う…

 

「それが生クリームの…”甘い”という(ちから)ファ!!ファファファ!!!甘いクリームがスイートすれば、やがて体中が焦げ落ちるファ!!!」」

 

「この…!!」

 ルフィがギア3と武装色の合わせ技でオペラを殴りにかかるが…

 

「え!?」

 突然、ルフィの周りが見た事のない景色に変わる!!

 

「 ― ここどこだ!? ハァハァ…」

 

 建物の影からウサギが覗いている…

 

「!!」

 

「アハハハ」

 大きなフクロウが笑っている…

 

「!?」

 

 そして壁が焼けたかと思うとそこからモンドールが顔を覗かせた

 

「ここは…”本”の世界!!!」

 

「ルフィ!!避けて!!」

「!? ナミ!!?」

 

「危ない!!」

 

  ― パタン! ―

 

「!!」

 本が閉じたかと思うと景色がもとに戻った!!

 

「クリ~~~ム!!パンチ!!!」

 

  ― ズドォン!!! ―

 

 武装色の拳が両脇からルフィを襲う。

 

「ルフィ~~~!!!」

 本の世界から戻った瞬間の出来事だった為、防御もなにも出来ずにルフィはその場に沈んだ。

 

「キングバーム!!」

 原作通り、キングバームはアマンダに斬られていた。

 

「……」

 アマンダはナミの後ろに回り込み、手に持ったビブルカードを取り上げた。(服は破かれなかった。)

 

「あ!!」

 

「ホーミーズであるチェス戎兵達がまともに戦えなかったのも…!あんた達が迷いの森から出て来れたのも!!これ(・・)が理由だったわけね!なぜあんたがママの”命の紙(ビブルカード)”を持ってんの!?」

 

「”ローラ”と書いてあるわ」

「ローラ!? ― あいつから奪ったのか!?」

 

「何てこった!殺されたのかあの家出娘!!」

「ローラ」

 

「最後の言葉は!!?」

「知らないわよ!!それは…役に立つからって…!助けた人から貰ったの!!」

 ナミは咄嗟にウソを吐いた。プリンとの会話を思い出したからだ。

 

「…!!どうだか…!!」

「ママに話すんだな…残念ながら指令はお前達の生け捕りだ…行くぞ」

「あ~~~何てこった!ほとんどの戎兵をやられちまった」

 

 少し意識の残っていたルフィは地面にしがみついたが…潰され気を失って運ばれていった。

 

 大軍が城へと引き返していく…

 

 

「……」

 トラネコは”一人”…その光景を見つめていた。そして…

 

「木とかもこれで…回復するかしら?」

 無残に斬られたキングバームの傍で、エルは呟いていた

 

 

 

 ルフィが仇討ちの軍隊と闘っていた丁度その頃…

 

 ― ホールケーキ城 ―

 

 昼食会の準備はユンアが行っていた。シュトロイゼンは明日の準備で手が回らないからとの事だ。

 彼女がここに来てから3ヶ月…既に採用試験は一発合格レベルまで達していた。

 加えてビッグ・マム海賊団にはシュトロレイゼン以外に料理人を統率できる者がいなかった。彼女には人を引き付けるカリスマ性が見て取れた。それゆえ彼女はこの重責をまかされたのである。

 

「ハ~ハハハマママママ!!!よく来たね!!『ジェルマ66』遅れて悪い!少々問題が起きてね!だがもう大丈夫!!」

 テーブルには既にヴィンスモーク家全員とプリンが座っていた。

 

「やあしかし噂はかねがね…!!コックの息子だなんてプリンにゃうってつけの婿だ!なァに、そうでなくても構やしないんだが”政略結婚”だからね!!おれとお前の利害さえ一致してればそれでいいのさ!!ジャッジ!!ハ~ハハハハハ」

「 ― ああ…だが子達が幸せに越した事はない…!!」

 

 原作では食事達が喋る食卓だったが、ここではユンア達の用意した料理が振舞われた。

 飲み物とサラダはテーブルにのっていたが、リンリンが来たところで給仕がスープと料理を運んでいる。

 

「明日は良き式に…!!」

「ああそうしよう!!!」

 

「おっ!!この味!!」

「あの女は隊列の最後尾に居たからな!!」

「…」

 

「どうだい、美味いだろう?ウチの自慢の料理人だ!!パーティー料理はイマイチだが…なんでか知らねェが、普段の食事はあの娘の料理が一番美味いんだ!!さぁ食べとくれ!!」

 

「ユンア…戻ってきたんだ…」

「…?」

 

 プリンはユンアがヴィンスモーク家へ行く前に話をしていた。

 彼女は言っていた。そろそろココを出て行こうと思っていると…

 

  ― えっ!!万国(ここ)を!!? ―

 

「ええ…元々路銀を貯める為のアルバイトのようなものだったからね…」

「そう…さみしくなるわね…」

 

「大丈夫!!呼んでくれればいつでも来るわよ!!」

 

「ホントよ!!私…あまり友達居なくて…」

「それはあなたが隠してるからでしょう?」

 

「だって…みんな気味悪がるんだもの…ママだって!!あなたくらいよ?」

「気にすること無いと思うけどなぁ…プリンはプリンだもの!!」

「…ありがと…」

 

「彼と結婚したならきっと幸せになれるわ!私の先輩なんだから!!」

 

  ― …… ―

 

 本当ならば…彼女には是非とも結婚式に出てもらいたかった。心を許せた初めての”友達”なのだから…

 でも結婚式を見たら…彼女はきっと私を軽蔑するに違いない!!

 だから…戻って来てほしくなかった!!

 

「(…サ…サンジさん)」

「!」

 プリンがサンジの前にテーブルの上を滑らせ紙を置く…

 

「…」

 そこには『あとで二人きりでお話を』と書かれていた。

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

「ごめんなさい…!!ルフィ君達との約束を守れず…私のせいで彼らを危険な目に…」

「 ― そうか…(イオリちゃんも居ねぇのに)どうやって監視だらけの海を抜けて来れたのか不思議だったんだ。…だが、どの道おれは…海岸へは行かなかった…!」

「!? 招待状の件なら…!!娘の私が罪を被れば何とかなると…!!とにかく式に出たら終わりよ!!政略結婚に慣れたママは…逃げ出しそうな結婚相手にブレスレットをはめるの…!!」

 

「!」

「それをつけられて島を出ようとすれば…」

 

「 ― 爆発するんだろ?」

「!!? あ…」

 サンジが袖をまくって腕輪を見せる。プリンは驚いて見せた(・・・)

 

「鍵はキミのママが持ってる。奪いたきゃ…『ビッグ・マム海賊団』を倒すしかない」

「 ― まさか…もうママの手が…!?」

 

「そうだな…手も回ってるし…!!そもそもおれの周りには味方なんか一人もいねェのさ…いや…彼女は味方だったかな?」

「?」

 

「あ、いや…『万国』に滞在中はって事で…ジェルマに料理長が来てるんだけど…その…」

「もしかして、ユンアの事?」

 

「知ってるのか…って、そりゃ知ってるか。昨日ちょっとごたごたがあって、彼女はビッグ・マム海賊団だから、そのお陰で無事にやり過ごせたんだ!!でなきゃ今頃…おれは瀕死の状態だったと思う…」

「どうして…!?」

 

「おれの存在はあいつらにとって『おちこぼれ』で許せねェらしい…!!王族に生まれて幸せだと思った事は一度もない!!だから海へ出たんだ…あるかねェかもわからねェ場所を目指して…」

「…」

 

「だが、この結婚に抵抗すれば…おれも仲間も全滅だ。いや、仲間の全滅はねェかも知れねェけど…更には”東の海”にいるおれの親同然の”大恩人”の命まで取られちまう!!右を見ても左を見ても…逃げ道なんかない! ― だから抵抗をやめると決めた!! ― それを条件に…ビッグ・マムに仲間達を見逃して欲しいんだ!!今まさにルフィ達が狙われてる…!!」

 

彼女(ユンア)も…その事…知ってるの?」

「いや…知らないと思う。彼女が知ってるのは、おれや彼女の恩人が人質になってるって事だけだ。タマゴ男爵の仕業だとか言ってたけど、けっこうショックを受けてた。」

 

「…!!ごめんなさいっ!!私の母が…あなたをこんなにも追い込んで」

「やめてくれ!!プリンちゃんが謝る事じゃない!!」

「でも…」

 

「13年前まで…おれは地獄にいたんだ…!またそこに帰って来ただけの事…むしろ13年の間地獄を離れられて幸せだった…!!言わば出会った全員が恩人だ…!だからおれは…誰も傷つけず消えたい…」

「…」

 

「おれの冒険は…ここで終わりだ…!!」

「う…」

 

「! おい…泣かないでくれよ!おれがみじめだろ…!!?」

 

「わ…私は…!!サンジさん…!!」

「!?」

 

「私との結婚は…!!!地獄にはさせませんよ!!!」

「!!!」

 プリンは涙を流しながら言った。サンジの顔は腫れていない…

 

「…」

「…」

 

「あ!!ごめんなさい私…!!何言ってんだろ!!」

「!」

 

「あなたが深刻に悩んでいるのに!!したくない結婚だって地獄に決まってますよね!!人の悩みに割り込んで!!恥ずかしい!!ごめんなさい!!」

「……!!」

 

「昨日今日会ったばかりの私に…あなたの心の穴を埋められるわけもないのに!!それに第一…結婚するなんてサンジさん…一言も口にしてないのに私…!!」

 

「君は”救い”だ」

「!!」

 サンジは後ずさるプリンの手を引き、そのまま彼女を抱きしめた…

 

「!」

「 ― もし…おれでよければ」

「サンジさん!」

 

「明日…結婚しよう」

「!!」

 

 

 

 

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