イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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『ウソの鎧』と『さがしもの』
書いた話の文字数が少なかったので、
2話分まとめて載せました。

サブタイ、まんまですけども…

原作84~85巻って感じかな?

どうぞ!







13-319話:ウソの鎧とさがしもの

 夕飯の仕込みが終わった所でプリンに呼ばれ、ユンアはプリンの部屋に居た。

 明日のスケジュールのやり取りが行われている為、彼女は部屋の隅に腰かけている。

 

「ローラ姐さんの!?」

「ええ、女の方がビブルカードを持っていて『迷いの森』のホーミーズは威圧されたんですって!」

「…」

 

「 ― ところでプリン様!!昨日お決めになったドレス…ママが却下に!!ママが決めたドレスを明日、お召し下さい!!結婚式後の予定も全てママが…!! ― それから…」

「……」

 侍女の言葉を聞いてプリンは視線を落とし、一人窓から外へと向かう。

 

「…」

 その様子を見て、ユンアは少し気分を暗くする。

 

「あ!プリン様!!お庭はまだ雨が!」

「…」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

「ごめんね。忙しい時に呼び出した上に待たせちゃって!!」

 

「ううん…でも、なんかヤだな!!」

「えっ!?」

 

「あなたの結婚式でしょ?なんで…母親が勝手に選んだドレスを替えちゃうの?まるで…」

「ダメよユンア!!」

 

「だって…!!」

「誰が何処で聞いてるかわからない!!あなたが危ない目に遭うのは絶対にイヤ!!」

 

「…戻って来なきゃよかった?」

「えっ!?」

 

「だってプリン、いつもと…なんか違う!!」

「…」

 

「…」

 

「来てもらったのは直接伝えたかったから…。結婚式には…来ないでほしいの…」

「…わかったわ…!でも、これだけは言わせて!!」

「?」

 

「どんな事が起こったとしても…!私はあなたの味方よ!友達だからね!!」

「…うん…(絶対ウソよ!!軽蔑しない訳ないじゃない!!)」

 

 ・

 ・

 ・

 

「ハァ…」

 プリンは悩んでいた。

 何があっても能力で記憶を消してしまえば問題無いって思ってた。

 

 …でも…

 

 能力を使う事は”ウソをつく事”と同じではないのか?

 初めてできた友達なのに…彼女をダマすの?

 それにもし…気づかれてしまったら…

 

 『早く万国から出て行って!!』

 そう言えばよかったのだろうか?

 

 でも…理由を聞かれたら?

 

 

 私は…弱くなってしまったのだろうか?

 …誰も信じなければ…もっと楽なのかな?

 

 

 元の生活に戻るだけだ!!そう思ってみてもプリンの心は晴れなかった。

 

 彼女は…心を許す事の出来た初めての友達だ…!彼女を失う事が恐い!!

 こんな風に思った事などこれまで一度としてなかったのに…

 

 それでも…

 明日の結婚式は…何もかもママの言う通りにやらなければならない。

 今更逃げる事など出来はしない!!逃げれば…大好きな姉と同じ目にあう事になるのだから…

 

 とりあえず…ユンアの事は後で考えよう!!

 

 

 プリンは気持ちを切り替えてルフィ達の元へと向かった。

 

 ・

 ・

 ・

 

  ― コンコン! ―

 

「ん?」

 

  ― ガチャッ!! ―

 

「プリン!」

「!?」

 

「え…プリン!?」

「…」

 

「オペラ兄さん…少し中でルフィ君達とお話しをしても?」

 

「おーいプリーン!!逃がしてくれー!!捕まっちまったよ!!」

 

「ルフィくん…? ああ…構わんファ」

「…ではしおりをハサみます!」

 

 プリンは本の中の牢屋へと入った

 

「おい!!プリン!おれ達、海岸へ行ったんだぞ!?」

「こらルフィ!!余計な事言わない!!」

 

「…やられたのね。ルフィ君、ナミちゃん…兄や姉にひどい事されたんでしょ?ごめんなさい…!!」

「…」

「約束の海岸へ行けなかった事も…本当にごめんなさい!!」

「そんな…プリン」

 

「んん~~~?何だあいつヒソヒソと…」

 

 この時、実はサンジが近くに居たのだが…

 本の中と外では気配はかなり遮断される為、ナミは勿論サンジもルフィも気づく事は出来なかった…

 

「私…サンジさんにプロポーズされたの!」

「!!?」

「…え」

「……!!」

 

「嬉しかった…」

「…!!」

「…でも…彼は私を気づかってくれてるだけよね…私はあなた達みんなを苦しめてる…だから安心して!!私…彼と結婚しないわ」

「??」

 

「聞いて…」

「!?」

 

 ヒソヒソ…

 

「「!!!?」」

 

 プリンがルフィとナミから離れた…

 

「おい待て!!プリン!!おまえ何言ってんだ!?」

 

「さよなら!!」

「「!!?」」

 

 原作通り、プリンは涙を流していた…でもその涙の理由は…

 

 原作とは少し…違っていたかも知れない

 

 

*--*--*--*--*

 

 

  ― これが…本当の私…! ―

 

「私の本性は家族しか知らないの!!あんた達が甘いのよ!!何が”悪の軍団”よ!!」

「…」

 

「空想の世界に生きてなさいマヌケ共…!!ママの狙いは初めから『クローン兵の軍隊』とあんた達の『科学力』!!」

 

「…いい性格してるわ」

「ホラ反抗的!どうせ言う事きかないあんた達に用はない!ジェルマ王国の”全て”が今、ウチの領土に停泊中!サンジの政略結婚という甘いお菓子に群がるハエ共達よ、ご苦労様!ママの計画通りだわ!!」

「…」

 

「ヴィンスモーク家は…明日の結婚式で皆殺しよ!!!」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 吸っていた煙草の火はとうに消えていた…。雨に濡れてライターももう点かない…

 サンジは雨の中…隠す事なく涙を流していた。

 

「えっ!?」

 雨が遮られ、サンジが顔を上げる。そこに居たのは傘をかざしたユンアだった。

 即されてプリンの部屋から離れるサンジ…

 

「今の話、君も…聞いてたのか?」

「プリンの様子が変だったから…」

 

「…彼女の言う通りだ。おれは落ちこぼれ…」

「ば~か!!そんなワケ無いでしょう!?」

「!!?」

 

「あの娘のウソを真に受けてんじゃないの!!私に言わせれば兄弟の中で、あなたが一番なんだから!!」

「えっ!?」

 

「彼女の話、聞いたでしょ?彼女の演技力はとても優れているの!!それこそ演技かどうか、自分でも判らなくなるほどにね!!…可愛そうに…」

「…」

 

「でも、ママの計画とやらは残念ね!!そんなもの…”麦わらの一味”が看破出来ないハズが無いもの!!」

「…君は…もしかして…?」

 

「ところで、イオリは元気? 実はもう1年以上も会ってないの!!」

「!!?」

 

「あ、それから…!私の事はナミには内緒にしてね?イオリが怒られちゃうかも知れないから!」

「えっ?…え!?」

 

「さて、冗談はここまで!!サンジ…!あの娘(プリン)の”心”を救ってあげて!!」

「救う?…おれが?…ってか、じゃあつまり…さっきのプリンちゃんは…演技?」

 

「本人はそうとは思ってないでしょうけどね…。あれは母親に作られた”人格”よ!!本当の彼女は優しくてとても脆いの…。さっきのは言ってみれば本当の自分を守るための鎧…。壊すのは簡単だけど…」

「…”あれ”を壊したら本当の彼女も?」

 

「ええ…壊れてしまうでしょうね…」

「…じゃあどうすりゃ…」

 

「簡単よ!あなたは普段通り彼女と接すればいいの!結婚式を楽しみなさい!!」

「えっ!?」

 

「ねぇ、一つ聞くけど。彼女の額の目を見て…どう思った?」

「どうって…別に…?」

 サンジの返答を聞いて、ユンアはニッコリ微笑んだ。

 

「うん!そう!!それならきっと大丈夫!!あなたなら出来るわ!!」

「??」

 

「それは…お弁当?」

「ん?ああ…プリンちゃんが夜の会食に出なかったろ?」

 

「そうね…私も気になってたわ。後で彼女には夜食を持っていく!」

 

「…そうか…任せるよ」

「プリンは私の友達なのよ!!あなたにお願いされるまでもないわ!」

「…」

 

「そういえば…あなたの作ったメシしか食べないとか言ってた子が居たわね?」

「…」

 

「まだあの場所で待ってるのかしら?」

「でも…あいつは捕まったって…」

 

「あらそう?じゃあ彼は…あそこで待ってないの?あれは約束(・・)じゃなかったのかしら?」

「!!?」

 

「じゃあ、私は行くわ!レイジュの事もよろしくね?」

「あ…ああ…」

 

 サンジはユンアを見送った…

 

 

 イオリちゃんじゃねェかと思ったんだけど…考えてみりゃそんな事があるワケねェか…。

 彼女は数ヶ月前から万国(ココ)に居る。その前にはバラティエに居たって話だし…

 

 けど…元気かとか…1年も会ってねェとか…ナミさんに内緒って?

 

「もう…わけわかんねェ…」

 それにあの喋り方は…まるで…

 

 ふるふると頭を振り、サンジは気持ちを切り替えた。そしてレイジュの運ばれた病室へと向かったのだった。

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 ナミがプリンのウソを見抜いていた事…

 ローラが友達だとバレていない事…

 そして、イオリから今回の結婚式が、ヴィンスモーク家皆殺しのワナである可能性を聞いていた事…

 ジンベエがイオリの指示を受けて動いていること…

 

 などなど多少の違いはあるものの、物語は原作通りに進んでいる。

 

 

 海軍だけではない。ビッグ・マムもカイドウも…そればかりか麦わらの一味を知る者達も…

 誰もがその存在を知っているのに気にしていない…

 

 それがイオリという存在だった。

 

 ”大参謀”と呼ばれる者は世界に二人…

 

 海軍の大参謀は大きな作戦行動の際には主要メンバーとなるが、それ以外では表立って目立つことは少ない。

 

 それが参謀というものなのだろう。

 

 だからこそ、海賊の大参謀も、その強さを誰もが知っているにも関わらず、その存在はそれほど気にされる事は無い。

 

 パンクハザードでモネも言っていた。

 

 ”あなたの一番の武器はその知謀でしょ?”

 

 それこそが誰もが持つイオリへの評価である。

 

 しかし、それが間違いだという事を一味の面々とイオリのシゴキにさらされている者達は知っている。

 

 かの”四皇『蒼炎』”でさえも…

 

 

「カイドウとのタイマンはどうだったかって?別に大した事じゃねェよ!!」

 と、エースは言う。

 

 そしてまた…

 

「今まで一番辛かった戦い?そりゃおめェ…」

 2年前までならば、ジンベエ戦の後にオヤジと闘った時だと答えただろう。いや、ティーチに負けた時だろうか?

 

 だが今は…

 

「毎週…月曜…だな!!」

 うんうんと頷く『白ひげ連合』の隊長達…

 

 毎週月曜は彼らの特訓日だった。その参加者全員がエースが早く強くなってくれる事を切に願っている…

 

 目標は双方能力使用無しでエースがカイドウと互角に渡り合えるようになる事…

 それが達せられるまで特訓は続けられるという事らしい。

 

 

 

『万国』では現在…

 

 鏡世界ではチョッパーとキャロットがブリュレ一派を撃破して、城の鏡を探している。

 レイジュは目を覚まし、すり替えられた記憶をサンジに教えてもらい、サンジに母の事を教えていた。

 既にブルックはポーネグリフの写しを奪い(ただし捕まってしまったが…)

 ルフィとナミはジンベエに救出され、ルフィはサンジを探している。

 

 プリンはレイジュとのやり取りの後、ビッグ・マムの所へと向かった。

 

 彼女の部屋にはユンアの作った夜食が置かれていた。

 部屋に戻ったプリンはそれを食べ、目に涙を浮かべていた。

 

 そして…

 鏡の世界に集まったナミ達がブルックを救出した頃…

 

 サンジはルフィが待つと言った場所へと向かっていた。

 

 

 

 ~ 鏡の世界 ~

 

「び!!び・び・び・びっくりしたー!!何もかもにっ!!!」

「びっくりしたのはこっちよ!!大声出さないでよ!!死ぬとこだったじゃないの!!」

 助け出したブルックの驚きようにナミが文句を返す

 

「いずれにせよ…命があってよかった」

「死ぬかと思いました!あ、私もう死んでましたね!」

 

「 ― やはり、あの警備網が敷かれた時点で”ロード歴史の本文”を写し盗るなんて不可能だったんだ…無理を言い、ゆガラの命を危険に晒してすまなかった」

 

「何を言います!それは我々の為!あなたの言う通り今回二人の侵入だからこそ、千載一遇のチャンスだったんです!!いずれまたビッグ・マムから”歴史の本文”を奪おうとすれば、海賊同士の全面戦争は避けて通れない!!」

 ブルックがそう言って頭をパカ!っと開けた。

 

「!!?」

「キャアァア…」

 後ろでジンベエが驚き、キャロットが悲鳴を上げる。

 

「はいコレ”写し”ですね」

「え?」

 そう言って頭から出した紙の束をナミに渡すブルック…

 

「いや~!そんな事よりペドロさんこそよくご無事で!!」

「「「え??」」」

 ナミとチョッパー、キャロットが目を剥いて驚く!

 

「私もあの時必死で!!囮作戦しか方法が…」

「待ってブルック!!これ何よ?この紙…まさか…!!」

 ナミは急いでガサガサとその紙を広げにかかった。

 

「え?何って”歴史の本文”の写しですよ?」

 ブルックは写しを取る時の事を思い出す。

 

 部屋に居る全員を倒した後、”歴史の本文”の前に行った時の事…

 

 

 ~ こうやって写した方が早いですよね? ~

 

「えっ!!?ちょっと…なんであなたがココに!!?それにこの能力(・・・・)は!!?」

「さぁ、早くしないと!!」

「は、はいっ!!」

 あっと言うまに3枚の写しが完成した。紙を折り畳んだ後、3つの石と3枚の紙が元通りの大きさに戻っていた。

 

「あの…私がココに来たのはもしかして…無駄な事だったのでは?」

「いいえ!!あなたがココに入れなければ、私もココには来れなかったんです。詳細は語れませんけれど…」

「???」

 

「だから…!この写しはあなたとペドロさんの手柄です!!あ、それからこの事は誰にも言わないでくださいね?彼が…”海賊王”になるまでは!!」

 

「よくわかりませんけど…わかりました!!あなた(・・・)が意味なくそんな事言いませんからね?」

「私は彼女とは違いますけどね?」

「え?」

 

「では…また」

 そう言って彼女は消えた。

 

「パンクハザードでは敵かと思いましたが、まさか…!でもそれは心強いですね、ヨホホホ!!」

 

 ~ あっ…”パンツ見せて貰っても”って言うの忘れてました!! ~

 

 ……

 

「いやいや間一髪で!3枚写し終えたその瞬間になんとビッグ・マムが現れて…」

「!!?て…手に入れてたのかァ~~~~~!!!『将星』もいたという、並み居る護衛兵を相手に!!?」

 

  ― わあぁあぁあぁ…!! ―

 

「他の『四皇』達もノドから手が出る程欲しがるビッグ・マムの”歴史の本文”!!!本当に…!!!」

「あ、はい」

「!!!」

 

「すご~~~い!!ブルック~~~!!!」

 ナミがブルックに抱き着いた。

 

「ヨホ?」

 

「宝物の間は親族でさえ、おいそれと入れん場所!!大した男じゃ!!」

 

「ヨホホホ!!え…じゃパンツ見せて貰ってもよろしいでしょうか?」

 

  ― バキィ!! ー

 

「ベブ!!」

 

 調子に乗ってブルックがのたまうが、すぐさまナミの鉄拳が飛んだ…

 

 

「これで目標の一つは果たせたな!!あとはサンジを連れ戻すだけだ!!!」

 チョッパーが喜び叫ぶ!!

 

「チョキニ!!鏡たちに聞こう!!」

「そうだな!」

 

 

 

 その頃…

 

 サンジはルフィが待つと叫んだ場所に居た…

 まだ”水あめの雨”が降っている…

 

「ハァ…ハァ…」

 

 そこには大きな戦闘の跡があった。瓦礫が散乱し、多くのチェス兵が倒れ…あちこちの地面が削られている。

 大きな陥没があり、周りには焦げたような跡がある。恐らくはナミの雷だろう…

 

 

 すげェな…おれにボコられた後によくこれだけの戦闘を…

 

 ずいぶん暴れたんだな…!!

 

 

 サンジは辺りを見回した。見聞色も使っているがルフィの気配は感じられない…

 

 ”え~現在『麦わらのルフィ』と『泥棒猫』を拘束中ナス!!”

 

 サンジの部屋担当の衛兵がそう言っていた。

 

 

 でも…お前はここで待ってると言った…!!それに…

 

 ”じゃあ彼は…あそこで待ってないの? あれは約束じゃなかったのかしら?”

 彼女はそう言った。でもそれは…

 

「ハァ…どこだ…!! ハァ…」

 

 からかわれていたのかも知れない?

 

「…居ねぇか…」

 当たり前か…ビッグ・マムに捕まったんだもんな…

 

「何やってんだおれ…」

 

  ― ぐぎゅるるるる… ―

 

「!!?」

 諦めかけたその時。突然鳴り響いた音にサンジは目を見開く…

 

「ハァ…ハァ…!」

 音のなる方へと移動して、

 

 そしてサンジは…

 

「ハァ…」

 

 瓦礫の中に…

 

  ― ぐぎゅるるるる… ―

 

 さがしものを見つけた!!

 

 

 

 

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