イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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13-321話:四皇暗殺計画

 ― ホールケーキアイランド『東の入り江』 ―

 

「よせぺコムズ!!まだ安静にしていなくては!!」

「ハァ…ハァ…ガオ!!ジンベエはちゃんとママに報告できたのか!?ベッジのガキの事…!!」

 

「…」

「なぜ黙る!!やはり確実におれが…」

 

「まーまーシャシャシャシャ…」

「ウ!!」

 

「大人しくしてなきゃダメよ、ぺコムズ!!」

「だ…だがプラリネ!万が一奴らに報告を阻止されたら…ガオ」

 

「ならば猶更ジンベエに任せろ!!お前の体ではまたやられてしまう!!安静にしてろ」

「そうだぺコムズ!!動く事は船医のわしが許さん!!絶対に寝ていろ!!」

 

「…お前ら様子がおかしくねェか?」

 

  ― ギクッ!! ―

 

「何やら夜中中、入り江がざわついていた…ちらほらと荷物を運ぶ者の姿が見えた…!!助けられた事には礼を言うが…おれは行く!!」

 

「待て待て!それは許さん!!」

「許さんとは何だ!!ガオ!!てめェら何を隠してる!!」

 

「悪いわね、ぺコムズ!!」

 

「「!!?」」

 

「ベッジの作戦は止めさせない!!」

「お、お前!!…残ったハズじゃ?…何でココに!!?」

 

「あなたに説明してあげるわ!!…明日起こる陰謀の全貌(・・)を!!」

「!!?」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 ~ ではルフィ、サンジ!島の北西にベッジ達のアジトがある!!わしらは鏡の中から先に行っておる!!そこで落ち合おう!! ~

 

「ついた!!ここがベッジのアジト!!」

「で、ベッジってどんな奴だっけ?」

「…マフィアのボスだと思え!って、何おめェはキョロキョロしてんだよ?」

 

「…イオリ、いねェよな?」

「?」

 

「いや、今の聞かれたら…殴られそうだからよ?」

「あ~…なるほど!」

 ルフィは戦う事になりそうな海賊については、イオリから覚えるようにと、よく勉強?させられている。当然の事ながら、覚えていないと怒られるのだ。

 サンジはよくその光景を目にしていた。

 先の発言をイオリが聞いていたら間違いなくお仕置きされていることだろう。

 

「おー!!おれのヒーロー『ジェルマ』!!ヴィンスモーク・サンジ!!」

「てめェか…」

 

「また会えて嬉しいレロ!!ニュロロ!!」

 

「おい!みんなは!?お前がベッジか!?」

 

「そう慌てるな!!他の奴らは着いていレロ」

「レロってどっちだよ!!」

 

「わー!ルフィ!!サンジ~~~~~!!」

「チョッパー!!」

 

「お前達もひとっ風呂浴びて来いよ!!」

「何くつろいでんだ!!時間ねェんだぞ!?風呂嫌いのクセに!!」

 

「いやいやあんたらもレロ!!頭目は汚ェのとはお会いにならねェ」

「!」

 

 原作通り、ナミはお風呂に入りながらシフォンとローラの事を話していた。

 ナミはビッグ・マムにはローラが友達だという事を伏せていたが、シフォンを見てすぐ姉妹だと言う事を理解して、バウンドに見せたものと同じ写真を見せていた。

 

 ~ キャハハハ  あははは ~

 

「ローラがイボイノシシのゾンビに!?」

 

「そう!それで意中の男を追いかけまわして…」

「アハハハ、ローラらしいわね」

 

「あの時も…今回のオバケの森も…!ローラに出会ってなかったら、私どうなってたか」

 

「そうなのね!!でも妹にとってもあんた達、大恩人よ!!ありがとう!!嬉しくて涙が出てきた!!私達、昔から一心同体だったのよ!双子だし!!」

 

「死んだ人が動くなんて…!海ってワンダーランド!! ローラは人間に戻れたのね!」

「ええ、きっと今も元気で海賊やってるわ!!結婚相手はみつかったかしら?ビッグ・マムの怒りは鬼気迫るものがあったけど…結婚の件で…」

「ああ…あれは大事件だった」

 

「ママは理由あって全世界の巨人族に嫌われてるの」

「!? え?巨人族に??」

 

「だからこの、あらゆる種族の住む『万国』にも巨人族だけはいない」

「…」

 

「ある日、ローラを見かけて一目ぼれしたという求婚者が現れたんだけど…それが何と巨人国『エルバフ』の王子”ロキ”!!」

「…王子!?すごい!!」

 

「ママは涙目で歓喜してた!!ローラがエルバフの王女になれば!!巨人族との長年の確執も埋まり、更には世界一の強国と名高い『エルバフ』の軍隊さえも我が物にできると!!」

 

「成程…そこから逃げちゃったわけね」

 

「そこからはひどいものよ!代わりに私を差し出してみるも『ローラじゃない』と見抜かれ…巨人族との仲はより険悪に…!それからのママは本物の巨人族を仲間にする事を諦めて人を巨大化する研究に投資する様になった…。ローラへの怒りは増幅する一方で、この国では犯罪者扱い!!もし帰って来たら殺されるわ」

「…(だからプリンは…)」

 

「それに…ローラにそっくりの私も気にくわないみたいで…会う度に…手酷く殴られ、何年も生傷が絶えなかった」

「えェ!?」

 

「殺されるかと思った…親に…!もう私はあの怪物を母親とは思えない」

「…!!」

 

「ローラはのん気だから、まさか母親が自分に殺意を抱いてるなんて思ってないでしょうけど…」

 

「そういう事か…全部つながった…!!」

 

「ベッジがママを暗殺するって言った時、私は何も感じなかった…ひどいと思われても…それが事実」

「…」

 

 

 別の部屋ではルフィとブルックがお風呂上りに牛乳を飲み、欠けた歯と割れた顔面が見事に治っていた。

 

 そして…

 

 ― お茶会開宴まであと…3時間30分… ―

 

「許さないよ!!シフォン、お前ってコは!!!ママを殺そうって奴に加担するとは!!ばかっ!」

「シフォン様、よくお考えを!!ママを暗殺など絶対にできません!!」

 縛られたブリュレとディーゼルが叫ぶ

 

「ブリュレ姉さん!ママが私に何をしたか知ってるでしょ!?ローラの身も危険!私の家族はベッジとベッツ!それだけでいいの!!」

 

 

「よし!全員揃ってんな…!少しは汚れは落ちたか?『服は人を作る』と言うぜ!!身だしなみのなってねェ奴とは話す気にならねェ!!」

 ベッジがルフィ達の待つ居間に到着する!!

 

「さて、あと3時間半だ…!決めようか…!まず手を組むかどうかから!!」

「…」

 

「ウチとしちゃあ、お前らはただの邪魔者!!ここで全員消すってのが一番世話がねェが…!!」

「!!?」

 

「おれが死んだらビッグ・マム暗殺のチャンスはゼロだ!『式』自体がなくなるからな!おれは開宴2時間前には戻らなきゃ怪しまれる」

「ああ…残念ながらその通り!お前だけは殺せねェ」

「威嚇しあっとる時間はない!ルフィ、直感ではこいつらと組めそうか?どう思う」

 

  ― じ~… ―

 

 ルフィはベッジとは違う方向に視線を向ける…。海楼石を外されたソイツの気配をルフィは知っている…

 

「お前シーザーだろォ!!!」

「!!!」

「ギヤ―!!!」

 

「えー!?シーザー?どこに??」

 

「いるだろずっと…」

「何今更」

 チョッパーの驚きにサンジとナミが呆れる。

 

「シ…シーザー?違う…おれはベッジの兄弟分…!!”ギャングスター”ガスティーノだ!!!シュロロロロロロ!!」

「「笑い方っ!!」」

 

「そうか人違いか、悪かった」

「違わないわよ!!どう見てもシーザーでしょ」

 

「何だやっぱお前か!!どうしてここにいるんだ!!!」

「居たくていると思うか!!戯け者め!!!てめェらのせいでビッグ・マムに引き渡されちまって絶対絶命の所をまたコイツに『心臓』つかまれて言いなりだ!!トラファルガーローに伝えろ!!今度会ったら必ず殺すと!!隙あらば貴様も」

 

「よせよせつまらねェ!!これこそ時間の無駄だ!”麦わら”…!!手は組むのか?やめとくか?」

 

「じゃあまず、ぺコムズ撃った件を殴らせろ!!!」

「!!?」

 

「待てルフィ!!それじゃ話がまとまらん!!」

「でも友達を撃ったんだ!!!」

「ルフィ!!それはぺコムズが悪いってイオリが言ってたでしょ!!」

 

「頭目を悪く言う奴はおれが許さん!!」

「やめろゴッティ!!」

「構わねェやらせろ」

「そうだ追い出せこんな奴ら!!!」

 

 混乱していく状況に、ジンベエは一人頭を抱えて首を振る。

 

「……お前たち!ビッグ・マムは好きか?」

 

「「「嫌いだ!!!」」」

 ジンベエの問いに、ルフィ、ベッジ、シーザーが答える

 

「それを『連合軍』と呼ぶんじゃ!!殺し合いなら後でも出来るが今手を組めばお前達全員に”利”がある!!」

 

「作戦は!?」

「完璧なものを考えてある!」

「さっさとやるぞ!!!それで終いだ!!!」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

「ビッグ・マム暗殺には興味ねェが…そもそもビッグ・マムは銃や大砲で死ぬ様な人間なのか?印象的にはまるで『鉄の風船』!!とても殺せる気がしねェ!!」

 サンジが疑問を口にする。

 

「そうだな 『暗殺』というからには一瞬で仕留めなければ取り囲まれて返り討ちに遭うだけだ!」

「やっぱすげェのか『四皇』は」

「勿論怪物よ!!寝てる間にブルックを取り返すだけでも命懸けだったんだから!!」

「全くです!! ― なのになぜ幹部達が集う『お茶会』を暗殺の場に選んだのですか!?ベッジさん」

 サンジに続いたのはペドロ、ルフィ、ナミ、ブルックである。

 

「…まァ素直な質問だな。まず、答えておこう!ある条件下で『5秒』あればビッグ・マムの首は取れる!!!」

「「!!」」

 

「…!!たった5秒!?」

 チョッパーがお菓子を食いながら驚いた。

 

「…しかし会場内で5秒の隙を作るのは至難の業レロ!ほんの一瞬で”将星”を始めとする誰かに阻止されるレロ!」

「そうなりゃ戦闘だ!!勝ち目は”ゼロ”!!!くくく…!!」

「「!?」」

 

「この暗殺計画はシーザーの捕獲から始まっている」

「ガスティーノだ!!!間違ってもビッグ・マムの前でその名を呼ぶなよ!!」

 ベッジのセリフにシーザーがキレた

 

「この作戦が終わったら心臓を返し、おれを自由にする!!それが協定だ…!!忘れるな!さもなくばおれは必ずお前の息子の命を奪う!!シュロロロ!!」

「…!!妙な心配すんじゃないよガス彦!!ベッジは約束は守るわ!!」

 シーザーの言葉に切れたのはシフォン。息子のベッツは彼女に抱かれて寝ている。

 

「ガス彦!?ガスティーノだ!!!」

 シフォンの呼びかけに今度はシーザーがキレて怒鳴り返す。

 

「あっはっはっはっは!!ガスひこ!!」

「なんでもいいでしょクズなんだから!!」

「!!?」

 ルフィが腹を抱えて笑い、ナミがバッサリと切り捨てた。ベッジは構わず続ける…

 

「つまりコイツの重要な仕事が…」

「そう!!シュロロロロロロ!!まさにおれの仕事がコレだ!!」

 シーザーが武器を取り出す!!

 

「猛毒ガス弾”KXランチャー”!!!1本で十分な所、予備2本っ!!!1本につき有機リン系の毒ガスを直接体内に…ご…5gもブチ込むという神をも恐れぬ至悪の殺人兵器だ…!!死ね…みんな死ねェ~~~!!!」

 シーザーが明後日の方向を向いてイっている…

 

 ちなみに…

 有機リン酸系毒ガスである『サ〇ン』の致死量は0.5ミリグラムと言われている。

 5gとは実にその1万倍…

 それを直接体内に注入するというのだからシーザーがイクのもある意味納得である。

 

「成程よくわかった!当たれば殺せる武器は用意してあるんだな?」

 

「いや、残念ながら…元気なビッグ・マムに当たってもあの強靭な皮膚には刺さりゃしねェ」

「!?」

「ビッグ・マムに効く武器なんて、この世にゃそうそうねェのさ!!」

「えー!!じゃどうすんだ!?」

 

「この”KXランチャー”が本領を発揮する条件は2つ!!5秒間誰もこっちに手出しできねェ状況にある事!そしてママの体が衰弱していること!!」

「何だその都合のいい条件は!!」

 

「 ― その都合のいい条件がそろう場所こそ『茶会』だ!!!」

「!! ふぎゃーっ」

 ベッジの大声にベッツが驚いて泣き出す…

 

「あ~ごめんでちたー!声おっきいでちたねーよちよち!!おれ達が傘下に入って一年以上経ちゅが…ママはケガをしねェ…!!街を壊す時も船を沈める時も銃弾や砲弾を食らってもあの強靭な肉体にはカスリ傷一つつかねェんだ!!まさに!!『鉄の風船』とはよく言ったな」

「…」

 

「だが、一度だけ、ママがカスリ傷を負ったのを見たんでちゅよ…」

「!!」

「マザー・カルメルの写真事件レロね!!」

「その通りだ」

「?」

 

「茶会では、ママの正面の席にはいつもある写真が置かれ、誰も座る事はない。ママにとって何よりも大事な宝の様だ」

「写真が?」

「そう…それがマザー・カルメルの写真だ!!ママの唯一の弱点と言える!!」

「!?」

 

「恩人の様だが詳細は不明…謎の人物だがな」

「…」

「遺影って事?」

 

「失踪したらしいの。私達家族も詳しくは知らなくて…!!」

「…」

 

 海賊団内で知ってるのはシュトロイゼンだけでしょうね…

 

「前にお茶会でうっかりマザー・カラメルの写真を落とした給仕がいて」

「……!!」

 

「その時のママの反応には驚いたわ。顔は青ざめ、聞いた事ない大音量の奇声を発したの!!」

「!!」

 

「食いわずらいの癇癪とはまた違う発作!!周りはただ耳を塞ぎ自分の鼓膜を守るのが精一杯!ある者達はバタバタと気を失い倒れていった!!!」

「奇声に加え、持ち前の”覇王色”の覇気を発動しやがったのさ!」

「…」

 

「 ― たかだか写真を落としただけでな…!その時ショックでひざをついたママは何と…!!ひざをスリむき血を流していた!!」

「!」

 

「この女にも赤い血が流れていたのかと驚いたよ。あの状態になるとママの体は抵抗力を失うんだ!!ならば今日!茶会の会場で!!その写真を真っ二つに叩き割ったらどうなる!!?」

「!!」

「ママは奇声を発して衰弱し!!会場の誰も動けない5秒以上の時間!!KXランチャーはその時、最大の効果を示しビッグ・マムは死ぬ!!!ビッグ・マム暗殺のニュースは世界を駆け巡るだろう!!!」

 

「でもその奇声…?おれ達も動けねェんじゃねェか!?」

 

「安心しろコレがある!『インヴィジブル・シンフォニアシステム』!!!」

「あ、耳せんか!」

 

「写真割るだけでそんな騒ぎになるんならよ!!おれ達もそのスキにサンジの家族を助けよう!!」

 

「ん!?オイ、人ごとの様に言うな!!その写真を割ってからママの発作が始まるまで約3秒かかる!まだ何も起きてねェ会場で怒るビッグ・マム海賊団に囲まれ3秒も生きてられたら正直奇跡だ!!その役はお前にやってもらうぞ”麦わら”!!!」

 

「ちょっと待ってよ!それじゃルフィが囮になるみたいじゃない!!」

「ベッジ!!ナミ達はローラの恩人なのよ!!?そんな十中八九死ぬ様な事!!」

 ナミとシフォンがベッジの指示に異議を申し立てる。しかし…

 

「いいよ!おれやるよ!!」

「「!!?」」

 ルフィが満面の笑みでその役を引き受けた。

 

「それより今、面白ェ登場の仕方考えたんだよな~~~!!ししし!!!」

 

「え~~~何だ何だ?楽しそうだな!教えてくれ!!」

「ダメだ!今言ったらつまんねェだろ!!ししし!!」

「え~~~~~」

 

「「(心配したのに…)」」

 ナミとシフォンは呆れた顔でルフィとチョッパーを見ていた。

 

 そして…ここでナミは始めて気づく。ルフィがいつもの調子であるという事に…

 

 いつもは…彼女が居た!!そう、イオリの存在だ!!

 

 いつからだろうか?

 彼女が闘う時はいつも…全員が全力で戦った後だった。

 

 ~ 彼女が後ろに控えている!! いざとなれば彼女が居る!! ~

 

 そう思う自分が居た。それはおそらく一味の皆も同じハズだ。

 シャボンディで『大将・黄猿』と戦った彼女の強さは一味のレベルを遥かに上回っていた。

 そしてそれは今も同じ…一味は彼女との訓練によって日々格段にレベルアップしている。

 ウソップが言っていた様に、2年の修行よりも数時間の訓練の方が遥かにキツイ!!

 事実、シャボンディに集結した時よりも一味のレベルはかなり上がっている。

 

 全力を出し切れば、たとえ敵わなくとも”一味が負ける事は無い”!!

 絶対の安心感がそこにあったのだ!!

 

 でもそれは…ルフィには当てはまらないのかもしれない?

 

「頼もしいな!タイミングはわかってるか?」

「サンジがプリンとチューしたらだろ?」

 

「バカしねェよ!!できねェんだ!!」

 ― あれ?何か忘れてるような… ―

 

「彼女は誓いのキスの代わりにおれを撃ってくる。おれァそれをかわすからその銃声が合図だ!」

「そうか!わかり易いな!」

 

「よし!話は早ェ!!ビッグ・マムの奇声が上がればこっちのモンだ!会場がたじろいでいる間にお前らは『救出』!おれ達は『暗殺』!最悪10秒以内に片付けろ!それと同時にバカ登場だ!!」

「シュロロロ!!おれ登場!!誰がバカだ!!!いいか!空を飛べるおれ様が!!脱出用の”鏡”を持って会場内へ乱入する!!!この女を連れてな!!」

「仲間に入れんじゃねェよォ~~~!!!ママに消される~!!!」

 

「ブリュレを連れて来た事は、お前らの大手柄だ!!おれ達の手間が省けた…!逃走にこんな有用な能力はねェからな!!用が済んだら全員素早くシーザーの鏡の中に飛び込め!!辺りはまだ奇声に包まれてる!!後は悠々と鏡の中を逃げるだけ。てめェらの船にも人の出入りできる鏡を用意しておけ!!」

「……!!」

 

「それで最短距離で島から脱出できる!!」

 

「互いに船に行き着いたら共闘もそこまで!!後は全力でナワバリから抜け出すんだ!!」

「武運を祈る!!!」

「よし!!!」

 

「よさそうじゃのう…!!」

 ジンベエはホッと胸を撫でおろした。彼もまた、イオリがどのタイミングで現れるのかを知らない…

 ここが四皇のナワバリにも関わらず、度々イオリが現れている事を彼は知っていた。

 それに昨日、”電伝虫”で話をしたばかりでもある。当たり前だが、この件を彼女が放置するワケが無い。

 

「…あと2時間半か…おれは部屋に戻らねェと…『新郎』だからな」

 

「おれ達もだ…仮の護衛の準備にかかるか…」

「は!!」

 

「なァベッジ!頼みがあんだけどよ!!面白ェ登場する時に…」

「面白さに拘るなァ!!死ぬぞ!!!」

 

 

 

 

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