イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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登場人物に変化が多少はあるものの…

原作通りの箇所は、もっと端折(はしょ)っていいんじゃね?

なんて声が聞こえてくる今日この頃…


原作87巻~88巻をまたいだ感じの話です。

どうぞ!








13-327話:”将星”カタクリ

 …サニー号の上では…

 

「そんな…!!ペドロさんが…!!」

「…」

 

「我々がもっと…強ければ…!!!」

「うわぁああぁああぁあぁぁああぁぁぁあああぁぁぁああぁぁ…」

「…」

 

「…むしろ…泣きたいのは敵方のほうでしょうね!!」

「そうじゃな!!こっちが心を乱すな!!」

 

「…!!ちょっとエルさん、ジンベエさん!!よく吐けましたねそんな薄情なセリフ!!あなた達ペドロさんとの付き合いが短いから…」

 

「緊張の糸を解くなと言うとるんじゃ!!」

「!!」

 

「ここはまだ、”万国の海域”!言わずと知れた敵地です!!今は…己の非力さを嘆いたり…!悔しがったり…!泣いてる場合じゃありません!!」

 エルは拳を強く握りしめ、歯を食いしばる。

 ジンベエはその様子を目を細めて横目に見た。

 

「…絶体絶命の海岸じゃった…!ここはそういう場所だと…常に身を挺する覚悟を決めておった!!これは…!まぎれもないペドロの”勝利”じゃ!!!」

「「!!」」

 

「お前さんらが来た事で、敵はどれ程の損害を受けた!?奴らにしてみりゃ前代未聞の大失態!!お前達の中のペドロは言っておらんか?『進め』と!!!」

「……!!」

 

「ルフィは瞬時にそれを察知し、敵を一人で請け負う策を講じた!!カタクリは10億を超える賞金首!!ビッグ・マム海賊団最強の将星じゃ!!ルフィとて簡単に勝てる相手ではない!!」

「…」

 

「やがて来るぞ!!後ろからはこの国の海賊女王ビッグ・マム!!八方の海からいつ仕掛けて来るとも知れん敵の艦隊!!ビッグ・マムの覇権の轟くナワバリを抜けるまでは緊張の糸を緩めるなと…!!!ペドロは言うておらんか!!?」

 

「…!!うおーっ!!!ナミ!!指示をくれ!!」

「…!!」

 ナミがメモを取り出して確認する…

 

「サンジ君達がカカオ島からこっちへ向かって来るって約束だから…すれ違いは絶対に避けなきゃ…!!」

「5Km圏内なら、サンジの気配は捕らえられます!!」

「うん!!エル、よろしく頼むわね!!」

 

「船は面舵!!」

「おう!」

 

「もうすぐ強風が吹く!!追い風よ!!右舷で風を受けてまっすぐ西へ!!最短距離で行くわ!!」

「了解」

「私、使ったコーラ足しときます!!」

 

「 ― よし!!海流の見極めは任せて貰おう!!」

 

 キャロットは見張り台にあがった

 

「!! 来てるよ!!六時の方から!!先の船達と…!?」

 

「ウェ~~~ディ~~~ング…ケ~~~~~キ!!!」

 

「ビッグ・マムが!!海を歩いて来る!!?」

「!!?」

「バカな!!いくら何でも!!」

 

「! 海じゃない…!!動く巨大なキャンディの上を歩いてるんだ…!!」

 

 

「くくくく…!!”アメウミウシ”!!」

「!!!」

 ぺロスがマムの帽子(ナポレオン)の上に居るのが見える…

 

「ゼウスはどこへ行った!?ママに海を渡らせるのはあいつの仕事だろう!!」

 キャロットは涙を流してぺロスを睨みつけていた。

 

 

「まァいいよ…私も丁度あいつらに恨みができた所だ…!!別に…右手を失ったくらい…キャンディで代用できるが…!熱い紅茶を飲む午後にィ…カップの熱で溶ける右手を見る度にィ~…!!思い出しちゃうぜ!!ミンク族のジャガーの顔を!!! そうだろう?ナポレオン!!そんな屈辱、他にない!!」

「我が国じゃどの道、大犯罪者!!未来はないっす」

 

「奴の仲間を… ― どう苦しめれば気が済むか…!!!」

 

 

 

 

 ― 鏡世界 ―

 

「ゴムゴムのォ!!」

 

「ギャハハ ムリムリ!!もう負けを認めろ麦わらァ!!」

 

 …クラッカーを倒した時の気配はもっと大きいと思ったが?

 

「鷹銃乱打!!!」

 

  ― ドガガガガガガガガガン!! ―

 

 ルフィの攻撃は全て、カタクリから生えたモチの腕によって防がれた。

 

 確かに強い!!クラッカーが負けるはずだ。しかし…おれはこいつを過大評価していたらしい…!

 

 

「カタクリ様は『3将星』最強の男だぞ!!!」

「!!?」

 

「お前はもう船には戻れねェ!!ここから出る術もねェ!!」

「…」

 

「フフ…少し違うか?」

「!!」

 

「この方が効率的だろう!!!」

 カタクリの体から複数の腕が生え、それらがルフィに襲い掛かる!!

 

  ― ドガガガガガガガガガン!! ―

 

「「!!?」」

 

「カ…カタクリ様の攻撃が…」

「全て防がれたァ!!?」

 

「そうか!おまえ『将星』だったな!!そういやクラッカーって奴が言ってたのを思い出したよ!!」

 

 ”きさまら如きがカタクリ兄さんと闘れると思ってるのか?”

 

「何をした?」

「「!!?」」

 ヤツの気配の大きさが…!!突然跳ね上がった!!?

 

「ししし…!イオリに言われてたんだ!!3将星と闘る時以外は力を削れってな!!」

「!!?」

 

 力を削っていた状態で…!!…あの時ママを止めたのか!!?

 

 …まさかこいつ!!

 

 万国(ココ)に来てからの短期間で…”成長”している!!?

 

 

「…確かに強さが増したようだな!!…だが、さっき言った事に変わりはない!!…能力的にも…お前にできておれに出来ない事はない!!早さも力も全てお前が劣っている!!」

 

「ゴムがモチに負けるか!!」

「…」

 

 戦闘が再開した…。

 

 カタクリの強さが原作通りであれば”最初から”互角以上の戦いが出来るはずだった。

 

 しかし…

 

 原作同様、ルフィは一方的にやられていた。

 

 

「…次は力か…もう懲りろ」

「くそ…ゴムゴムの!!!象銃!!!」

 

「でっけーパンチ~~~!!」

「…」

 

  ― ゴォン!! ―

 

「カタクリ様のはもっとデケ~~~!!」

 

「ぐぎぎ」

「…」

「!!?ウゥ!!」

 

  ― ボゴォン!! ―

 

 ルフィは力負けして壁と拳に挟まれ、潰された!!

 

「これでいいのか?”エレファントガン”…!!」

「……!!ゲフッ…」

 

「…」

 彼女との遭遇がなければ…あるいは立場は逆転していたかもな!!

 こいつ等の懸賞額はアテにならん!!

 

 しかしなるほど…!確かに手加減の必要などないな!!

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

  ― カカオ島『ショコラタウン』 ―

 

「ユンア!お待たせ!!」

「プリン様っ!!」

 

「あ!『ふんわり大臣』シ…シフォン様っ!!」

 

「大丈夫です!シフォン様は生まれたこの国を救う為、立場を押して手伝いに来て下さったんです!!私がお連れしました!!」

「「「!!」」」

 シフォンが居る事に驚いた者たちが、ユンアの言葉に目を見張る。

 

「ええ、そうよ!それにシフォン姉さんは謀反の主犯じゃない!主犯は夫のギャング・ベッジよ!!」

「…」

 シフォンはプリンとユンアに視線を向けた。

 シフォンには、原作のような手錠はつけられていない。

 ユンアの存在がそれを可能にしていた。

 

「いやあ、プリン様!!今日の日の事件…!!全て耳に入っております。幸せな結婚式がまさか…!”麦わらのルフィ”の乱入と”ベッジ”の裏切りにより崩壊しようとは!!」

「ええ…起きた事は仕方ないわ!」

 

「ママのお怒りもいか程の事か!!」

「そうよ!怒りと空腹でこの国を潰しかねない状態なの!!ユンア!準備は出来てる!?」

 

「はい!それとホールケーキアイランドからコック達31名が、控室に全員揃っています!!」

 

 

「新婦であるプリン様こそ、今日一番の被害者だというのに…!!」

 

「任せて!!王女にこの国を壊させたりしない!!」

 

「「プリンさま~~~!!」」

 

「さあ!お二人共!!調理はこの建物で!!」

 シフォンは絨毯と一緒に建物の中に入っていった。

 

 

「ユンア」

「わかってます、プリン様!!一人づつ控室から調理室に入っていただきますね!!」

 

 ・

 ・

 ・

 

「おい、降りる」

 サンジが絨毯の中から飛び出した。

 

「ふー」

 

「ごうろうさま」

「時間がもったいねェんで、包まりつつウェディングケーキの設計図を描いといた」

「!覚えてるの!?」

 

「だいたいな!」

 

「え!?形ならまだしも、なぜ素材までわかるの!?」

 シフォンはその設計図を見て驚いた

 

「香りで」

「!!」

 

 

 

「さァ急いで!!一刻を争うわ!!」

 

「うおほー!!コック姿のプリンちゃんもまたカワイイなー!!」

「うーん…」

 サンジの言葉にプリンがノックアウトを喰らってしまう。

 鼻血まで出して、まぁ…

 

「プリン様!いかがなさいました!?」

 コックたちが心配して駆け寄る。

 

  ― ゴンッ!! ―

 

「いでェ!!」

 ユンアはとりあえず、サンジを殴っといた。

 

 サンジあんた!自分の事を好きな娘と相対した事ないの?

 

 …ないか…

 

 

「先輩!早く手順を教えてくださいな!!」

「!!…ユンアちゃんも!!?」

 

「頑張りましょう!!旦那様!!」

「?」

 

 コック達の記憶から事件は抜かれていた。プリンがそれをサンジに伝える

 

「成程ね」

 

 

 

「こ!!…この設計図とレシピは一体誰が!?」

「間違いがあったら言ってくれ」

 

「旦那様!!あんたがコレを!!?」

「完璧だよ!!シュトロイゼン様が1週間かけて考えた隠し味まであってる!!」

「腕はいいと噂には聞いていたが、すげーなアンタ!!」

 

「そして、くしくもこのケーキ作りが夫婦として初めての共同作業になるわけですな!」

 

「そうなるな~っ照れる~~!!」

「!!!」

 照れるサンジのとなりでプリンが顔から火を吹いて倒れた

 

「どうなさいました?奥様」

「お…おくさ…」

 

「やめたげて!!死ぬっ!!」

 

 

「プリン~!!あなたが考えたシナリオでしょう?」

「だ…だってェ~!!」

 プリンを抱き起してユンアが声をかける。プリンは顔を真っ赤にしながらユンアにもたれかかった。

 

「急遽、揃えてくれ!!均質化なしのミルク・甜菜・バナナ・ブラックセサミ・きな粉にヨーグルト!大量にな!」

「は!!」

 

「ミルクとヨーグルトはそこの冷蔵庫!!それ以外は右から2番目の棚にあるわ!!」

「!!?」

 ユンアは既に準備万端整えていた。

 ウエディングケーキの材料はすべてココにそろっているのだ。

 

「材料は全て揃っているはずよ!足りないものがあったら言って頂戴!すぐにそろえて見せるから!!」

 

「よし!!時間との勝負だ!!シフォンちゃんは巨大シフォンケーキを焼き上げるまで!プリンちゃんはチョコレートのテンパリングの全工程まで!それぞれ2時間40分で頼む!!そこでおれの『秘策』を投入する!!人を幸せの絶頂に導く『甘みの真骨頂』をみせてやる!!」

 

「あ…『甘みの真骨頂』…!?」

 

「3時間後に出航し、クールダウンを含め船上でデコレーション!!サニー号と落ち合うまでに『最高のケーキ』を完成させる!!」

「成程…無駄がないわね」

 

「…しかしそんな速度で!」

 

「やるのよ!!!ママに国を破壊されたいの!?」

「申し訳ございません!!ついてゆきます!!」

 

「ユンアちゃんは…デザート造りは?」

「一応、お店(バラティエ)では主にパティシエを任せてもらってました!」

「!!?」

 サンジが驚愕の表情を浮かべる

 

「あのジジイが…!デザートを他人に任せたのか!!?」

 

「シュトロイゼン様が言っておられました。ユンアさんのデザートは自分に勝るとも劣らないと!!それに彼女はシュトロイゼン様以外では唯一我々を統率出来るお方!!」

「!!?」

 コック達が口を揃えて叫ぶ

 

「そうか…じゃあ!ユンアちゃんはコック達の指揮、監督を頼む!!」

「わかりました!!」

 

「よし…!!調理開始だ!!!」

 

 

 

 

  ― 鏡世界 ―

 

「生きてたのかぺロス兄」

『くくく!!かろうじでな!!今ママと一緒に船を追ってる!しぶとく逃げてやがる!!』

「状況はわかった」

 

『何ともくだらねェ最後だったよ!ペドロの奴はよ!!オイ!聞いてるのか麦わらァ!!』

「…!!!」

 

「……おい、ブリュレ」

 

「フガ…!? ああ…お兄ちゃん…!!」

「いつまで寝てる気だ!お前が寝てちゃあ兵達が移動できない!威勢よく船員達を守ったかと思えば、船長はこのザマだ…!!兵士が通れる鏡はなくても、矢くらい通る鏡はあるだろう?兵士を連れてって船に火でもつけて来い!まだ無事な様だ」

「!!」

 

「わかったわお兄ちゃん!」

 

「ブリュレ姉ちゃん!!麦わらの船に続く鏡が何枚かあったよ!!」

「よし行こう!!火事で慌てふためいてるところをママに叩き潰されたらいい!!ウィ~ウィッウィッ」

 

「…」

「なぜ落ち着いている?…お前を慌てさせようと思ったのだがな?」

 

「おめェ達は何もわかってねェんだ!!船にはエルが居た(・・)!!」

「…あの女が何だと言うんだ?…!!…居た?」

 

「どうでもいいだろ!!おれはおめェと一騎打ちをするためにココに来たんだ!!」

「!!」

 

  ― ゴォッ!! ―

 

  ― チッ!! ―

 

 ルフィの拳がカタクリの頬をかすめた!!」

 

「当たった!!」

「…バカな!?」

 スピードがさらに上がっただと!!?

 

  ― ドカン!! ―

 

「ウブッ!!!」

 

 ルフィとカタクリの戦闘が再開された。状況は特に変化しているようには見えない。

 

 しかし…

 

「…」

 体力の消耗は激しいはずのルフィが自分と互角(?)に戦い続けている!!

 その事がカタクリを驚かせていた!!

 

 普通であれば体力の消耗に従って、戦況はさらにおれに傾くはずだが…?

 

 つまりなんだ?

 ヤツはまさか…!この短時間でさらに成長しているとでもいうのか?

 

 

 

 

「火矢を放て!!」

「ウィッウィッウィッ!!」

「アハハハ…はァ?」

 

「どういう事だ?鏡を抜けたとたんに火が消える??」

「…」

 

  ― パリン!! ―

 

「きゃあ割れた!!」

「わ!!」

 

「姉さん急に鏡が!!」

 

「……」

 

『こちらぺロスペロー!!おいカタクリ!こっちは全部片付いたぞ!!』

「…」

 

「…そうか!!火が消えた理由がわかったよ!!海に沈んだみたいだね」

「そうか!!鏡が割れたのもそのせいかもね!!」

「……」

 

「あれ?ブリュレ姉さんは?」

「「!!?」」

 

「おい!ルフィ!話があるから敵から離れてくれ!」

「!」

 ヒソヒソとルフィの胸ポケットから声がした。

 

「おい!”麦わら”が!!」

 ルフィは誰もいない方へと走り出した。

 

「チョッパー!!お前ら無事なのか!?」

『うん!』

『全員無事だよルフィ!!』

 

「…?」

 

「何があった!?サニー号は沈んだってアメ男が!!」

 

『沈むと思ったよ!おれ達も!!だけどジンベエがすごくてよー!』

「…!!」

 

『ルフィさん!!エルさんの指示で船の鏡は全部割りましたよ!!』

「そうか!よかった」

 

『― これでこっちには敵の攻撃は届きません!!あなたも帰って来れません!!』

「ああ!いいんだそれで!!おれは何とかすっから!!」

 

『なんとかなるわけないでしょ!?策もないくせに!!聞いてルフィ!!サンジ君達が今ケーキを作ってる「カカオ島」に私達は向かってる!!到着は最速で10時間後!深夜1時頃よ! いい?そいつをぶっ飛ばしたら「カカオ島」に続く鏡を探して!!そこで落ち合いましょう!!』

 

 カタクリが近づく…!ルフィの足元にモチが流れ込んで来た。

 

「!!」

 

『ルフィ?』

 

  ― ドッ!! ―

 

 モチに足を取られたルフィの腹にカタクリの蹴りが入る!

 

「!!!」

 

 この男は…いずれ必ず!!『ビッグ・マム海賊団』の脅威になる!!

 

  ― ボカァン!! ―

 

  ― ガシャン!! ―

 

「…!!」

『ルフィ?何かあった?』

 

「い…急いで来いよお前ら!!さっさと着いて…待ちくたびれそうだ!!」

『『おう!!』』

 

「後でな!!」

 

  ― パリン ―

 

「『こんな所で死ぬ気はねェ』とお前は言うが」

「…!!」

 

「遺言はそのくらいでいいか?」

「…!!こんな所で死ぬ気はねェよ!!!」

 

 

 

 

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