エースが17歳の誕生日を迎える少し前…。エースが私に言った。
「なぁイオリ。おまえの能力で準備してるモノ、小さくしておいてくれねえェか?ジジイに見つかると、とんでもねェ事になりそうだからよ。」
エースがこんな事を言うのには
サボが居た頃からだけど、ルフィ以外は海に叩き込まれる事もしばしば。
(ほんとにふざけんなよ!あのバカ!!)
私は海の呪いを半分?克服しているので溺れない為、悪魔の実の事はバレていない。
「見つかったら即、海軍行き確定だものね?」
きっとガープの事だから、見つかったら強制的に連れていかれて海兵にされちゃうと思う。
抜け出して海賊に…。という事も出来るかもしれないけど、一度海兵にされたら最後。何度でも連れ戻されることは間違いない。
そんな状態になったら仲間なんて集められなくなると思う。
いくら無法者と言われる海賊(予備軍含む)だって英雄ガープに睨まれたくなんてないものね。
「だよなぁ…。ところで、おまえはどうすんだよ?ルフィと行くならおまえが17になってから1年以上あんだろ?」
「えっ!?私は対象外でしょ?」
「いや、ジジイはおまえを一番見込んでるみてェだぞ?海軍の参謀おつるとかが欲しがってるとか聞いたぜ?」
「うわっ、マジかァ!…それはまずいわね。しょうがない。17になったらガープが来るときは姿をくらます事にするわ。」
「おまえの見聞色はすげえもんな!」
この発言でご理解いただけるだろうか?エースも覇気が使えるようになっている。
見聞色は苦手と言っているけど、(将来の)ルフィと同じく3種ともバランスよく使える感じだ。見聞色については基礎的な事を出会った当時から訓練の中で教えていた。だからサボもある程度発現していた。
武装色の訓練を始めたのはエースが15歳になってから。見聞色はともかく、武装色は体が出来上がっていないとうまく使えないからだ。
私?いやだって私はほら、0歳児時点で四皇並みだったから。
覇王色は持っている人が少ないという事らしいけど、私はそれは間違いだと思っている。
たぶん発現率が低いというだけで、誰もが持っているモノなんじゃないかな?
だって『威圧』だし。
なんとなくだけどサボも少しだけ発現していた様に思われる。
原作通り革命軍に入っていたら、ドラゴンに鍛えてもらえるんじゃないかと思っている。
ちなみに、六式は兄弟盃後に披露して興味のあるものを教えた。
サボは一通り訓練方法を学び、エースとルフィは剃が使えるようになっている。
月歩については訓練の後半で水の上を走る為、そこでルフィは脱落。まぁ、何かのきっかけで出来るようになると思う。ギア4で使ってたし。
鉄塊はよくわからなかったみたい。まぁ普通じゃ考えられない事をするからね。一応いろいろ調べてみたんだけど、筋肉を異常圧縮させて硬度を増す的な事らしい。
あれ?それだと黒くなる理由が不明なんだけど?武装色かと思ったけれどそれは違うとの事。
なので、私の鉄塊は本物とは違うかも知れない。私の場合、体が黒くなるのは炭素硬化である。要するに生命帰還に属する技術だと考えていいと思う。
生命帰還については、体の隅々まで意識を巡らせ、細胞一つ一つまで感じ取れるようになって初めて使える技術だ。と言ったら、3人は早々にあきらめていた。
いやぁ~君たちなら出来るようになったと思うけどね?なにせガープにジャングルに何度も放り込まれまくったんだから。
(あのバカ、私まで一緒に放り込みやがった。しんじらんねぇ!!)
使えるようになれば、ある程度のケガとか病気なら自分で治せるようになるんだけどなぁ…
あ~、病気に関しては言っても無駄か。みんなしてバカみたいに丈夫だからね。
尚、私が透視と見聞色と生命帰還を組み合わせて使うと他人の体にも生命帰還の効果が出せる事が分かっている。
これは、ルフィが一人で猛獣にアタックして、大けがを負った際に確認済みだ。
エースとルフィに感謝されたけど、『イオリがいれば、大ケガしても大丈夫だ』とか抜かしやがったので、しこたま叱ってぶん殴ってやった。
その時のケガが、猛獣にやられたものより重傷だったのは内緒である。
出発の前夜、私はルフィが眠ってからエースとちょっと話をした。
既に、テンガロンハットは私とルフィからの選別として渡してある。
なぜルフィが寝てからなのか?
まぁ別に起きててもいいんだけど、説明するのが面倒だからね。
「ちょっとこれを持ってってくれない?」
私が渡したのは、小さな封筒が2つ。中身はそれぞれ……。
「何だこりゃ? 爪か?」
そう、私とルフィの爪である。
「エースは、ビブルカードって知ってる?」
聞くと、エースはキョトンとした顔になった。やっぱりまだ知らないよね。
でも、私は貴族で、偉大なる航路から来た事にしているので、その存在を知っていても不思議じゃない。厳密に言えば新世界の技術だから、知らない貴族もいるだろうけど、その辺は口八丁でごまかせる。
「グランドラインの後半、新世界と呼ばれる海にある技術みたいなの。別名『命の紙』。爪を混ぜ込んで作る紙で、その爪の持ち主の現在地や生命力を教えてくれるんだって。」
かなりおおざっぱな説明だけど、あっているはず。作り方も実は知っているので、材料さえそろえれば作る事もできる。
「もしエースがそれを作る人に出会えたら、私たちの分も作っといて欲しいのよ。」
「別にいいけど、作ったところで渡せねぇぞ?」
まぁ、そう言うだろうとは思ってたけどね。
そもそも何でエースに作ってもらおうとしてるかというと、原作通りに進むのならば、エースは私たちを探すだろうからだ。
その時、私たちのビブルカードを持っていたら、出会える確率が増すのではないか?と考えたわけ。
私というイレギュラーが居る以上、原作通りの時間軸で動くかどうかわからない。
原作では、アラバスタでエースはルフィを10日間だけ待つと言っていた。そして、ドラム王国に到着したのは1週間違いだった。
ビブルカードがあれば、場合によってはドラムでの再会も無くはない。
原作通りだったら無理だけどね…。エースは食い逃げしてばっかだから1つ所に長くは留まれないと思うから。
そういえば、よくも10日待つとか言えたなエース。アラバスタは店が多いって知ってたのかな?
まぁいいや。
「いいわよ別に。会えたら渡してくれればいいんだから。それまでの間はエースが持っててくれれば、私たちの生存確認に使えるでしょ?会えなかったら自分たちで作るわよ。」
正直、ビブルカードがあったからと言って、なにかお得な事があるわけではない。あれば便利くらいの認識だ。
どこぞの迷子剣士に渡したところで、どうにもならない気がするもの。
エースは納得はしてくれたらしく、封筒を荷物の中に仕舞った。
「にしてもお前、自分のはともかく、ルフィの爪なんていつ手に入れたんだ?」
「この前、爪切ってあげたのよ。あの子、ナイフ使うのヘタだから、よくケガするのよね。」
「過保護過ぎだろ!爪切るくらい自分でやらせろよ!!」
「この為に切ってあげたの!いつもやってあげてるわけじゃないわよ?ケガの手当はしてるけどね。」
「…なら…いいけどよ…」
おやおや?なにその、拗ねてる感じ。
「なによ。エースも爪切ってほしいの?」
「うっせぇよ!」
照れちゃってまぁ…かわいいわねェ。
翌日…
ルフィ、私、ダダン一家、マキノさん、フーシャ村の村長ウープさん、という面々に見送られ、エースは旅立って行った。
ちなみに、見送りにはダダン一家は来ていても、ダダン本人は居なかった。本人は家で不貞腐れてるみたい。
「チッ。ガープにどやされるのはアタシなんだよ!」
「また、そんな憎まれ口叩いて。」
「うるせぇよ!!」
目に涙を溜めた状態で怒鳴られてもねぇ…。これは、あと一押ししたらダムが決壊しそうね。
「大丈夫でしょ?エースをダダンに押し付けたのがまさにそのガープなんだから。結局はアイツの自業自得よ!」
ダダンの自棄酒に付き合いながら、私はそう言った。
ちなみに私もご相伴にあずかってます。
何気にダダンの家にあるお酒っておいしいのよ。別に高いお酒じゃないのよ?樽で買ってるみたいだし。
知り合いに造り酒屋さんがいるらしく、安く売ってもらってるんだって。
時々分けてもらって家でも飲んでました。エースもたまに一緒に。ルフィはジュースの方がいいみたいだけど。
エースよりも私のほうが酒に強いというのはここだけの話。
「お頭、エースからの伝言だ」
何となく目の据わってきたダダンに声を掛けたヤツがいた。
「なんだい、アイツは最後まで人をバカにする気かい?」
そんなわけないでしょう? ほら、メッセンジャーも苦笑してるわよ?
「『世話になった、ありがとな』、だそうですぜ」
来ました、最後の一押し。
それを聞いて、ダダンのダムは決壊した。
「うっぜーよ、あんのクソガキャーーー!!」
ブワッと溢れ出す涙。ダダンのその様子にルフィが腹を抱えて笑い出した。
結局その後はそのまま宴会になった。エースのお別れ会みたいな感じ?
本人がもう行った後だというのになんだかなぁ…
結局は、寂しいのは残った者達の方ってことかしら?
我らが義兄、エースの冒険が、今日始まったのだった。