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いろいろな考察があるようですが、
この物語の中では、エレジアは東の海にあります。
凪の海域の近くで、場所的に言うと
ウォーターセブンと魔の三角地帯の中間あたりに設定しています。
この物語の中であの映画のようなことは起こりません。
(解決しちゃうので…)
「ウタはどうしてるかな?」
「…知らねェ。」
エースが船出して、ここに残るはルフィと私だけ。
試合が無くなり、ルフィの訓練は私との組手と、私が技を見てあげるという状態になっている。
ゴムゴムの技は、だいぶ形にはなってきたけど、未だうまくいくのは1割程度。
でもまぁ、威力はかなり増している。
めっちゃ強度は低いけどCP0と同じ訓練を行っている。限界になってからが本当の訓練的な?
で、訓練の休憩中に、雑談的な感じの会話がさっきのやりとり。
「どういう事?」
「あいつ…いきなりシャンクスの船、降りてたんだ。」
「え?」
ルフィに聞いた。
赤髪海賊団が航海を終えて帰って来た時、いくら待ってもウタが船から降りてこなかった。と…
ウタは、歌手になる為に船を降りたと…
「それって、いつの事か覚えてる?」
ルフィに聞くと、私がウタと友達になった次の航海だったらしい。
検索してみると、エレジアの記事が見つかった。
世間ではほとんど騒がれていない。恐らく騒いだのは王族くらいなのだろう。
国が滅んだのだから当然だ。ただし…
全員(?)死んでいる為、箝口令を敷くまでもなく情報が拡散しなかっただけの話だ。
新聞には載っていた。とても小さな記事だったけれど…
『赤髪海賊団の略奪行為により、音楽の都エレジア滅ぶ』
詳細な情報はほとんど書かれていない。
海軍が到着した時には海賊船が彼方に見えるだけで、生存者はいなかったとの情報のみだ。
不思議な事だよ。
略奪って何を?
生存者がいなかったと書かれているのに誰がそれを見ていたの?情報源は?
いいかげんな記事だ。
しかも海軍だって、生存者の確認なんてしてないだろうに…
「エレジアってどこだか知ってる?」
「知らねェ…」
なんも知らねェのかい!こいつは…
おまえ、ウタと友達だったんだろ?いなくなっちゃんたんだろ?
なんで気にならないかなぁ…
”エレジアは東の海にあります。凪の海域の近くで、場所的に言うとウォーターセブンと魔の三角地帯の中間あたりです。”
エイタは優秀だねぇ…
「私はシャンクスに言ったんだよ。『途中で放り出したりしたら許さないから!』ってね…」
「…」
タイミング的にルフィは聞いてない。
けれどそれが、私とシャンクスの『約束』だという事は理解したらしい。
真剣な目を私に向けていたから。
知ってたよ?こうなるだろうとわかってたよ?だからって許してやる気はないけどね!
いや、マジで。すっごくあったまきちゃってます私!
まったく、この世界の大人どもはよぉ…なんでそういう事するかな?
《エイタ、カザマに指示して…》
”はい。レッドフォース号を探させます。それと、エレジアにはウタとゴードンの二人だけです。例の映像電伝虫の場所も確認済です。”
《…うん、ありがと。》
いや、そこまで先回りして答えてくれなくても…。驚いて、少し怒りが冷めちゃったわ。
~ ~ ~ ~ ~
― パチバチパチ… ―
ウタの歌が終わると、誰も居ないと思っていた海岸に拍手が響いた。
「!」
ウタが毎日、海岸まで足を運んでいる事も知っている。思い出の歌を口ずさんでいる事も…
少しだけ安心している私もいる。歌う事すら忘れてしまっていたら、それこそ救いようがなくなってしまうから…
「ごめんね。驚かせちゃった?」
ウタがボーっとした目で私を見つめている。
「相変わらず、歌がうまいのね。聞き入っちゃったわ!」
ウタの目から涙が溢れ出す。
「ありがとう…」
「フフ…久しぶりね、ウタ。覚えててくれてうれしいわ」
出会った時と同じシチュエーションを演出してみた。髪も長くなったので私とわからないと困るから。
「イオリ!」
「ごめんね。私、知らなかったの(ウソ)。もっと早くに来れればよかった…」
抱きついてきたウタを受け止め謝った。ウタが首を振っているのが分かる。
あと1年くらいなら早く来れたのではないか?後悔している私が居た。
全員がバタバタしていたので、手が回らなかったという事もある。言い訳でしかないけれど。
でも、まさか…こんなにやつれているなんて…。
しばらく、ウタが泣き止むのを待った。
「どうしてここに?」
「ルフィに聞いたの。あなたがシャンクスの船を降りたって。いつの事かを聞いたら、時期的にエレジアの事件と重なったから、ここだと思ったのよ。」
「…知ってるんだ…」
「7年前の新聞に小さく載ってた。『赤髪海賊団の略奪行為により、音楽の都エレジア滅ぶ』ってね?」
「…」
「でも、おかしな話なのよ。ルフィの話だと、あなたは歌手になる為にシャンクスの船から降りたそうよ?」
「えっ!?ちがうよ!!私、シャンクスの船を降りたいなんて思った事ないもの!私は…」
「シャンクスに置いて行かれた。そうでしょ?」
「…うん」
私は長いため息を吐いた。既に例の映像電伝虫は回収済み。映像も見た。
この映像を数年後のウタが見たらと思うと胸が張り裂けそうだった。
なんの知識も与えられずにコレを見たなら…そりゃ壊れるよ。
「ところで、ウタはここに一人で暮らしてるの?」
「ううん…、ゴードンっていう、元はこの国の王様と一緒に暮らしてる。」
「なるほど。その人がニュースソースって事か。」
「え?」
「新聞記事の事よ。気になってたの。国民が全員死んだって書いてあったのに赤髪海賊団の仕業とも書いてあったから。誰かがそれを伝えたはずだと思ってた。それがそのゴードンって人なんだろうって納得したのよ。」
「…」
「この気配がそうか…。ウタ。私、その人と話があるから先に行くわね!ゆっくり戻ってきて頂戴!」
「えっ!?あ…」
ウタが何か言いたげだったけれど、聞かせたくない話をするので、私は
~ ~ ~ ~ ~
ゴードンは住居の近くの畑に居た。滅んだ国で何年も暮らしていたのだ。当然食料は自給自足だろうとは思っていたけど、元王族が畑仕事とは。
確か、ウタの身の回りの世話も、この人がずっと一人で行っていたのだろう。そう思うと頭が下がるけどね。うん、ある意味私の
救済を求めるとか考えなかったのかね?まぁ、ウタと引き離されるのを恐れたというのもあるかも知れない。
そうするとシャンクスとの約束を守れなくなるってか?
いや、守れないでしょう。この状況じゃ。
「こんにちは。」
「!!?」
ゴードンは私の声に驚いて振り向いた。ウタ以外の声をもう何年も聞いていないのかな?
私の顔を見た途端、当惑の表情を浮かべた。
まぁね。髪は長いけど、基本シャンクス似ですから…
「…君は?」
「始めまして。私はウタの友達で、イオリと言います。ゴードンさんですね?」
「あ、ああ…そうだが、君は…」
「質問は後にして!あなた
私はゴードンに向かって言い放つ。
「ッ!?」
「あなた達がなにを考えてその選択を選んだのかは理解できるわ。でもその選択は間違いだったようね?」
「な、なにを言っている?まさか……いや、しかし…」
「じゃあ何?さっき海岸であの娘に会ったの。まるで魂が抜けたかのようにやつれてた。いまの彼女の姿があなた達の望んでいたものなわけ?」
「そ、それは……だが…」
「真実を告げない事が、必ずしもあの娘のためになるわけじゃない。一緒に暮らしていたあなたがそれに気づかないわけないでしょう?」
私の言葉にゴードンは酷く狼狽えた。どうして大人たちは真実を隠そうとするのだろうか?
リンリンの件に関してもそうだ。その場で話すかどうかはともかく、隠し通す事は必ずしも正解ではない。
そもそもゴードンはウタと暮らしていたのだ。
それで黙っているというのはウタの為を思って…という事ではないと思う。
そこに、ウタが到着する。走って来たのか、息が荒い。
「ゴードン!イオリ!!」
「う、ウタ…」
ゴードンは狼狽えた表情のままウタを見た。
何かを言い淀むゴードンだったが、私は構わずこれからシャンクスの所へ行くと告げた。
「イオリ、シャンクスのところへ行くの?」
「ええ、約束を果たしにね。」
「約束?」
「ウタも居たわよね?私は彼に言ったわ!『途中で放り出したら許さない』って…」
ウタは何か悩んでいるように見えた。
「一緒に行く?」
「え?」
「あなたは何を悩んでいるの?シャンクスに聞きたい事があるんでしょう?その人が答えてくれない事について…」
「「!!?」」
驚いたのはウタだけではなかった。ゴードンが私に向けた目が驚きに満ちている。
「ウタが行くならあなたも行くわよね?大人たちが勝手に決めた事ですもの。きっちり責任はとってもらわないとね。」
「どういう事?」
「私が答える事は出来ないわ。その時その場に居なかったんですもの。何が起こったのか正確にはわからないから。ただ、これだけなら断言できる。7年前エレジアを壊滅させたのは、赤髪海賊団じゃないわ!」
あの映像電伝虫の映像はまさに衝撃映像だよ。
そりゃあ被害者からすれば、責任を誰かに押し付けたい気持ちは分かる。わかるけど…
これは断じてウタの
「うそっ…だって…」
「直接本人に聞いてみたら?知りたくないなら別にいいけど。」
ウタはチラリとゴードンを見た。ゴードンは全てを諦めたかのような、それでいて何かから解放されてほっとしたような表情で軽く頷いた。ウタに判断を任せるように…
ウタがこちらに視線を向ける。もう決心は固まったようだった。
「イオリ!私をシャンクスのところに連れて行って!!私、ほんとの事が知りたいの!!シャンクス達の事、嫌いになりたくないから!!」
「いいわよ?それじゃあ、これに入ってもらうから。」
「えっ!…こ、これに!!?」
当惑した顔を見せるウタ。そういえば私の能力については教えてなかったっけ…。
私が取り出したのは、両手で持てる程度の透明なカプセルだ。
そう、これは、ユナがリリスを入れて運んでいるものと同じもの。
ウタとゴードンを小さくしてカプセルに入れる。
二人ともすごく驚いた顔を見せたが、私がウタと同じ悪魔の実の能力者だと知って納得してくれた。
瞬間移動は使えないので、剃刀での移動を選択。
腕輪を外せばすぐにでも着ける距離だ。
さて、四皇をこらしめに行きますか!!