イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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 ユナの会社、F-RONPの一コマ。
 その2です。






閑話:F-RONPでの出来事②

 ~ 間に合わない! ~

 

 これは、ある日の出来事だ。

 

 納期に間に合わない。政府に提出しなければならない書類が出来ていない。

 既に20時を過ぎている。

 1週間前から準備していたはずなのに…明日の朝には発送しなければ間に合わないのに、全体の3割程度しか終わっていない。部署のメンバー全員で手分けしてやっても明日の朝には間に合わないかもしれない…。

 部署の人員は5人。定時まではあと3人ほど居るのだが、残業できない者もいる。

 

「手伝いますよ!」

 突然、地味な感じの服装の女子が現れた。これまた地味なメガネをかけて。

 その女性は出張者用の机に座ったかと思うと、ものすごい勢いで積みあがった書類を次々と処理していく。

 

「何、あの子…」

「いいから、おれらも手を動かそう!!」

 突然現れた手助け女子に驚きながらも、なぜか全員やる気を出して、書類の処理に臨んでいた。

 

 日が変わる頃、書類は全て出来あがってしまった。

 あの娘が来てから4時間ほどしか過っていない。およそ半分の量を”あの娘”が作成していた。しかも…

 

「あれ?あの子は?」

 出張者用の机には、他の者の机と比べ、およそ5倍の量の書類が置かれていた。

 出来上がった書類も一緒に置かれていた。その量も同様に5倍以上と言えるだろう。

 

「とりあえず、手分けして書類の確認しよう!!」

 出来上がるかどうかも微妙だったので、不備があってもいたしかたなし。と考えていたのだが、出来上がったのならば確認してから送る方がいいだろう。

 確認作業は朝まで続いた。そして…

 

 全員が仮眠をとっている間に、誰かが来ていた。

 

「問題ないみたいだから、発送しておいてね?」

 

 その声にみんなが飛び起きた。

 

「えっ…か、会長!!?」

「?何よ。昨日一緒に仕事したでしょう?」

 

「「はい??」」

 

「今朝発送するはずの書類が出来てないって聞いたから、確認も兼ねて手伝いに来たのよ。あれ?…私だって気づいてなかったの?」

「いやだって…めっちゃ地味だったもので…」

 全員が、うんうんと、首を縦に振って肯定の意を示す。

 

 それに対する、会長ユナの反応は、実に可愛く、口を尖らせてのものだった。

 

「だって…、普段は目立ちたくないんだもの…」

 地味な服装ですけど、一応すべて高級素材の品ですが、何か?

 

「「あ~、ね~!」」

 会社に勤めるほとんどの者が知っている。

 ウタとの共演が、会長の私生活に、劇的な変化をもたらした事を…

 

 非公認のファンクラブがとんでもない事になっているらしい。

 会員数が激増しているとの事だ。

 

 既に、役員会では、ユナを会社の広告塔として、幅広く活用する事が決定している。

 非公認とはいえ、もともとファンクラブがあったので、ある程度は露出があったが、ここまでとなると、さすがに普段は目立ちたくないというのもうなずける。

 

 だがしかし、ファンクラブの会員は、何も社外だけにとどまらない。

 社員の1/3が会員ではないか?との話もある。

 

 実際、この部屋にいる5人の中にも二人の会員がおり、

 《ラッキー!得した!!》

 《メッチャレアな表情ゲットした!!》

 机の下で、腕だけのガッツポーズを決めていた。

 

 

 う~ん、この会社…大丈夫かな?

 

 

 

 

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