イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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クラスター・ジャドウさん、 誤字報告ありがとうございます。


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 東の海編からしばらくの間、
 『麦わらの副船長』のマネっこ!
 な部分が多々あります。






02-東の海編
02-40話:コビーとの出会い


 ルフィが冒険を開始して最初に遭遇する危機は何か?

 

 そう、大渦である。

 

 原作ルフィのセリフ『遭難って事になるのかな?』

 そりゃそうでしょうね。こんな大渦にのまれたとしたらね?

 

 当然避けましたよ。普通に航海術を学んでいれば、東の海で誰が遭難しますか?

 って事なんだよたぶん…。

 

 私は突然、大渦が出現したものだと思ってたんだけど、遠くからでも普通に見えたじゃん。

 あれにのまれるのは油断してるか、わざとだよ!!

 バカだろ原作ルフィ!!寝てたんじゃねぇのか?

 

「危なかったなぁ~。やっぱりイオリが居ると安心だな!」

「…」

 危なかったなぁ~…じゃねぇよバカ!!

 でもまぁ、帆の無い小船だったら渦に引きずり込まれたかもね?

 ルフィはオール漕ぐのもへたくそだし…。

 

 この船が大渦を避けられたのは、私がちゃんと周りを見ていて、大渦を見つけた時点で進路を変更した事が大きい。

 まっすぐ進んでいたら、大渦インだったからね。

 でもまぁ、進路をちゃんと見るのは、航海の基本。私一人だったら、小舟でも回避できたと思う。

 そもそも私一人だったら、船で航海なんてしなけど…。

 

 念の為、樽は用意していた。中にいろいろ詰め込んでます。蓋をすれば水が入ってこない設計にしている。

 まあそのうち使う機会もあるでしょう。ないか…

 問題と思われるのは、コビーに会えなくなるかも?という事だったけれど、それは大丈夫!

 東の海の海図はちゃんと調べておいたので、エイタで確認できる。

 

 ちなみにアルビダの気配と思われるものは、既に捉えていたりする。その周りにある30人ほどの気配も一緒に。

 そのうち一番小さい気配がコビーなのだろう。

 ってかこの子…数ヶ月の間にどんだけ成長すんの?

 

 そして、私が操る船は、アルビダの停泊地へと到着した。ちなみにルフィは寝てやがる。

 この島に寄る理由。それは単なる休憩です。

 ただし、海賊船を見つけたので、宝を奪おうとも思っています。

 

 さて。どうやって、コビーと遭遇しようかな?

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「ついたわよルフィ!」

「あーっ!!よく寝たーっ!!」

 静かに声をかけたのに、思いっきり大声で伸びをしながら叫ぶルフィ。KYっぷりはまさにガープ譲りだ。

 

「うっさい!!」

「いでっ!!なんで殴んだよ!!」

 

「あの~…」

「「…」」

 

「覇気込めてないんだから痛くないでしょ!まったく…ほんとに何もしないんだもの!」

「だって、手伝わねェほうがやりやすいって、お前が言ったんじゃねェか!!」

「そうは言ったけど、操船以外にもやる事はあるでしょ?釣りとかして食料調達しようとか、少しは考えなさいよ!」

 

 -ポン!-

 

 ルフィが手のひらを、拳で叩いて音が鳴る。

 

「そっか、釣りしてりゃよかったのか!!」

 

「あの~!!」

「「……」」

 

「で、ここ何処だ?」

「大渦避けた後、島を見つけたら休憩に寄るって言ったでしょ?あんたは寝てたから見てないでしょうけど、海賊船が停泊してたからアジトかなんかじゃない?」

「海賊のアジトか~!」

 

なんで無視するんですか!!聞いてくださいよ!!あの~!!ってさっきから何度も言ってるじゃないですか!!」

 あ、コビーキレた?

 

「「誰?」」

「あ、あなたたちこそ誰なんですか…?」

 

 コビーに言われ、私たちは顔を見合わせた。

 ニッと笑って、ルフィが名乗りを上げる。

 

「おれはモンキー・D・ルフィ、海賊だ!」

「…は?」

 

 ルフィが海賊だと名乗ると、コビーが驚いたような顔をした。船に海賊旗を(かか)げてないからかな?

 私たちを何者だと思っていたんだろう? 別に、どうでもいいから聞かんけど…。

 とりあえず私も名乗りますか。それとコビーにも名乗ってもらわないとダメよね?

 

「私はイオリ。なんかコイツの副船長にされちゃったの。ところで君ねェ、声をかけて来たのはそっちなんだから、本来あなたが先に自己紹介すべきだと思うけど?」

 

「!!す、すみません。ぼくはコビーといいます。ここは海賊”金棒のアルビダ”様の休息地です。ぼくはその海賊船の雑用係をしています。」

「どうでもいいけどな、そんなの」

 

 私が言うと、聞いてもいないのに、この場所についても教えてくれた。なのにルフィの反応が原作通りだ。

 海賊船の雑用係とか言われたら、確かにどうでもいいか…

 いや、どうでもよくないわ!なんでコビーがここに居るのか、ちゃんと聞かないと!!

 

「なんで雑用係がこんなところに居るのよ!海賊船は反対側の港にあったのに?」

 聞くと、コビーが答えてくれた。

 ひとりで便所掃除をしていたら、窓から私達の乗る船が見えたとの事。

 他の連中は、気づいていなかったみたいだけれど、気になったので、見つからないようにここに来た。

 という事らしい。

 

 うん。間違いなく気づかれてるね。

 そして、気づいた奴はコビーがコソコソと、ここに向かうのを見ていて…って流れかな?

 原作通り、賞金稼ぎとかなんとか言っているかはわからいけど、アルビダ含め、全員でここに押し寄せてくるって流れな気がする。

 まだ誰も、こっちに向かう気配はまったく感じませんが…。

 

「休息地って事は、やっぱりアジトか。海賊船も停泊していたし…。お宝持ってるかしら?」

 

「おう、いいな!じゃあいっちょ奪ってくっか!!」

 

 ぐるんぐるんと腕を回すルフィ。やる気満々だ。

 

「ダ、ダメですよっ!!何考えてるんですか!?相手はあの『金棒』のアルビダ様ですよっ!500万ベリーの賞金首!!ムリムリ、ぜ~ったい!ムリですっ!!」

 

 500万ベリーって…。うん、知ってたけどね?

 

 手配書は一通り持ってます。賞金稼ぎではないけれど、持ってた方がなにかと便利なのでね?

 ちなみにエースのもある。10億超えてました。

 見た時思った。うわぁ…やっべェ…。

 

 もうね…東の海は、すっ飛ばして偉大なる航路(グランドライン)に行きたいよ。

 東の海で集めるメンバーが主要メンバーじゃなかったら、飛ばしちゃいたいくらいだよ。

 航海士とコックは必須だったしなぁ…

 ウソップは狙撃手というより、ムードメーカーとして必要だし。

 ゾロは、それこそ副船長ポジなんだよ。

 あいつが要れば、締めるところは締めてくれるし、安心感があるのよねぇ…

 

 ゴメンねコビー。そういう事だから、アルビダの懸賞金は、しょぼ過ぎて、何て言ったらいいのか解んない。

 だって、あの山賊ヒグマが800万ベリーよ?あの、魚にあっさり食われた山賊が。それより低いってマジで?

 しかも『金棒』って…。ルフィとの相性最悪じゃない?

 

「だ~いじょうぶだって!おれたち強ぇし、なっ!」

 なぜそこで、私に同意を求めるかな?まぁ私も行くつもりだったけどさ。

 

「さっき言ってたでしょ?この子は今日から海賊やってるの。」

 そうなんです。あの船出は、ほんの半日前の話なんです。

 でもそっか~…ここから怒涛の勢いで冒険が進んでいくわけね。

 そういう意味ではルフィが眠っていたのは、正しい行動なのかもしれないわ。

 

 ちなみに、”この子は”…と言っているのは、私は海賊じゃないから!という意思表示です。

 ルフィに副船長にされた時点で、それは無理だとわかってる。単なる悪あがきですが、なにか?

 

「海賊は私たちの獲物!お宝はいただかないとね?」

 私はアルビダの海賊団から、お宝全部いただくつもりだ。たぶんそこそこ持ってるんじゃないかと思ってる。原作では、ごっつい指輪をいくつも付けてたし、本物ならあれだけでアルビダの懸賞金を軽く超えると思う。

 

 私たち今、無一文なんです。海賊貯金なんて、ちょっとしかなかったもの。

 エースが出航してから、3年しか経ってないのに、そんなに貯まりません。

 ただでさえルフィはお金稼ぐのヘタなんだし。

 時にはお金を騙し取られたことだってある。

 しかも私に言われるまで、騙されたことにすら気づいていなかった。

 

 もうね…基本的に素直でいい子なのよコイツ。

 わかってた。だからほっとけなかった。だからいろいろ準備した。

 その結果、他のしがらみまで、いろいろできてしまったから、ルフィと一緒に出るしかなかったのよねェ…。

 言い出したのは私だけど、二人の義兄(あに)が心配してたというのも大きい。

 

「なぁイオリ。そこにある棺桶みたいなのってなんだ?」

 ルフィが指さしたのは、そうまるで、棺桶のようなボロボロの舟…。たぶんコビーの作った舟だろう。

 それを見て私が思った事。

 よかった。大渦に飲まれなくて…

 

 まぁ、船が無くなってたら、アルビダの船から小舟を奪うけどね?

 絶望的カナヅチが一人いるので、絶対にこんな船には乗りたくない。

 アルビダの海賊船もあるけど、見た感じ…あれはないわ~…と思いました。

 さすがの私も恥ずかしくて乗れませんわ。ある意味、すごいと思うわアルビダさん。

 

「…ぼくの作った舟です…」

 コビーが言った。そして始まるコビーの身の上話。うん。知ってる。ツッコミ所満載です。

 

「どうやったら、釣りに行こうと思って、間違えて海賊船に乗るのよ。海賊旗見えなかったわけ?」

「お前、バッカだな~!」

 

 ルフィにバカって言われちゃった。なんかかわいそう…。

 しかも、根性無さそうだから嫌い!!って、追加の口撃まで食らってるし…

 でも、それは同感。根性は大事よ!根性っていうか根気ね。あきらめなければ大抵のことは出来る!

 たとえ人より時間がかかったとしても、根気よくあきらめずに続けていれば、同じところへたどり着けるのだ。

 

「お2人は、海賊なんですよね? なぜ海に出たんですか?」

 コビーに素朴な疑問を投げかけられ、待ってましたと言わんばかりの笑顔でルフィが答える。

 

「おれは海賊王になるんだ!」

 コビーが、顎が外れそうな顔で驚愕しているけど…?

 

「海賊王!? それはこの世の全てを手に入れた者のことですよ!? 『一つなぎの大秘宝(ワンピース)』を目指すってことなんですよ!? 世界中の海賊がそれを狙って航海してるんですよ!?」

 

「大丈夫よ。」

 コビーってば、興奮しすぎじゃない?倒れられても困るから少し落ち着かせないとね?

 

「この子は、やると言ったらやる子なの!!海賊王になると言ったら、なっちゃうんだから!!」

 

「なんという根拠の無い発言をっ!?」

 

 根拠はあるわよ?

 成長速度がめっちゃ早いし、覇王色持ちだし、万物の声を聞けるようになるし、周囲を”巻き込む”カリスマ性(?)がめちゃあるし。そして何より”ゴムゴムの実”を食べたからね!!

 

 って、今言っても誰も信じてくれないか。

 そもそも仲間が集まっても、この子の行動からそれを信じるのは、ちょっと…。って感じだものね?

 

 でも、落ち着かせようとしたのに、逆に興奮されちゃった。

 

「ムリですよ、ぜ~ったいムリですっ! この大海賊時代に海賊の頂点に立つなんて! できるわけないですよ! ……いたっ!!」

 ルフィがコビーの頭を殴ったのと、私がコビーに踵落としを食らわせたのは、ほぼ同時だった。

 妙な所で息が合ったわね、私たち。

 

「ど、どうして殴って蹴るんですか!?」

 

「「何となく!」」

 

 こんな所もハモりました。え、何で私もやったのかって?

 別にルフィの夢を否定された事にムカついたわけじゃない。

 人がやろうとすることに対して、頭からムリだと決めつけ、たとえ言葉だけであっても、邪魔する行為にムカついた。

 おそらくコビーは、私が世界最強を目指してると言ったら、それすら否定するだろう。

 やってみなきゃ、わかんねェだろうが!ムリだと諦めるのはそのあとだ!そもそも、諦めると決めるのも、おめェじゃねえよ!!

 

 って、コビー?あんた、殴られて蹴られたんだから、ここは怒るトコじゃないの?

 何をヘラヘラ笑ってるのさ。

 

「慣れてますから……」

 …ダメだこの子。私は自分の口から溜息がもれるのが解った。

 

「で?慣れてるからって受け入れるんだ。 手を出した私が言うのも何だけど、いつか死ぬよ?」

 明らかに、『呆れてます』と言わんばかりの口調に、流石にムッとしたんだろう。コビーは口を尖らせた。

 

「それを言ったら、お2人だってそうじゃないですか。海賊王だなんて、それこそ死にますよ!?」

 

「おれは、死んでもいいけどなぁ」

 ルフィが麦わら帽子を手に取って呟いた。

 

「おれが自分で決めたことだからな、そのために戦って死ぬならそれはそれでいい」

 清々しいほどキッパリとした宣言だけど。私の口からは、またも溜息が漏れていた。

 

「私はイヤよ?死ぬ気なんて無いからね!当然あんたらも死なせなわよ?そのためにずっと、鍛えてきたんだから!」

 あんたらとは勿論、エースもサボも含めてのことだ。むしろ、そっちの方が心配。私がルフィに負けじとキッパリ宣言したら、ルフィに笑われた。何がおかしいんだか…。

 

「死ぬ気になったら……」

 コビーがボソッと呟いた。って、泣いてるしこの子…

 

「ぼくでも、海兵になれるでしょうか?」

 なれると思うわよ?でも、海兵になるのが幸せかどうかはわからない。原作通りガープに連れていかれるならともかく、東の海だと、腐っちゃうかもしれないし。

 

「このまま雑用として、海賊に使われるぐらいなら、勇気を持って逃げて!!海兵になって、悪者を捕まえられるようになれるでしょうか?」

 う~ん、それは自分次第じゃないのかな?私たちに聞かれてもねェ…

 少し呆れて見てたら、コビーの瞳に力が宿った。

 

「やってやる…! そうしていつか、アルビダもこの手で捕まえて!」

 あれ、一気に目覚めた? うん、コビーって何気に頑張ってたもんね。

 3ヶ月程度であんだけ強くなれるんだから。ここでも頑張ってたら、アルビダぐらいは何とかできたんじゃないかな?

 でも残念。あんまりよろしくなさそうな気配が、たくさんこっちに集まってる。ってか、この距離だとさっきの言葉も、聞かれてたんじゃないのかな?

 

「コビー! 今テメェ何を言ったぁ!!」

 地面にぶつかれば、地響きがしそうな勢いで、金棒を振り下ろすいかついオバサン…基、アルビダが登場した。

 実物初めて見たけど… たしかにいかつい!

 

 けれど…。

 

 スベスベの実は余計なもの(肉?)を削ぎ落とすだけで、顔自体を変えるワケじゃない。

 そばかすが消えたのはラッキ―だったとはいえ、それ以外は単に痩せただけ…。

 要するに、この人は痩せれば美しくなるのよね?

 うん。アルビダの美しさに気付け無いなんて、私もまだまだね。

 

 それはさておき、金棒はコビーの頭に直撃コース。

 原作のように舟には向かっていない。なぜなら、そこにもう舟はないからだ。

 舟は、後でコビーに渡そうと思って、私が小さくして持っている。

 だって、必要ないじゃない?私たちの乗って来た船があるんだし…。

 

 たぶん殴られても死なないと思うけど、痛いだろうなとは思うので、コビーをかばってあげる事にした。何のことはない、左腕に鉄塊を掛けて受け止めただけの事だ。

 ガァン、金属同士がぶつかり合うような音が響いて、止められた金棒に、アルビダ以下全員が驚愕している。

 当然って顔をしているルフィ以外は、コビーも含めて全員がだ。

 そんなに驚く事かしら?

 

 さすが、懸賞金500万ベリーの海賊だ。

 武器の扱いがへったくそ!力まかせに振り回しているだけ。

 

 言っていい? 懸賞金、高くね?

 

「ルフィ!」

 攻撃を受け止めはしたけど、私は戦闘に参加する気はないのよね。

 もちろん、降りかかる火の粉は払いますけど…

 

「この人が、敵の頭みたいだけど…どうする?」

 

「勿論、ぶっ飛ばす!」

 

 だよね。そうこなくっちゃ!!

 

 さて。ルフィの海賊としての初戦闘。見せてもらいましょうかね?

 

 

 

 




 『東の海編』開始となりました。
 双子岬に向かうところあたりまでになります。
 楽しんでいただけたら幸いです。
 
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