イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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02-42話:シェルズタウン

 アルビダのアジトを出たのは夕刻。普通ならば、島で一泊してから出航するのだが、戦って勝ってしまった事もあり、流れ的にあの島はすぐに出た。

 一泊するとなると、あいつら全員を縛り上げ、安全を確保した上で…って事になるじゃない?

 めんどくさいし、なにより、それだったらそのまま海軍に渡しちゃえ!!

 って事にもなっちゃいそうだったので仕方なく…

 

 コビーが居てくれてよかった。航海中、ルフィは全く役に立たないからね。

 私一人で操船しなくちゃならなかったら、寝れなくなってたところだよ。

 まぁ、ルフィと二人だったら、夜には仮眠を取るつもりだったけど…

 

 航海中には特筆すべき事は何もなく、順調に船は進んで、シェルズタウンには早朝に到着。

 町中にはまだ、動く人の気配がなかったので、コビーと私も船の中で少し眠った。

 ちなみに寝室は、ベッド2つの部屋が2つ。一応鍵付き。

 9時頃に起きて、活動開始。

 ちなみにルフィは、それまでずっと寝てました。

 

「メシ食おう!!」

 起きたルフィの第一声がそれだった。ちゃんと夕飯食べたのに。

 それも、ルフィをちゃんとミニサイズにして。

 でもまぁ、ルフィの食欲ぐらい私だって承知してる。1日5食だもんね。

 

「コビー、これを渡しておくわ。」

 私はコビーに、アルビダ一味から奪った現金の内いくらかを渡した。

 

「ルフィとメシ屋に行っといて!私は買出しと情報収集しときたいから。その間だけあの子を見張っててくれない?放っておくと、店の食料を食い尽くす勢いで食べ続けるだろうから。コビーも食べてていいからね?」

 これまでのゴア王国での生活を考えたら、まず間違いなくルフィは食い逃げに走るだろう。

 こんな小さな島で、そんな事をやられた日には、すぐに逃げ出さなきゃならなくなる。お金が有るなら払っておいた方がいいに決まってる。

 

 買い物は何てことはない。時系列的に言ってしまうと、シロップ村に着くのは明日。

 この先、オレンジの町・珍獣島を訪れはするけど、それは今日!

 この島のイベントをこなして、本日中にバギー討伐です。忙しない事、この上ないのです。

 

 とはいえ、せっかくなので、ご当地食材はゲットしました。

 それと地物のお酒も数種。試飲させてもらったので、おいしいヤツは多めにね。

 ゾロも加わることだろうし、他にも色々そろえた。

 水と食料は一応3日分。3日分と言って、あなどってはいけない。

 ルフィがいるから、それだけで5人分は必要。それと、忘れてはいけないのがビタミンC。

 ライムジュースやレモンジュースもたくさん買っておいた。壊血病にはなりたくないからね!

 

 ミニミニの能力と、収納貝があるので、買い物はとても楽。

 たぶんサンジが加入した後も、買い物は、私が一緒にいく事になりそうな気がする。

 買い物と言えば、店の人が教えてくれた。モーガンと言う名と「貢ぎ」の話。

 私が余所者だから逆に言いやすいのだと思うけど、行く店全てで大佐の愚痴を聞かされた。

 ぶっちゃけ、『貢ぎ』が大変だって話。お店だけでなく、一般家庭からも搾り取っているとも聞かされた。

 あんまり愚痴を聞かされるので、(海賊とは言わず)航海している事と、強い仲間を探していると言うと、ゾロの事を教えてくれた。

 捕まっているとのこと。しかも捕まった理由がなんとも…。

 その流れで、リカちゃんの家にも行きました。そこでゾロの話を聞た後、私はルフィとコビーがいるであろうメシ屋へと向かった。

 

 2人を見つけるのは簡単だった。人だかりの出来ている店に行けば良かったからだ。

 ルフィの食いっぷりにギャラリーが出来ていた。まぁ、予想通りだ。

 

 ものすごい勢いで、食欲を満たそうとするルフィの姿がそこにあった。

 私にとっては見慣れた光景。コビーは…目を丸くして驚いているけど…

 コビーの目の前の料理は半分も減っていない。食欲ないのかな?

 

「大丈夫?食欲ないの?」

 どうせ食事中のルフィは、周りの事なんか気にしちゃいない。

 ちょっと本気で、コビーを心配して聞いてみたけど、何のことはない。

 単にルフィの勢いに驚いていただけでした。

 私も料理を注文して、私が食べ終わる頃に、ルフィも丁度、食事を終えた。

 

 さて、情報共有しましょうか。

 

「ルフィ、買い物の最中に面白そうな話が聞けたのよ」

「ん?なんだ、面白い話って?」

 ポンポンと腹を擦りながらルフィは視線で促してきた。

 

「ここの海軍支部に、海賊狩りって呼ばれてる賞金稼ぎの剣士が捕まってるんだって。名前はロロノア・ゾロ」

 ゾロの名が出た瞬間、店中の人達がドン引きした……何もそこまで。って。

 

「どうしたのよ、コビー? 面白い顔して」

 コビーはムンクの叫び状態です。こんな顔してたっけ?

 

「ど、ど、どうしたって!! ゾロって…あのロロノア・ゾロですよ!魔獣のようなヤツだってもっぱらの噂なんですよ!?」

 ゾロ…お前一体何したんだ? 魔獣って…。

 

「ソイツ強ェのか?」

 ルフィは興味深々だ。そりゃそうだよね。強いヤツを仲間にしたいって言ってるんだから。

 

「私が知ってる奴なら、間違いなくね。」

 

「そいつの事、知ってんのか?」

「イオリさん?あの、ロロノア・ゾロを知ってるんですか?」

 ルフィとコビーが同時に言った。

 まぁ、原作通りでしょうし、リカちゃんからも話を聞いたから間違いないと思うのよね。

 

「同姓同名の別人でなければ…だけどね? 昔、私はあいつに負けたのよ。」

「マジか!!?そりゃ、スゲェ強ェじゃんか!!よし!仲間にしよう!!」

 いや、待ちなさいって…そんな簡単に決めないでほしいんだけど?

 ちゃんと自分の目で見て、どんな奴かをきちんと判断してほしいわけよ。

 でないと私、ずっとあんたのお守りじゃん?

 

「ちょ、ちょっと待ってください! まさか、仲間に誘う気ですか!?」

「そうだな~、いいヤツだったらな!」

 良かった…一応、見て判断する気ではいるみたい。

 

「悪いヤツだから捕まってるんでしょうっ!?」

 コビーは必死だね。でもね、それは誤解だという事まで、ちゃんと聞き取り済なんですよ。

 

「違うのよコビー、実はね…」

 そして、私は話し出す。ゾロが捕まった理由について…

 リカちゃんに聞い話だと、リカちゃんを襲った狼を、ゾロが斬ってやっつけた。というのが捕まった理由らしい。

 なぜ捕まったかと言えば、その狼がヘルメッポの飼い狼だったという事だ。

 しかもその狼は、躾もされておらず、常に野放し状態だったとの事。

 それってほとんど、野良じゃんよ? 難癖だとしか思えませんわ。

 

 コビーは理不尽だと言って怒った。けれどルフィはただ黙って聞いているだけ。

 おや、ずいぶんと冷静だ事…

 

 ゴア王国で過ごした日々は、多少なりともルフィに影響を与えている。

 ドラゴンが、世界の縮図と称した通り、あの国には理不尽がまかり通っている。

 ルフィも被害を受けた。原作ほどひどくはなかったものの、あの火事で危険な目にあったのは事実。権力を持つものの横暴は、その身をもって知っているのだ。

 

「それと、もう1つ。ここの海軍支部で1番のお偉方はモーガン大佐っていうらしいんだけど」

 モーガンの名を聞き、また町の人々が大きな音を立てて私たちから遠ざかる。

 

 私は、買い物の際に店の人たちから聞いた、この島の海軍支部を預かる大佐、モーガンについての話を聞かせた。

 私の話をルフィは面白そうに聞いてたけど、コビーは複雑そうだ。

 

「そんな、海軍の偉い人に……嫌な噂だなんて……」

 そりゃね。今までずっと海軍に憧れて、それを心の支えにしてきたコビーからすると、信じたくない話なんだろう。

 

「んじゃ、ひとまず行ってみっか。海軍支部!」

 ルフィの言葉に従い、私たちは飲食店を後にした。

 

 そして、やってきました海軍支部!けっこうデカいね。

 

「イオリ、そのゾロって奴はどこに居るんだ?知ってる奴ならわかんだろ?」

 ルフィが言うのは、私の見聞色の事を知ってるからだ。

 でもね、ゾロの気配は、ずいぶんと久しぶりなので覚えていない。

 まぁ、この島で一番強い気配(ルフィ以外)を探せばいいので、島に着いた時にはこれかな?ってモノは捉えてはいる。

 けっこうな強さなのよね…もしかしたら、枷を付けた状態のルフィよりは強いのでは?

 

「わかんだろって…捕まってるんですよ? きっと奥の独房とかに……」

「あっちよ!この島で一番大きな気配を感じる。たぶんそれよ!」

 コビーの言葉を遮り、私は気配する先を指さした。

 

「あっちだな!」

 ルフィは私の指差した方へと走っていった。コビーは目をパチクリとさせている。

 

「気配って?」

 覇気なんて知らないわよね?原作でも発現してすら、これは何?って感じだったもの。

 

「海軍に入るつもりなら、そのうち耳にすると思うわよ?覇気って力について…。海軍将校を目指すなら、名前くらいは覚えておきなさい。」

 ポカンとしたコビーを置いて、私はルフィを追った。慌ててコビーもついてくる。

 

 ルフィはそう離れていないところで壁によじ登り、海軍基地の中を覗いていた。

 

「イオリ、!いたぞ!アイツだろ、ゾロって!?」

 何を興奮してるんだか…。私に勝ったって言ったからかしら?

 私もルフィの隣から顔を出して、中を見てみた。

 そこにいたのは、十字の杭に縄で縛られ、磔にされている男。

 うん、あれはゾロだね。ロロノア・ゾロだ。でもさ…。

 

 何、あの縛り方?ゾロの事バカにしてない?

 

 

 

 




 原作を見て思った事…
 多分ゾロなら自力で脱出、というか破壊できると思うけど?
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