アルビダのアジトを出たのは夕刻。普通ならば、島で一泊してから出航するのだが、戦って勝ってしまった事もあり、流れ的にあの島はすぐに出た。
一泊するとなると、あいつら全員を縛り上げ、安全を確保した上で…って事になるじゃない?
めんどくさいし、なにより、それだったらそのまま海軍に渡しちゃえ!!
って事にもなっちゃいそうだったので仕方なく…
コビーが居てくれてよかった。航海中、ルフィは全く役に立たないからね。
私一人で操船しなくちゃならなかったら、寝れなくなってたところだよ。
まぁ、ルフィと二人だったら、夜には仮眠を取るつもりだったけど…
航海中には特筆すべき事は何もなく、順調に船は進んで、シェルズタウンには早朝に到着。
町中にはまだ、動く人の気配がなかったので、コビーと私も船の中で少し眠った。
ちなみに寝室は、ベッド2つの部屋が2つ。一応鍵付き。
9時頃に起きて、活動開始。
ちなみにルフィは、それまでずっと寝てました。
「メシ食おう!!」
起きたルフィの第一声がそれだった。ちゃんと夕飯食べたのに。
それも、ルフィをちゃんとミニサイズにして。
でもまぁ、ルフィの食欲ぐらい私だって承知してる。1日5食だもんね。
「コビー、これを渡しておくわ。」
私はコビーに、アルビダ一味から奪った現金の内いくらかを渡した。
「ルフィとメシ屋に行っといて!私は買出しと情報収集しときたいから。その間だけあの子を見張っててくれない?放っておくと、店の食料を食い尽くす勢いで食べ続けるだろうから。コビーも食べてていいからね?」
これまでのゴア王国での生活を考えたら、まず間違いなくルフィは食い逃げに走るだろう。
こんな小さな島で、そんな事をやられた日には、すぐに逃げ出さなきゃならなくなる。お金が有るなら払っておいた方がいいに決まってる。
買い物は何てことはない。時系列的に言ってしまうと、シロップ村に着くのは明日。
この先、オレンジの町・珍獣島を訪れはするけど、それは今日!
この島のイベントをこなして、本日中にバギー討伐です。忙しない事、この上ないのです。
とはいえ、せっかくなので、ご当地食材はゲットしました。
それと地物のお酒も数種。試飲させてもらったので、おいしいヤツは多めにね。
ゾロも加わることだろうし、他にも色々そろえた。
水と食料は一応3日分。3日分と言って、あなどってはいけない。
ルフィがいるから、それだけで5人分は必要。それと、忘れてはいけないのがビタミンC。
ライムジュースやレモンジュースもたくさん買っておいた。壊血病にはなりたくないからね!
ミニミニの能力と、収納貝があるので、買い物はとても楽。
たぶんサンジが加入した後も、買い物は、私が一緒にいく事になりそうな気がする。
買い物と言えば、店の人が教えてくれた。モーガンと言う名と「貢ぎ」の話。
私が余所者だから逆に言いやすいのだと思うけど、行く店全てで大佐の愚痴を聞かされた。
ぶっちゃけ、『貢ぎ』が大変だって話。お店だけでなく、一般家庭からも搾り取っているとも聞かされた。
あんまり愚痴を聞かされるので、(海賊とは言わず)航海している事と、強い仲間を探していると言うと、ゾロの事を教えてくれた。
捕まっているとのこと。しかも捕まった理由がなんとも…。
その流れで、リカちゃんの家にも行きました。そこでゾロの話を聞た後、私はルフィとコビーがいるであろうメシ屋へと向かった。
2人を見つけるのは簡単だった。人だかりの出来ている店に行けば良かったからだ。
ルフィの食いっぷりにギャラリーが出来ていた。まぁ、予想通りだ。
ものすごい勢いで、食欲を満たそうとするルフィの姿がそこにあった。
私にとっては見慣れた光景。コビーは…目を丸くして驚いているけど…
コビーの目の前の料理は半分も減っていない。食欲ないのかな?
「大丈夫?食欲ないの?」
どうせ食事中のルフィは、周りの事なんか気にしちゃいない。
ちょっと本気で、コビーを心配して聞いてみたけど、何のことはない。
単にルフィの勢いに驚いていただけでした。
私も料理を注文して、私が食べ終わる頃に、ルフィも丁度、食事を終えた。
さて、情報共有しましょうか。
「ルフィ、買い物の最中に面白そうな話が聞けたのよ」
「ん?なんだ、面白い話って?」
ポンポンと腹を擦りながらルフィは視線で促してきた。
「ここの海軍支部に、海賊狩りって呼ばれてる賞金稼ぎの剣士が捕まってるんだって。名前はロロノア・ゾロ」
ゾロの名が出た瞬間、店中の人達がドン引きした……何もそこまで。って。
「どうしたのよ、コビー? 面白い顔して」
コビーはムンクの叫び状態です。こんな顔してたっけ?
「ど、ど、どうしたって!! ゾロって…あのロロノア・ゾロですよ!魔獣のようなヤツだってもっぱらの噂なんですよ!?」
ゾロ…お前一体何したんだ? 魔獣って…。
「ソイツ強ェのか?」
ルフィは興味深々だ。そりゃそうだよね。強いヤツを仲間にしたいって言ってるんだから。
「私が知ってる奴なら、間違いなくね。」
「そいつの事、知ってんのか?」
「イオリさん?あの、ロロノア・ゾロを知ってるんですか?」
ルフィとコビーが同時に言った。
まぁ、原作通りでしょうし、リカちゃんからも話を聞いたから間違いないと思うのよね。
「同姓同名の別人でなければ…だけどね? 昔、私はあいつに負けたのよ。」
「マジか!!?そりゃ、スゲェ強ェじゃんか!!よし!仲間にしよう!!」
いや、待ちなさいって…そんな簡単に決めないでほしいんだけど?
ちゃんと自分の目で見て、どんな奴かをきちんと判断してほしいわけよ。
でないと私、ずっとあんたのお守りじゃん?
「ちょ、ちょっと待ってください! まさか、仲間に誘う気ですか!?」
「そうだな~、いいヤツだったらな!」
良かった…一応、見て判断する気ではいるみたい。
「悪いヤツだから捕まってるんでしょうっ!?」
コビーは必死だね。でもね、それは誤解だという事まで、ちゃんと聞き取り済なんですよ。
「違うのよコビー、実はね…」
そして、私は話し出す。ゾロが捕まった理由について…
リカちゃんに聞い話だと、リカちゃんを襲った狼を、ゾロが斬ってやっつけた。というのが捕まった理由らしい。
なぜ捕まったかと言えば、その狼がヘルメッポの飼い狼だったという事だ。
しかもその狼は、躾もされておらず、常に野放し状態だったとの事。
それってほとんど、野良じゃんよ? 難癖だとしか思えませんわ。
コビーは理不尽だと言って怒った。けれどルフィはただ黙って聞いているだけ。
おや、ずいぶんと冷静だ事…
ゴア王国で過ごした日々は、多少なりともルフィに影響を与えている。
ドラゴンが、世界の縮図と称した通り、あの国には理不尽がまかり通っている。
ルフィも被害を受けた。原作ほどひどくはなかったものの、あの火事で危険な目にあったのは事実。権力を持つものの横暴は、その身をもって知っているのだ。
「それと、もう1つ。ここの海軍支部で1番のお偉方はモーガン大佐っていうらしいんだけど」
モーガンの名を聞き、また町の人々が大きな音を立てて私たちから遠ざかる。
私は、買い物の際に店の人たちから聞いた、この島の海軍支部を預かる大佐、モーガンについての話を聞かせた。
私の話をルフィは面白そうに聞いてたけど、コビーは複雑そうだ。
「そんな、海軍の偉い人に……嫌な噂だなんて……」
そりゃね。今までずっと海軍に憧れて、それを心の支えにしてきたコビーからすると、信じたくない話なんだろう。
「んじゃ、ひとまず行ってみっか。海軍支部!」
ルフィの言葉に従い、私たちは飲食店を後にした。
そして、やってきました海軍支部!けっこうデカいね。
「イオリ、そのゾロって奴はどこに居るんだ?知ってる奴ならわかんだろ?」
ルフィが言うのは、私の見聞色の事を知ってるからだ。
でもね、ゾロの気配は、ずいぶんと久しぶりなので覚えていない。
まぁ、この島で一番強い気配(ルフィ以外)を探せばいいので、島に着いた時にはこれかな?ってモノは捉えてはいる。
けっこうな強さなのよね…もしかしたら、枷を付けた状態のルフィよりは強いのでは?
「わかんだろって…捕まってるんですよ? きっと奥の独房とかに……」
「あっちよ!この島で一番大きな気配を感じる。たぶんそれよ!」
コビーの言葉を遮り、私は気配する先を指さした。
「あっちだな!」
ルフィは私の指差した方へと走っていった。コビーは目をパチクリとさせている。
「気配って?」
覇気なんて知らないわよね?原作でも発現してすら、これは何?って感じだったもの。
「海軍に入るつもりなら、そのうち耳にすると思うわよ?覇気って力について…。海軍将校を目指すなら、名前くらいは覚えておきなさい。」
ポカンとしたコビーを置いて、私はルフィを追った。慌ててコビーもついてくる。
ルフィはそう離れていないところで壁によじ登り、海軍基地の中を覗いていた。
「イオリ、!いたぞ!アイツだろ、ゾロって!?」
何を興奮してるんだか…。私に勝ったって言ったからかしら?
私もルフィの隣から顔を出して、中を見てみた。
そこにいたのは、十字の杭に縄で縛られ、磔にされている男。
うん、あれはゾロだね。ロロノア・ゾロだ。でもさ…。
何、あの縛り方?ゾロの事バカにしてない?
原作を見て思った事…
多分ゾロなら自力で脱出、というか破壊できると思うけど?