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ゾロは何というか、まぁ、迫力満点だった。だけど、コビーの反応がちょっと…という感じ。
塀から顔を出して一目見た途端ビックリして落ちて尻餅って……。
ダメだぞ!見た目で人を判断しちゃ!!さっき、ゾロがどういう奴かは聞かせたはずなのに?
久しぶりー!!なんて声をかけたくなるような感じではないわね。
ルフィと二人で眺めていたら、ゾロがこっちに話しかけて来た。
おや?もしかして、私に気づいてない感じ?
「おい、テメェら。この縄ほどいてくんねぇか? 流石に9日もこのままでいるんでな。くたばりそうだ」
いやいや、何言ってんの?殺しても死ななさそうな気配がダダ洩れなんだけど?
「あの縄ほどいたら、簡単に逃がせそうだな」
ルフィが呟いたのを聞きとがめたのか、コビーが下で騒ぎだした。
「ルフィさん!?やめて下さい危険です!!殺されますよ!!」
だから、何でそんな事言うかな?
今の感じだと、ゾロは私には気づいていないみたい。ちょっと質問してみようかな。
「縄をほどいてあげたら、私たちには何か得があるのかしら?」
私が聞くと、ゾロはニヤリと挑発的な笑みを浮かべた。
「礼はしてやる!その辺の賞金首をぶっ殺してくれてやるぜ。おれは嘘は吐かねぇ、約束は守る。」
賞金首をやっつけて、懸賞金を譲ってくれると言ってるわけだけど、言い方が違うだけで極悪人だよね。
しかも、すごい悪人面だし…。
「イオリさん!?まさかあなたまで!」
「イオリ?」
おっ、私の名前にゾロが反応した?
「ロロノア・ゾロよね?一心道場に居た。私の事、覚えてない?昔、”あなた達”の真剣の仕合に立ち会ったんだけど?」
「!!?……おめェ…まさか、あのイオリか?」
どうやら覚えてくれてはいたらしい。
ゾロが私の知り合いだと確定したからか、コビーが口をあんぐり開けて、
「久しぶりだから、忘れられちゃったかと思ったわよ。」
「ずいぶんと、髪が伸びたじゃねェかよ。わからなかったぜ。」
なんて、話をしてるとリカちゃん登場!!おにぎり持ってます。それはサトウくんかな?
壁にはしごをかけて、『しー』っと言ったかと思うと飛び降りてコソコソとゾロへ向かって歩いていく。
おかしくない?
①壁にはしごをかけました。
②それを上って壁を越えました。
④反対側に飛び降りて…
あれあれ、③どこ行った?
③壁の上ではしごを持ち上げ、反対側に降ろす
ダメでしょ?③飛ばしちゃ!!
帰りの事、全く考えていないよね?
「あ…!!ちょっときみ、危ないよ!!ルフィさん、イオリさん、あの子止めてくださいよ!!」
「お前が止めろよ、そうしたいなら」
人はそれを他力本願という。
そうこうしているうちに、ゾロとリカちゃんの会話は進んでいた。
食事を持って来たと言うリカちゃんと、出て行けというゾロ。言葉は悪いけど、ゾロの発言は間違いなくリカちゃんを気遣ってのものだろう。ここに来たってことがバレるとまずいから。
まあでも、手遅れね。
「ロロノア・ゾロォ!!」
数名の海兵を引き連れて、やってきたのはヘルメッポ。
まぁ、尊大で性格悪そうな顔ですこと…。あらやだ。見た目で判断しちゃったわ。
「七光りのバカ息子か……」
はい。ゾロに賛成一票!!
ゾロの発言に気を悪くしたヘルメッポは、親父は”かのモーガン大佐”だぞ!などと自慢しながらゾロたちに近付いていった。
言わせてもらうなら、”かのモーガン大佐”は、催眠術にかけられ、偽物クロを捕縛して、虚偽の功績により支部大佐になった。というおバカさんなのです。
いや、この場合、おバカはその功績をたたえた、海軍上層部になるのかな?
「お、お嬢ちゃん、このおにぎりは差し入れかい?」
勝手にリカちゃんのおにぎりを手に取って口に運び、一口食って砂糖おにぎりに悶絶するヘルメッポ。
確かに砂糖おにぎりを知らずに口にしたら、味覚的には受け入れがたいものだというのはわかる。
でも、勝手に取って勝手に食ったお前に文句を言う資格は無いはずだ。ましてや…。
「こんなもん食えるかっ!」
それを踏みにじる資格は、更に無い。
「
原作に出ている六式技は一通り訓練した。出来ない技もけっこうあるけど、これは出来るようになっていたので使わせてもらった。
けっこうな威力が出るようになったけど、調整が難しいのよねこれ…かなり弱めに撃ったけど、牽制には充分だと思う。
「いでぇっ! 何だ!」
弾いた空気の塊は正確にヘルメッポの横っ面にヒットしたらしい。目視できる攻撃じゃないから、私にもちゃんと当たったかどうかは相手の反応が無いと解らない。けど、おにぎりは踏み潰されずに済んだみたい。
「おい、お前ら!今、何かしたのか!?」
こちらを向いて怒鳴るヘルメッポ。まぁ、角度的に言ってこっちからだと思ったのだろう。
「何のことよ!この距離で私たちに何が出来るの?」
10m以上はあるし、空気を弾いたんだから証拠も無い。私は肩をすくめてしらばっくれた。
ヘルメッポはしばらく納得出来ないように苛立っていたけど、証拠もないし、そもそも何が起こったのかわかっていない。追求は諦めたようだ。
「チッ…おい、このガキを放り出せ!」
リカちゃんを指差し近くに居た海兵に命じてるけど…。断りなさいよ、海兵!
軍人だから、上司であるモーガンの命令を聞くのはまだわかるけど、ソイツはただのバカ息子でしょ?
しかも親父に言うぞ、って…あれはもう、口癖になってるとしか思えない。
って、考えてる間にリカちゃんが放りだされた。
「よ、っと」
月歩で空中キャッチしました。着地も成功。
「あ、ありがとうお姉ちゃん……」
「どういたしまして。さっきはいろいろ教えてくれてありがとうね!」
少しだけ、リカちゃんとのおしゃべりタイムに華が咲く…
「あの~、イオリさん? ルフィさんが入ってっちゃいましたよ?」
!? しまった!リカちゃんとちょっと喋ってただけなのに。ってか、ルフィ行動早っ!
「コビー、この子お願い。私も行くから。そうだリカちゃん。そのおにぎり持ってこうか?」
「うん、お願い!」
リカちゃんの表情がパァッと明るくなった。女の子の笑顔はいいよね。
「おれは海賊なんぞになる気はねェよ!仲間探しは他を当たれ」
ずいぶんと話が進んでる? そんなに長く喋ってた気はしないんだけど?
「ルフィ、ゾロを誘ったの?」
ルフィの隣に降りて聞いてみたら、ルフィはふるふると首を振った。
「まだだ。誘う前に断られた」
ルフィは、それほど気にしていないのか、あっさりした反応だ。
海賊だとは言ったみたい。でも誘う前に断られた…という事か。
「まぁ、海賊狩りって言われてるくらいだものね。でもゾロ、なんであんた賞金稼ぎなんてやってるの?」
「おめェに関係ねェだろ!!」
あら、トゲのある言い方ね。私って嫌われてたっけ?
「それより、お前。その手に持ってるの…」
ゾロが私の持ってるもの。リカちゃんのおにぎりに気付いたらしい。
「これ? 欲しいの?」
差し出すと、砂糖味のおにぎりを想像したのか、一瞬渋い顔をしたけど、すぐに大口を開けた。
「食わせろ。全部だ」
『あーん』状態です。でもさっき、ちょっと嫌な言い方されちゃったから意地悪してやろうっと!
「これ食べるの?腹が減ってるなら、ちょっと待っててくれれば、ちゃんとした料理を持ってくるけど?どっちがいい?」
どっちが、の部分をあえて強調した。さすがに意図は伝わるだろう。リカちゃん手作りの砂糖おにぎりと、ごく普通の料理の2つに1つを選べってことだ。
もちろん、ただ腹が減ってるだけなら砂糖おにぎりよりも普通の料理を選択するだろう。
だけど、ゾロは不快そうな顔をした。
「食わせろって言ってんだろ」
一切の迷い無し!つまり、ゾロが優先するのは、己の空腹を満たす事ではなく、リカちゃんの心遣いへの配慮ってわけだ。
「はいはい…」
私はちょっと笑って、おにぎりをゾロの口に放り込んだ。踏み潰されちゃいないから、噛んでも砂や石の音はしない。けど、やっぱり味が味だ。ゾロは一瞬吐きそうな顔をしたけど、根性で飲み下した。
「…あのガキに伝えとけ。『美味かった。ごちそうさまでした』ってな」
「わかったわ。ほら、ついでに、コレも食べなさい!」
言って私はゾロの口に板チョコを1枚突っ込んだ。
「ビターだから大丈夫でしょ?」
チョコの栄養価はバカにできない。雪山で遭難者を見付けたらチョコを渡すってぐらいだし。
ちなみにビターとミルクを持ってます。ルフィはビターはダメなんですよ。苦いんだって。(おこちゃま口だから。)
「それと、これ!」
チョコを咥えた動かないゾロの眼前に水のボトルを1本差し出す。
普通5日間、水を断つと人は死んでしまうと言われているんだけど…雨でも降ったのかしら?
「人体において危険なのは、栄養不足よりもむしろ水分不足。ちゃんと補給した方がいいわよ?あんたまだ、ここにいるつもりなんでしょ?町で聞いたわ。1ヶ月の約束、だっけ?」
私をにらみながらチョコを咀嚼し、それを食い切るとゾロは面白くなさそうな顔をした。
「テメェ…おれを試しやがったな!」
「どうかしらね?でも、変わってないみたいで安心したわ。」
実はその通り。ゾロを試した。というよりも、私の口からじゃなく、その人となりをルフィに知ってもらいたかったというのが理由かな?
「私、お酒好きでさ。ルフィはあんまり飲めないから、一人で飲むことが多いのよ。飲み仲間がほしいなァ…なんてね?」
いや、別に…晩酌を習慣にはしてはいませんけどね?そこはホラ、方便ってヤツ?
「1ヶ月後、もう9日過ぎてるって事は、3週間後かな?解放された時に、乾杯できたらいいわね?」
ニッコリ、と微笑んでみせる。
「…おれは海賊にはならねぇよ」
あらあら、私はこんなに笑顔なのに、そんなに睨んじゃって
「別に、私は勧誘してるわけじゃないわよ?私は
まぁ結果は見えてるけどね。ルフィの様子をうかがえば一目瞭然だし。
それだけ言って水を飲ませると、私はルフィと共にその場を離れた。
「アイツ、いいヤツだな!」
勧誘するかどうかはともかく、とりあえずルフィの中でゾロは『いいヤツ』認定されたようだ。
とりあえず一安心だ。
ルフィが気に入らなかったら、私が知ってるヤツだからって、仲間にすることなんて出来ないもんね?
ゾロの仲間入りは、ほぼ確定。
もう一押しって感じかしら?