イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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02-45話:ガープのうわさ

「大漁でしたなぁ…」

 あの後、色々とモーガンの部屋を物色させていただきました。もちろん現金も大量にあった。その殆どが、町の人たちの『貢ぎ』だと思うと、少し気が引けたけどね。

 だけど、モーガンが失脚した後、あれは海軍によって押収されてしまうもの。ならば、もらってここで使ったほうがなんぼかマシだ。という事で、食料と酒を大量に買い足しました。

 荷物は全部、縮小して収納貝の中に入れて私のウエストポーチの中にある。

 でも思った以上の収穫だった。海楼石の手錠も、鍵もセットでみつかった。しかも2つ!

 一応、海楼石の縄とかも持っているけど、海軍の持つ手錠は純度100%なんだよね。

 拘束具として使わせていただきましょう。

 そんなことを考えながら歩いてたら、ものすごい人だかりに出くわした。

 あ、着いた着いた。リカちゃんちだ。

 色々奪って外に出た時には、もう磔場にルフィたちの気配は無くなってたからね。

 気配を探ってここまで来ました。ひょっこりと中を覗いてみると……。

 

「グランドラインに向かおう!」

 丁度、ルフィがドンと宣言したところだった。

 

「あだぁっ!!」

 私は踵落としを食らわせました。誰にって? ルフィに決まってんじゃん!

 

「誰だ!? ……って、イオ…リ?」

「ルフィ?あなた今、何を言ってたのかしら?」

 私は例の微笑みをルフィに向けて問いかけた。ルフィは顔を青くしながら固まっている。

 

「ねぇ、私が言ったこと、もう忘れちゃったの?もしかして脳に障害とかあるのかな?調べてみようか?一応知識はあるから問題があったら取り除いてあげるから!!え、何、嫌なの? でも、お前…、私の言ったこと忘れちゃったんでしょ? え、覚えてる? じゃあ言ってみなさいよ!私は出航直後にお前に何て言った?」

 

「と…とりあえず音楽家と航海士とコックと船医を探す…ぞ!?」

 やっぱり覚えてたのに、無謀な発言してたんかい!しかも、最初に音楽家って…

 

「つっても、どの道ワンピースを目指すなら、その航路を辿るしかねーんだろ?」

 振り返るとゾロがいた。

 

「私だって、グランドラインに行く気はあるわよ。ただ、時期尚早だって言ってんの!」

 この二人を放っといても、どうせ行けやしないだろうけどね。

 

「イオリさん、ルフィさん。行っちゃうんですね」

 見ると、コビーも同じテーブルに座ってる。

 

「ああ。コビー、立派な海兵になれよ!」

 ルフィは立ち上がりながらコビーを激励した。

 

「あの……!」

 コビーは意を決したように頭を上げた。

 

「敵同士になっちゃいますけど! ぼくらは友だちですよね!?」

 私たちをジッと見詰めるコビー……私も、か?

 でも、うん。

 

「まぁ、そうね」

「ずっと友だちだ!」

 返事を聞いた時のコビーのそのホッとしたような笑顔にちょっとホッコリとした気持ちになる。

 友達っていいよね。

 

「失礼」

 入って来たのは海兵たちだ。流れとしては原作通り。早い話、海賊は出ていけってことだね。

 まあそりゃね。海兵からしてみれば、そう言わざるを得ないけど、上司を倒した相手に感謝するというのはどうなんだろうね?

 町の人たちは庇ってくれてるけど、しょうがない。これは海賊の宿命だ。

 

 ずいぶん前は、海賊も義賊と蛮族とに区分されていた。そう、ピースメインとモーガニアだ。

 海賊王が登場して以降というより、それよりももっと以前に、この定義が撤廃されている。

 分類するのがめんどくさいというか非効率という事らしいんだけど、どっちが非効率なんだろう?

 歴史を紐解くと、海軍とピースメインは基本敵対していたけれど、共闘する事も多く、ピースメインと認識された海賊の中には、海兵が憧れる英雄なんかも居たりした。

 つまり、その定義が生きていた頃は、海軍の仕事も今より少なかったんだと思う。七武海という制度だって、海軍の負担を減らそうと考えたものなんだろうけど、あまり意味ないっていうか、逆に尻ぬぐいにおわれているというか…

 

 現在は、海賊イコール犯罪者という事になっているから、海兵たちの対応は、こうならざるを得ないんだけど、なんとかしたいもんだね。

 

 ルフィも、これは海賊の宿命だと思っているのだろう。あっさりとその申し出を受け入れている。

 ゾロも特に文句を言うことなく立ち上がった。

 

 展開の早さに付いていけないのか、ちょっと固まっているコビーをスルーして私たちは出て行こうとしたのだが、海兵の1人がコビーにお前も仲間じゃないのか、と聞いた。

 

「ぼくは……彼らの……『仲間』じゃありません!」

 

 唇を噛み締めながらも、キッパリと言い切るコビー。だが、海軍側は半信半疑だ。

 確かにコビーは『仲間』ではないけど、知らない人からすればあっさり信じられるモンじゃないだろう。

 口では何とでも言えるからね。

 

「君たち、本当かね?」

 私たちにそれ聞くか?ルフィがウソをついたらバレるだろうけど、私のウソは見抜けないわよ?

 って、別にウソを言うつもりもないけどね?

 

「そうね。私たちとその子は『仲間』じゃないわ。『友達』だけどね?」

「「!!?」」

 別にいいでしょ?ガープだってロジャーと友達…だったのよね?ちがったっけ?

 

「言っておくけど、私たちは”ピースメイン”の海賊よ!自由に航海する事以外は、賞金稼ぎと変わらない!一般の人に迷惑をかけるつもりはないから!そこんとこ、よろしく!!」

 どさくさ、というわけではないけど、言うべきことは言っとかないとね?

 ひそかに企ててるんですよ。区分けの復活を…

 

「それからね!この子は、短期間でとんでもなく成長するのよ?海軍本部の将校が驚くほどにね!」

「「!!?」」

 

「すげーなコビー!!イオリがこんな事言ったの初めて聞いたぞ?おれなんかいっつもボロクソに言われんのに!!」

 

「イオリさん…ぼ、ぼくはそんなに!!?」

「素質は十分だと思うわ!(原作知識です。)鍛える人が鍛えれば、あなたは数ヶ月で頭角を現す事になる。(はず?)」

 ごめんねコビー。私にはわからないのよ。あなたがなんであんなに成長したのか?出来たのか?

 まさか、これがきっかけとか言わないよね?原作には私いないんだし…

 

「あ、ありがとうございます。ぼく、頑張ります!!」

 

「あなたは、イオリというのですか?もしかして、ドーン島の?」

「はい?」

 なんで?何を言っているのこの人は?

 

「海軍本部のガープ中将が、イオリという名の女性を探しているとのうわさを聞いたんですが…。もしやあなたの事では?」

 

「げっ…じいちゃん!?」

「なんの事かしら?人違いじゃないの?」

 おめェなぁ…不用意な発言すんじゃねぇよ!

 ルフィの声は小さかったし、私が被せて言ったから大丈夫だと思うけど…

 

 よくよく聞いてみると、捜索依頼という事ではなく、本当に単なるうわさとの事だった。

 なんでも、とても見込みのある女性だそうで、海軍に入れようと思っていたのだが、1年ほど前から姿を見せなくなってしまい、探しているとかなんとかかんとか…。

 さすが、海軍本部の英雄と言われる男。人を探しているだけでうわさになるとは…。

 うわさにつきものである尾ひれについては、ガープの隠し子的な話から、将校候補とかいうものまであるらしい。愛人とかいう類はなかったけどね。

 

 コビーはなんとなく、私の事を羨望というか、凄いという感じて見てるけど…。

 ちがうわよ!?そのイオリって子は私じゃないから!!

 

 良かったよ。特徴とかの情報が流れてなくて…。赤髪似とか言われたら一発アウトだったわ。

 エースの言ってた事はマジだったのか。あっぶねェ……私、マジで拉致られるところだったよ!

 

 ありがとうエース!教えてくれて!!

 

 

 結局、そのまましらばっくれて、私たちは船に乗った。

 

 原作通り、海兵たちに見送られ、シェルズタウンを後にしたのでした。

 

 

 

 

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