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オレンジの町を視認出来た。まだかなり距離はあるし、場合によっては島から離れてしまうかもしれないが、360度がすべて海。という状況ではなくなった。
「それじゃあ、あとは自力でなんとかしてね!!」
「「「えーーーー!?」」」
有無を言わさずロープを斬って、オレンジの町へとひた走る。
船のスピードは若干上がった。さすがに3人も乗るボートを引いていたのだから当然だけど、やっぱり時間をロスしたか…。
それでも漕ぐよりは早かったと思うけどね?
オレンジの町はというと、港町であるにも関わらず、港に人の気配は3つしかない。
港に停泊している海賊船が原因だろう。港とは反対側のエリアに大勢の気配があるから町の人はそこに避難しているのだと思う。
さすがに小さな島だからね。どこにどれだけ人が居るかは、ここからでも把握する事ができる。どれが誰だかは分からないけど…
ルフィの気配はわかる。3~40人ほどの気配が集まっている場所に居る。これはナミかな?
ルフィよりはだいぶ小さいけれど、たぶんこれがバギーだろう。懸賞金はブルージャムよりちょっと上の1500万だから、こんなもんか…。
「じゃ、私はちょっと仕事してくるから!ゾロはルフィをよろしくね!」
「仕事?」
「うん。だって、そこに海賊船があるじゃない?言ったでしょ?私たちはピースメインの海賊。海賊は私たちの獲物なのよ!!」
停泊しているバギーの船を指さして、ニヤリと笑うとゾロも笑った。
あんたもずいぶんと悪人顔で笑うよね!私もたぶん、人の事言えないだろうけど…
ゾロは知らないだろうけど、バギーたちはこの町を拠点にしているわけではない。ただ略奪に来ただけだ。つまり、この町で奪った宝以外は船から降していないはず。
原作でナミが奪っていたのは、あくまでもこのオレンジの町で集めたものなんだと思う。
半分ナミがもらっていたけど、本来それは、この町の人たちに返すべきもの。
ナミには悪いけど、返却させてもらおうと思っている。
とはいえ、バギーの船にあるお宝は別だ。それは頂いちゃっても問題ないでしょう。
さっき、港に3つの気配と言ったけど、それはバギーの船から感じたものだ。
つまりその3人が船番という事なのだろう。
港に船をつけると、ゾロはルフィを探しに行った。ルフィの位置は分かっているけど、教えたところで意味がない。逆に迷子になる可能性すらあるので、適当に探してもらった方がいいだろうという判断です。
バギーの船はというと…、見たらなんだかいろいろ言いたくなった。
海賊旗は、船長の特徴を表す事が多い。
二つ名が『道化』だから、ピエロを模すのも理解できる。
でもなんで、ドクロにあんなにドデカい赤い鼻を付けているんだろう?
特徴的だし、バギーの船だと一目でわかるよ?
でもあれでしょ?『赤鼻』とか『デカっ鼻』とか、言われたらキレるんでしょ?
これはないんじゃないのかな?
アルビダの船といい、バギーの海賊旗といい。
東の海では、ちょっとズレた感じが流行ってんのか?
まぁいいんだけどね。
とりあえず、頂くものを頂くとしますか。
私は月歩で船の裏手に回り込んで、船上に降り立った。
物陰から
「しかしおれらもツイてねぇよな! こんな日に船番に当たるなんざ」
「違いねぇ! 今頃船長たちは町でハデに騒いでるんだろうぜ!」
「まぁいいさ! 船長はもうじきグランドラインに入るつもりなんだろ? 海図も手に入れてたしよ!そしたらまた奪いまくりゃーいいんだ!」
ガハハ、とジョッキを手に談笑する男たち。すっかり出来上がってるなぁ…
船番がこれでいいのか、バギー?
もうちょっと部下を躾けた方がいいと思うな…
じゃないと、私みたいのに狙われるよ?
「楽しそうね、私にも頂戴!」
3人の輪にサッと入り込み、私は転がってたジョッキを拾って差し出した。
「おぅ、飲め飲め!」
男たちの内、1番がたいのいい男が私のジョッキに酒を注いでくれた。
「ありがとう」
1口飲んでみたけど、おいしくない。これは安物ね。ダダン家のお酒の方が格段にうまい。
「「「………………って、お前誰だァ!?」」」
酔ってるからだろうか?気づくのが遅いというか、反応が鈍い。
「これは失礼」
私はジョッキを置いて居住まいを正した。
「自己紹介が遅れて失礼!海賊旗に呼ばれてついついこの船に上がりこんでしまいました。私はイオリ。以後よろしく!」
マキノさんの挨拶講座で習ったものを使ってみました。
挨拶講座はエースと一緒に受けましたよ?一応、ルフィも一緒に受けた。身についているかは疑問だけど…
「「「あ、いえ、ご丁寧にどうも……って、違うだろ!」」」
おぉ、ノリツッコミ! さすがは『道化』の一味だわ!!
「そもそも、海賊旗に呼ばれてって何なんだ!」
さっき酒を注いでくれた男とは違う男が聞いてきた。そのままの意味ですけど?
「海賊旗あるところに海賊あり。そして…海賊は私
『獲物』の言葉に3人は一気に殺気立った。
「テメェ!賞金稼ぎか!?」
男たちが腰のサーベルを抜いた。
「賞金稼ぎじゃないわ。海賊よ!!」
ピースメインの!と言ってもいいかもね?一般人からの略奪はする気ないし、ルフィもそれは考えてないだろうから。
言い終わるのとほぼ同時に、3人は一斉に私に襲い掛かってきたのだった。
~ ~ ~ ~ ~
降りかかる火の粉…というわけでは無いわね。乗り込んだのは私なんだし。
3人は、あっさりと片付きました。モブだし、加えて酔っ払いだし…。
六式すら使う必要ありませんでした。ごく普通の徒手空拳であっさりKOです。
つまんない!!
けど、私の目的は戦いではないのです。
起きてまた、向かって来られるのも面倒なので、3人は手足を縛らせてもらう。
さて、略奪タイムといきますか!!
さすが、お宝好きの海賊だけあって、けっこうなお宝がありました。
さらにその金庫には…
「………」
、なんと…!とある小説本も入ってた。限定100冊の非売品。レアものです。
けっこうな値段したんじゃないのかな?しかも読み込んでいる感じがなんとも…
これは、けっこう恥ずいですね。
バギーにとってなのか、私にとってなのかはわからんけども…
現金以外のお宝は、アルビダ:約5,000、モーガン:約1,500、バギー:約2,800 くらいかな?
おおよそだけど合計で、9千万ほどになると思う。
この後、クロ、クリークから略奪すれば、1億超えると思うわよ?
ナミの目標金額達成!!ってか?
なにげに、東の海って潤ってるのな?
頂いた荷物をまとめていると、少し離れた場所で凄い爆音が響いた。
「バギー玉かしら?」
小さな町なら1発で吹き飛ばせるという砲撃。かなりの爆音だった。
空気が震えているのがわかる。多分これが1発目だと思う。さて、2発目はどうなるのかな?
ゾロには、バギーが切っても切れないバラバラ人間だと教えたけど、ちゃんと聞いててくれたんだろうか?少し不安ではある。
不意打ちを食らわなければ、2発目を打たせて逃げに出ることもないかも知れない。
ただし、不意打ちをくらわなくても、刀とバギーの相性は最悪。ゾロが覇気を使えるならともかく、たぶんまだ使えないだろうし、ルフィは檻の中だろうし…。一端は撤退する事になるかもしれない。
いずれにしても、そろそろ私も行った方がいいかもね。
2度目の爆音がオレンジの町に響いたのは、荷物を小さくして収納貝に入れ、予想通り救命ボートで到着した3人組をやっつけて、縛り終った頃だった。