イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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クラスター・ジャドウさん、誤字報告ありがとうございます。


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02-51話:VSバギー

 ゾロの傷には特に問題は無かった。当然だろう。ほんと、あっさり片づけたからね。

 まぁ、普通は安静にしているべきケガだと思うけど、原作よりはましだと思う。

 

 さて、問題は…ゾロをここに置いといて問題ないか?という事だ。能力者同士の戦いだからね。

 まぁ、バギー玉はもう使えないだろうから、バギーに出来る事と言えば、バラバラになる事と、あとはナイフか…。

 

 寝ているゾロを狙うというのも、手ではある。

 バギーなら、ルフィと戦いながら、片手でゾロを捕まえて、人質にする事だって可能だろう。

 とりあえず私は、ここで様子見か?

 

 ルフィVSバギーの船長対決は、戦闘ではなく口合戦から始まった。

 海図を寄越せ、と言ってもバギーが素直に渡してくれるわけもなく、ルフィのいつもの海賊王宣言も全否定。

 怒るのはバギーの勝手なんだろうけど、それはそれとして…

 バギーあんた、本気で世界の宝を手に出来るって思ってんの?

 懸賞金、1500万程度でくすぶってる奴に、何ができるっていうのさ?

 偉大なる航路(グランドライン)のレベルはよく知ってるだろうに…。

 

 まぁ、前半の楽園ならば、なんとかなるかもしれないけど、後半の新世界はムリでしょうよ。

 ちゃんと自分の実力を把握しないと、痛い目に合うよ?

 

 そんな事を考えている間に、2人の戦闘は始まっていた。

 

「テメェのその麦わらを見てると、あのクソ生意気な赤髪の男を思い出すぜ…」

「クソ生意気な赤髪?」

 ルフィ、何でそこで私を見るかな?

 バギーの言ったのは、赤髪の男だぞ!わたしゃ女なんですけど?

 

 そもそもおめェ… 私の事を”くそ生意気”とか思ってんのか?

 

「いや、麦わら……!? シャンクスのことか!?」

 私がジト目で見ていると、ルフィはさっきのバギーのセリフにあったもう一つのキーワードに気付いたらしく、バギーに向き直った。

 

「知ってんのか、お前……今どこにいる?」

 いやいや、ルフィ?私、あなたにウタとシャンクスに会った事、言ったわよね?

 そもそも敵にそんな事を聞いてどうすんの?

 

「どこに? さぁな、知ってるといや知ってるし、知らんといえば全く知らん」

 こいつもこいつで、謎かけみたいな回答しやがって…。

 言いたい事はわかるけど、伝わる相手かどうかはちゃんと考えたほうがいいと思うわよ?

 

「何言ってんだ、お前。バカか?」

 ね?こんな感じで返されるわけよ。

 

「誰がバカだ!! ……知っていたとしても、それをテメェに教えてやる義理は無ェ」

 ジャキ、と両手に大量のナイフを構えるバギー。

 

「じゃあ、腕づくで聞いてやる!」

 いやだから…別にソイツから聞き出さなくてもいいっちゅうの!!

 

 ルフィに対してナイフという刃物を使う、バギーの選択は正しい。銃弾や砲撃すら防げるゴム人間も、斬撃は防げない。

 その後しばらく続いたルフィとバギーの攻防は、ほぼ原作通り。

 ルフィはゴムゴムの(ピストル)からのゴムゴムの鎌を仕掛け、バギーは分解してそれをかわす。

 違ったのはかわされた後のルフィの動き。建物に激突すること無くすぐにバギーに向き直る。

 枷を付けているとはいえ、レベルアップしているルフィに原作ほどの隙はない。

 

「バラバラ砲っ!」

 バギーがナイフを持った手をルフィに向かって飛ばす。ルフィは腕を受け止めた。けれど…

 

「切り離し!」

 手首から先が更に切り離され、ルフィの頬と帽子の端を斬り付けた。

 この辺が、ルフィの弱い所ね。止めるなら腕ではなく武器でしょうよ!

 

「この野郎!」

 ルフィは怒り心頭だ。これまた原作通り…

 

 でも、どうなんだろう?

 戦闘の際、麦わら帽子を被っているのは正しいのだろうか?

 私との訓練の時は外しているわよね?

 

 そういえば、原作アーロン戦の時はナミに預けて?いたような…

 もしかして…バギーを舐めているという事なのかしら?

 

「よくもこの帽子に傷を付けたな! これはおれの『宝』だ! 絶対に許さねぇぞ!!」

 許さない、はいいけどさ。バギーの腕はまだ戻ってないんだけど?

 

「そんなに大事な帽子なら……ちゃんと守りやがれ!!」

 バギーの腕がルフィの背後から襲い掛かった……帽子を狙って。

 

「!? 剃!」

 だが、ルフィはそれを唯一体得している六式、剃で避けた。

 

「何!?」

 消えたように見える高速移動にルフィを見失い、動揺するバギー。

 

「これはシャンクスとの誓いの帽子だ!」

 ルフィが姿を見せたのは、案外私の近くだった。ルフィの言葉に、バギーが顔を顰めた。

 

「何だとぉ? ってこたぁ、それはシャンクスの帽子か!? 道理で見覚えがあると思ったぜ……!おれとあいつは昔、同じ海賊船で見習いをしていた。つまり、かつての同志ってわけだ」

 ねぇそれ、そんなにあっさり言っちゃっていいの? 自分の経歴隠してるんじゃなかったっけ?

 シャンクスは、元ロジャー海賊団クルーだと広く知られていますけど?

 

「シャンクスは偉大な男だ! お前と同志だと!」

 原作でルフィがキレたのは、帽子にバギーがツバを吐きかけたからだ。そりゃキレるでしょう。

 たぶん、私でもキレると思う。

 けど今は、バギーがシャンクスを、かつての同志だと”言った”だけ。しかもそれは事実である。

 なのに、なんでルフィはこんなにキレてるんだろう?

 

「一緒にするな!!」

 ルフィは剃を使い、バギーが分解して避ける間もなく、強烈な蹴りをどてっ腹にお見舞いした。

 

「…………!!」

 声も出ないほどの強烈な一撃に、変顔?で悶絶するバギー…。

 ご愁傷様です。

 

「お前とシャンクスが同志だなんて、2度と言うな!」

 どん、と宣言するルフィ。けど、バギーも負けてなかった……口だけは。

 

「テメェとあいつがどういう関係かは知らんがな!!おれが何をどう言おうがおれの勝手だ!」

 まぁ、間違った主張ではない。むしろ正論だと言える。二人が同じ船で見習いをしてた同士なのは本当の事なんだし。

 ユラリと立ち上がると、バギーは過去を思い出しているのか、まさしく憤怒の表情を浮かべた。

 

「おれはこの世で、あいつほど怒りを覚えたやつはいねぇ……あいつはこのおれから莫大な財宝を奪いやがったんだ!」

 …えっと、バギー?何を言っているのかな?

 あなたはこれまで何をしてきたの?他人から財宝を奪ってきたのよね?

 いるよね~…自分がするのはいいけれど、自分がされるとキレるヤツ…。

 さすがモーガニアだわ。

 

 そして、聞いてもいないのに語られ始めるバギーの過去…

 長くなりそうなので、私は行動を開始した。

 

 ゾロを小さくして手のひらに乗せ、隠れて戦いを見ているブードルさんの所に行って、ゾロを預けた。

 続いてナミの所へと向かい、見つけた財宝を集めて小さくすると、ナミと一緒にブードルさんの所へ戻った。

 私が戻ると、なぜかルフィが感心していた。

 

「へー、シャンクスが助けてくれたのか」

「おれが言いてェのはそこじゃねェよ!!」

 バギーの昔話は終わっていたようだ。

 まあ別に、そこまで興味がある話でもない。原作通りだろうし、別にどうでもいいじゃんね?

 

「あいつのお蔭でおれの人生計画は一気に狂った。だからおれはこのバラバラの能力で、地上のすべての財宝をおれのモノにしてやると決めたのさ!!」

 いやだから…自分の実力をちゃんと把握した方がいいと思うよ?

 

 原作では、バギーが財宝を盗んだナミを見つけて襲い掛かり、ルフィが残った下半身の股間に蹴りを入れるという流れ…

 けれど、財宝は小さくして、しまってあるので、バギーは盗まれたことにも気づいていないだろう。

 

 ルフィとバギーの戦闘は、今や膠着状態だ。

 剃が使えるルフィに対し、明らかにバギーはスピードで劣る。バラバラのパターンも、既にルフィは回避できる状態だ。

 反対にルフィも決定打に欠けている。月歩の使えないルフィにとって飛んでいるバギーは戦いづらい相手のようだ。足が飛べないという事にまだ気づいていない。

 

 とりあえず、ブードルさんにずっと持っててもらうのもあれなので、ポーチから小さくしてある簡易ベットを取り出し、その上にゾロを置いて、ベットごと元の大きさに戻した。

 このタイミングで財宝を元の大きさに戻したら、バギーが襲い掛かってくるのだろうか?

 

 そういえば、海図を盗むタイミングが無いわね。

 ぶっちゃけ、海図は必要ないと思ってるんだけど、偉大なる航路(グランドライン)の海図はナミに見せてあげたいのよね~…

 

 さて、どうしましょう?

 

 

 

 

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