弁当は、私もゾロも食べました。ナミもゾロもおいしかったと言ってくれた。
うん、素直にうれしい。
ちなみに、料理の修行は順調に進んでいるみたい。現在ユンアは、北の海に居るらしい。
バラティエは最後にすると言っていた。ある程度技術を持って行かないと、女は雇ってくれないだろうからというのがその理由。
ゼフは女に手を出せないから雇わないという感じの事を言っていた様な気がするけど、女性蔑視ってわけじゃないので、行ったら何とかなるんじゃないかな?
はてさて、雇ってもらえるのかしら?
珍獣島を出てからしばらくすると日が傾いた。現在船は、帆をたたんで波に揺られている状態。
2隻の船はロープで繋ぎ、ナミも私らの船に乗っている。
弁当は肉だったので、夜は魚にする事にした。ちなみに和食。
魚はアジとシャケ。シャケは塩焼き、アジはフライにした。もちろん?タルタルソースも作りましたよ!
あとはご飯とサラダとみそ汁です。
ナミにも手伝ってもらっている。ここにいる男どもはなんも出来ねぇからね。というよりルフィには手伝ってもらうと、逆に手間が増えるだけだし…
「手際がいいわね。これで代理とは恐れ入るわ。」
「さすがになれるわよ。コイツは一日5食なんだもの。しかも普通の人の数倍食べるからね。」
エースやサボが居た頃は、給食センターかよ?って量を作ってました。
ミニミニの能力と収納貝があったから、作りすぎてもなんの問題もなかったからね。
食べる時はみんなを常に小さくしていた、というわけではない。私は一緒に住んでなかったからだけど、私が一緒に居る時でも、常に…というわけでは無かった。
なぜなら私の能力は内緒にしていた事だから。
なので、兄弟以外が居る時は普通に食べていたので、食事はいつも大量に作っていた。
料理する時に食材を小さくして、出来上がった後に元の大きさに戻すという事もよくやった。
小さくした食材を切るのは大変なので、切った後に小さくして…という感じで。
食事を終えて、今日はこのまま夜を明かすことにした。
ルフィとゾロはさっさと眠ってしまったので、ナミと二人でデッキでお茶を飲む…
「ベルメールさんは元気?」
「!…げ、元気よ。ミカンの評判良くてね!!F-RONPって会社に降ろしてるのよ?」
「へ~すごいじゃない!あのミカンおいしいもんね!」
「でしょう?っていうか、イオリでしょ?あの会社にベルメールさんのミカンを紹介したの」
「…まぁね。でも、私はおいしいミカンを食べたって言っただけよ?コノミ諸島にユナが行ったのは、あくまで彼女の判断。それに契約に至ったのは、ベルメールさんのミカン栽培が優れていたって事でしょう?私は何もしてないわよ。」
「それでもベルメールさんは、イオリに感謝してるわ。」
「まぁ、元気だって聞いて安心したわ」
「……」
「ユナさ…ユナさんって、私たちと同い年なんでしょ?なんか、オーラっていうの?すっごい素敵な人よね!私、ファンになっちゃった!」
何がそんなにうれしいんだか。まさかナミ…ファンクラブ入ってるとか?
「そ、そうなんだ。」
「イオリはユナさんと友達なのよね?」
「まあね。」
「いいなぁ…」
いや、そんなボソっと言わんでも…
ユナからコノミ諸島の事は聞いている。
調達部門からの報告によると、港は海軍が占拠している感じになっているらしい。しかも、停泊するにも料金を取られる始末…
港には、海賊船の姿もあるようで、海軍支部がある場所とは思えないとの事だった。
ミカンの仕入れ値は3割ほど上がっている。もともとの値段設定が安かった事もあり、5割増しくらいまでは問題ないらしいのだが、3割上がった金額が、生産者に渡っているのかは疑問が残るとの事だった。
納品書によく不備があるらしく、問い合わせると海軍支部につながるようで、対応も海軍支部が行っているとのこと。
それはおかしいと思い、ユナがカザマに調べさせたところ、生産者にはコストダウンが求められていたようで、支払った金額の半分ほどしか渡っていない事が判明している。
つまり、生産者に渡っている金額はもともとの価格の6割ほど。ピンハネ率は5割を超える。
ここでは深くは詮索しない事にした。この先、ウソップとサンジを仲間にする必要があるからだけど、とりあえずベルメールさんが無事だと聞けて安堵した。
コノミ諸島はグランドラインへ向かうルート上にはない。アーロン討伐がなければバラティエの後はローグタウンになるはずなのだ。
「ところでイオリ」
「うん?」
「あんたって、人の心…っていうか考えている事が分かるのよね?」
「覚えてたんだ?」
「そりゃね。私の考えてる事も当てられたじゃない?最初は手品とかそんな感じなのかと思ってたけど、あれって本物でしょ?」
「そうね。見聞色っていう力よ。鍛えればナミも使えるようになると思うわ。」
「それはおいおい教えてもらうとして…。久しぶりに会ってから、私の考えてる事…読んだりした?」
「ナミ、私言ったわよね?」
「?」
「ナミとノジコは友達になった時に、自分がされたらイヤだと思う事だから、二人の思考は読まない!って言ったでしょ?」
「基本的には…とも言ってたわよね?」
「何よ。思考を読んでもらいたいって事?」
「べ…別にそういうわけじゃないけどさ…ちょっと気になっただけ。」
「ふ~ん…」
イオリが私の考えている事を読み取ってくれたなら…私たちを助けてくれるだろうか?
たぶん、いえきっと、助けてくれようとするだろう。けど…いくらイオリが強いからって、アーロンに勝てるはずがない。
友達が傷つくとわかっていて助けを求める事なんて…私には出来ない。
でも…
「悩みがあるなら、いくらでも聞くけど?」
「…別に…無いわよ。」
「そう?」
「…ええ、そうよ!」
「…」
「それじゃ、私は向こうの船で寝るわね!!おやすみ!」
「ええ、おやすみ…」
確かにナミの思考は読んでいない。けれど私は知っている。船出前に、東の海の近況を確認したのだから。
原作に比べれば、ナミの辛さは半減していると思う。
ベルメールさんが生きているのだから当然だ。
けれど、ナミが逃げ出す事など出来やしない。村の人達に加え、ベルメールさんが人質に加わっているのだから。
ナミの苦しみのいくらかを、ベルメールさんが背負っている部分はあると思う。
ノジコからすると、その悲しみはかなり軽減されたと言っていい。
なにしろミカン栽培についてベルメールさんから手ほどきを受けて過ごしてきたのだから…
苦しみの期間は変わらずとも、その苦しみの度合いは少なく済んだ…という感じだろうか?
ナミが海賊を嫌う度合いが、なんとなく小さく感じたのは、きっとそれが要因だと思う。
とはいえ…
自由を奪われ過ごした時間は、それなりにナミの心に影を落としている事は疑いない。
オレンジの町で、ゾロが無茶をしてルフィを助けたのをナミは見た。
ルフィが、ブードルさんの為にバギーと戦ったのを見た。
私たちがピースメインだと知り、また、ピースメインがどういうものかを知った。
珍獣島で、ルフィの人となりを肌で感じた。
ナミは、あいつらを、”い~奴ら”だと思っているだろう。
はたして…
ナミは覚えているだろうか?
― イオリが居るなら、その船に乗ってあげてもいいわよ? ―
そう昔、私に言った事を…