イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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02-61話:ニャーバンブラザーズ

 シャムとブチの猫かぶりは、原作通りとだけ言っておこう。

 私はとにかく、ルフィを起こさないといけないからね。

 

 しかし…どうしてくれよう、このゴムは!!てめーは何度同じ手に引っかかるんだ?

 チャクラム見なけりゃ、催眠術にかかる事は……

 あれ?……単純・純粋ルフィはもしかして…言葉だけでも催眠にかかっちゃうとか?

 う~ん…だとすると、一概にこの状況を、ルフィが悪いと決めつけちゃうのはかわいそうなのかもしれない。でもなァ…

 

 私がムカついちゃったので仕方がないわね!ルフィには捌け口になってもらいましょう!!

 

「起きなさい!」

 今回私は、ルフィの眉間に手加減なしのデコピンを放った。もちろん覇気は使っていない。

 

「おわっ!?」

 ルフィは驚いて跳ね起きる。ただし、船首の下敷きになっているから、半身はまだ地面にめり込んだままだ。

 

「何だ!?びっくりした!!」

 普通の人間なら頭蓋骨陥没ほどの衝撃を受けて『びっくりした』の一言で済むんだから、ゴムってすごい。

 

「ルフィ?」

 目をパチクリとさせていたルフィが、私の顔を見て固まった。例の微笑みを向けているのだから当然ね。

 

「何が起きたか、覚えてる?」

「んー、催眠術師を見て……覚えてねェ!」

 はい。見てたって言いましたね。このヤローは…

 

「あんたは催眠に掛かって暴れたの!!その結果として敵の数が減ったのはいいわよ。でもね、チャクラムを見なければ催眠術には掛らないのに、どうしてそれを見てるのかしら?同じ失敗を繰り返したらどうなるのか、知ってるわよね?」

 

「ごめんなさい」

「素直でよろしい」

 私ははルフィの上に乗っかっていた船首を蹴り飛ばした。

 さて、ルフィが解放されたわけだけど、ゾロの方はというと。

 

「その刀を返せ」

 シャムに刀をネコババされていた。

 

「何だ、あいつ」

 立ち上がったルフィがキョトン顔になってるけど…

 

「あんたが眠らされてる間に出て来た敵戦力よ!」

「ごめんなさい」

 

 あんたは、もうちょっと反省しなさい!

 一方で緊迫した空気のゾロとシャム。

 

「戦う前に、この邪魔な荷物を何とかしなきゃな」

 言ってネコババしていたゾロの刀2本を放り投げるシャム。

 

「…剃!!」

 私は刀の落下地点に向かい、刀が地面に落ちる前にキャッチした。

 一本は、私の友達兼師匠のくいなの形見の和道一文字。ゾロにとっての宝だけれど、私にとっても同じくらい大事なものだ。ぶっちゃけ私も頭にきてる。この怒りはブチにでもぶつけてやるか!

 

「ゾロ!」

 私はキャッチした刀をゾロに投げ返した。ゾロもそれを易々とキャッチして、腰に戻すと3本の刀を抜いた。

 

「テメェら……覚悟は出来てんだろうな?」

 ゾロは結構切れていた。刀に手を出された剣士の怒りか?

 

「チッ。刀3本使ったからって、何になる!」

 シャムが毒づいたが、負け惜しみにしか聞こえない。

 

「刀3本使うのと……三刀流は、違うんだよ」

 ゾロの迫力に圧されたせいか、ブチも早々に参戦することにしたらしい。

 

「キャット・ザ……」

 空高く飛び上がり、シャムと対峙するゾロに狙いを定める。だけどそれはムリ!

 

「残念!敵は1人じゃないんだなぁ!!」

「な!?」

 私は空中のブチの更に上空に回り込んだ。いくら高く飛んでも、ただの跳躍と月歩を比べれば、機動力は圧倒的にこちらが上だ。

 

「嵐脚……」

 ゾロに当たらないように気を付けて、と。

 

「ま、待て!」

 私が何をしようとしているかは解らなくとも、自分が狙われている事は肌で感じているんだろう。 ブチは随分焦っている。

 無理もない。普通なら空中では落下以外に移動など出来ない。つまり逃れる術など無いわけだ。

 

「白雷!」

 原作で出て来たCP9の技は全て試した。習得できなかったものも結構多いけどね。

 これは敵の上から嵐脚をほぼ垂直に放つ技だ。

 嵐脚も私が本気で撃ったら大惨事になってしまうので、かなり弱めで撃ちました。

 軽く撃っただけだけど、ブチを沈めるには充分すぎた。

 

「うっぐぅぁ!!」

 斬撃をどてっ腹に食らい、ブチはそのまま意識を飛ばしてしまったらしい。

 当然、その身体は重力に従って落下する。嵐脚による加速も加わり、ブチは轟音と共に地面に落ちた。

 あーあ、めり込んじゃった。

 

 完全に意識を失っていると思う。死んではいないけど、催眠で強化、なんてのは無理だろう。

 幸いにもあおむけなので、窒息する事も無いだろう。

 

「ブチィ!!」

 かぎ爪を以ってゾロと切り結んでいたシャムが、相棒の惨状に気を取られてゾロから気を逸らした。

 甘いわね。ただでさえゾロに軽くあしらわれていたのによそ見とは…

 

「虎……」

 当然、その隙を見逃すようなゾロではなく。

 

「狩り!!」

「!!!」

 技1発。それによって、シャムも沈んだ。

 ニャーバンブラザーズはあっさり片付いた。

 

「い、一撃!?」

「ニャーバンブラザーズが、2人とも……!」

 希望に目を輝かせていたモブたちも、あからさまにショックを受けている。

 

「イオリ!!おれもあいつらぶっ飛ばしたかったんだぞ!」

 着地した私を待っていたのは、ルフィの怒りだった。

 おめェなぁ…、文句言える立場だと思ってんのか?

 

「まだ主犯のクロが残ってるわよ!そういえば、あの2人は船番だって言ってたわよね?じゃあ、今船はもぬけの空かな。」

 ルフィの怒りを軽くかわして、ナミに視線を送ると、ハッとした顔をして、こちらに駆け下りてきた。

 転ばなくてよかったね?

 

「一緒にいくでしょ?今回(・・)は、手伝ってあげる!」

 ナミが私のところまで来たので、そう言ってあげた。

 まぁね。結局ナミに協力するつもりなんだし、私がもらってもナミが手に入れても同じ事でしょ?

 

 私とナミが、船に向かおうとルフィの横を通り過ぎると、坂の上に新たな気配が近づくのを感じた。

 

「!!」

「どうしたの?」

 坂の上を見上げる私にナミが声をかける。私はルフィに向かって言った。

 

「良かったわねルフィ。主犯がお出ましみたいよ?」

 気配を感じる。言外にそう言うと、ルフィは好戦的な顔をした。

 

「それじゃ、私はナミと一緒にお宝を頂いてくるわね!!」

 

 無人の船に入り込むのに、わざわざこっそりする必要は無い。私はナミを抱えて軽く跳躍すると船に乗り込んだ。

 

「何だこのザマはァ!!」

 そんなクロの怒声を背中で聞きながら。

 

 

 

 

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