イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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ちょっと短め






02-62話:ごめんねメリー

「ずいぶんと整頓されてるわね。」

「ほんとにねェ…。」

 

 お宝は、きちんとひとまとめにされており、運び出しやすい状態で保管されていた。

 換金する予定が近かったのか、もともとこの海賊団が几帳面だったかどうかは知らんけど。

 お陰で回収はすんなり済んだ。

 

「これ、本当に私が貰っていいの?」

「協力するって言ったでしょ?とりあえず小さくして私が預かっておくわね?」

 大丈夫。ちゃんとナミ用の収納貝を用意しといたから!

 

 アルビダの指輪がデカかったからね。大きさもだけど、希少な石があったから。

 東の海での資金集めがここまでの収穫になるとは思っていなかった。3000万いけばいいほうだと考えていたんだけど、とんでもない。ここをナミに譲ったとしても、クリーク一味から宝を頂けば、たぶん1億超えると思う。

 

「…理由は聞かないのね。」

「無理に聞くつもりはないわ。言いたくなったらいつでも聞くけどね。」

 私の言葉にナミはしばらく考えるように黙り込んだ。

 

「…私は……仲間じゃないのよ?今はまだ、手を組んでるだけ…」

 私は軽くため息を吐いた。

 

「ルフィはもう、あなたの事を仲間として考えてるわ。それなら私にとってもナミは仲間よ?そもそもナミは私の大事な友達なんだし、どうでもいいでしょ?そんな事!」

 

「………後悔…しない?」

「しないわよ!」

 苦しい気持ちを隠すようにナミが言う。私は即答する事で、その苦しみを少しでも和らげたいと思ったのだった。

 

 悩みを打ち明けてほしいとは思う。けれど、ナミはナミでいろいろ考えているのだろう。友達に迷惑をかけたくないとかそんなところだとは思うけど…。

 けどね?知り合い程度ならともかく、友達は、困っている時に助け合ってこそだと思うんだよね。まぁそれは私の考えだから、ナミに押し付けるつもりはないけれど、逆の立場だったら間違いなくナミは私を助けてくれると思うんだけどな?

 

 後々ナミを説得するための手順はもう考えてある。

 

 仲間ではない私たちに頼るのは出来ないと思っているのだろうけど、私はナミの友達だ。

 しかもココヤシ村にはノジコも居るし、ベルメールさんも居る。

 ナミの現状を知れば、私がココヤシ村を救おうとする事は至極当然の事になるわけだ。

 だからこそ、ナミは言わないのだろうけど…。

 

 後は、私たちがアーロンに殺されない事を示せばいいだけ。

 とはいえ、アーロンの方が私たちより強いと思ってしまっている、今のナミを納得させるのは難しいだろう。

 なので次策も提示する。

 危なくなったら逃げると伝え、その場合には次策によってアーロンを排除する。

 

 次策には、ルフィの七光りを利用させてもらうつもりだ。

 要するに、ガープに連絡をつけるのだ。実は教えてもらってたんだよね。ガープの直通電伝虫を…。使う事は無いだろうと思ってたからすっかり忘れてたんだけど、メモは勝手に消えたりしない。

 

 ナミが、海軍に助けを求めなかったのは、東の海にアーロン一味に勝てる海兵が居ないと思っているからだ。

 では海軍本部ならどうか?

 アーロンが、ネズミを買収しているのは、それを潰すための策だろう。つまり海軍本部への連絡手段はネズミが押さえているという事だ。ベルメールさんが海軍に復帰出来なかった理由もおそらくその辺にあるんだろう。

 海軍本部に話を通せば、コノミ諸島の問題はすぐにでも解決すると思う。

 8年という長期に渡って多くの人々が海賊に虐げられてきたと知れば、海軍本部も間違いなく動くだろうから。

 

 これはあくまで原作知識なので言わないけれど、都合の良い事に、ガープは既に東の海に向かっているはずなのよね。

 シェルズタウンに、モーガン護送の為に…

 

 

 さて、クロは片付いたのかな?

 

 私は船首に行って下を見た。

 

「もう止めて、クラハドール!!」

 下では丁度、お子様3人組に必死で押し留められながらも、決死の覚悟という表情でクロに相対するカヤが登場していた。

 

 あ~、しまった!!完全に頭から抜け落ちてたわ。

 なんてこったい。一人、大けが負った子いたじゃんか!!

 

 ごめんねメリー。

 

「あれ?」

「?」

 

 カヤと対峙するクロをけん制しているのはゾロだった。ウソップはカヤの隣で警戒している。ジャンゴはまだ、油の坂を攻略していない?

 ってか、ルフィはどこに?

 

「ねぇあれ…、もしかして…また眠らされたの?」

 ナミがジャンゴよりも船に近い位置を指さし言った。

 

「…」

 ヒクッ、

 

 と私は自分の口元が引き攣るのを感じた。

 視線を船に近づけるとそこに、また(・・)寝ているルフィ…

 

 何故に?

 

 1回の戦闘で4回も催眠に掛かるって、どゆこと?

 

 しかもさっき、同じ失敗を繰り返したらどうなるのか、と釘をさしたばかりよね?

 

「よ~~~く解ったわ。」

 私はニッコリ微笑んだんだけど、何故かナミに引かれた。

 何でだろう?別にナミに怒ってるわけでもないのに…

 

「じゃ、私はルフィを起こしてくるわ!」

 すぅ、と私は大きく息を吸い込んだ。そして。

 

「何度も何度も眠らされてんじゃねェェェェェェェェ!!」

 船から飛び降り、怒号と共にルフィにドロップキックをぶちかましたのだった。

 

 

 

 

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