イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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02-64話:ゴーイング・メリー号

 予想通りというかなんというか…

 あれだけ自信たっぷりに、いろいろ豪語していたクロだけど…

 

「ゴムゴムの~鐘!!」

「グフッ!!?」

 何も出来ずにあっさり沈んだ。

 

 どうなったかといいますと…

 ルフィはクロの抜き足に付いていくどころかそれを上回って早々にヤツを捕えた。

 クロが動いた次の瞬間には、ルフィがクロの体をがっちりホールドしてた。

 そして、先の通りに沈めたわけだ。

 

 船長対決、一瞬で終了です。

 

 

 全盛期ですら1600万だったわけだから、原作で初頭手配3000万になるルフィに勝てるはずも無し。

 さらに言ってしまえば、クロには3年のブランクがある。

 

 ルフィの自力は1/4に抑えられているとは言え、その状態でも原作を大きく上回っているのです。特にスピードが。

 戦闘において、キャプテン・クロの最大の武器はスピードだ。

 そのスピードにおいてルフィが上回っているのだから、クロに成す術があるわけない。

 にしても…

 

「随分…早かったわね…」

 思わず口から洩れた言葉はしっかりとルフィの耳に届いたらしく、逆に首を捻られた。

 

「どうしたんだ?」

「いや、船長対決がずいぶんあっさり終わっちゃったからね。」

 バギーと比べて…だけどね?

 

「? 何言ってんだ、あれくらいで。あの執事、訓練の時のお前より遅いしな!」

 そうなんだ。ルフィが言うなら間違いないわね。

 

 やっぱり、ルフィが剃を使えるようになったのが大きいと思う。

 速く動けるようになると、その速度に目と脳が慣れていく。要するに動体視力が鍛えられるのだ。

 だから、ルフィにはクロの抜き足が見えていた。

 

 

「キャ、キャプテン・クロが一撃で!」

「海軍船一隻をたった1人で壊滅させた、あの『百計』のクロが!?」

 ……モブたちがなんだかうるっさいなァ…

 

「テメェは一体何なんだ!?」

「おれは、モンキー・D・ルフィ!」

 ルフィは不敵な笑みと共にどんと言い放った。 

 聞かない名だと、微妙そうな顔をするモブたち。

 

「一生覚えとけ、海賊王になる男の名前だ!!」

 海賊王発言に、コイツ何言ってんだ的な空気を醸し出す連中……

 うん、こいつらはボコって問題なしだな!!

 

「持って行きな!」

 転がってるクロを拾い上げて、連中に投げつけた。

 ちなみに猫の手は両手ともに無事なので、投げつける前に回収した。

 珍しい武器だから、結構高値で売れんじゃね?

 

「キャプテン・クロ!!」

 『全員消す』発言が無かったからか、モブたちは素直にも元船長の身を案じている。

 

「自分たちもそうなりたくなかったら、そいつを連れてさっさと島から出ていきな!ただし…さっきルフィの夢をバカにしてたヤツはそこに直れ!!」

 私はさっき手に入れた猫の手を構えて見せた。

 

「試し斬りに使ってやる!!」

 

《うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!》

 そこに直れと言ったのに、全員一目散に逃げていった。

 まあ別に、本気で言ったわけじゃないし、ルフィがそこまで気にしていないみたいだから、どうでもいいんだけどね。

 

「あいつら、催眠術師忘れてるぞ」

 ……あ、本当だ。ジャンゴは倒れたまま置き去りにされている。

 あいつら、元船長を連れて行って現船長を忘れ去ったな。

 

 とりあえず、危ないのでチャクラムの刃は潰しとこ…

 

 図らずも『ジャンゴのダンス天国』フラグは守られたって感じ?

 

 そしてウソップは、この1件を自分たちの間だけの秘密にすることにしたらしい。

 そもそも村の人たちには何も言ってないし、わざわざ過ぎた未遂事件を伝えて怖がらせる必要も無いだろう。

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

「プハァッ、取れた!」

 喉に引っ掛かっていた魚の骨を抜いたルフィがホッと息を吐く。

 

 珍しく、ルフィが肉よりも魚を選んで食べていた。

 場所はシロップ村のメシ屋。みんなで腹ごしらえをしてました。

 ちなみに私も魚を食べた。というか、今回は全員が魚料理を楽しんだ。

 

「あんたたち、魚を食べたら普通こういう形跡が残るものなのよ?」

 自分の皿に残る魚の骨を摘み上げながら、ナミが半眼になって指摘してきた。

 喉に引っ掛かっていた骨だけが皿に残っているルフィと、何も残していないゾロと私。

 カルシウムって大事なんだよ?

 

「ここにいらしたんですね」

 そこにやってきたカヤ。ルフィが言った事を覚えていたらしく、船をくれるという事だ。

 

 

 港に船が浮かんでいる。羊の頭を象った船首飾りのキャラヴェル。

 

「カーヴェル造り三角帆使用の船尾中央舵方式キャラヴェル、ゴーイング・メリー号でございます!」

 どこか誇らしげに自身の設計した船を紹介する執事こと、メリー。

 

 メリー自身は包帯やガーゼで痛々しい姿である。

 考えてみると、今回最も酷い目に合ったのは、実はメリーか?

 

 ウソップもお子様3人組も私たちも、全くと言っていいほど怪我してなかったし。

 ゴメンねメリー。

 私はあなたのことを綺麗サッパリ忘れてました。

 

「いい船だなっ!」

 ルフィはいつもの無邪気な笑顔で喜んでいる。

 

「動索の説明を致しますが、まずクルーガーネットによるヤード調節に関しましては」

 船長だからだろう。メリーはルフィに船の説明を仕出したけど……。

 

「あー、ダメダメ。船の説明なら私が聞くわ」

 うん。ナミも随分とルフィを解ってきてくれてるみたいだね。

 普通解るか。

 ルフィってばあからさまに「?」な顔だし。

 とりあえず、私も一緒に聞いておこう。

 

 

 メリーから船の説明を聞き終わる頃…

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー! 止めてくれーーーーーーーー!!」

 ウソップが坂から転がってきた。

 

「このままだと船に直撃するな」

 ゾロがウソップではなくメリー号を心配してる。

 まあそれで問題ないからいいんだけど…。

 

「じゃ、止めないとね!」

 もう、すぐそこまで迫ってきてるし。

 それにウソップも自分で言ってたし。『止めてくれ』って。

 

「わ、悪ぃな……」

 ウソップから見て向かって右からゾロ・私・ルフィに、顔面に足をめり込ませられながら止められたウソップが、弱々しく礼を言った。

 

「「「おう」」」

 にしても、すごい音がしたなー。

 ドスン! って。

 

 痛そうだよね?

 だってウソップはゴムじゃないんだし。

 

 カヤと少し話した後、出航の準備をあらかた終えて、甲板に戻ってみるとウソップはカヤと別れの挨拶をしていた。

 

「今度帰ってきたら、ウソよりずっとウソみたいな冒険譚を聞かせてやる!」

 まぁ実際、島喰いにも出会うことにもなるからね。

 話のネタには事欠かないと思う。

 そして今度は、メリー号に乗り込んでいる私たちに向き直った。

 同じ海賊になるんだから、海で会えたらいいな、とか……。

 

「何言ってんだ、早く乗れ」

 ゾロはメリー号を指し示し。

 

「おれたち、もう仲間だろ?」

 ルフィは、何でウソップがそういう風に言い出したのか解らないと言わんばかりの表情だ。

 

「キャ……キャプテンはおれだろうな!?」

「バカ言え! キャプテンはおれだ!」

 ウソップの照れ隠しの発言に、ルフィがムキになって言い返していた。

 

 

「新しい船と仲間に乾杯だー!」

 出航して暫くしてから、メリー号の船上にて小さな宴が催された。

 料理は作り置きから出しました。お酒は種類も豊富にあるからね!

 

 何はともあれ、賑やかになりそうだ。

 

 

 

 




 冷蔵庫には鍵がついていません。
 そもそも食糧を冷蔵庫に入れる事はほぼないのです。
 収納貝に入れているから。

 収納貝はけっこうな数を持っているので、サンジが加入したら、縮小しない用の収納貝を2,3個渡すつもりです。
 冷蔵庫は、ほぼほぼ飲み物用という感じかな?


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