イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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 サブタイはラブコックにしようと思ったのですが、
 あまりに想像しやすかったので、
 誰かの格闘をタイトルにしました。

 別に想像しやすくてもいいんですけどなんとなく…






02-67話:VSキノコ

 サンジがフルボディをシメた後、誰かがゼフを呼んできたらしい。ちなみに、ルフィも一緒に来た。

 ゼフはサンジを叱りつけ、フルボディを叩き出そうとした。

 そういえば、最初に二人組をシメる事のなかったヤツは、本日やられっぱなしだ。本当に良い所ナシだな。かわいそうに。

 しかもその後に、捕まえた海賊に逃げられたと大声で報告される始末。

 

 でも、クリーク一味が、東の海『最強』の海賊団?『最大』の間違いじゃないのかな?

 にしても、捕まえた時には餓死寸前だった人間を、さらに3日間食べさせてなかったっていうのは、いくら海賊だからって、どうかと思うけど?

 そもそもなんで捕らえていたのか?

 尋問なりなんなりするためだと思うんだけど、本当に餓死したらどうすんねん?

 そんな取りとめもないことを考えていたら、報告に来ていた海兵が撃たれた。

 

 『海賊』の登場に悲鳴が上がるが、次の瞬間には一部を除いて静まり返る店内。刺激したくないのかな?

 ちなみに一部とは、酒を飲むゾロと、そのゾロに酒を注いでもらった私と、そんな私たちに文句を言うルフィのことだ。

 ルフィの文句は、自分だけメシが食べられなかった不満だった。

 

「おい、何でお前らだけ食ってんだよ!」

「自重しなかった自分が悪いんでしょ?」

「どうでもいいけどよ、喧嘩なら外でやれ」

 そんな感じでやいのやいのやってたら。

 

「あんたらには緊張感ってもんが無いの!?」

 ナミに押し殺した声でツッコまれた。

 その時、ドカッという殴打音がした。見ると、デカいコック(たぶんパティ)がイスに座っていた海賊(たぶんギン)を殴りつけた所だった。

 

「すげーパワー」

 イスがへし折れる様を見て、ルフィが感嘆の声を上げた。

 パティがギンをシメている間に、フルボディがこそこそ逃げていっていた。

 大丈夫なのか?海軍本部。

 

 パティの独壇場を囃し立てる者はいても止める者は無く、結局ギンはボコボコにされて店から追い出された。

 いつの間にかサンジはいなくなっており、騒ぎが収まったのでルフィも連れて行かれた。

 私らも、特に何かすることがあるわけでもなく…

 

「…飲みますか」

「そうだな」

 私とゾロは、飲み比べを再開したのだった。

 

 私たちが飲んでいるといつの間にかそれにナミも加わっていて、3人で楽しんでいる傍らでウソップはキノコと格闘していた。

 嫌いらしい。

 でも残すのは許さない。シロップ村から今までの航海の間にキッチリ言い聞かせときました。食料がどれほど貴重なものか!

 この世界では、飢餓とかそんな経験してませんけど…

 

 そうこうしていると、ルフィは前掛けを付けてやって来た。ウェイター係にされたらしい。

 つまり、厨房では匙を投げられたという事だ。果たしてどれだけの備品を破壊したのやら。

 

「お前ら、まだ食ってんのか!? おれを差し置いて!」

 ルフィはまた怒った。だから、自業自得だってば!

 

「おれたちの勝手だろ?」

 得意げに笑うゾロがよそ見をしてる間にルフィがイタズラをしようとしたので、腕を掴んで止めた。

 

「何で止めんだよ!」

「気づかれてるわよ!そうでしょ、ゾロ?」

 聞くと小さく舌打ちされた。どうやら、そのままルフィに仕掛け返すつもりだったようだ。余計な事しちゃったみたい?

 

「あぁ海よ、今日という日の出会いをありがとう! あぁ、恋よ♥」

 不意に踊りながら現れたサンジ。その視線はナミと私に向けられている。

 なるほど、そうきたか。

 流石は天下のラブコック……そのブレの無さには恐れ入る。

 目が♥になっているサンジが理解出来ないのか、ルフィもゾロも呆気に取られている。

 ウソップは……

 それでもキノコに取り組んでいる。アレルギーでもないなら呑み込みなさいよ!まったくおこちゃまだな。

 

 その後も何かとナミと私を口説こうとしていたけど……尤も、余りに唐突な事にナミは困惑顔だ。

 そして、いつの間にかやって来ていたゼフがそれを聞いていた。

 

「おい、嬢ちゃん」

 

 サンジに、『いっそ辞めちまえ』と言った後、食い下がるサンジを無視してゼフは私に声を掛けてきた。

 

「お前の弟だがな、はっきり言って使いものにならねぇ。確かに、1ヶ月も働かせたら店が潰れちまう。1週間で勘弁してやるから、弁償はきっちりしろ」

 

 それを言いに来たのかな?ってか、嬢ちゃんって…。

 ルフィ、完璧に匙を投げられちゃったわね。それにしても、判断早くね?

 私はちょっと苦笑しながら頷いた。

 

「おいクソジジイ! 聞いてんのか!?」

 サンジがゼフの胸倉を掴んだ……が、反対に投げ飛ばされ、私たちが着いていたテーブルに叩きつけられた。

 その際私たちは自分の皿やコップを持って保護したが、ヨサクとジョニーの分はダメになった。勿体無い……というか、賞金稼ぎのくせに反応鈍くない?

 逆に、ウソップは条件反射なのか、皿を持って避けていた。

 残念ねぇ~。二人と一緒にテーブルに置いて置けば、キノコ食べずに済んだのに…

 

 その後もサンジとゼフの間で暫く言い合いが続いたけれど、本人たちの問題であって私たちが首を突っ込むことではないのでスルーする。

 

「よかったな、許しが出て!これで海賊に」

「なるか!!」

 ゼフが去った後、ルフィは満面の無邪気な笑顔で提案したけど、サンジはすげなく断った。

 

「ルフィ、彼があんたの見つけたコックなの?」

 

「おう! いいコックだぞ!」

「だから、勝手に決めてんじゃねェ!!」

 

 サンジ、諦めた方がいいと思うわよ?既にやられてるかも知れないけど、ルフィは必殺技『断るのを断る』を発動して相手を逃さないから。

 そのサンジはナミと私を視界に入れるとまた目を♥にした。

 

「食後にフルーツのマチェドニアと、グラン・マニエをどうぞ、お姫様!♥」

 ナミと私に進呈されるフルーツと食後酒。

 

「「ありがとう」」

 さっきは呆然としていたナミも、もう慣れたらしい。あっさりと受け入れていた。まぁこちらとしては得しかないから当然ね。

 

 そして、飲食再開。私はゾロとナミと一緒に酒を飲んでる。

 ウソップは。。。って、お前まだキノコ食べてなかったの?

 

「おいイオリ……もう勘弁してく」

「ふざけてるのかな?」

 

「…食べます」

 涙目になりながらキノコを少しずつ口に運ぶウソップが何か言った気がするけど、気にしない。

 

「お茶がうめぇ」

 いつの間にかルフィが私の茶を横取りして啜っていた。まぁ、私も今は酒を飲んでいるから、いいんだけど。

 私はいいけど……ね?

 

「何寛いでんだ、雑用!!」

 サンジの踵落としがルフィにクリティカルヒットし、飲んでいた茶を吹き出す。

 そのままルフィはサンジに引っ張られていったのだった。

 

 さて、ルフィの雑用期間も1週間となった。それぐらいならいいか、と私たちは待つことにした。

 

 日程通りならクリーク来襲は明後日、2月14日の予定だけど、はたして?

 

 ずっと外食というのも出費がかさむので、3食の内2食は船で私が作る事にした。

 ちなみにナミにも手伝ってもらいました。

 

 早くコックが来ないかな…。

 

 

 

 

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