イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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クラスター・ジャドウさん、エクスプローラさん、誤字報告ありがとうございます。


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02-72話:今後

 報告します。VSクリーク海賊団の結果について

 

 勝敗は、勿論バラティエ&ルフィ組の勝ち。クリーク海賊団は小船でこの場を離脱することとなった。

 被害状況としては、ルフィとサンジが負傷してゼフの義足が折られた。レストランもヒレを失って…と、ほぼ原作通りの状況だ。

 

 違いとしては、ルフィの負傷具合。原作では槍をくらったりしていたけど、それが無い。

 ここでも剃が生きたらしく、槍はすべて避けられたらしい。だからルフィの怪我は、剣山マントを殴ったことによる拳の怪我と、爆発する槍による火傷?という感じ。軽傷…とは言えないけど、それほど大きな怪我じゃない。

 むしろ重傷だったのはサンジの方で、こちらは原作通りゼフを人質に取られている間にパールにメッタ打ちにされたらしい。

 だから、ルフィより先にサンジの手当てをした。

 

 要するに、ルフィの怪我以外は、ほぼ原作通りという感じ。結局毒ガスも使われたようで、ギンはふらふらだったらしい。

 グランドラインで会おうと言っていたらしいけど?

 

 サンジの怪我は打撲系ばっかりだったので、打ち身用の湿布を貼ってテープと包帯で固定したりした。まだ正式な仲間入りをしてないから、極めて事務的に処置をした。

 最初、目がハートになってた気がしたけど、向こうも疲れているみたいで口説かれはしなかった。それに途中で寝ちゃったし…。

 自己紹介はまた今度…ってな感じ。

 

 ルフィの治療は、メリー号にて行った。というのも、ナミの事情を説明しなきゃならないからだ。

 そういうわけで現在、麦わらの一味(+ヨサクとジョニー)はメリー号に集まっている。

 

 私はルフィの治療をしながら話を進めた。ナミの口から話すのは辛いだろうから。

 そのナミは、イスに腰掛けて俯いている。

 

「と、いうわけなのよ。」

 話の内容はまず、ナミの事情を要点を纏めて報告。ナミの故郷がアーロン率いる魚人海賊団の支配下に置かれていること。近隣の海軍は買収されていて役に立たないこと。育った村をアーロンから1億ベリーで買い取ることで助けようとしていること。そのために海賊専門泥棒になったこと。最近そのアーロンが再び暴れだしたという話をヨサクとジョニーから聞いて焦ってしまったこと……。ほぼ包み隠さずに。

 で、そしてそこから予測される事態と、その対応。

 

 ひとまず1億ベリーを揃えること。でもそれも反故にされる可能性があること。反故された場合は戦うこと。

 

 ただ、ガープというコネの件と、『危なくなったら逃げる』というナミとの約束については言わない事にした。

 それに関しては、ルフィたちがそれを知ったら間違いなく怒るから、と事前にナミとも口裏合わせを済ませてある。

 

「だから、次の目的地はナミの故郷であるココヤシ村がある、コノミ諸島にしたいんだけど。いいかな?船長(ルフィ)

 私はルフィの右手に包帯を巻きながら訊ねた。

 

「いやだ!」

 返ってきたのは、何ともキッパリとした拒否だった。その返答に、ナミの肩が揺れる。

 

「…一応聞くけど、何が嫌なの?」

 長い付き合いだからね。ルフィが何でいやだと言ったかは何となく解る。

 決して、コノミ諸島に行くのが嫌なわではないことも…

 

「何でそんなまどろっこしいことしなきゃなんねェんだよ! 金を払えばアーロンはいなくなるのか? 最初からぶっ飛ばせばいいじゃねェか!」

「うおぉい!?」

 その発言に、ウソップがツッコんだ。ウソップは何と言うか、ムンクの『叫び』状態だ。

 

「おまっ、相手は魚人だぞ!? 東の海最高額の化け物だぞ!? 金で穏便にコトが済むならいいじゃねェか!」

「済まないだろうけどね」

 慌てているウソップに、私は冷静に返した。

 

「アーロンは取引を反故にする可能性があるって言ったけど、私の予想では『ある』どころか『高い』と思うから」

 あまりにもサラッとした宣告に、ウソップは逆に脱力した。反論する気もなくなってしまったように、肩を落としてうなだれている。

 

「ルフィ、ナミの気持ちも考えてやってよ!この8年、ナミはアーロン一味によって助けに来た海軍の船だとかが沈められてきたのを何度も見てきたの。私たちを心配してくれてるのよ。取引がダメになったら戦うっていうのも、本当なら止めて欲しいと思ってる。……そうでしょ?」

 私が話を振ると、ナミが頷いた。

 

「ええ……アーロンは、化け物よ。この東の海でアーロンに敵うヤツなんていない。ずっと、それが私たちの常識だった」

「知るか、そんなこと」

 ルフィの機嫌がさらに悪くなる。

 

「要は、アーロンをぶっ飛ばせばいいんだろ? 何でおれたちを頼らねェんだよ、仲間だろ!?」

「ルフィ。あんたの言う事は間違ってはいないと思うけど…。」

 このままじゃ話が進まない……っていうか、ナミの心配具合が高まるだけだ。

 

「さっきも言ったけど、ナミは私たちの事を心配してるの!あんただって、例えばエースがシャンクスと戦う!なんて言ったら、心配するでしょう?」

 たぶん、両方の心配するよね?

 

「「?」」

 

「そうなのか?」

「ちがうわよ!例えばの話!!心配するでしょ?」

「そんなの当たり前だろ!」

「だから、そういう事なの!」

 ルフィが何やら思案顔になった。そしてしばらくして…

 

「なんだそうか!ナミはおれ達の事、心配してくれてんのか!!」

 だから、ずっとそう言ってるじゃないさ!!

 

 しかも、ルフィを説得する為に、余計な事を言っちゃった。みんなが疑問を抱くのも当選だ。

 でもまぁ、すぐにわかる事だし、言っちゃっていいよね?

 

「今言った、エースっていうのは『火拳』の事で、彼は私たちの兄なのよ。」

「「「えぇ~~~~~!!!?」」」

 無理もない。

 シャンクスほどではないにせよ、エースも有名人だからね。

 

「?」

 逆に今度はルフィが疑問顔である。何を驚いてるんだ的な?

 

 まぁね…ルフィはシャンクスの事も知らんかったくらいだから、エースの事なんて知るはずがない。

 手配書を見せた時は『おー!!』とか言ってたけどね。

 

 今や、白髭海賊団の2番隊隊長の『火拳』のエース。懸賞金額はどこぞの海賊団の将星1位と同じになってる。

 まぁそれはそれとして…

 

 ルフィの手の治療が終わった。

 

「今回の場合、多分…間違いなく戦うことになると思う。だからとりあえずはナミのやりたいようにやらせてあげて?」

「…………」

 

 ルフィはまだ、不満顔だったけど、一応引いてくれた。

 まぁ、『戦うことになる』と言ってるようなもんだものね。

 

「で、次はナミの故郷に向かう。って事でいいわよね?」

「ああ! アーロンってヤツ、ぶっ飛ばしてやる!」

 

 やっと、船長の承諾が得られた。

 

「ウソップ……は、まだ項垂れてるわね。ゾロは?」

 ベッドに寝かせているゾロは今まで無言だった。話は聞いてくれてたみたいだけど。

 

「構わねェ。そのアーロン一味ってのには、剣士はいるのか?」

「タコの魚人で、六刀流の剣士がいるらしいわよ?」

 アーロン一味の幹部については、ナミと話を詰めていたときに聞き出しておいた。

 恐らくネズミの仕業だと思うけど、海軍から魚人海賊団の情報はあまり引き出せていない。

 まぁ、別に、その辺は原作知識もあるし、カザマからも情報は得てますけども…

 

 私の返答に、ゾロは極めて好戦的な笑みを浮かべているけど、お前、怪我人だからね?しかも重傷なんだからね?

 普通はちょっと、自重しようとか思うんだけどな?

 

「トップのアーロンとその剣士と、あとはエイの魚人の空手家と、キスの魚人。その他下っ端が大勢と、グランドラインから連れてきた海獣。それがアーロン一味って事らしいわ。」

 

「ムチャクチャですよ!」

 端っこで話を聞いていたジョニーが口を挟んできた。

 

「たった4人で、それだけの戦力に挑もうだなんて!」

 4人……

 まぁ、ナミは戦力に含まれていないんだろうけど。

 

「何言ってんだ、6人いるぞ!」

 ルフィが不思議そうに胸を張る。

 

「ナミは戦力に含んでないの!しかも6人って…それ、あのコックも入れてるでしょ?確かに、強いみたいだから仲間になってくれたら戦力アップになるんだろうけど、本人は了承してくれたの?」

 勝手に決めんな!って断られてたじゃないさ!!

 

「まだだ! あ、でも早くしねぇと! ナミの村に行くんだもんな! ゥゲ!」

 私はすぐさま飛び出しそうだったルフィの襟首を掴んで引き止めた。

 

「落ち着きなさいよ!彼は今は寝てると思うわよ?酷い怪我だったんだし…。それに、ゾロだって、あんただって怪我してるでしょ?少しは休みなさい!!まぁ、ルフィの場合、肉でも食べれば治りそうな気もするけど、他の二人はそんなデタラメな身体はしてないの!」

 してない…よね?

 

 サンジはまだしも、ゾロの怪我はマジで酷い。本当なら、アーロン一味との戦いにだって参戦しない方がいいんだろう。

 ただ、コイツの場合、バギーに刺されたケガがあっさり治ってたって前例があるのよね…。

 それにミホークの技のおかげか、切り口が妙に綺麗だったし、海にも落ちてないし処置もはやかったから、本当にくっついてるかもしれないし…

 

「ウソップ?」

 まだどこか遠い目をしているウソップに呼びかけてみたけど……何だか、焦点が合ってないような?

 もしかして、トリップしてる? どこに行ってるのかな?

 

「何なら、あなたは船番でもしてる? ”勇敢なる海の戦士”」

 そう言うと、ウソップはハッとした。

 

「だ、誰が船番なんかするか! おれは逃げねェぞ、勇敢なる海の戦士なんだからな!」

 勇敢なる海の戦士って、なんだか損な性分みたいよね?

 

 明らかな強がりに、ヨサクとジョニーの激しい同情の視線がウソップへと集中した。

 

「甘い!」

 今度はヨサクが声を上げた。

 

「兄貴たち、アーロンってのがどんなヤツだか解ってんですか!? ヤツは」

「かつてグランドラインで活動していた、魚人海賊団から分裂した一派」

 私はヨサクの言葉を遮って続けた。

 

「海賊団の2代目船長『海侠』のジンベエの七武海加盟を受け入れられず決別、独立。その後東の海へとやってきた。目的は『支配』……大丈夫よ。ちゃんと調べたからね!」

 

 実際には原作知識だけど、そんなことは言わない。

 私のアーロン情報は自分たちのソレを凌いでいる。と知った2人は口を噤んだ。

 ……ってそういえば。

 

「ところで、あんた達はどうするの?」

 聞くと、なぜか首を傾げる二人…

 

 もうこの2人が私たちにくっついて来る必要って無いよね?

 原作では道案内役になってたけど、ナミがいるんだし…。アーロン一味との戦いでは、言っちゃ何だけど、戦力外だし。

 

「まさかあんた達までゾロに続いて、賞金稼ぎからの海賊堕ちする気?」

 言われて漸く思い至ったらしい。2人は顔を見合わせた。

 

「そういえば……」

「そうだな……」

 元々、バラティエまでの道案内としてこの船に同乗してたわけだけど、このままずるずると乗っていられてもねェ…

 自分たちの船が無くなってるわけでもないんだから、わざわざコノミ諸島まで行く必要はないと思うんだけど。

 

 結局、翌日にまた改めてサンジを誘い、その後コノミ諸島へと向かおう、という結論に落ち着いた。

 ヨサクとジョニーは、ここまで話を聞いたからには結末まで見届けたい。と言い出し、コノミ諸島まで一緒に同行することになったのだった。

 

 

 

 

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