海兵から逃げていると、前方に1人の女海兵が現れた。
「ロロノア・ゾロ!!」
誰かと言えばわかるだろう。たしぎだ。
しかし、本当に似てる。ってか瓜二つだ。これじゃゾロが苦手に思っても仕方ない。
「ゾロ、あれって?」
驚いた感じで、ゾロに問いかけると、
「他人の空似だ。」
という言葉が返って来た。
因縁(?)があるらしいゾロにこの場は任せ、私たちは先に進む。
サンジが、女に手を出したと怒ってるけど、
まぁ、あっちは特に問題無いだろう。むしろ
さらに走り続けていると、数本の葉巻を銜えた1人の男が見えて来た。
待ち受けてたのか、スモーカー!
「来たな、『麦わら』、女の方の『紅髪(あかがみ)』」
「あ゛?」
おい、コラおめェ…今、なんつった?
ルフィと私が賞金首だからって、わざわざ二つ名で呼ぶ必要ねぇだろがよ!!
しかも『女の方』ってなんだよ!コラァ!!
じゃああれか?シャンクスを呼ぶときは『男の方』とか言うのかよ! 言わねぇだろうが!!ゴラァ!!!
「お前らを海には行かせねェ!」
スモーカーはわざわざ自己紹介してくれた。その後、早々に煙で捕縛しようとしてきたけどね。
その煙はルフィと私を狙っていた。サンジは無視された形。もちろん、捕まらないように避けました。剃が使えるならば難しくもない。
「このバケモンが!」
狙われなかったサンジが蹴りかかったけど、当然
その後にルフィが放った
「物理的な攻撃は効かないって、船で話したでしょ?」
とはいえ、このままだと通してくれなさそうだ。煙を避けることは出来るから、あっさり捕まるような事はないけれど、だからといって全員でこの煙を抜くことも難しそうだ。
ぶっちゃけ、逃げるだけなら楽勝!とか思ってたんだけどな?
煙って…こんなに広がってたっけ?
ならば、スモーカーを抑えるしかないか…。
「ルフィ、私が合図したら、
さっきから動きを見てると、スモーカーは自分の能力にかなり自信を持っているみたいだ。サンジやルフィの攻撃を避けようともしなかったのがいい例だ。
でも…いくらここが東の海だからって、相手の実力が不明な以上、覇気が使える可能性も考えてしかるべきだと思うんだけど…?
ルフィも私も、初頭手配4000万ベリーを超える大物なのに、だ。
この島から海賊を逃がした事が無いらしいけど、『だから何?』って感じだよ。私らの事を舐めているとしか思えない。
油断しているなら、そこを突かせてもらうとしよう。
「何だ、何かするのか?」
「まあね。こっちの攻撃が当たるようにする。」
ヤツの煙は速いとは言えない。ルフィが剃で避けられる程度だからね。 懐に潜り込めれば、どうとでも出来る。
だからこそ(?)、私はソレをいつも持ち歩いてる。
スモーカーを私たちで何とかしてしまったら、ドラゴンとの出会いフラグが折れてしまうかもしれないけど、それならそれでいいじゃんね?
どうせドラゴンはルフィに名乗り出ないだろうし、ここに来たのは息子の船出を見届ける為なんだろうから。
それなら別に、見ているだけでもいいはずだ。姿を見せなければ、スモーカーに勘ぐられる事もない。
それに…『女の方』って言われてちょっとムカついちゃってるし…
「それじゃ、いくわよ! 剃!!」
スモーカーが、どうせ私たちは自分へ攻撃を当てられない、と油断している今がチャンスだ。一気に懐に潜り込み…。
「なっ!?」
ガチャンと手錠を嵌めさせてもらいました。
「!? 海楼石か!」
ルフィと私の捕縛のために煙状になっていた体が一瞬で元に戻り、スモーカーは事情を察したらしい。
大正解。これはアレです。シェルズタウンでカギとセット奪ったヤツです。こういう時の為(?)にと、いつも持ち歩いておりました!!
スモーカーが驚いている間に、さらに背後に回りこんで動けないよう押さえ込む。
よし、覇気を使わなくてもちゃんと触れる。しかも、抵抗する力が弱い。海楼石のせいで力が抜けてるんだろう。
「今よ!!」
何で私がこのまま自分で攻撃しないのかって?
だって、今のスモーカーは私と手錠に気を取られてるじゃない?だとしたら、他から気を逸らしているわけで…
「ゴムゴムの~~バズーカ!!」
「ガッ!?」
ね? ルフィの攻撃は、まさに不意打ちに近い一撃になるわけさ。
それにだね。別に私は海楼石なんて使わなくても攻撃できるけど、わざわざ自分の実力を晒すつもりは無いのです。特に今後も長くやり合うであろう相手にはなおさらね。
にしても、ルフィもバズーカを繰り出すなんてやるじゃない!
当然、いくらスモーカーでもそんな一撃を食らって余裕で居られるはずもない。 吹っ飛ばされて家に激突した。
もちろん、私は避けました。ついでにスモーカーが背中に背負ってたアレもスっといた。
私のスリテクニック…きっとナミにも負けてない!
「……お前ら!」
あら!今ので気を失わないなんて…。何気にタフじゃん。
吹っ飛んで激突した家を大破させたけど、その瓦礫の中から立ち上がる。とはいえ、状況は変わらない。あの手錠の鍵を私が持ってる以上、スモーカーの能力は封じられたままだ。
当然スモーカーだって鍛えていないわけじゃないだろうけど、海楼石は能力を封じるだけでなく、力も奪う。
実際、私も始めて海楼石を身につけた時は、全体的な脱力感・倦怠感で動けなかった。
長年の訓練のおかげで慣れたし、力を高めて普通に戦えるようにはなったけど、今でも力はかなり削られる。
そもそも普段から海楼石を身に着けるなんて事を考える
加えて、さっきのルフィの一撃も結構ダメージになってるみたい。
対してこちらは3人。明らかにスモーカーの分が悪い。
でも…海楼石一つで、こうも状況が変わるなんて。改めて、悪魔の実のリスクの高さが伺える。
「おいテメェら、何してんだ!」
ゾロが追いついてきた。VSたしぎは終わったみたい? 何にせよ、これでこちらは4人になった。さらにスモーカーが不利になったわけだけど…
「うし、んじゃ行くか!」
ルフィが仕切り直した。
別に、私たちはスモーカーを倒したい訳じゃない。この島から出たいだけだからね。
わざわざトドメを刺す必要なんて無いのです。
それに、後方から海兵たちの声が聞こえる。早く行った方がいいかも?
「行かせねェ、と言ったはずだ!」
スモーカーはそれでも戦おうと背中に手を伸ばした。けれど、その手は何も掴めない。
「あ、ゴメン。これ貰っとくね!」
ヤツの背中には何もない。何故なら、私がさっき海楼石仕込みの十手を奪っといたから。…って、気づいてなかったんかい!!
私がこんなにデカイの持ってたら、普通気づくと思うけど?
実は、これ欲しかったのよね。手錠や刀じゃ、使いどころが限られる。この十手なら、先の方に海楼石が仕込まれてるから押し付けるとかするだけで能力を封じる事が出来る。使い道の幅が広そうだ。
ブチ、と血管が切れた音がしたような気がした……スモーカーから。
「『女の方』!!」
……これは訂正しないとダメね。
「剃!」
私は再びスモーカーの懐に入り込む。今度はヤツもちゃんと反応したけど、如何せん体が付いて行けてない。
構えるは、スモーカーから奪った十手。
「グハッ!!」
ただ単に、腹に向かって十手を振り抜く。
もちろん手加減してますよ?
いくら刃が無いとはいえ、私が全力で振り抜いたら、たぶんスプラッタになっちゃうと思うから…
でも、この状態ならこれで充分だろう。スモーカーは再び吹っ飛んだ。
原作ローグタウンでは、かなりの強敵として出て来てたのに、まるっきり良いトコ無しだな!スモーカー…
私たちも、手錠には気を付けないと。…あぁ、私は問題ないか…ルフィもか?
いや、それより訂正訂正…。
私は再び瓦礫に埋まったスモーカーをビシッと指差した。ってか、
海楼石の手錠が嵌められた状態でルフィのバズーカ+海楼石仕込みの十手での殴打を食らって、まだ立ち上がる事が出来るとか…すごいなスモーカー!!
「世間に言っておきたいことがある。まず『あかがみ』はやめろ!しかも、区別のためか何か知らないけど、『女の方』とか付けんじゃねェよ!!そんなつもりは無くても女性蔑視に聞こえんぞ? それと、もうあの手配書が配られてしまった以上『紅髪』は訂正のしようが無いけど、読み方については要望がある!!髪は読まずに『くれない』にして頂戴!!」
うん。いいよね『くれない』のイオリ
やっと、すっきりした。
「えー、『あかがみ』でいいじゃねぇか! イカスのに!」
「ルフィ、あんたは黙ってなさい!!『あかがみ』なんて、私『ヤ』です!!」
「おいテメェら、そんなこと言ってる場合か!?」
「さっさと行くぞ、海兵どもが来る!」
サンジとゾロは私たちの発言なんてどうでもいいみたいだ。まぁね。どうせ当事者にしか解んないことだと思うわよ。
でもあんたらだってイヤだと思うわよ?考えてみたらいいじゃない。
サンジは、ゼフと同じ二つ名付けられたらどうよ?
ゾロは、ミホークと同じ二つ名付けられたらどうよ?
二人共、似たような感じの二つ名になるけど、同じだったらイヤじゃんね?
だけど言う通り、状況はかなり切迫してきたみたい。
「大佐が……負けた!?」
「待て、海賊ども!!」
ゾロの言う通り海兵たちが押し寄せて来ようとしていた。
スモーカーがいる時点で予想はしてたけど、バギーたちは捕まっているのだと思う。
あれ?原作ではこの後逃げれたんだっけ? まぁそれはどうでもいいか…
既に雨は酷い状況だ。とにかく逃げよう。そう思った矢先の事だった。
「突風だァ!!」
立っていられないほどの風が急に吹いた。その風のお陰で、迫ってきていた海兵たちが、私たちの進路とは逆方向に飛ばされていく。
けどなぜか、同じ方向に向かっている私たちは飛ばされなかった。
海兵たちと距離が出来たのは良かったけれど、これは明らかに自然の風じゃない。しかも…
「西風だ…私たちの船には追い風って事!?」
まさかと思っていたけど、私たちの前方数mに、1人の男が立っていた。
黒いフード付きマントを被って、顔にはでかい刺青が…
お久し振りですドラゴンさん?
あなたやっぱり、風の能力者だったりするんです?
ってか、何で出て来た!? いや、まぁ助かったけども…
「何もんだ!」
見るからに怪しい男に、ゾロとサンジが身構えた。ルフィはきょとん顔である。
ドラゴンとルフィが今までに会ったことがあるのかどうかは知らんけど、折角の対面だというのにこの反応…
そういえば、ルフィは両親の事知らないんだった。あれ?父ちゃんだけ知らないんだっけ? ……まぁいいや。
「待った、2人とも」
取り合えず、飛び掛りかねない2人を止めとこう。
相手が敵だったらどうするんだ、というような視線に晒されるけど、それは無視して、私はドラゴンに視線を向けた。
「……お久し振りです」
何と言っていいか解らなかったから、そう言ってお辞儀してみた……ら、ドラゴンの空気が緩んだ。
「あぁ……10年振りか。大きくなったものだ。」
「覚えていて下さったみたいでなにより」
良かった、ちゃんと覚えていてくれてたみたいだ。
明らかに顔見知り同士と知れる会話に、周囲が目を丸くしたのが解った。
「イオリ……お前、あの刺青のおっさん知ってんのか?」
珍しく、ルフィが驚いているように見える。私があちこち飛び回っていたのを知ってるし、知り合いが多いだろう事も知ってるはずだ。だから、相手が誰か?と聞いてくる事はあっても、驚く事はあまりない。
もしかして、何か感じるものでもあるのだろうか?
もちろんルフィは、あの人に見覚えが無い。驚いたとしても不思議じゃない。
けど、お前…それにしたって……。
自分の親父に、『刺青のおっさん』は、ないんじゃない?
『刺青のおっさん』発言を受けてドラゴンにちょっと哀愁が漂ったのには、気付かないふりをしておこう。優しさよね?
「どうしてこんなところまで?」
革命軍の活動拠点は確か、新世界だったはず。
それが何故、東の海のローグタウンにいるのか?しかも一人で…
答えは解っているけど、聞いてみた。
ドラゴンは笑った。不敵な笑みってのは、こういうのを言うんだろうか?
「フフ……海賊か……それもいい……」
見送りに来たんだろう……ルフィを。
「……何だか知らねェけど、行っていいんだな?」
当たり前だけど、息子ルフィはよく解ってないみたい。
「男の船出を邪魔する理由がどこにある。行って来い……それがお前のやり方ならな!」
これまで私と話していたドラゴンだけど、その言葉はルフィに向けられたものだった。自分に言われるとは思って無かったらしいルフィが驚いてるけど、すぐにいつもの笑顔を浮かべた。
「ししし! 行ってくる!」
ドラゴンが自分の父親だなんて、ルフィは知らないだろうけど、それが自分へ向けられた激励だということは解ったらしい。
素直で元気な返事だった。親としてはうれしいだろう。
行く手を阻む
「行くぞ!」
ルフィの号令と共に走り出し、ドラゴンの脇を抜けて行く……が、私はこっそり立ち止まった。
「何だ?」
「結局、名乗り出ないんですか?」
折角ルフィと対面して会話までしたのに、ドラゴンは名乗り出ないままだ。
「……いずれまた会うことになるだろう……この海を行くのならば。」
でしょうねぇ…
でも私…バレちゃうことを知ってるの。しかもバラすのあなたの父親だし…
「そういえば、あの時の3頭身の人はどうしてますか?」
あの日、その場に居た、もう一人の事を聞いてみた。
「イワンコフのことか……インペルダウンにいる。だが、逞しく生きていることだろう」
確かにね。あんな所で、国(?)とか作っちゃうぐらいだもんね。とりあえず、イワちゃん情報GETだぜ!
ほんとはね?『サボってそちらでお世話になってます?』って聞きたいと思ってたのよ。
革命軍にいるのか居ないのかもわからないから…
でも、自分がドラゴンの立場だとしたらと考えてみて、聞くのをやめた。そんな事を聞かれたら警戒するものね。
居ないなら、『誰?』って話になるけれど、原作通りに幹部になってたら、『何故知っている?』って事になるじゃない?
「そうですか。それじゃ、いずれまた。ルフィには誤魔化しときますね?」
どうせなら、自分から名乗り出たいでしょうからね。って無理か…
「……行って来い」
あら、私も言ってもらえるんだ。何だか不思議な感じだわ。
「はい、行ってきます」
ドラゴンの脇を抜けながら言葉を返し、私はルフィ達を追って駆け出した。
ローグタウンとも、これでおさらばだ。
メリー号に戻ると、案の定、私はルフィに質問された。あれは誰で、いつ会ったのか?
「あの人にはずいぶん前に一度だけ会ったことがあるの。あの『可燃ゴミの日』よ。サボも一緒だった。」
言うと、ルフィは嫌そうな顔をした。そうよね。あれほど嫌な思い出はないでしょうから…。
「あの時か!そりゃ、おれが知らねェはずだ!」
あの日はエースとルフィ、サボと私のペアで行動していた。私たちが出会った人なんて、ルフィたちには知りようが無い。
それは納得してくれたらしい。
あの人が何者か?ってことについても、ルフィほど誤魔化しやすいヤツは居なかった。『知り合いだ』って言ったら、『知り合いか』って納得してくれた。
いいのかそれで?
そして、私たちがそんな話をしている間に、あれが見えてきた。
そう、グランドラインの入り口を示す『導きの灯』だ。
航海士のナミが、一応船長ルフィに確認を取ってたけど、答えは解りきっている。次の目的地は、いよいよグランドラインだ。
「グランドラインに船を浮かべる進水式でもしようぜ。」
サンジが酒樽を持ってきた。
「おれはオールブルーを見付けるために」
サンジが樽に足を乗せ、自身の夢を語った。どこにあるかも解らない、奇跡の海。それを見付けるのだという。
本当にそうなの?あなたの目的別に無い?
「おれは海賊王!!」
次がルフィ…どうでもいいけど、こういうのって本来1番手は船長なんじゃ?
誰も気にしてないからまぁいっか?
「私は世界最強に!」
ルフィの隣には私がいたから、私もここで足を乗せた。
「おれァ大剣豪に」
ゾロの目的は、ある意味1番明確かも知れない。ヤツが見据えているのは、恐らくミホークだろうから。
「私は世界地図を描くため!」
ナミの夢は、抽象的ではないけど壮大だ。だけど、航海中に書いたモノはそのまま未来で使えるのかな?なんか変わっちゃいそうな気がするんだけど…
「お、おれは、勇敢なる海の戦士になるためだ!!」
ウソップは、まだちょっとビビってる感がある。けど、シロップ村での時よりは自信というか、余裕が見える。
聞くと、モージを1発で仕留めたらしい。(自爆じゃなかったみたい。)リッチーは気を逸らしただけみたいだけど。
一拍の間を置き、全員で樽を思い切り踏み抜いた。
ガゴォン、と大きな音が海に響き、次いでそれ以上に大きな叫びがルフィの口から放たれた。
「いくぞ!