魔法使いの間で指パッチンが流行っているのは私のせいではない   作:かりん2022

2 / 3
何も我慢しないお姫様

12歳から17歳までの5年間、貴族と選ばれし子供達は学園へと収容されて愛国心を叩き込まれる。

私と婚約者殿も、もれなく貴族の義務を果たす事となった。

 

ちなみにエルリックは魔導学ではなく、文官コースを選択している。真理の扉を魔臓の修復目当てで開いて魔臓を完全に失ってしまったのだ。こうなって仕舞えば、癒える余地すらない。

そもそも、王国は魔力なしに魔導学を習わせるほど開明的ではなかったのだ。

だが私は、エルリックを卑下しない。なにせ、習い始めてたった2年で真理の扉まで辿り着いたやべーやつである。王国の頭脳とはまさに奴のことを言う。奴こそ真の天才だったよ……。

 

なお、私はメイドコースである。淑女コースもといお嫁さんコースはいたたまれなかったからね。仕方ないね。騎士コースを希望したけど、足がない時点で受験を拒否されて無理だったよ……。

 

現代人から見ると開明的ではない我が校だが、それでも他国に比べると、中々大きい学校だ。

魔導学が進んでいる我が校のこと、他国からも学生は来る。

情報抜かれていいのかって? よくない。なので、授業によっては他国人は受けられなかったりする。

逆に、戦いが得意な他国人の生徒をあてにして、大規模な魔物討伐なども行ってたりする。

まあ、要は平和なのとうまくやっているので、問題は出ていない。

 

 じゃあ、なんで他国人に言及したか。

 

 その討伐授業で私とエルリックが見事にボッチになったからである。これは他国人と組むしかない。

 うん、エルリック以外と話題が合わなくて、お互いが居心地よくて、そうなっちゃったのだ。

 チームワークが大事な文官とメイドでこれはまずい。かなりまずい。

 ぼっちになって大丈夫なコースなんて存在しないのだが。

 

 と言うことで、メンバーを紹介します。

 

 連合王国からやってきたアルビノのレオン様。最低でも王都の神官長になることが内定している。アルビノで遠巻きにされてる。恐れ慄くほど美形。

 

 帝国からやってきた傍系の皇子、政治の関係で遠巻きにされてる、ガスターク様。美形。

 

 とにかく自立したい系姫騎士、理解されなさすぎで遠巻きにされてるリリア様。美形。

 

 美形! 美形! 美形!

 恐るべき顔面偏差値である。町娘の中で10人に一人程度の可愛さの私など比べるべくもない美形である。

 うーん。ま、なんとかなるか。最悪、私1人だけでもなんとかなるのだ。

 こう見えて旅慣れてるからね。前世で。

 もちろん、世界の違いも鑑みて、情報収拾はバッチリである。本から。

 

 三人とも、初心者だけどやる気だけは十分だったので、最初から答えを押しつける事なく、皆で相談しながら準備した。

 

「俺は神聖術が得意だ」

「私は魔法が得意だな」

「剣と身体強化が得意だ」

「僕は錬金術が得意だ」

「料理が出来るわ」

 

 なんと前衛が姫1人である。

 でも大丈夫。

 

「ツノうさぎが現れたぞ!」

「任せろ!」

 

 パッチン! ドーン!

 

「ファングボアだあ!」

「任せろ!」

 

 パッチン! ドーン!

 

 大佐の如く次々と瞬時に丸焼きにするエルリック。きゃーっ格好いいー!

 そして、私の料理の腕が冴え渡る!

 

「はあ! やっ!」

 

 パンっと手を合わせて、パンっと下に手を置いてかまど作成完了。

 せっせと料理をする。

 あっという間にお昼ごはんの準備ができた。

 

「2人は無詠唱で魔法が使えるのか!? いや、エルリックは魔臓がダメになったのでは」

「最新式の錬金術ですわ」

「雨の日は使えませんが、秘奥義まで納めてますので」

「「「秘奥義!!」」」

 

 驚きの声を上げる3人。ふふん。ええやろ、ええやろ。凄いだろう、我が婚約者は。私もなんですよ!

 

「しかし、指パッチンか。無詠唱は制御が難しいが、これくらいをキーにすれば……魔法を一つに定めれば、いけるか? 予め魔法陣を記述して……」

 

 帝国王子ガスターク様がぶつぶつ呟いている。

 

「それはそれとして、私達の為にならないのですっこんでいてください」

「はい、リリア様……」

 

 リリア様は自立心旺盛なのである。

 

「錬金術、面白そうだな! 教えてくれたら、足と魔臓を治してもいいぞ」

「あ、これ、真理に知識代として払ってるので、治せないです」

「は? ま、まさか神々の知識を買いとったというのか!?」

「真理だってば。神様じゃないよ、多分」

「俺も真理を知りたい!!」

「代金は体の一部、もしくは全部だけど?」

「「「えっ」」」

 

 そりゃどん引くだろうな。

 

「魔臓を払ったな」

「それだけで済むのって、めちゃくちゃ幸運なんだからね? 大抵は体の部位で一番大切な物なんだから。さっきも言ったけど、下手すると全部持ってかれるし」

「そ、そうか。だが、真理か……。生贄を捧げるようなものか?」

「違うって。ていうか、生贄は捧げるけど、これは奪われるんだから自分じゃ代償選べないよ。とにかく、私たち、こう見えてデンジャラスなカップルだから、下手に触ると火傷するわよ?」

 

 うっふん、とポーズを取る。

 

「さて、そろそろ冷めた頃ですし、食べましょうか」

「神の恵みに感謝を」

 

 そして、食事にする。

 

「この後、私が野営と夕食の準備をするので、リリア様は狩りはいかがですか?」

「さっきから私、何も出来ておりませんの。ケイシーさんはもう何もしないでください」

「はいリリア様……」

 

 リリア様は自立心旺盛なのである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。