ウマ娘~come back to Derby~   作:タンドリー

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第4R ライバルたち

 翌日。トレセン学園生の話題は、やはり選抜レースのことが主役を占めていた。トレーナーのスカウトを受けれた者、自身の意思でそれらを断った者、レースで結果を出せなかった者など様々いる中で、ツナグの周辺は幸運にも明るい雰囲気に包まれていた。

 

「「「せーの」」」

 

「やったじゃねぇか、ツナグ!」

Congratulazioni(おめでとう)、ツナグ」

「担当契約おめでとう、ツナグちゃん!」

 

「アハハ、ありがとう」

 

(なんで最初合わせようとしたんだろう……)

 

 びっくりするほどのバラバラ具合だったが、ともかく友人たちはツナグの担当契約を喜んでくれたみたいだ。

 

「にしてもアタシと同じ日にレースに出て、同じ日に担当契約を結んじまうとはなァ。ライバルとしちゃあ、一歩先を行きたかったぜ」

 

 やや粗暴な口調のウマ娘の名は、テオファニー。ツナグと同じ日に選抜レースに出走し、トレーナーからスカウトを受けたウマ娘である。走りは荒削りだがそのポテンシャルは高く、トレーナーたちの間でも注目のウマ娘である。

 

「フッ、担当契約ができたことは喜ばしいが、油断はしないことさ。うかうかしていると、ボクがsplendido(華麗)に三冠全てをいただいてしまうかもねっ!」

 

 時々イタリア語を使用する彼女の名はロベルタ。常にキザな振る舞いをするウマ娘だが、既にジュニア級の重賞勝ちを収める実力者である。今は出世レースとして名高い東京スポーツ杯ジュニアステークスに向けて、日々トレーニングを重ねていた。ちなみに、バリバリ日本生まれのウマ娘である。

 

「私だって負けないよ!前のレースはロベルタちゃんに負けちゃったから、そのリベンジもしたいしね」

 

 前の二人に比べて地味な印象を受けるこのウマ娘の名は、シンボルパレット。ロベルタと同じくデビューを果たしており、重賞レースにも挑んでいる。ここ最近は成績が芳しくないため、一度下級条件のレースで再起を図っていた。

 

 テオファニー、ロベルタ、シンボルパレット、そしてツナグ。同じクラスのこの四人のウマ娘たちが、来年のクラシック候補として期待を寄せられていた。

 

「ちなみにツナグ、お前の担当トレーナーはどんなヤツなんだ?」

 

「えっと、文流さんって言うんだけどー」

 

「「「は?」」」

 

 トレーナーの名前を口にした途端、三人がそろって呆れた声を出した。

 

「おいおいマジかよ。お前正気か?」

 

「何てことだ!まさか彼を担当に選ぶとはねぇ」

 

「あの、あまりこういう事は言いたくないけど、本当によかったの?ツナグちゃん。文トレーナーはもちろん凄い人では()()()けど……」

 

 いくら本人が目の前にいないとはいえ、三人とも中々ひどい言い草である。しかし、ツナグがそれらを否定できないほどには、今の流の評価は良いとは言えなかった。

 

「三人の言うこともわかるよ。でも、それでウダウダしてたら、何もできないでしょ?だから、とりあえずは信じてみようと思ってさ」

 

 口調の軽さとは裏腹に、ツナグの目は真剣そのものだった。それを理解した三人は、以降トレーナーの事については何も言わなかった。

 

(それに、悪いことばっかりじゃなかったもんね)

 

 昨日流と対面して、ツナグは一つ気づいたことがあった。学園内での噂通り、確かに今の流は抜け殻のような状態。具体的には、死んだ魚のような目をしていた。しかし、担当契約を結ぶことが決まった際、彼の瞳の奥で僅かに火が灯ったのを、彼女はハッキリと見たのだ。

 

(あれは戦う人の目だ。みんなは色々言うけど、流トレーナーはまだ()()()()()()()()()()。私がそれを証明してみせる!)

 

 胸の内で静かに決意を固めるツナグ。それを祝福するかのように、始業のチャイムが学園に鳴り響いた。




主人公のツナグはもちろん、今回登場したライバルたちにもモデルとなった競走馬がいます。ぜひ考えてみてください!

次回は4月23日0時15分に投稿予定です。
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