魔法科高校の遊戯王   作:アルピ交通事務局

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忘れちゃいけない基本的にはコレは一発ネタなのを。


魔法科高校の遊戯王10

 

 壬生が桐原に対して訴えを起こした。

 その事は一瞬にして学校に広まる……どころか世間にも広がった。

 

「はぁ……」

 

「大丈夫か、深雪?」

 

 一瞬にして世間に壬生が桐原を告訴した事が広がった。

 訴えの内容としては逆ギレしてきた桐原がカッとなって魔法を行使してきたということになっているが噂に尾ひれはひれが付いており、そこに遊作達がネット上に流した噂が更に拡散されている。無論、遊作達が流した噂の情報の中にはデマの情報がある……がしかし、中には本当の情報もある。嘘の中に真実を交えているという質の悪い事を遊作達は行った……その結果、第一高校は臨時休校になった。

 

「大丈夫です……まさか壬生先輩が訴えを起こすとは」

 

 基本的には自宅で待機してくれと全校生徒に通達があった。

 言われたとおりに自宅で待機している深雪と達也だが浮かない顔をしている。ネットニュースを見れば、テレビを見れば第一高校の話題で持ち切りだ。一科生と二科生の差別の問題がある事と発注ミスを誤魔化し続けていた事、未だに教員枠が埋まらない事を放置しているなどの情報が溢れ出ている。

 

「ああ……流石にコレは予想外だ」

 

 学校で起きた些細なトラブルとして剣術部と剣道部の間に起きた出来事は処理された。

 騒ぎを大きくすればCADの持ち込みやCADに搭載されている魔法の制限がされるなどが大いにあり得る話だ。ただでさえ魔法師に当たりが強い世の中だと言うのに将来を担う魔法科高校の学生が同級生を危うく殺そうとした殺人未遂罪で罪を問われれば魔法師業界全体で世間の目が厳しくなる。十師族を始めとする政府や国家権力に対して顔が利く御家はこの騒動の火消し作業を行っているのだが中々に消えない。なにせ桐原が魔法を行使して危うく壬生を殺しかけた事実には変わりはないのだから。

 

「……叔母様達は動くつもりでしょうか?」

 

「この一件は下手すれば魔法師全体に対する見方を変えてくる可能性がある……このままだと誰かは動くだろうな」

 

 火消し作業を行っているのだが簡単には火は消えない。例え火が消えたとしても煙は中々に消えない。

 壬生の訴えを取り下げる方法はないのかと達也は考えるが先日色々と言った手前、どの面下げて会えばいいのか分からない。しかしこちら側から何かしらのアクションを起こさなければ何処かが壬生を殺して訴えを最初から無かった事にする強攻策を取ってくるかもしれない。

 そんな事をすれば余計に魔法師全体の世間の視線が厳しくなる。だから言葉でどうにかする必要があるのだが、桐原を訴える事に関しては極々普通の正論なので抜け道が存在していない。

 

「あの時、止めていれば……」

 

 剣道部のデモンストレーションに剣術部が乱入してきた。

 達也はそれを見ていた……見ていただけと言った方がいいのかもしれない。剣道部の壬生と剣術部の桐原が揉めている間に割って入って止める事が出来ていれば最初からこんな事にはならなかった。事件が起きてから動いて名探偵気取りかと遊作に言われた事が頭に過る。

 達也は強い。物凄いでなく理不尽なレベルで強い……故に気付かない内に慢心していた。狂っていた。自分ならば大丈夫だと過信しており、それが巡るに巡って今、自分の身に降り掛かっている。

 

「お兄様、気負いはなさらずに」

 

「……」

 

 俺がもう少し早くに動いておけばこんな事にはならなかった。

 風紀委員として活動していた自分が止めておけばこんな騒動にならなかった。達也は後悔しているが、後悔しても既に遅い。

 

「それよりも、壬生先輩はどうするつもりなのでしょう?訴えを起こしたとしても大して意味は無いはず」

 

「それは違うぞ深雪。壬生先輩の真の狙いは一科生と二科生の間にある問題を解決する事だ……このまま訴えが通って桐原先輩に何らかの罪が可決されたとしても貰えるのはお金だけだ。あの人が欲しいのはお金じゃない、地位だ」

 

 この訴えの真の狙いは一科生と二科生に対する差別撤廃等だと見抜く達也。

 恐らくはここからもう一手なんらかのアクションを起こしてくる筈だと考えるがそのもう一手が浮かばない。仮に七草会長と闘論を交わしたとしても負けてしまうのが目に見える。仮に言葉を交わしたとしても意味は無い。一科生と二科生の意識が切り替わる事は早々に無い。

 

「地位ですか?」

 

「ああ……あの人は一科生と二科生の差別撤廃を求めて非魔法系の部活動で連盟を組んで学校に抗議しようと提案をしていた。桐原先輩を訴えるのならば魔法を行使されてトラブルになったあの日にしないとおかしい……一科生と二科生の差別撤廃を名目に何かを仕掛けてくる」

 

 人間の考えはそう簡単には変わりはしない……なにかきっかけの様なものが必要だ。

 そのきっかけが達也は思い浮かばない。壬生がもう1つ何かしらのアクションを仕掛けてくるのだけは確かだが、次の一手が読めない。

 

「ネット上にバラ撒かれた魔法科高校に関する噂は壬生先輩達が発信した……筈だが……」

 

 魔法科高校に関する噂話の出処を達也は見抜いているが、一瞬の内に此処まで広める事が出来るだろうかと疑問を持つ。

 民衆を味方につける中々に考えられた戦い方だが、なにか引っ掛かる。誰かが影で壬生を操っているんじゃないかと推察する。ブランシュやエガリテの魔の手は既に学校に迫っているのでそこらが壬生を操っているんじゃないかと考えていると深雪がハッとなる。

 

「お兄様、そろそろ時間ですよ」

 

「そろそろか」

 

 達也と深雪はソファーに腰掛けテレビをつける。

 ワイドショーやらバラエティ番組やらやっているこの時間帯だが達也達が見るチャンネルは決まっていた。

 

「百山校長はどう出るつもりなんでしょうか」

 

 達也達は今回の一件の火消しの一環として行われる魔法科第一高校の緊急記者会見が開かれる。

 十師族の中でも特にヤバい四葉家の権威にすら怯えない第一高校の校長であり魔法教育の権威である百山東が世間の前に出てくる。カメラマン達が写真を一斉に撮りだす。ここで撮影していい記事の一面を飾る事が出来るのだろうかと考える。

 

『それでは只今より国立魔法大学付属第一高校の記者会見を行います』

 

「……どうするつもりだ……」

 

 ここからどうやって捌くつもりなのだろうか?百山校長の手腕が問われる。

 

『今回の一件は剣道部2年の生徒が剣術部2年に絡まれて起きた問題です。剣術は剣道の作法に魔法を加えたより実戦的な剣技でして』

 

 苦し紛れの言い訳か?

 百山校長はゆっくりと今回起きた出来事について語る。誰とは具体的に名前を出さないが既に名前は一部のメディアに出回っている。

 色々と今回起きた一件について1から丁寧に説明する。

 

『剣術部の部員に剣道部のデモンストレーションとして魔法を使用した剣技を見せる手筈でしたがCADに入れている魔法に関しては詳しいチェックを入れておりませんでした』

 

「……認めましたか……」

 

 苦い顔をしている百山校長は桐原のCADに搭載されている魔法のチェックを怠っていた事を素直に認める。

 此処で認めずに生徒の自主性等を言い訳にすれば余計なのに噛み付かれる。先ずは自分達の失態を素直に認めると頭を下げて謝罪をする。

 

『それでは質問に移らせてもらいます。質問がある方は挙手をお願いします……そちらの方、どうぞ』

 

『剣術部のCADの魔法のチェックを怠っていたとあります。魔法の中には一子相伝、一族等にしか使えない特殊な魔法や高度な魔法があると聞きます。それを認可して魔法の詳しい内容を調べずに放置していたと受け取ってもよろしいでしょうか?』

 

『一子相伝や特定の人物にしか使えないレベルの魔法はあります。ですが魔法師にとって魔法は知的財産の様な物であり、詳細を聞いてはならない聞いても再現する事は不可能と言った事もあり、どのような魔法なのかは知らされておりますが詳細等は省かれており中には意図的に秘匿されている魔法もあります』

 

『今回、剣術部員が使用した魔法は高周波ブレードと言う魔法の様ですが一般的な魔法師でも再現は可能な魔法でしょうか?』

 

『え〜高周波ブレードは一科生の魔法師の中でも限られた人にしか扱えない魔法でして』

 

『魔法のランクはBと聞いていますが!』

 

 なんとかして言い逃れをしようとする百山校長だがネット上に散りばめられた情報が襲ってくる。

 高周波ブレードは超高難易度の魔法ではない。深雪や森崎でも再現可能な魔法であり、特定の人物にしか使えないレベルの魔法ではない。

 

『第一、第二、第三高校には一科と二科のシステムがあります。これらが原因で魔法師の選民意識が高められたとの噂は事実なのでしょうか?』

 

『第一高校の一科生と二科生の制服の違いがあり、学校側も差別をしているとありますが学校側はその様な事をしているわけではありません。生徒同士が競い合い高みを目指すべく競争心を煽るためで、その様な意図はございません。事実無根です』

 

『政府が魔法師の育成の為にと当初は定員が100名のところを倍の200名にと無理を通した結果、実技指導等を行える教師が不足をしているとのことで追加のもう100名の制服は発注ミスで制服に花弁の刺繍が施されておらず一科生はエリート、二科生はスペアだという思想が広まったらしいですが』

 

『事実無根です』

 

『一科生の事をブルーム、二科生の事をウィードと差別する用語が学校内で流行っており学校側がそれを禁句としているらしいですが』

 

『一科生も二科生も魔法科高校の生徒に変わりありません』

 

『成績順でクラスが決まるのは分かりますが何故一科生と二科生にしているのですか!どうして今の今まで放置しているのですか?』

 

『詳しい詳細についてお教えください!!』

 

「……人が英雄を殺す、か」

 

 百山校長は魔法科高校の権威でこの業界では中々の人物だ。

 しかし世間に出てみれば大バッシングを受けている。問題をずっと放棄していたのだから当然と言えば当然なのだが、ふとここで達也の脳裏にある言葉が過る。遊作の義理の祖父である双六から遊作が英雄は化け物を、化け物は人を、人は英雄を殺すことが出来るゲームがあると。

 魔法師の事を普通の人とは認識していない。しかし化け物とも認識していない。ならば魔法師は英雄で今現在、人が定めた法や常識、ルール等に潰されかかっている。

 

『一科生と二科生の制服を違うようにしているのは競い合って高みを目指すと言いましたが、競い合う場はあるのでしょうか?』

 

『競い合う場は学業の中にあります。必要であれば模擬戦を認可しております』

 

『生徒の中には実戦向けの生徒も存在し、一科生と二科生をただ成績だけで評価していては学歴社会と言われた時代にいた学歴だけ高くて現場では使えない生徒と学歴は低いですが、現場では使える生徒は評価をされないんじゃないんですか!!』

 

『……魔法科高校が優先して評価しているのは魔法力です。魔法力とは』

 

 魔法力についての説明を行う百山校長。

 徐々に徐々に校長は追い詰められていく。既に手遅れな状態になっているが、このままでは本当に大変な事になる。なにか打開する一手を打たなければ魔法師に対する世間の認識が酷くなる……と言っても魔法師達は一般人と交流を持とうとせず、一般人も一般人で魔法師を化け物かなにかと思っている。魔法師と一般人の境界線をどうにかしないといけないのだが、その方法は誰にも浮かばない。

 

『訴えられた剣術部員の処遇はどうなっているのですか?』

 

『彼はここ数日、学校に登校しておらず詳しい事は不明です』

 

「……来ていないのか」

 

 桐原がここ最近、学校に来ていない事を今知る達也。

 実は遊作が桐原に向けて高周波ブレードの竹刀を振り下ろした結果、桐原は心的外傷を得た……自分が使った魔法が自分に帰ってきただけであり、殆ど自業自得の様なところがあるのでなにも言えない。

 

『学校側が下した判断は剣術部のニ週間の部活動停止ですが、魔法を行使した部員に対して学校側はなにか特別な罰則をしたのでしょうか?』

 

「……どうすればいいのでしょうか……」

 

 追い詰められていく第一高校。

 極々普通の正論で言い固められている為に言い返す事が出来ない。見る人が見れば狂っているとしか言いようがない。

 この状況を打破する方法は深雪には皆目見当もつかない。チラリと達也に視線を向けるが達也も難しい顔をしている。どうすればいいのか悩んでいる。権力等で力づくで抑え込んだとしても意味は無い。更に魔法師に対する世間の印象が悪くなるだけだ。

 

『失礼します』

 

 どうなると見守っていると突如として第一高校の制服を纏った生徒が……遊作が現れる。

 

「っ、遊作さん!?」

 

「……この一件に絡んでいたか」

 

 裏で誰かが手引きをしているんじゃないかと思っていたが遊作だった。

 自ら騒動を起こさないタイプだと思っていたが自分の勘違いだったのかと一先ずは様子を見る。

 

『な、なんだね君は?』

 

『訴えられた剣術部の部員の保護者が示談を求めています……が、訴えを起こした剣道部の部員はお金は求めていません。剣道部の部員は示談のお金の代わりに学校側にある物を提示しました。その条件を飲み込む事が出来るのならば今回のこの訴えを取り下げる、最初から無かった事にすると言っています』

 

『な、なに!?』

 

『学校側が応じないのであればこのまま訴えを通すつもりです……』

 

『……その条件を後で聞こう』

 

『いえ、今ここで応じてもらいたい。生徒会長、風紀委員長、部活連会頭には中立の立場に立っていただき一科生と二科生の対抗戦を、魔法科高校の名物と言ってもいい九校戦の真似事をさせる……まぁ、分かりやすく言えば一発逆転のチャンスを俺達にもください』

 

「これが狙いか……全ては、これの為に、これだけの為にここまで騒ぎを大きくしたのか」

 

 一科生vs二科生の九校戦もどきを行う。闘論を交わしたとしても意味は無い、戦って勝つしか道は無い。

 壬生の、いや、遊作の真の狙いを此処で理解する。ただ一科生vs二科生の九校戦もどきを開催するた為だけに騒ぎを大きくした。

 

『一科生はこちら側が用意した3つの勝負に勝てなければ負けの勝負です。勿論、魔法を用いての競技です……コレが飲めないのであればこのまま剣術部員を訴えます』

 

「お兄様、コレは」

 

「ああ……渡辺先輩の時と同じ手だ」

 

 一科生の人間が勝たなければ負けの引き分けに持ち込まれた時点で負けになる一科生不利のルールだ。

 ただそれだけでなく二科生側が用意した3つの勝負、コレも二科生にとって有利な勝負を持ち掛ける為……このまま剣術部員を、桐原を見捨てれば魔法科高校の生徒が暴力沙汰でなく魔法を行使した傷害系の罪に問われて彼だけでなく第一高校の経歴にも傷がつく。

 

『……それで訴えを取り下げるのだな?』

 

『ええ、それで訴えを取り下げます……出来ないのならば、このまま慰謝料等を頂くだけです』

 

『……分かった。一科生と二科生にのよる対抗戦の開催を認めよう』

 

『ありがとうございます……では、失礼します。詳しいルールは明日にでも伝えますので』

 

 そう言うと遊作はTVカメラの外に向かっていった。

 

「まさかここまでやってくるだなんて……お兄様」

 

「この一科生と二科生の対抗戦には極力関わらない方がいい」

 

「ですがお兄様、一科生の生徒と戦える二科生の生徒は少ない。お兄様も指名される可能性が」

 

「…………その時はその時で対応をする」

 

 やるとなったらとことんやるつもりであるのが遊作である。

 遊作の事は今後要注意しておかなければならないと頭の片隅でなくど真ん中に達也は入れておく。

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、ゲームの時間だ。




よぉし、コレでやっと遊戯王に繋げることが出来るぜ。

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