「うわぁ……居るわね」
遊作が魔法科高校名物である九校戦の真似事をして一科生vs二科生を提案した。
その提案は可決されて急遽臨時休校だった第一高校は普通に登校して来いと学校側から通達があった。
登校して来いと学校側から通達があったので登校して来たエリカだったが直ぐに異変に気付く。と言うのも学校の敷地一歩手前でマスコミが待ち構えている。九校戦もどきを学校で行う……普通ならばマスコミは取り上げる事は無いだろう。しかし遊作が魔法科高校の一科生と二科生の差別の問題があると言った事をネット上でバラ撒き桐原を告訴した。そしてその一件での記者会見に遊作は乱入し、一科生と二科生の対抗戦を提案して来た。もしコレで成績順で魔法力が優秀なので一科生になっている生徒を魔法力の劣る二科生が撃ち倒す事に成功すればそれは国が評価の基準として定めている魔法力が間違っていたと証明する事になる。これほど面白い展開は早々に存在しないとマスコミは食い付く。
「対抗戦の結果は後に学校の公式HPに載せますのでお引き取りください!」
民衆の力はとにかく無駄に数が多くて力で抑えきれないところである。
マスコミが何処にいるのかを目で見て探す真由美は見つけたと学校の敷地内に不法侵入しようとしていた記者達を追い出す。
「……やっぱやりすぎたか?」
「あ、レオ……なに?今更ビビったの?」
「ビビってねえよ!ただ……コレを世間がどう捉えるのか。オレ達が勝っちまったら国の評価の基準が間違ってたとか色々と問題が起きるんじゃねえのかって」
自分達が二科生だからという理由だけで見下されている、その事に関してエリカもレオも気に食わなかった。
だから遊作が提案して来た一科生vs二科生の九校戦もどきを学校で行う事に賛成したのだが、もし自分達が勝てばどうなるのか?もし自分達が負ければどうなるのか?後になって恐ろしくなってきた。
二科生が負ければ3年間見下される環境下に居なければならない。一科生に勝てば魔法科高校の定めた評価の基準とは異なる部分で秀でた才を持っている生徒が居て、そいつ等には学校側が定めた評価の基準以外を見なければならないとなる。
皆が比較的に平等に分かりやすい成績を付けて評価しないといけないのが社会や学校であり、特例というのはあまり認めてはいけない。確かにそう言う存在は魔法師の業界では多々いるがそれらを認めれば皆で決めた評価の基準が狂ってしまう。
差別撤廃や選民意識の天狗鼻を叩き折る小さな問題の筈が、日本の魔法師全体の評価の基準を狂わせる可能性があるなんとも難儀な事になっている。
「でも、これぐらいしないと揉み消されたわよ……遊作くんが最初に通報しようとした森崎の件もあるし、私達って気付かない内に狂ってるみたい」
普通ならば十師族を始めとする権力者達が些細な騒動だと揉み消す。
日本の魔法師の業界において十師族はそれほどまでに圧倒的な力を持っている。そしてその十師族の直系の血筋が部活連会頭と生徒会長を務めている。学校の問題はある程度は揉み消し放題、桐原の一件も部活動同士の些細なトラブルとして魔法科高校ではキレたりしてカッとなって魔法を行使してしまうよくある事の一件だが魔法を他人に向けて使用する行為は基本的には犯罪であり、些細なトラブルとして解決していい案件ではない。
エリカは気付いていないだけで自分達が狂っている事をここで自覚する。特にエリカは腕は立ち、一科生を倒そうと思えば倒すことが出来ると傲慢な慢心に近い自信を持っていたなと反省をする。
「……狂ってるか」
レオも狂ってる事を自覚する。
最初は勝てばいいと思っていたのだが、まさかここまで騒動が発展するとは思ってもみなかった。
「エリカ、レオ、おはよう」
「あ、達也くん」
「よぅ……何時にも増して険しい顔をしてるな」
「この状況において険しい顔をするなというのが無茶だ」
教室に足を運ぶと不機嫌そうな達也を見かけるエリカとレオ。
平穏な学生生活とは程遠い事になっておりクラスメイトがその騒動の根源とは言わないが裏で色々と手引きしているのならばいい顔はあまりしない。
「遊作を見ていないか?」
「え、来てないの?」
取り敢えず騒動の渦の中心にいるやつに対して色々と物申したい達也。
レオとエリカが来るならばと遅れて美月がやってくる。しかし遊作は登校して来ていない。
「おはよう、皆……大変な事になっちゃったね。一科生と二科生の対抗戦ってなにをするのかな?」
「あ〜…………知ってるわよ」
「なに?」
「遊作曰く競技名がまだ浮かんでないけど、ルール自体は浮かび上がってるんだよ」
「…………お前等、まさか」
レオとエリカが遊作側の人間だったのかと知る達也。
無理に知らないフリをしてても意味は無いのだとレオとエリカは対抗戦の3つの競技について語ろうと3本の指を立てようとするが途中で言うべきかと悩む。
「どうかしたんですか?」
「いや……今回は達也に頼らない方向性で行こうって遊作が言い出しててな」
「達也くんには悪いけれど、この3つの勝負には参加してもらわない方向で……」
「…………」
ここに来て自分を頼るつもりは無い事も知る。
自分を参加させるつもりは無いのならばルールで有利にして二科生でも戦いやすい競技にするつもりじゃないのかと推察する。
「どんな勝負をするんですか?」
「1つ目は……で、2つ目は……なんだけども、3つ目が」
「3つ目がどうかしたのか?」
「3つ目の勝負については教えてもらってねえんだ」
「…………」
1つ目の勝負と2つ目の勝負について語るエリカとレオだが最後の3つ目の勝負については遊作からなにも聞いていない。
3つ目の勝負についてあえて曖昧にする事で最後の最後で二科生に有利な勝負に持ち込んで勝利をする算段かと推察するがそれならば1つ目と2つ目の勝負も二科生に有利なルールで挑んだ方が効率が良い。
だったら何故3つ目の勝負について伏せているのか?なにかまだ後ろめたい事があるのかと色々と考えるのだが、遊作が次に打ってくる一手が読めない。普通にこのまま一科生と二科生の対抗戦が行って勝つつもりかと考えるとチャイムが鳴り響く。
「一科生と二科生の対抗戦についての詳しい日程は不明ですが少なくとも今月中に行います……二科生で参加したい人は2年の壬生沙耶香に通達をお願いします」
遊作は来なかった。今回の騒動は魔法師の評価の基準を揺るがしかねない大事件に近い。
まさか十師族を始めとする魔法師業界の重鎮が遊作を排除する為に刺客を放って襲われたのか?いや、それならば壬生も襲われている。ならばどうして今日、学校に登校して来なかったのか?達也は色々と思案するが答えは出てこない。午前中の授業が行われて昼食の時間がやってくる。
「お兄様……遊作さんは?」
エリカ、レオ、美月と何時もの面子で弁当を持って深雪に会いに行く。
このメンツならば遊作は居てもおかしくはないのだが、遊作はこの場には居ない。その事に関して深雪は達也に疑問を投げかけるのだが、遊作はまだ学校に登校してきていない事を伝える。
「まさか……」
十師族を始めとする日本の魔法師業界の重鎮が遊作を抹殺したのか?
そこまでの騒動を巻き起こしたと深雪は認識しており遊作が誰かに殺されたのかと考えていると壬生が現れる。
「西城くん、千葉さん、どの勝負に誰が……あれ遊作くんは?」
一科生と二科生の対抗戦の打ち合わせをしようとする壬生だったが遊作がいない事に気付く。
深雪は遊作がいないが壬生が居る為に遊作に襲われた線は低くなる。じゃあ、何故居ないのだろうかとなる。
「それが分からないんです……壬生先輩はなにか聞いていないですか?」
達也が代表して遊作について知らないのかを尋ねる。
壬生も遊作の詳細については知らないので首を横に振る。1つ目の勝負と2つ目の勝負については分かっているが3つ目の勝負については詳細が伝えられていない。このままでは勝負そのものが成立しない。
いったい何処で何をしているんだとレオ達は徐々に徐々に焦っていく。もしかするとと遊作の不幸を想像してしまう。この業界じゃ不幸な偶然の死は極々普通の事である。
「一科生の生徒は誰が出るつもりなんだ?」
「森崎くんが出ると言っていました」
遊作の詳細については分かっていないが、話は着実に進んでいく。
二科生の中で誰が出るのかはもう決まっている……と言うよりは出たいと挙手する生徒が居ない。一科生と二科生の間にある差別等を問題視していて抗議をしようと連盟を組んでいた生徒達は居たが二科生だ。二科生は魔法力が低い生徒が主であり、九校戦もどきを開催すると言っていた為に言葉でなく魔法で勝負しても勝ち目は薄いとビビっている。まぁ、仮に二科生の中で出場したいと言う生徒が居てもレオ達を優先して出場させる様に裏で色々と工作している。
「え、遊作くん来てないの?」
遊作が来ないまま放課後が訪れる。
誰が出場するのか、どんなルールで戦うのか詳しい詳細を決める為にレオとエリカと壬生は達也と深雪に連れられて生徒会室に向かうのだが此処で真由美が遊作が来ていない事を知る。
「朝からずっと来ていないらしいです」
「自宅に電話をしたの?」
「昨日から帰ってきてないとのことで何処で何をしているのか詳細が不明との事です」
市原から遊作の自宅に電話を入れたけれども帰ってきていない事を伝えられる。
真由美ももしかしたらと嫌な事が頭に過る。
「藤木が居ない以上は勝負のルールはこちらで」
「いえ、3つの勝負の内の2つは聞いているんです。1つ目は……で、2つ目は……です」
「3つ目はどうするつもりだ?」
1つ目の勝負のルールと2つ目の勝負のルールについて聞いて特に異議を唱えない十文字。
3つ目の勝負について詳細が分からないのであれば九校戦で行われた魔法競技の何かを選出しておくべきか……勝負そのものが不成立と言う事が無理なところにまで追い詰められているので勝負の話が無かった事にする事だけは出来ない。
「失礼します」
「あ、遊作!!」
追い詰められる二科生達だが此処で遊作がアタッシュケースを持って現れた。
今までなにをやってたんだよと言いたげな顔をレオはしている。
「遊作くん、今まで何処に行っていたの?」
本来ならばこの計画を企てた遊作が真っ先にこの場で先導しなければならない。
ギリギリのところまで来なかった遊作についてエリカは何をしていたのか、何処に行っていたのかを尋ねる。
「CADを取りに行っていた……レンタルする為に交渉してきたと言うべきか」
『あの野郎、最新式じゃなくて初期も初期のプロトタイプを渡しやがって……コレで貸し1個とか詐欺だろう』
「CADを?」
「3つ目の勝負はとある魔法を用いての勝負になります。それ用の特化型のCADを取りに行っていました」
「CAD!?特化型ということはその魔法しか使えない専用のCADなんですか!!」
CADの事を話題に出せば中条が食い付いた。
遊作はチワワみたいなタイプだと思っていたのに一転した変わりようだなと思いつつもアタッシュケースを前に出す。
「このCADは2つありますので1つは一科生に、もう1つは二科生に……3つ目の勝負は同じCADを用いてとある魔法を行使して勝負します。詳しいルールは1つに纏めていますので出場する一科生に見せてください。ああ、くれぐれも出場しない生徒にはルールは教えないでください。何処から情報が漏れるか分かりませんので」
お前が言うな。
遊作が裏で色々と工作しているのを知っている面々は心の中でツッコミを入れる。
「二科生側の出場する生徒はレオとエリカと俺で、補欠に壬生先輩が」
「待って!」
出場する生徒について教える遊作だったがそこで壬生から待ったがかかる。
「遊作くん、私が出るわ。二科生側の出場する生徒は西城くん、千葉さん、私で緊急時の補欠は遊作くんでお願いします」
「待ってください、この3つ目の勝負は」
「お願い……此処で私が出ないと意味が無いわ」
3つ目の勝負は確実に勝つことが出来る勝負にしている。
確実に勝つ算段がある3つ目の勝負の枠に壬生は割り込む。壬生は真剣な顔をして遊作に頼み込み……遊作は折れた。
「この対抗戦で負けても知りませんよ?」
「此処まで来るかどうかですら一か八かの賭けだったわ。それなら最後まで賭けをさせて」
「…………分かりました。ですが、この3つ目の勝負は俺が出るつもりでしたので色々と指導させてもらいます」
確実に勝つ為の3つ目の勝負だが仕方があるまいと遊作は少しだけため息を吐く。
二科生側の出場する生徒は決まった。
「遊作さん、お兄様にはチャンスは無いのですか」
「今回は達也は省いている」
「それはお兄様が頼りないと?」
「逆だ。達也ならば確実に勝つがそれだと達也だけがスゴい、達也だけが例外だと思われる。一科生の鼻を叩き折るには二科生の力が必要で……達也は活躍する機会に恵まれている。達也ならば自力でチャンスを掴み取って物にするだろう」
だから今回は省いている。
深雪は達也を省いている事に対して達也が邪魔なのかと思っていると考えていたが、その逆。達也が優秀過ぎて他が見劣る、達也という特例が現時点で認められており更に此処で活躍すれば達也がスゴいだけという特例になる。達也の実力が逆に認められていると知れば深雪は満足してそれ以上はなにも言おうとしてこなかった。
「はぁ〜コレが第3勝負の為のCAD……円盤型のCADとは随分と珍しい形状ですね」
3つ目の勝負のCADを取り出すと中条はマジマジと見つめてくる。
「コレはその魔法専用の特化型のCAD1番初期型なんですよ、俺が持っている物は最新式なんですが……まさかケチられるとは思いもしなかった」
「このCAD、誰が作ったんですか?」
「……そこは秘密です……と言ってもこの魔法を使う人自体珍しいので誰が作ったのかは直ぐに気付くでしょう」
「同じ魔法を使うんですか…………因みにですけどこのCADに名称はあるんですか?」
「ありますよ」
「なんて言う名前なんですか!それだけでも是非!」
「
オラァ!一発ネタだ!そしてやっと遊戯王要素出せたよ。
続き
-
見たい
-
見たくない