魔法科高校の遊戯王   作:アルピ交通事務局

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魔法科高校の遊戯王2

「長かったな」

 

「あぁ、長かったな」

 

 講堂での入学式が終わりを告げた。思った以上に長かった事をボソリと零すレオに遊作は同意の相槌をうつ。

 綺麗事ばかりを並べているだけであり中身や実態はなんにもない厄介な式典が終わったので二人は一息を付くのだが、そんな暇は何処にも無いのである。クラスが発表される。

 

「1年……E組か」

 

「オレもE組だぜ」

 

「そうか。長い付き合いになりそうだな」

 

 自分達のクラスを確認した後に講堂を出ると遊作とレオ。

 このまま何事も無く平穏が訪れればそれでいいのだがそうは問屋が降ろさないと言うべきか、達也と遭遇する。

 

「お前、この短時間の間になにがあったんだ?」

 

 達也の両隣には綺麗な女子が二人も居る。

 自分と別れてからの間に女子二人をナンパしたのかと思わず勘違いをしてしまうのだが達也は「違う」と否定をする。

 

「たまたま席が隣同士だったんだ」

 

「そうそう、別にナンパされたとかそういうのじゃないわよ。ね?」

 

「はい、偶然に一緒になっただけなんです」

 

「……そうか」

 

 中々に無い偶然を引き当てるなこの男は。

 遊作は達也に対して特に興味は抱こうとしなかったが、この女運だけは中々の物なんじゃないのかと感心する。達也は違うと言いたげな視線を送ってくるが遊作は気にしないでおく。

 

「あたし、エリカ。千葉エリカ、名字じゃなくてエリカって呼んでね」

 

「柴田美月です、美月と呼んでください」

 

 サバサバ系の女子であるのがエリカ、眼鏡を掛けた女子が美月。

 軽く自己紹介をしてくるので遊作も自己紹介をする。

 

「藤木遊作だ」

 

「オレは西城レオンハルト、レオでいいぜ!」

 

「俺は司波達也だ、達也で頼む」

 

 男子同士の自己紹介も済ませる。

 

「お兄様、お待たせし──っ……お兄様?」

 

 自己紹介を済ませコレからどうするのかを決めようとしたその時だった。

 新入生総代として答辞を務めた深雪が現れるのだが深雪は兄である達也に白い目というよりは嫉妬の視線を向ける。原因は言うまでもなく達也の両隣に居る美月とエリカだ。

 

「随分と仲良くしておりますね」

 

「あ〜っ……どうもどうも!お兄さんと仲良くさせてもらってるわ!!」

 

 ウフフと気味の悪い笑みを浮かびあげる深雪。

 エリカは全てを察したので仲良くしているアピールをすると深雪はキョトンとする。

 

「あの、達也くんとは偶然に席が隣同士になっただけでなにもありませんよ」

 

 美月も大体察したので一言入れる。

 自分が勘違いで兄に対して嫉妬心を向けていた事に深雪はここで気づいて顔を真っ赤にするのだが達也は特に気にしていない。

 

「お兄様と言っていたが双子じゃないのか?」

 

 ふと気になったので遊作は聞いてみる。

 

「ああ、俺は4月、深雪は3月が誕生日の年子なんだ」

 

『お母さん、随分とハッスルしたな。それとも親父さんが若かったのか?』

 

「っ、誰!?」

 

 達也からの説明を受けるとAiが反応する。

 年子ということは冷静に考えれば両親がハッスルしまくった事になる。Aiはどんな両親だと呆れるのだが、それよりもとエリカがAiの声を聞き驚いた声を上げる。

 

「……俺のCADに搭載しているAiだ。気にするな」

 

「CADにAi?なんでそんな物を入れてるのよ」

 

「色々とあるんだ、訳を話すと長くなるし説明もしたくないから聞かないでくれ」

 

 適当にAiの声をはぐらかそうとする遊作。

 エリカは「ふーん」と直ぐに興味無さげになるのだが、達也は今の声の主に対して少々警戒をしている。遊作もその事には気付いているが、向こうからアクションを起こして来ない限りはなにもするつもりはないのだと今は気にしないでおく。

 

「それでこれからどうする?」

 

 Aiについて深く聞いてこず、話題はこの後に移る。

 入学式は終わった。校内の見学や履修科目の選択等は明日からであり、この後どうやって時間を潰すのかをエリカは聞いてくる。

 

「こうして出会ったのもなんだし、何処かに遊びに行こうぜ」

 

「その前に昼食を食べましょう。お腹が空いたわ」

 

「んだよ、メシかよ」

 

「んだってなによ!」

 

「お前等、落ち着け」

 

 売り言葉に買い言葉というべきか、レオとエリカは性質が似ているのか、喧嘩っ早いところがあるな。

 遊作は二人を宥めた後に取り敢えずは昼食を頂く事にし、オススメの喫茶店があるのだと喫茶店に向かって軽食を頂く。

 

「パンケーキとカフェラテで」

 

「……パンケーキなの?」

 

「ホットドックやフライドポテトでも良かったが今は甘いものを食べたい気分なんだ」

 

「そうなんですか」

 

 遊作の雰囲気からはイマイチ掴みづらい物を頼んだなと思うエリカと美月。

 どういうキャラなんだろうかと思いつつも全員が軽食を頂いた。

 

「何処に遊びに行く?」

 

「そうですね……」

 

 軽食を頂いた後に何処に遊びに行くのか考える達也と深雪。

 遊作もどうしようかと考える。遊びに行くという経験が少ないので遊びに行く場所に心当たりというものは殆ど無いのであるが、流石にここで解散というわけにもいかないのである。

 

「亀のゲーム……は最終手段……」

 

「あ、面白そうな場所があるわよ!」

 

「アレって」

 

「ゲームセンター、旧世代のゲームセンターですよね?」

 

 面白そうな場所は無いかと探した結果、エリカはゲームセンターを見つける。

 旧世代、1990年代頃のレトロゲームが揃えられているこの時代では珍しいゲームセンターであり全員が面白そうだと思いゲームセンターの中に入っていく。

 

「昔の人はこんなチカチカするところに居たのか」

 

 チカチカキラキラジャカジャカしている旧世代のゲームセンター。

 達也は昔の人達に一種の関心を寄せるが深雪達は特には気にせずにゲームセンター内に入る。

 

「格ゲーやろうぜ!」

 

「いやいや、ここはパズルゲームでしょう!」

 

「シューティングゲームも面白そうですよ」

 

「時間はまだまだあるんだ、一個ずつやればいい」

 

 レオが、エリカが、美月がやりたいというゲームを言う。

 また言い争いになるとめんどうなので遊作は1つずつゲームを楽しむ事にし格ゲーを、パズルゲームを、シューティングゲームを行う。

 

「レトロな曲が多いですね…」

 

「その割には随分とリズムを取れてるな……常連か?」

 

「いえ、今回がはじめてです」

 

 色々とやって最後は音ゲーで深雪と勝負をする。

 旧世代の音ゲーとはリズム感よりもフィジカルや覚える事を頼るところがあるのだが深雪はスラスラと音ゲーをこなしていく。遊作も負けじと本気を出して勝負をした結果、遊作の方が多く点を取ることに

 

「あぁ、負けてしまいました……遊作さん、スゴいですね」

 

「ゲームで負けるわけにはいかないからな……しかしスゴいな。俺が居なかったらこの店のハイスコアになっていたぞ」

 

「でも、遊作さんが塗り替えたじゃありませんか……遊作さんはeスポーツが得意なのですか?」

 

「知り合いにゲームをメインとしたアミューズメント業界の人間がいる……そいつに付き合っていたら、何時の間にかゲームの腕前が上昇したんだ……この1位のKAIという奴だ」

 

「そうなんですか」

 

 とまぁ、仲良く談笑したりしつつも初日を終える。

 喫茶店で軽食を頂き、旧世代のゲームセンターや紙媒体の本屋を巡ったりと色々とやり学生生活らしい学生生活を遊作は送っていた。

 

「喋るなと言った筈だろう」

 

 遊作は家に帰った後に腕に嵌めたCADを外して睨みつける。

 理由は言うまでもない、勝手に人前で喋った事である。周りにはCADに搭載されているAiと誤魔化したが誤魔化しが効かなかった人物が居る事を遊作は気付いている。向こう側が下手な干渉はしてこないので今のところは問題は無いのだが、何時Aiの存在が明確に露見されるか分かったものじゃない。

 

『だって冷静に考えてみろよ。年子ってのは生まれて間もない子供が居るのにセ○クスした結果生まれた子供なんだぜ?性欲に塗れてるぜ』

 

「事実ではあるが堂々と言うな……それにしても、達也達とは何処かで会ったか……」

 

 沖縄で自分に会ったと言う達也と深雪。生まれてこの方一度も沖縄に行ったことはない。3年前の沖縄といえば大事件があったが、それはそれで無事に解決した筈で自分達は一切関わりを持ってはいない。遊作は記憶を辿るが達也と深雪に面識は一切無い、他人の空似だとしても何故に沖縄で出会ったのか、謎は深まる一方であり色々と考えてみても答えは出ない。

 

『お、不霊夢の奴から連絡だ……尊の奴、柔道部で上手くやってるみたいだぜ』

 

「そうか」

 

 魔法科高校に進学しなかった友人を遊作は心配する。

 ともあれ魔法科高校の入学式は無事に終わり、明日から色々とある。遅刻するわけにはいかないと遊作は睡眠薬を飲んで眠りについた。

 

「遊作!おはよう」

 

「レオか、おはよう」

 

 翌日、魔法科高校に向かう通学路でレオと遭遇する。

 クラスも一緒であり、これから3年間仲良く出来ればそれでいいなと教室に辿り着いたので自分の席を確認し、自分の席に座る。

 少し早く来すぎたかもしれないと色々と考えていると担任が入ってきて軽く自己紹介をした後にオリエンテーションがある事を伝えると教室を出ていく。一科生は今頃魔法科高校の教師が色々と指導しているのに二科生はコレかと遊作は内心で呆れる。

 

『ふ〜ん、魔法科高校って言っても教室は普通科と変わらないんだな』

 

ぉぃ

 

 腕輪型のCADからAiの声が響く。

 幸いにも小さな声で誰にも気付かれる事はなかったものの、こんなところで出てくるのは非常にマズいと遊作はCADを睨みつける。

 

『大丈夫だって。音波を相殺して遮断する振動系の魔法を使ってるからオレの声はお前にしか聞こえない』

 

「黙っていろと言った筈だ……余計な事をするならば今すぐにでも牢に閉じ込めるぞ」

 

『勘弁してくれよ。今、不霊夢と連絡を取りあっててよ尊の奴は今日入学式を終えたところなんだって』

 

「……元気にやってるか?」

 

『まぁ、問題は無いと思うぞ。彼奴はなんだかんだで逞しいからな。不霊夢の奴も陰ながら見守るつもりみたいで……魔法師だとは気付かれてない』

 

「そうか……」

 

 友人が魔法科高校とは異なる高校を選んだ事に対してやや不安を抱いている。

 今のところは順調である事で少しだけホッとするものの、魔法が使えることが気付かれていない事で一般人と溶け込む事が出来ているのであり魔法が使える事を知られるとどうなるのかと心配をしている。

 

『心配すんなって、尊の奴は体育会系だからなんとか上手くするよ』

 

「……だといいんだが」

 

 胸騒ぎがする。こういう時ほど嫌な予感は当たるものである。

 他人の心配をするのも良いけれども今は自分の事を気にしようと意識を切り替える。履修科目を選ばないといけないので遊作は机に備え付けられたパソコンを起動して履修科目を選んでいく。

 

「え、二人共タイピングでやるの?」

 

 音声認識での登録が当たり前になっているこの時代、タイピング入力で履修科目を入力していく遊作……と達也。

 エリカは意外そうな声を上げる。

 

「俺はこっちの方が馴れているんだ」

 

「俺もだ」

 

「へ〜……馴れてるって遊作、なにかしてたの?」

 

「友人と一緒に色々と機械弄りを……子供向けの玩具を大人の財力と知識で本気になる事をやっていた。まぁ、遊びみたいなものだ」

 

「玩具!?」

 

「なんだ?」

 

「いや、そういうのはあんまり興味無さそうな雰囲気だからさ……意外、人は見かけによらないものね」

 

「そうか」

 

 俺っていったいどんな人間だ。会って間もない人間に色々と印象を受けているエリカであった。

 全員が履修科目の登録を終えたので今度は学校見学が、オリエンテーションがはじまる。校舎内の色々な設備を見て回る行事である。伊達に日本に9つしかない国立の魔法科高校ではない、工業高校顔負けの施設は勿論の事、他の魔法科高校よりも優れていると言ってもいい程に整備に溢れている。

 

『やっぱ普通の中学とは違うよな』

 

 黙っていろと言った筈のAiは魔法科高校の設備にワクワクしている。

 やっぱりコイツはパソコンのAi専用の牢獄にでも閉じ込めておくべきだったかと考えつつ校内を見て回るとあっという間に時刻は昼になった。

 

「遊作、一緒に昼を食おうぜ!」

 

「いいのか?」

 

「俺は別に構わないぞ」

 

「アタシも!」

 

「私もです」

 

 昼になるとレオ達から昼食の誘いを受ける。別に1人で食べてもよかったが誘われたのならばと一緒に昼食を頂く事にする。

 

「お兄様!」

 

 昼食を食べ終えた頃に深雪が現れる。

 深雪は嬉しそうな声で達也の事を呼ぶのだが……厄介な事になっている。

 

「取り巻きか?」

 

 深雪の後ろにこれでもかといる魔法科高校の生徒達。

 見れば全員が一科生である。遊作は舎弟でも作ったのかと思ったが違うようで深雪は少しだけ浮かない顔をする、と言うよりは困っている。全員の視線が深雪に向いており、大凡の事情を把握した。

 

「そこの君達、席を譲ってくれないか?」

 

「はぁ?」

 

 めんどうな事になったな……遊作には嫌な予感しかしない。

 一科生の生徒達が集っており、自分達を見下したかの様な視線を向けて来る。いや、実際に見下してると言ったところか。

 

「二科は一科のただの補欠だ。授業でも食堂でも一科生が使いたいというのならば譲るのが当然だろう?」

 

「……」

 

 冗談抜きで本気でそう思っている一科生の男子もとい森崎に遊作は本気で呆れる。

 魔法師が選民意識の強い馬鹿が多いことは知ってはいたがここまでとなると最早言葉が出ない。

 

「実力行使してもいいんだが学内ではCADの使用は禁じられているからな」

 

『いや、学内以前に人に魔法を向ける事自体が犯罪だろう』

 

 何時でもお前達を潰せるぞと言いたげな森崎。

 流石に黙ってみていたAiも呆れる。基本的には魔法を人に向ける事自体犯罪である。如何に魔法科高校の優等生であろうとも犯罪である事には変わりはない。選民意識どころか自分達は特別な人間でその気になればと脅しの様なものを掛けてくる。こういうステレオタイプな人間が今時居るのかとむしろ感心する。

 

「というわけで席を譲ってくれないか……補欠くん」

 

 森崎の態度を見て怒りを顕にするレオ、エリカ、美月。

 いくらなんでもそれは言い過ぎだと言いたげな顔を深雪はするのだが森崎はその事に関して気付きはしない。

 

「分かった」

 

「!」

 

 達也がどう動くのかと思えばあっさりと席を譲った。

 深雪は驚いた顔をするのだが、達也はクールに去ろうとする。

 

「さぁ、深雪さん席が空きましたよ」

 

「他の二科生も早く席を譲ってくれよ」

 

「っ、私はお兄様と一緒に」

 

「それはいけない!雑草(ウィード)は所詮スペア」

 

「スペっ」

 

「一科生と二科生の区別は付けておかなければなりません。ケジメをつけなければ……皆もそう思うだろ?」

 

「そうだ自重しろよウィード!」

 

「僕達は親睦を深めないといけないんだ!!」

 

 森崎が煽った事により他の一科生は頭に乗り、吠える。

 

「……皆、行くぞ」

 

「ええ、そうね」

 

「バカみたいだな」

 

 これ以上ここに居ても厄介な事にしかならない。

 遊作はエリカ達に席を外して別のところに向かう様に言えばエリカ達は席を立った。

 

「最初からそうしてればよかったんだ」

 

 ギロリと森崎を睨みつけるレオとエリカ。

 こんなのに付き合っていたらキリが無いのだが深雪が心配そうな顔で達也を見つめる。

 

騒ぎは起こさないでいい

 

 ボソリと口パクに近いレベルで声を出す達也。深雪はコクリと頷いた。

 

「大人だな」

 

「!、聞こえていたのか」

 

 遊作はそんな達也を見て大人だと感じる。

 

「こんな選民思想が蔓延っているから魔法師と一般人の間に溝が生まれる……全く、呆れるしかない」

 

「……耳の痛い話だな」

 

「上がクズでしかないからな。それよりも明日から弁当でも持ってくるのはどうだ?食堂以外で食事をすると弁当を出せば他の奴等を牽制する事が出来るぞ」

 

「その手があったか」

 

 一先ずは難を逃れた達也達二科生組だったが……世の中はそんなに甘くはなかったのである。




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