星野アイInアクタージュ   作:はやふー

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推しも転生する

 目を覚めると私はベットの上にいた。体を起こそうとするも上手く動かない。視界にはバタバタともがく小さな手足が映る。

 

 うーん。もしやこれが私?

 

 背が縮んでいた。訳が分からないよ。私はあの時、刺されて死んだはず。もう助からないことは本能で察していた。なら、ここは死後の世界?いいや、違う。体に備わる五感はここが現実だと訴えてくる。

 

 そういえば、この状況には見覚えがある。アクアが読んでいた漫画のお話みたいだ。確かこうゆう事を転生というのだったか。現実味がない。全てがフィクションのように感じる。

 

 はぁ......私が嘘塗れの人生を送ってきたからってこんなのあんまりだよぉ...

 

 

「アイ、お腹すいたの?母さんのおっぱい飲む?」

 

 

 綺麗な声だなぁ

 

 声の主を見やれば冷ややかな印象の美人さんがいた。その吊り目のせいで一見睨んでいるようにもみえるがなんとなく優しそうな人だと感じた。

 

 なにより、その眼差しには覚えがあった...

 

 そう......愛だ。

 

 直感で理解する。この人は私の母なのだろう。前世ではついぞ貰うことがなかった母親からの祝福。

 

 愛とは尊いものだ。ルビーとアクアが私に教えてくれた、大切な感情。

 

 私はその美人さんに宝物を扱うような繊細でぎゅっと抱き締められた。ダメだ。愛に飢えている私にとって、それは麻薬のような快楽。前世で虐待を受けていた私には到底処理しきれるものではない。ただ溺れるように幸福を享受する。

 

 あぁ...温かい......

 

 そこまで考えた時、無性に胸が締め付けられた。私は愛されるような子どもに成れるのだろうか?

 

 ルビーとアクアはヤバい位の天才だったけれど、私の場合は訳が違う。この小さな体には私という異常な知性が宿っているのだ。それがバレればどんな事になるか分からない。

 

 人は未知を嫌う。前世と同じように施設行きもあり得るし、もしかしたらさらに酷い扱いを受けるかもしれない。

 

 嫌だ...

 

 絶対にこの愛を手放さない。そのためならどんな嘘でも吐こう。私にとって愛とは嘘なのだから。

 

 幸いにも嘘の手本がいる。それは私の双子の弟......名前は確か......アキト...アキヤ......?

 

 あれ......なんだっけ?

 

 あぁ、思い出した!アキラ......アキラだよ!

 

 とにかく、この子を手本にして幼児を再現する。1人ではどうすれば良いのか分からなかったから本当に助かった。

 

 お母さんにもこの子にも愛を返せるかは正直...分からない......

 

 だから全力でを叫ぶのだ。


 

 嘘が本当になることを信じて

 

 

 

 

 

 

 

 

 私とアキラは6歳になった。あれからずっとアキラの真似をして子供を演じている。その行為は嘘を吐き続けてきた私でも慣れないことだった。けれど、慣れないだけで問題はない。

 

 これも愛のための嘘なのだから。アイドルという偶像を演じていた時と何も変わらない。私は天性の嘘吐きなのだ。

 

 それでもお母さんを騙すのには中々苦労した。マジで。ほんと〜に焦った。まさかお母さんが稀代の名女優とか大女優とか呼ばれるくらい凄い役者だったとは思わないじゃん!

 

 家政婦の人とかマネージャーさんなら余裕だったよ?だけど、お母さんはマジやばい。ほんの少しの違和感から私の仮面の下を暴こうとしてくるの。

 

 いや、実際はお母さんも探ろうとしている訳じゃない。だいたい、幼児が演技をしているなんて夢にも思わないだろう。それでも職業柄色々な人間を見てきただろうから何か感じるものがあったのかも知れない。

 

 とにかく、お母さんの目から逃れるため、仮面を精密に修正してきた。ルビーとアクアへの愛を自覚出来ていなかったら危なかったなぁ。私には嘘を吐く天性の才能がある。私は以前までそれをほとんど無意識に使っていた。

 

 しかし、本心を自覚したことで、嘘と真の境界線を見つけられるようになった。これは才能を意識的に使えるようになったことと同義である。嘘は愛。この自論は今でも変わらない。心の篭った嘘は愛の力と同様に大きな力を持つのだから。

 

 ともかく、進化した私はお母さんの反応を徹底的に観察しながら強固な仮面の創造に成功。事なきを得ることができて良かった。

 

 お母さんはある程度知恵がついてきた私達を仕事場へと連れ回すようになった。休憩の合間には芸能界の色々な事を教えてくれる。私も色々と知っていたつもりだが、ベテランの話は面白い。もしかしてこれが教育ママというやつだろうか?

 

 はぁ...母親かぁ......

 

 私は親としてダメな部類だったなぁ。

 

 ルビーとアクア、元気にしているだろうか?

 

 ルビーはもしかしたら私と同じアイドルになるのかもしれないし、アクアは役者として活躍するかもしれない。天才であるあの子たちなら、何にでも成れるだろう。

 

 あぁ、2人はどんな大人になるのかな?

 

 大人になってくの、そばで見ていたかったなぁ

 

 でも、それが叶うことは永遠にないだろう。

お母さんのスマホで前世の私の芸名『アイ』について調べてみたけど、一件もヒットしなかった。

 

 ここは星野アイとして生きてきた世界とは違うのだろう。そういう理由もあって前世の事を思い出として消化出来た。いや、本当は消化なんて出来ない。情けないけど、未練タラタラだ。この世界にルビーやアクアがいたのだとしたら諦め切れないだろうからねぇ。

 

 まぁ、私の事は良いのだ。

 

 ただ、あの子たちには元気に育って欲しい。母の願いとしてはそれだけだ。

 

 

 

 

 

 

 そういえば、今日は現場でトラブルが起きた。なんでもキッズモデルの子供が来れなくなってしまったらしい。よく分かんないけど私が代役として出ることになった。やれやれ、やっぱり私の輝きは隠し切れないみたいだなぁ!

 




つ、疲れた。小説書くのってこんなに大変だったんやな.......
気が向いたら続き書こうと思います。
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