よくあるテンプレの話   作:るるぶ

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主人公の名前は終わりのセラフから取りました()。
なんとなくアイが真昼に重なったので、主人公の下の名前はグレンになりました。

ストーリーに関係はないです。


第二話

「グレン〜、今日の放課後一緒に遊びに行かない?」

 

「唐突だな、いいけど」

 

昔は、何かする時は俺から誘う事が多かったが、今では彼女からの誘いの方が多い。そして、大抵は彼女の我儘に付き合わされる。

 

こないだは特に酷かった。突然呼び出されたかと思ったら、彼女の買い物に連れて行かれ、彼女の荷物運びをする羽目になったのだから。

 

確かに、彼女にはお金が沢山あるわけではないから、こういう安売りの品を狙うのはわかるが、そういうのは一人でなんとかして欲しい。俺は彼女の召使いではないのだ。そう抗議すると

 

「私に使ってもらえるのだから光栄に思いなさい!」

 

と嬉しそうに返される。その顔が余計にムカつき、いつか復讐してやると心に誓いながら、その復讐は未だ行われたことはない。

 

「というか、何処か行きたい所あるのか?」

 

「えーとね、ほら、こないだ言っていた映画あるじゃない?今すごい流行ってる恋愛映画。あれを観に行こうと思って。一人で恋愛映画に行くなんて寂しいじゃない」

 

こいつ、この手の映画好きだっただろうか?

 

「どうした急に、アイドル始めて心変わりでもしたのか?」

 

彼女に質問の意図が伝わったのかすぐに返って来た。

 

「いや〜、ほら、私って誰かを愛する?ってよくわからないじゃない。だからその勉強になるのかなと思って。」

 

「ふーん」

 

納得はする。だが、それに付き合わされる俺の身にもなって欲しい。正直、俺としてはその手の映画は苦手なのだ。

 

──自分の前世の嫌な思い出を思い出してしまうから。

 

「やっぱり行きたくない?無理して来てもらう事はないけど...」

 

彼女にも俺の恋愛映画の苦手意識は伝わっているらしく、珍しく彼女から無理しなくてもいいなんて言葉が聞こえて来た。

 

確かに、できる事なら行きたくは無いが、前世の事はあくまで前世の事だ。いい加減、俺もその未練みたいなものを今世に引きずるのはどうにかしたい。今回はその耐性をつけるための訓練と考えよう。

 

「ま、今回は特別な」

 

「やった〜、グレン優しい!好き〜」

 

「わーい、うれしいなぁ」

 

全く感情のこもっていない声で返す。

 

「むー、アイドルに好きって言ってもらえるなんて贅沢なんだぞ〜」

 

彼女は少し頬を膨らませながらそう拗ねる。

 

くそ、こいつ可愛いな。

 

ただ、なんか癪に障るので絶対に顔には出してやらないが。

 

「それはライブをやってから言え」

 

「あ、そうそう、初ライブの日程決まったから今度来てね!絶対だからね!!」

 

お、ようやく決まったか、と内心呟く。これで、彼女もようやくアイドルとしての活動が始まると思うと、俺も少し嬉しい気持ちになる。まるで娘の成長を見ている気分だ。

 

実際、こいつには本当に昔から手を焼いていた。同い年のはずなのに、手のかかる妹ができた気分だった。

 

こいつは物忘れが多い。提出物や宿題を忘れる事はザラにある。そういう時は決まって、周囲には気づかれないほどではあるが、少し怯えた様な仕草をする。彼女の過去を聞いた今でこそ、その行動の理由には納得がいくが、当時の俺には彼女の育って来た環境を知らなかったので、アホな奴だなと思いながら彼女をよく助けてやった。

 

その結果、誠に遺憾ながら、気づけば友達のいないこいつのお世話係を拝命していた。そのせいで、俺まで友達がほとんどいない人間になってしまった。その事をたまに愚痴ると、

 

「元々、グレンにはほとんど友達がいないので、私のせいじゃないですー」

 

うるせぇ、余計な事言いやがって。

 

懐かしい思い出を振り返りながら、先ほどの言葉に返事をする。

 

「そういう大事な事はもっと早くに言え、バカ」

 

彼女の額にデコピンを喰らわしてやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼と初めて言葉を交わしてから一年以上の月日が流れた。

 

なんの因果か、私の席は彼の近くになる事が非常に多かった。今思えば、クラスに馴染みきれない私の保護者係的な役を彼に担ってもらうためだったのだろう。

 

確かに、クラスの女子とはあまり仲良くなれなかったし、男子は私の容姿に惹かれたのか、カッコつけてくる人はちらほらいたが、逆に言えばその程度しかいなかった。

 

だから、基本的に話をするのはグレンとだけだった。

 

ただ、驚く事に彼との会話は思いの外、心地が良いものだった。

 

気づけば私の方から話しかける事も増えてきた。

 

「柊君は宿題やった?」

 

「あたぼうよ」

 

「見せて〜」

 

「え、やなんだけど。というか、このやり取り何回やるんだよ」

 

私は昔っから抜けている所があった。宿題をやり忘れてしまう事が多く、授業前に気づく、なんて事はしょっちゅうある。

 

その為か、彼に頼ってしまう事が多々あった。

 

もちろん、こんなに頼りっきりなのは、私でも申し訳ないとは思っていたが、私から彼に返せるものなんてほとんど無かった。だから、いつかまとめて返さないといけないな、なんてよく思っていたものだ。

 

何度かの言葉の応酬があった後、仕方ないなと言った様子で彼は宿題を見せてくれた。

 

「ほら、とっとと写しなよ」

 

「やった〜、ありがとうグレン」

 

そう、彼は側から見れば少し大人びていて近寄り難い雰囲気が当時からあったが、中身はすごく優しくて、頼りになる。

 

私にお兄ちゃんがいればこんな感じだったのだろうか、と想像する事がたまにある。

 

まあ、そんな想像してもしょうがないんだけどね。

 




星野アイの口調がわからんのよ...。
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