よくあるテンプレの話   作:るるぶ

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B小町って、初ライブはどこでやったんでしょうね?

ちなみに、一応は全体の構想自体はあって、25話程度で収めたいので毎回かなり駆け足です。


第三話

 

彼女の人生初ライブ宣言から一週間後、俺は絶賛ライブに参加している。

 

正直、初ライブということもあり、集まってくる人なんて殆ど皆無と言っても良かった。

 

他のグループ目当てで偶然聞きに来ている奴や、いわゆるアイドルオタク的な奴らが数人いる程度。

 

俺としてもこの異空間から1秒でも早く脱出を試みたかったが、彼女のライブを見なければ後日学校で何をされるかわかったものではない。彼女のことだ、今回のライブを見なかったら一生文句を言ってきそうな事は容易に想像できる。

 

そう言えば、彼女達のグループはまだ結成されたばかりのはずだが、もうライブができるクオリティになっているとは驚きである。発表前から入念に練習していたのだろうか?

 

待っている間、色々と考えていると、

 

「次は、本日初ライブのB小町の方々です!!」

 

どうやらもう始まるらしい、彼女の事だから緊張などとは無縁だろうが、大丈夫だろうか。

 

──そんな不安はライブが始まると共に霧散した。

 

 

彼女達が、いや、星野アイが舞台に立ったとき、時が止まった様な錯覚を覚えた。

 

周囲の人間も同じなのだろう、誰もがただ一人を見つめている事が、視線を向けて確認するまでもなくわかる。

 

そして、アイを見つめながら自分の直感が何一つ間違っていなかった事を確信する。

 

 ──彼女はアイドルに向いている──

 

これは彼女に初めて会った時から変わらない俺の中の意見だ。

 

何故なら、彼女の嘘は言葉だけに纏われているわけじゃ無い。

 

彼女の恐ろしい所は動作にそれが現れる所だ。

 

周囲に本心を悟らせることがなく、言葉と動きで相手を騙し、誘導する。そんな事をされて騙されない奴は人間では無い何かだ。

 

普通の人間なら、嘘をつくとき体のどこかにほんの少しでもサインが現れる。それが彼女にはない。

 

まるで彼女は嘘でしかできていないような錯覚を覚えるほど、彼女は完璧だ。彼女の仮面は厚すぎて、長年の付き合いに俺ですら彼女の本気の嘘には騙される。

 

彼女の家庭環境がその様に育ててしまったのだろうが、今、この時に限ってはその経験が最大限に活きている。

 

皮肉なものだ。

 

彼女を最も傷つけた者が、彼女を輝かせた最大の要因なのだから。

 

彼女ならアイドルの頂きだけでなく、女優の頂きも取れるだろう。

 

果たして彼女の様な天才が、これから積み重なって行く歴史の中で生まれるだろうか?

 

否、そう確信できるだけのものが彼女からハッキリと感じ取れた。

 

"神なんてしろものを考え出した人間は、歴史上最大のペテン師ですよ"

 

とある作品のこの言葉に、今ならこう返せる。

 

"彼女こそが歴史上最大のペテン師"だと。

 

 

 

 

その日のライブは、後のファンから伝説として扱われる事になのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めてのライブ、不安がないと言えば嘘になる。

 

未だに「私がアイドルをやって良いわけがない」という気持ちが心のどこかにはある。

 

でも、社長に初めて会ったあの日のやり取りが私の心を埋めていく。

 

最初に社長にアイドルのスカウトをされたとき、私は断るつもりだった。

 

私はアイドルにはなるべきでは無い。

 

アイドルはみんなに笑顔を振りまいて、みんなを笑顔にする純粋で輝いた存在。私とは対局に位置する人たちがやるべきものだと思っていた。

 

私のような施設育ちで、誰かを愛することがよくわからない人間がやるべきではない。

 

そのことを少し脅しながら彼に伝えると、こう言った。

 

「良いんじゃねえの。そもそも、普通の人間に向いている仕事じゃないし、そういう経歴も個性だろ?」

 

「で、でも、アイドルってみんな愛してるって言うじゃん。私が言うと嘘に...」

 

「嘘で良いんだよ」

 

本当に?

 

「むしろ客はきれいな嘘を求めている」

 

─本当に?

 

「嘘を吐けるのも才能だ」

 

──本当に?

 

「良いじゃんねぇか。こいてけ、こいてけ」

 

───本当に良いの?

 

「嘘でも、愛しているなんて言って良いの?」

 

私にそんな事が許されるのだろうか。

 

「色々言ってはいるけど、君も人を、誰かを愛したいんじゃないか?」

 

「アイドルになれば愛しているなんて言葉は歌詞の中にいくらでも入っている」

 

「それに、みんな愛しているって言っている内に、嘘が本当になるかもしれん」

 

この瞬間、私の思いは固まった。

 

もう私は止まれない。

 

私は誰かを愛したい。

 

心の底から愛していると言えるようになりたい。

 

彼に対するこの気持ちが本当に愛なのかを知りたい。

 

私はアイドル、嘘をつく事が、私に唯一できる愛の伝え方。

 

 

 




読んだ方は察したと思うけど、アイドルについてほとんど知らんのよ()

今回の補足なんですけども、主人公と出会うことで彼女にかなりの変化が生まれているため、スタートからかなりレベルが高いです。

幼少期の回想は次回から再開します。
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