よくあるテンプレの話 作:るるぶ
あと、更新ペース決めようかな。
「映画つまんなかったね〜。やっぱり、ああいうのよくわからないよー」
「安心しろ、俺もさっぱりわからなかった」
「やっぱり映画じゃダメね。どうしたものかしら」
俺たちはライブの打ち上げ的なのも兼ねて、二人こないだ話していた映画を見に来た。
彼女は口ではさもガッカリした様な事を言っているが、全く表情に表れていない。どうせ観る前から期待などしていなかったのだろう。
それもそうだ、この手の映画は青春を過ごして来た様な奴らが観るための作品であって、アイの様な一般からズレた人間には向いてない。
俺もきつかったので、お互いに損をしただけだった。
「グレンはどうしたらいいと思う?」
「俺に聞くか?」
「だって、こんな事、相談できる人なんてグレンくらいしかいないもの」
そう言われると俺としてはかなり弱い。昔から、何故かこいつに頼られると放っておけない。しかし、愛を知りたいとかいう難題を俺如きに解決できるだろうか。
そこで、ふと根本的な疑問が脳裏をよぎる。
「そう言えばさ、アイはもうライブもしたし、立派なアイドルなわけじゃん?そんな奴が男と二人で遊んでていいのか?」
「んー、いいんじゃない?」
軽いなぁーと心の中で軽く突っ込む。
「お前がそれでいいなら別に俺としても構わないんだけど、やっぱり活動の邪魔はしたくないんだよ」
これは俺にとってかなり本音だ。この前のライブを見せられて、彼女のファンになりかける自分がいた。それくらい魅力的な彼女には是非このままアイドルを続けてほしい。
「大丈夫、大丈夫。私隠すの上手いし!」
何が大丈夫なんだかと呆れ返る。
しかし、なるほど、彼女が珍しく帽子を被っているのもそう言った理由からなのだとしたら納得がいく。そのうち、伊達メガネやグラサンをかけて会う事になるのだろうか。
「ま、アイに任せるよ」
適当に返事をする。
「で、さっきの話に戻るんだけどさぁ〜」
畜生、せっかく話題を逸らす事に成功したと思ったのに!
「何か妙案とか無い?」
妙案ねぇ...。
何かないだろうかと考えていると、無意識に口から言葉が溢れ出た。
「隠し通せる自信があるなら、彼氏作れば?」
何を言っているんだ俺は!?
彼女は突然黙ってしまった。しばらくの沈黙を経た後、唐突に彼女は言葉を放った。
「なら、私はグレンと付き合いたいなぁ」
....へ?
脳の処理が追いつかない。一体彼女は何を言っているのだろうか?俺と付き合いたい?またまたお得意の嘘だな!騙されてやるもんか!!
「う、嘘でもそういう事やるの辞めろ!バカ!!」
あれ?おかしいな、何故俺は照れているんだ。
「バカとは何よ!言い出したのはそっちじゃない!!」
「ええい、この後買い物するんだろ?行くぞ!!」
彼女の顔を直視できなくて、そのまま俺は次の目的地に彼女を置いて進んでいった。
今更こんな事で照れるなんて...。
「別に嘘じゃないんだけどなぁ...」
私達は小学六年生になった。
最近、学校に行くのが少し楽しくなって来た。
理由は彼と、柊グレンと会える事だ。
日々会う中で、私の中で確かに彼の存在が少しずつではあるが大きくなっているのを感じる。この感情がなんなのかはよくわからないが不快ではない。施設の人達や学校の先生、他の知り合いからは感じなかったこの感覚。
そんな心の揺らぎなどを全く知らない彼は今日も今日とて話しかけてくる。
最近は彼に誘われて一緒に遊ぶ事がちょくちょくある。
そんな私に嫉妬して、施設育ちだと言ってイジメをしてくる奴がこの学校にもいたが、気づいたらその人たちは転校するか、大人しくなっていた。
みんなに頼られる彼なら理由を知っていると思って聞いても
「知らないなぁ」
と、適当に流される。
結果、最近は私に関わってくる人達は以前と比べてかなり減った。グレンの方に話しかける人は数人いるが、私は特に誰からも話しかけられなくなった。
誰かに気を遣わなくていいから、正直楽でいい。
今日も今日とてもグレンと一緒に下校する。もうお互いに日課になっているのでスムーズに歩み慣れた帰路に着く。
話す内容は本当にくだらない話ばかり。
もしこの場に第三者がいたのなら、もしくはかつての私がいたのなら、何が面白いのか分からないような、本当にくだらない話を続ける。
そして、時々訪れる静寂。
その静寂すら、今の私には心地良い。
彼といつも別れる分かれ道に着く。すると突然彼は言った。
「今日、家に来ない?」
別にこのやりとりはさんざんやってきた物だから、特に何か驚くようなことはない。
しかし、この日に限ってはどこか真剣そうで、私を心配したような顔つきで言ってきた。
「ごめん、今日は早く帰らないといけないの。また今度行くね!」
「そうか...気をつけてな」
「うん、また明日!」
「ああ」
いつものやりとりなのに、そこに少しの違和感を感じながら彼と別れる。
今思えば、彼はこの後に起こることを察していたのだろう。何故察することができたのか分からないが、少なくとも彼が察していたことだけはわかる。
彼と別れて少し歩くと見覚えのある後ろ姿が見えた。
忘れるわけがない。
忘れられる訳がない。
あれは、
あの人は、
私のお母さんだ──。
次回はオール過去回です。