よくあるテンプレの話 作:るるぶ
誤字報告してくれてる方本当にありがとうございます!すごく助かります!!
あと、前回の後書きで書きましたが、全体的に出来事が一年ほど原作からズレます。
第七話
俺達はついに高校生になった。
とは言っても、アイはアイドル活動を中心にするらしく、同じ高校には進学しなかった。その代わり、通信制高校のような所に通っている。彼女の人気は段々と上がって行き、俺の周囲でも名前を知ってる人もちらほら現れるようになった。
対して俺はといえば、普通の高校生と大して変わらない。学校に行き、適当に授業を受けて、数少ない友達と下らない話をし、家に帰る。部活はめんどくさいからやらない。その代わり、高校生活である一つのことに打ち込む事にした。
小説だ。
小説家になる。
それも、高校生の間に。これが今の俺が唯一真剣に取り組んでいることだ。たいした理由がある訳ではなく、アイのライブを見て、彼女がいつか女優としても活躍できると予想した俺は、彼女に俺の描いた作品を演じて欲しいと思ったからだ。
とは言え、さすが俺と言うべきか、もう小説家デビューは済ませてしまった。前世の記憶もある俺は、ネタに困ることはなく、現在は、新刊を絶賛執筆中なのだ。
その為、印税もそこそこ入っており、稼ぎとしてはアイよりも高い額になっている。
「暇なんですけど〜」
そうだ、もう一つ言っておかなければいけない事がある。
アイが俺の家に住み着くようになったことだ。
高校生になった俺は両親から一人暮らしをするようにと言われ、家を追い出された。
なんでも、二人でイチャイチャしたいから邪魔だとか。さすが俺の両親、なんとも仲が睦まじいものだと呆れ返る。
その結果、今通ってる高校からそう遠くないマンションに住んでいるのだが、その家にアイは気づいたら居座っていた。アイツも施設から出ており、自分の家があるはずなのだが俺が今の家に住み始めてから一週間もしないで頻繁に来るようになり、現在では半分近くは俺の家にいる。
鍵を貸した覚えがないのだが、どうやら勝手に合鍵を作っていたらしい。
その事実を初めて知ったとき、俺はその事実に戦慄したものだ。勝手に合鍵を作った事を問いただすと、
「え?ダメだった?」
と、まるで当たり前の事をしたかのように返してきた。
こいつ頭おかしいわ。
そんな彼女に、アイドルなのに男の家に来ても良いのかと言うと、
「十分気をつけているから問題なし!」
との事らしい。
なんだかんだ用心深い彼女の事だから、当分は大丈夫なのだろうが彼女がより売れたときが心配だ。それだけならまだ良いのだが(いや、良くはないが)、彼女の所属してる社長に俺の家に居座っているのがバレ、何故か連絡先を交換することになり、連絡が付かない時は俺に電話が回ってくるようになった。実際、確認してみると俺の家にいるのだ。
そんなこんなで、半同棲状態みたいな事になり、俺も周囲に気をつけながら日々を過ごす事になってしまった。
高校生になっても俺の人生に平穏は訪れないらしいと、ソファの上でお菓子を食べながらくつろぐ元凶を恨めしそうな目で見下ろしながら思う。
「あ、そう言えばこないだ出した小説読んだよ!」
ほう、さすが俺の友人。ちゃんとそこら辺はチェックしてくれてるのかと感心する。
その物語の内容は異星人に育てられた主人公が、故郷に帰りその中で暮らしていくというものだ。
「どうだった?」
さて、どんな感想が聞けるかと期待する。
「んー、微妙かなぁー」
は?何言ってんだこいつ。とっとと追い出さないと(憤怒)。
そんな事を考えながら、この馬鹿にはわからないかと哀れむような目を向ける。
「でも、ラストの二人が結ばれるくだりは良かったかな。ああ言うの好きだなぁ」
どこか噛み締めるように彼女は言う。
そんな彼女の言葉と表情に、俺の心が何かに満たされるのを感じる。心底この作品を書き上げて良かったと思える。さて、次こそはこいつが度肝を抜かして、俺に敬語を使わざるおえなくなるような作品を世に出してやる。そんな決意を固めながら彼女に言う。
「次はさらに素晴らしい作品を見せてやるよ」
「うん、楽しみにしてるね!」
「むー、勉強わかんないよー!!」
机の上に突っ伏す彼女。俺が新作を書き上げる横で彼女は学校の課題を進めていたのだが、さっそく苦戦しているらしい。
公立の通信制高校で、通いが極限までないコースに滞在しているので、課題や授業は全てweb上で完結している。授業は録画を流しており、簡単な解説しかないので、少しでも応用的な内容になると彼女には厳しいのだろう。
「見せてみろって」
「さすが~」
彼女のパソコンの画面をのぞき込む。内容としては数Iの二次関数だ。確かに高校の数学は、中学の頃とは比べものにならないくらい急激にややこしくなる。それを映像を見ただけで解けるようになれというのは、いささか酷な話だと自分でも思う。
まあ、俺は楽勝なんだけどね─。
そもそも、アイはあまり勉強が得意ではない。これは彼女の勉強嫌いが理由ではあるが、根本的には彼女の育ってきた環境があるのだろう。何かを学ぶという下地が存在しないままここまで来てしまった。中学の頃はまだどうにかなったものが、高校になると顕著に表れてしまったのだろう。
「ああ、これか。これはな─」
俺は近くにあった紙をたぐり寄せると、計算の流れをすらすらと書いていき、それを彼女に解説した。
「ふむふむ、わかったわかった」
全く感情のこもってない声で彼女は言った。
「絶対わかってないだろ」
「そんな事ないもん!」
「じゃあこれ解いてみろよ」
「わかりません!」
ジト目で彼女を見つめる。
「一人でやってろ」
「ごめんなさい!見捨てないでください!グレン様の助けがないと終わらないんです!!」
それから、いくつかの言葉のやり取りを交わした後はスムーズに進んだ。
彼女は真剣顔つきで俺の話を聞いている。
いつもの事ではあるのだが、ちょっと距離が近すぎないだろうか。良くないものが俺の体に当たっているし、顔の距離なんて、どちらかが相手の顔に向ければぶつかってしまう。
だが、そんな状況で動じるほど軟弱な精神を俺はしていない。この程度、飽きるほど経験してきたではないか。
余裕余裕。
そう自分に言い聞かせ、解説に専念する。
時々こちらに向けられる彼女の視線を無視しながら。
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