とある龍球世界の禁書目録   作:ちいさな魔女

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受胎告知の再現儀式

インデックスが示した魔術による、人造人間の製作方法。それは、『旧約聖書』においてアダムとイブが『知恵の実』を食べた事でエデンの園を追放された事と、その楽園に存在する『生命の実』を掛け合わせ、ゲロの人造人間製造技術を合わせれば、最強格の人造人間を造れるというものだ。

 

元々人造人間とは、人の手によって造られた人間と呼べば良い。その定義は曖昧で、神話や宗教上ではギリシア神話のタロース、ユダヤ伝説のゴーレム、ギルガメシュ叙事詩のエンキドゥなどが挙げられ、日本でも鎌倉時代の説話集『撰集抄』巻五に、西行が故人恋しさに死人の骨を集めて復活させようとして失敗する話「高野山参詣事付骨にて人を造る事」がある。

 

Dr.ゲロの人造人間は科学側の『サイボーグ』を定義としており、その戦闘力や知性の高さを考慮すると、ゴーレムの上位互換と言っても良い。

 

今回は、科学と魔術の2つの技術を掛け合わせた、究極の人造人間を制作する。かの『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する人型汎用決戦兵器エヴァンゲリオンも、ロボットではなく大型の人造人間だ。内蔵も存在しており、血も流れる。パイロットにも痛みや感覚が伝わり、エントリープラグ内での両手の動きもするという、正に究極の人造人間だ。

 

ゲロの造る人造人間は、エヴァンゲリオンを通常の人のサイズにまで凝縮したバージョンと言っても良い。

 

インデックス「今から手渡すのは、複製した『生命の実』と『知恵の実』なんだよ。それを人造人間に食べさせれば、完璧な人造人間が誕生する」

 

インデックスが取り出したのは、セフィロトの樹が描かれた円形の果実と、リンゴに似た光り輝く果実の2つだ。

 

ゲロ「し、信じられん……!これ程の力を持つ果実は見た事が無い!」

 

ゲロの研究所内に生命の実の濃厚な香りが漂い、この世総ての味をも超える事が想像に難くない。知恵の実からはゲロ自身の知らぬ知恵が存在する事をゲロに想像させ、ゲロの知りたいという意欲を刺激し続ける。

 

インデックス「そして、科学で産み出した人造人間に此れを食べさせる。どう?」

 

ゲロ「ふむ、良かろう。ボミをどうするつもりかは知らんが、好きにするが良い」

 

ゲロにとって、生命の実と知恵の実を得られるならば安い取り引きだ。そうすれば、孫悟空を殺せる人造人間の製作が造れるかもしれないからだ。

 

インデックス「よし。じゃあボミを『卵子』にしたら、今から指定した場所に運んで。そしたら卵子に戻したボミを、私の『子宮内』に宿すんだよ」

 

インデックスは住所が書かれた紙をゲロに渡す。紙には住所だけでなく、電話番号らしき暗号も記されていた。

 

ゲロ「それは構わんが、何をするつもりじゃ?」

 

インデックス「それはその時の、お楽しみ」

 

『受胎告知』の儀式を整える。人造人間21号ことボミを、神の子として産む。キリストと同じ聖人として。但し、インデックスの性格を考えて、かなり歪んだ存在になるかもしれない。しかし、それで構わない。儀式が完了すればそれで大丈夫なのだ。

 

インデックス「それじゃあ、完了したら住所へ来てね!『ルーラ』!」

 

インデックスはその場から消えた。ゲロはその光景を見届けた後、インデックスとの約束を果たす為に動く。

 

ゲロ「ボミ。中々面白い奴だったぞ。お前を人造人間として蘇らせるつもりじゃったが、あの少女を信じて良いかもしれぬ」

 

ゲロはキーボードを操作し、ボミの人造人間のデータを改良した。そして、棺型のポッドの中で、一人の女性の体がどんどん少女の姿となり、赤子となり、軈て胎児の姿となる。

 

ゲロ「ボミをどうするつもりかは知らんが、お主の考えも利用させてもらうぞ。レッドリボン軍を壊滅させた、孫悟空への復讐の為にな」

 

ゲロは研究を続ける。スマホ型の端末を操作して紙に書かれた複雑な電話番号を入力し、インデックスに連絡を入れた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ゲロが訪れたのは、『魔神教会』の本部が存在する島だ。大きな島で、かなりの人口も存在しているが、町ではなく村と言っていい程に暮らしは田舎らしい。しかし、人々はとても満たされた顔をしており、畑仕事や漁業、牧場で家畜の世話も行い、子供達は広い土地で自由気ままに遊んでいる。

 

ゲロ「信じられんが………ホントに人として満たされた生活をしとるわい。まあ、儂はこの生活をしたいとは思えんがな」

 

科学者としては退屈な為、こんな田舎暮らしに似た暮らしは性に合わない。

 

そして、学校と思われる場所は建物としてはとても小さく、二階も存在しない。しかし、授業内容は普通の学校と比べてとても実演的かつ実践的だ。多数の教師が授業内容を演劇形式で教えて、子供達がそれに注目していた。

 

先生「ペトロは、キリスト教が禁じられていたローマで布教をしていました。しかしネロ皇帝から迫害を受け、このままでは殺されると思いローマから逃げようとしたペトロの前に死んだはずのイエス・キリストが現れたのです。驚いたペトロが言った言葉は、かつて彼が口にしたものと同じ言葉『主よ、何処へ行かれるというのですか?(ドミネ・クオ・ヴァディス)』でした。それに対してキリストは「君が民衆を捨てて逃げるというなら、君の代わりにもう一度磔になるためローマへ行く」と返したのです。この言葉に目が覚めたペトロは殉教を覚悟してローマに戻り、捕まってネロ帝に磔刑に処されました」

 

子供達『わああ………』

 

子供達は、磔刑に処されるペトロを演じる教師の姿に息を呑んだ。教師達もやりがいを感じており、教える事を楽しんでいる。

 

そんな光景を見ながら村を進んだゲロは、住所通りの場所へ到着した。レンガで構成された洋風の一軒家で、家としてはとても見窄らしい。ゲロはドアノブに手を掛ける。扉を開けると、其処には部屋の真ん中で分厚い本を読んでいるインデックスの姿があった。彼女の肩に鳩が乗っており、頭を擦り寄せている所を見ると、とても懐いているのがよく分かる。彼女の隣には先程まで紡いでいたであろう道具があり、その隣に白百合の花がある。

 

インデックスの服装も変わっている。青いローブを身に纏い、赤い中世の女性服を身に着けている。頭に頭巾も被っており、その姿は正に聖母マリアそのものだった。

 

インデックス「いらっしゃい。連絡聞いたよ」

 

ゲロ「約束通り、ボミを卵子に変えて来た。此れをお前の子宮に宿す」

 

ゲロは特殊ケースを見せる。その中には小さな粒状の卵子が液体の中で浮いていた。

 

インデックス「よし。じゃあお願いね」

 

ゲロ「処女のままで妊娠出来るよう、腹の上から子宮内へ卵子を送る。腹を出すんじゃ」

 

インデックスはお腹を出す。スラッとした綺麗なお腹だ。大食漢にも関わらず、全く太ってない。

 

ゲロはケースから伸ばしたチューブの先端を、インデックスの子宮が存在する下腹部に当てた。先端は細い注射針となっており、インデックスの腹に注射される。

 

インデックス「んっ………」

 

インデックスは腹の中に液体が入るのを感じた。

 

ゲロはケースの画面を見た。ケースはPCと一体化しており、卵子となったボミの状態を理解出来る。

 

『妊娠完了』。

 

そして、インデックスの腹から注射針が抜かれる。

 

ゲロ「妊娠したな。後は着床するだけだ」

 

ゲロがインデックスにそう告げた、その時だった。

 

???『問jg7?』

 

その声が響いたかと思えば、二人の目の前に神々しき女性が姿を現した。頭にはリング、背中には大きな翼がある。水との関連が深く、全体的に青色をしている。

 

それは、とある魔術の禁書目録において水の象徴であり、両性の天使にして、聖母マリアにキリストを聖霊により妊娠してもらえた事を告げに来た天使。その名も『神の力(ガブリエル)』。

 

ガブリエルはインデックスの腹を指差し、告げる。インデックスは人外言語を理解している為、以下の通りに訳せた。

 

ガブリエル『ボミは神子となった。だが貴女が邪故に歪んでいる。三日後に産まれるだろう。()()()としてな』

 

そう告げた後、ガブリエルはその場から姿を消した。

 

ゲロ「な、何だ今のは………」

 

インデックス「成功だよ。私はボミの受胎告知を受けて、そして処女妊娠に成功した。後は、此れをまた食べるだけ」

 

インデックスは生命の実と知恵の実を、2つ同時に食した。その時、お腹に宿った子が成長しているのか、心臓の鼓動音が響き渡った。

 

ゲロはケースのパソコンの画面を見た。

 

『着床完了。成長中………三日後に出産』

 

ゲロ「馬鹿な!?三日後だと!?あまりにも速すぎる!」

 

インデックス「ガブリエルが告げた事と、生命と知恵の実を食べたからなんだよ。三日後が楽しみ♥」

 

インデックスはお腹を撫でる。まさか此処まで上手く行くとは思わなかったが、此れで自身の野望の達成にまた一歩近付いた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

三日後。インデックスはベッド上で力んでいた。周りには助産師の女性が、インデックスの出産を手伝っていた。

 

インデックス「んぐうううううっ!んああああ!」

 

快楽無しの子づくり、そして処女のまま出産した。彼女の体格でとても耐えられるものではない筈だが、彼女インデックスはお腹に力を入れて中に居る赤子を出産すべく奮闘する。

 

助産師「教祖様!もう少しです!!」

 

インデックス「んあああああああああああっ!!」

 

助産師「あっ!産まれます!頑張って………えっ?嘘っ!?」

 

助産師「こんな事が!?此れも、魔神様のお陰なの?」

 

インデックス「ああああああああああああっ!!!」

 

そして、インデックスは出産を完了した。一度に産まれてきたのは、三つ子。全員女。三姉妹である。

 

しかし、産まれてきた3人は、全員赤子ではなかった。

 

???「………まさか産まれてくるとは思わなかったわぁ」

 

一人目の長女は3歳児の子供の姿から大人の女性へ一気に成長し、そのスタイルも端麗かつ妖艶であった。胸も大きくお腹も細い安産型と、理想の女性像で男が誰でも思い描くものだ。但し、3メートルもの長身である。

 

【挿絵表示】

 

 

???「しかも三つ子………私達を同時に産むなんて驚きました」

 

もう一人は平均的な身長となり、スタイルは程好い感じだ。但し、長女と比べて次女はとても清楚な気配が漂う。

 

【挿絵表示】

 

 

???「魔神様自らがお産みになるとは思わなかったよ。僕等結構幸せかも♥」

 

最後は8歳児の姿となり、幼さの残る顔立ちをした少女となった。

 

【挿絵表示】

 

 

全員共通しているのは、悪人面をしているという事だ。

 

インデックス「ハァ……ハァ……おめでとう。産まれてきてくれて♥」

 

インデックスは母として、三つ子を産めた事を誇りに思った。愛しさも感じる。

 

インデックス「貴女達に名前を与えよう。長女はファザ。次女はフィリウス、末っ子の三女はスピリトゥス。此れからこう名乗るんだよ」

 

ファザ「あらぁ。ありがとう、ママ」

 

フィリウス「新たなる名を授けて頂き、ありがとうございます」

 

スピリトゥス「嬉しい♥ありがとうママ!」

 

ボミを産む筈だったが、何処で儀式を誤ったのか、三つ子を出産してしまった。

 

とはいえ、三つ子を産んだのはとても意味がある。三姉妹は可愛い上に、三位一体という意味でも、とても意味がある。なので『父と子と聖霊』の意味を持つ単語から切り取った名前を授けたのだ。

 

インデックス「ゲロ。どう?」

 

ゲロに話し掛けるインデックス。

 

ゲロが画面を見ると、其処に表示された文字はこうであった。

 

『異常無し』である。

 

ゲロ「成功だ!信じられん!此処まで異常な程に完璧なバイタルサインは初めてだ!」

 

ゲロもこの結果は喜ばしいものだった。

 

インデックスは成功した。イレギュラーが起きたとはいえ、受胎告知を成功させた。此れから計画を念入りに進める。次の儀式の準備に取り掛かる事に決めた。




改めてこの儀式を教えましょう。

名前:『受胎告知』
元ネタ:『新約聖書・受胎告知』
詠唱:無し
能力
聖霊によって妊娠し、『神の力(ガブリエル)』に告げられた後にその事実を受け入れる事によって子宮内に宿った赤子を神に等しい存在として覚醒し、妊娠してから三日目に出産する。
聖母マリアは家の中に居て、外から来たガブリエルからキリストを聖霊より授かった事を告げられた。その状況を再現した儀式場は以下の通りである。
受胎告知を受ける者は青いローブに赤い女性服を身に着けて、『家に居る事』。『糸を紡ぐ作業をする』若しくは『本(特に聖書)を読んでいる』『白百合の花』『天上からの光』『鳩』が必要。
『家』は何でも良いが、出来れば洋風がオススメ。『糸』は糸を編む作業をしてる事。『本』は本ならば何でも良いので読書をしている事。『白百合の花』は純潔の象徴である為、必ず母体の傍に添える事。『天上からの光』は雲の隙間から差し込む日光だが、代用として天井の隙間から照明の光を照らしても良い。『鳩』は種類を問わず、母体に懐いている事が前提である。
どうやって純潔のまま妊娠するかは方法はあるが、この儀式をただ行っても単なる儀式でしかない。『魔力』がある事、『処女』である事が前提であり、仮にあっても其処に『愛』はあるんか?無ければ論外。儀式は失敗となり、普通にただの赤子を産むだけで終わる。また、この儀式を受ける者は一生に一回しかこの儀式は出来ない。但し、インデックスのような『魔神』は例外で何度でも行える。

インデックスの受精は、メローネが女性に『ベイビィ・フェイス』を妊娠させたシーンのオマージュです。アレより手段は高性能です。但し、人工受精だったので、三つ子というイレギュラーが置きました。

単語
神の力(ガブリエル)
水の象徴にして青を司り、月の守護者にして後方を加護する者。常に神の左手に侍る双翼の大天使。旧約聖書においては堕落都市ゴモラを火の矢の雨で焼き払い、新約聖書においては聖母に神の子の受胎を告知した者。
天使の中でも「神の伝令」という役割を持つことから特に情報の送受信に長けており、『勘や予兆』といった第六感の情報を好きなように加工して、好きな方向・距離・タイミングで受信させることが可能である。
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