ベース原作沿いにする予定ではいますが、第三者乱入させたので原作崩壊がお好きでない方はまわれ右。
川の流れの方がよほど落ち着いているのではないかと思うほど、意味があるものないものも含めて情報が上から下へと流れていく。
情報を織り込んだ文字の奔流は、ツイッターのタイムラインという枠に沿って。
別タブではニコ動が『にーっこにっこどーが!』という間の抜けた声と共に適当な時報を垂れ流す。
その時報を聞いてようやく、プレミアム会員が切れていることに気づいた。
時報を聞いてPC画面右下を見やれば、2:01。
睡眠時間のゴールデンタイム終了時刻である。
『うわ、もう2時か』
頭で発せられたその言葉は声ではなく、ツイッターに文字として現れた。
『@marta え、まだマルタさん起きてたんですか』
『@marta たいちょー、ボイスくださいようボイス』
金曜日、深夜。
社会人、学生問わずインターネット……少なくともツイッター在住の民は『今が活動時間ピーク』であった。
もちろん、良い子は寝ているだろう。
しかしこの時間に起きているということはそれすなわち『悪い子』、いわゆるクズ集団。
『@marta 暇ならPvPしませんか』
とんできたリプライに思わずPCのキーボードに額から突っ込みそうになった。
そろそろ寝ましょうよ、なんて至極真っ当なリプライが来るはずもない。
至極真っ当な奴らはとうに寝ている。
『@akane0361 起きてるよ 寝付けなくてね』
『@monupon 夜中は無理』
『@darkbeack_fill VCありなの?』
ぱたぱた、とキーボードで返事を返していく。
ああ、試験が終わった今日くらいいいだろうとも。
家族はとうに寝静まった。
弟が左斜め前でMMDをせっせこ動かしている程度で、ゆるくクーラーのきいた居間はとても静かだった。
週1しかやっていなかった家庭教師のバイトでようやく貯めた貯金を、ゲーミングPC(回線の関係でノートPCになったが)を11万で買ってすってんてんにした甲斐があったというものだろうか。
大学で買わされた斡旋機ではとてもじゃないがゲームは続けられず、氷枕を敷いて熱暴走を冷やし続け、アツアツになった氷枕をローテーションで冷凍庫に放り込み続けた結果冷蔵庫がぶっ壊れた。
そんな生活とももうオサラバ。
ゲーミングPCとは伊達ではない、今はまっているゲームはグラフィック命……。
散々ドス●ラやマ●スコンピュータやそれはそれは多店舗を歩きまわり、27万程度が相場だったPCが11万で売られているのを見つけて即決。
即買いだった。
あくまでゲームはミドルユーザーに徹しているが、それでもファンタジーの景色は現実とはかけ離れ、美しい。
『@marta あると嬉しいかな 教えたいし』
『@darkbeack_fill わかった、Skype準備する。インしたけど部屋教えて』
『@marta 部屋名見ればわかる』
@darkbeack_fill、通称は寿。
いつも私の相手をしてくれる自称暇人男性。
立ち上げたゲーム、OPを飛ばして、対戦部屋……もとい、闘技チャンネルへと飛ぶ。
スカイプを立ち上げるとすぐさま通話が飛んできた。
「あー、あ。聞こえる?マルタ」
「うん、だいじょぶよ」
画面が切り替わり、部屋名の羅列を追っていく。
『隊長☆LOVE』
……なるほど、間違えるわけもなかろうよ。
部屋名をクリックして、仲間内で決められたパスワードを入力しメンバー待機画面へと入る。
PvP部屋。
いやはや、人生ゲームやら人狼、オセロ、チェスなどはやったことがあったがFPSやMMOの類を始めたのは大学に入ってからのこと。
最初は散々だった。
まずマウスで前に押せば視点が上向く、引けば視線が下がるということすらなれずにぐるぐる回りながらAKを乱射するという珍行動を身内に大爆笑されながら練習。
それでもある程度の動きは掴んで、1か月もすれば身内の中ではある程度動けるようになっていった。
男性陣もそこそこ強かったが、驚くべきは女性陣。
普段は別サークルでつるんでいたのだが、その女性陣3人はゲームに『才能』があったらしい。
音ゲーから何から普段からゲームをやりこんでいるリアルでも運動神経抜群の『@akane 朱音』とか。
ほわほわとした口調なのにFPSやってみたらヘッドショット率50%とかいうおかしな記録を叩きだしてる『@pinksnow ゆき』とか。
絵に描いたようなツンヤンデレ、ナイフという弱小近接武器でサクッと殺ってくる『@whitenight 白夜』とか。
……私がどういう状況かって?
こいつらに叩き上げられ、ヘッドショット率は30%、主に背後をとっての撹乱戦、突撃部隊ならぬ特攻隊ポジションになっていた。
が、私には血みどろの戦い(笑)はやっぱり合わなかったので、アンインストールはしなかったもののそのFPSは今は休業中。
で、今は主にMMO、ストーリーがしっかりしていてグラフィックが綺麗めのものを選り好んでプレイしている。
PSがあるわけでもないが、レベリングも作業感が嫌、となるとやはりストーリーがしっかりいているものでなければやる気にもならない。
ピンとチャット欄に個人チャットが入る。
「ちょーっと待って寿」
「あいさ」
【こんばんは、失礼します】
【あ、さきほどのPTご一緒した方ですね どうされました……?】
【ええと、あと15分くらいで『 』との集団対戦始まるんですがよければ参加しませんか??】
【どこの部屋です?】
「寿、このゲームに『 』なんて来てたの?」
「一週間くらい前じゃね? もうカンストしてるみたいだけど」
「はー……そうか。今ね、集団対戦来ないかって個チャ来てるんだけど」
「マジ!? え、戦ってみたいんだけどw」
【ええと、部屋番が1554203 今2ページ目ですね】
【わかりました、何人までです?】
【えーと、100人でしたかね さすがに人足りないみたいなんですよ、この時間なんで】
【友人連れてってもいいんです?】
【大歓迎です!!】
でしょうな。
只今2:09。
伝説のゲーマー、『 』がこのゲームにもとうとうおいでなすったらしい。
詳しく調べたことはないが、とどのつまりいかなるゲームに於いても無敗、ランキングがあるものはトップ独走。
それに付随する憶測が飛び交う謎ゲーマー。
いや、私はいいんだ別に。
ただでさえ勉強が忙しく、2週間で17科目の試験をこなし、その1科目が例えば教科書689ページとか、プリントならぬスライド4枚刷り両面(紙一枚あたり8枚分資料)×1200枚超えの資料だとか、そんなものが1日に2科目、悪い日は3科目。
どこもかしこも無理ゲーであり、しかし全て必修、選択の余地はない。
再試験はあるものの、最終的に1科目でも落とせば留年。なんたる鬼畜。
ゲームどころではなかったのだ。
ただ、根っこはゲーム好きなので勉強がなければ私は人生をゲームに費やしてクズまっしぐらだったに違いな……訂正、今でも十分クズでした。
「1554203だって。行ってみる?」
「行く」
部屋を廃棄して、例の空白とやらがいる部屋へ向かう。
誰が企画したのかしらないが、何もこんな真夜中に企画しなくたってよかろうに。
そこまで考えて、いやいや、と首を振った。
こんな夜中だからこそ、ましてや金曜日の夜中だからこそ、廃人達は起きているということだろう。
「うっわ」
集団戦、つまり8vs8くらいまでならやったことがあるが入室したとたん名前欄がカオスだった。
100人分である。
よくもまあ、サーバーが落ちないものだ。
「俺100人戦二回目なんだが、やっぱすげえな……」
人数が足りないというのは本当らしくて、ランキングに名を連ねている者もいるのだが私のように闘技場ランク中堅クラスもかなりの数いるようだ。
星の数で大体闘技場でどのくらいの強さはわかるのだけど、私は星4つ。
寿は星7つ。
寿はPvPもそうだが大体のゲームは上手で、時間があると私の相手をよくしてくれる。
「なんか、一瞬でやられそう」
「や、大丈夫だろ。マルタはどんどん強くなってるから」
……寿の言うことは大概合っているのだが、私に関しての評価は自分の主観が入るので客観性に欠ける。
結果、過大評価か無責任にしか聞こえない。
ぽーん、と定員に達した音が無機質に響く。
100人もいるせいで、一般チャットが大嵐だ。
主催者が、赤字でチャットを飛ばす。
【みなさーん、準備はいいですかいきますよー】
全員、準備マークが点灯するのを確認して主催者がゲーム開始ボタンを押したようだ。
相手は、『 』。
くうはく、と呼ばれる未だ負けなしのレジェンドプレイヤー。
ぱっと画面が切り替わり、雪原へ。
崩れた遺跡と雪原のステージ。
「へえ、ここかあ」
「ね」
寿のサポートくらいしかどの道できないし、私が瞬殺される可能性もあるし。
私にとってはエベレストと富士山もどちらも高いわけなので、雲の上でどっちが高いとかそんなことはわからないのである。
ジベタリアンならぬ、凡人には。
5、4、3、2、1……
―――――――― GO! ―――――――――
モノクロ画面が、雪原へ。
さすがはゲーミングPC、軽快なぬるぬる動くこの動きに、見蕩れるほどのグラフィック。
このゲームは視界に入ることでしか索敵ができず、対人戦のため移動速度、能力値は初期化されている。
アバター、武器などの付与効果は効いているため、どちらかといえば課金勢が強いゲームだ。
「おい、裏回るぞ」
「らじゃっ」
寿に連れられ、遺跡の外周を周り相手側へ。
残念ながら相手は4人……というか、4アカウントのため、どこからどう飛び出してくるかわからない。
固まって動いている可能性もあるが、それは遭遇してからでなければ。
ステージ中央部で、光の柱が立ち上る。
「え、戦闘開始? 真ん中?」
「みたいだな、気抜くなよ」
相手のリスポーン地点まで走り切り、裏から回る。
制限時間は10分、のんびりしている時間はない。
私は弓職で長距離火力型、寿は短刀を扱う近接職で撹乱戦法を主とした動きをする。
もちろんこれだけ大人数だからお互い誰かの助けにはなるのだが、せっかくVCを入れているのだから二人で連携をとって動く方が良い。
崩れた遺跡の中間。
さすがに目を疑った。
360度に目があるのかと思うほど、仲間側はちぎっては投げられ、ちぎっては投げられ、もはや飛びかかっていくだけ無謀のように思える。
「ことぶk……」
「やー、噂に聞いてはいたけどまさかこれほどとは……」
しまいには大技が叩きこまれて仲間がまとめて瀕死になっている。
「じゃ、俺行くから頼むな」
「へ、え、うそ、まっt」
短刀を振りかざし、一目散に駆けていく。
あのままでは、向こうの仲間を倒して返す刀でやられる。
スキルを2発連続で打って、距離を最大限にとる。
この職は、通常攻撃で15m射程。
スキルによっては、30m近く先まで射程範囲内になる。
それだけ射程があるのは何故かというと、スキル中は動けない技が多いからだ。
その変わり、この職のスキルは当たりさえすれば他の職よりも長い時間硬直が入る。
つまり、火力は莫大だが近接するのは非常に高度な立ち回りを要する。
時限爆弾式スキルを彼に打ちこんで、固定させる。
これで、万一被弾しても相手に硬直が入って逃げる隙ができる。
「うわっ」
想像通り、刀で投げ飛ばされた瞬間相手が被弾する。
「さすが寿、特攻隊」
「毎度毎度俺に設置すんじゃねえよ!」
「いいよ下がって」
矢継ぎ早に矢を放ち、弾幕で近寄れないようにしながら距離を詰める。
彼はどの道ちょこまか動いているのだろうから、私は無茶をしてはいけない。
援護。ひたすら援護。
だん、と目の前に影が降ってきた。
『 』。
「いやああああああああああああああああああああああ!!!!」
さすがに援護はもちろんばれるようにはやっていたけれど援護から片づけにくるなんてうわうわうわいやこれは常套手段ですよねええ!
「マルタもうちょいだ、逃げ切れ!」
「何がもうちょいなの!!」
絶叫に近い悲鳴を上げながら立体地形を生かして飛び、反撃し、風の精霊を纏って逃げ、転がり、ああ寿が訓練してくれてなかったらこんな動きできなかった……。
執拗に追ってくる最中にも仲間が巻き添えになってばったばったとなぎ倒されていく。
ごめん皆、私の巻き添えになってる。
「覚悟してっ!」
ゲーム中の声優が叫んで、足止め技を喰らわせる。
無事に当たり、更に走りきって距離をとった。
そう、私と同職でなければ距離をとられると攻撃が届かない。
即ち、ある程度近接しなければ攻撃が届かなくなる。
その間に寿が滑り込んだ。
「せーふ」
開始5分、残り67名。
もちろん大技の巻き添えを食って死んだものもいるだろうが。
ぱっと見渡すと他のゲームでも称号をとりまくっているであろう上級者だけど称号上は中級者か、ガチ勢しかいない状況だった。
もしかしなくても私はこの中で一番雑魚である。雑魚。
「ああああああああやめれえええええええええええええええええ」
また刀を持った『 』が襲ってくる。
しかも、寿を蹴飛ばして。
逃げる、逃げる、逃げて反撃して逃げる。
射程範囲内の追尾式矢を発動させて、ぱっと放った。
これは、被弾する確率が非常に高い。
あわよくば抜けられても爆破に巻き込まれるから被弾0ダメはできず、抜けるには滞空で移動技をかけるしかないため事実上の無防備になるからだ。
「ごめん」
右側の視界の端で、寿のHPが尽き、溶けるように姿が消える。
「ごめんじゃねえええええええええええええええ!!!!」
ああ、百年の恋も冷めるであろう野太い絶叫。
しかし『 』4アカウント健在。
開始7分、残り12名。
あれだ、例えるならドッヂボールで逃げ回って最後まで残っちゃう哀れな子タイプだ私は。
ボール取れないけど怖いから逃げ回るのだけ上手くなっちゃったアレ。
寿がいなくなった以上、他のメンバーをサポートするしかない。
回復職のそばにいって回復をもらい、弾幕を張る。
このゲームは被弾すると硬直して余計被弾を喰らう仕様なので、攻撃をぶっちぎってくることはない。
純粋に避けてくるしk……なんで左横にいるんでしょうか。『 』が。
「ああもうむりいいいいいいいいいいいいい!!!」
涙ちょちょ切れそうだ。
やめてくれ。
私は弱いんだやめてくれ。
逃げの一手しか打っていないというか、反撃にもならない子犬の威嚇レベルしか攻撃していないのにこの仕打ち。
「マルタ左後ろ!」
寿の声に、横っ跳びに飛んだ。
0.3秒後、攻撃が打ちこまれていた。
鈍足効果付き。
私の職にとってそれはTHE・ENDを意味する。
背中を冷や汗が伝い落ちる。
ばっと飛び上がってスキルで後ろへ。
開始9分、残り3人。
相手にバフがかかった音がして、スキルのクールタイムが異常に速くなる。
もちろんその分MPも使うが、もうここまでくればMP切れなど問題にならない。
つまり。怒涛の大技がところ構わず降ってきた。
「やめ、無理、え、うそ」
目の前に着弾したぷにぷに弾が張弾してこっちに向かってくる。
横に避ければ遺跡の壁に張弾したぷにぷに弾が。
一撃一撃は大したダメージはないが、私の職は他の職よりも被弾時の硬直が長い。
一撃されたが最後、微々たるダメージが山のように累積してあっという間に溶ける。
既にアカウント数的な問題でも3:4なので不利だ。
まして、3人中の1人残っているなんでゲーム中ではあるが不幸中の不幸でしかない。
ボールを取れない子は『使えない』のだ。
1ラウンドは10分、勝負は生き残った人数で勝敗が決まり、同数ならば残HPで決まる。
つまり、『 』はこのまま相手を軽くいなせば勝てるところまできていた。
しかし、彼らの勝ちの定義はおそらく違う。
私を執拗に追いまわしている時点で、それは『一人残らず』を意味している。
「あと、45秒っ」
最後まで残っていた回復職がいとも容易く、溶けた。
時限爆弾矢を後方に放って、走り続ける。
2:4。
圧倒的不利。
最低限で考えても1キャラで2キャラ相手。
追いつかれる寸前、後ろへ飛び下がる技をかけて更に追尾式矢。
1、2、3。
引き返した奴らを、時限式爆弾が襲う。
硬直約1秒。
あと、30秒。
寿と同じ職が残っていて、撹乱を仕掛けたがHPが残り少なく、あと一撃被弾すれば終わってしまう。
つまり踏み込んで無茶ができない。
この状況下で、私を一人にするということは1:4になるからだ。
逃げて、スキルのクールタイムを見やる。
まだ、大丈夫。
あと20秒。
ビー、と無機質な光線が放たれるのが遺跡の向こうに見え。
もう一人が、溶けた。
「……なんでこうなるのおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ああ、最後の一人のこの恐怖。
1:4なんて無茶だ。
滞空しても打ち落とされる、迫ってくる、助けはなし。
あと15秒。
このゲームをやり込んでいるからわかる、とある一か所。
走り込めるかわからない。
グラフィックの誤差だけれど、ほんの少しの、隙間。
所謂バグっぽいけど仕様というやつだ。
遺跡の瓦礫めがけて走り続ける。
移動魔法をかけて私の前方に回り込んだ『 』を、私もやったことのない神懸かり的な動きで転がってかわした。
あと10秒。
間に合う、相手の攻撃のクールタイムは4体どれを見てもあと6秒ほど。先ほどから見ていておそらくそうだ。
放たれてから私に到達するまで1~2秒。
あと5秒。
あそこの瓦礫の隙間。
頭見えて尻隠さず、だけれど事実上スキルの通らない死角。
4秒。
武器を構える、音がする。
3秒。もう少し。
2秒。たどり着いた。スキルを放つ音と同時に。
1秒。届かないで。
―――――――You Lose――――――
負けは当然だった。
しかし、生きていた。
スキルが届いたのかもよくわからなかったが、HPは残り四分の一を残して。
チャット欄に、怒涛のように流れていく言葉。
【88888888888888888888888888】
【すげえなMARTAさん!】
【あそこのギルドってすごい人いたんだね……】
「お前、よく逃げたな……」
通話の向こうでぽつりと。
私は勝ってはいない。逃げ切っただけ。
最後まで。
もちろん、『 』は白星がついたし、こちらが負けた事実は変わらない。
さっさと戦場を離脱したところ、山のように個人チャットがきた。
曰く、うちのギルドに、とか。
曰く、弟子にしてください、とか。
曰く、果たし状とか。
諸々。
仕方がないので、全チャットを私は初めて使った。
【みなさんのご厚意ありがとうございます、私は対人戦よりも普段のクエスト周りの方が好きなので、もしよかったらそちらでお声かけて頂ければ幸いです】
このゲームにいる全PvP好きが泣いた(と、思われる)。
元々勝負事は苦手だし嫌いなのだ、ゲームだって楽しくやりたい。
勉強ならともかく、ゲームまでガチで取り組まなければならないなんて真っ平御免である。
「寿のばかばかばかばかしね!!!」
「隊長強くなったなあ」
「こんなときだけ隊長呼ばわりしてんじゃねえくそばかタヒね」
隊長。
別サークルで主催者をやっていたら気づいたら呼称が隊長になっていただけで、実力が一番あるわけでも特段何か技量があるわけでもない。
「やー、鍛えた以上に強くなってる」
「そら、寿にあれだけやられればな……」
ピン。
【こんばんは】
「こ、ことぶき……」
「どした」
「『 』からチャットきた……」
「とうとう空白の正体を暴く日が来たのかっ!」
【こんばんは、先ほどはありがとうございました】
返事を返しながら、寿と喋る声がぷるぷるする。
【お前、やる気あんの?】
……あ、ガチ勢だこいつ。
いや、伝説のゲーマー『 』がガチ勢と言わずしてなんと形容したらいいのか私は知らないけれど。
【ないです】
「やる気あんの?って言われた」
「だろうなあ。お前全然やりあう気はなかったもんな」
「うん」
【ならなんで参加した?】
【仲間のお誘いがあったので】
しばし、間があった。
「返事こなくなっちゃった」
「なんて書いたんだよ」
「やー、やる気あるかってきたからないですって答えて、なんで参加したかって訊かれたから仲間のお誘いがあったのでって」
とうとう寿まで沈黙してしまった。
私また何かやらかしただろうか。
【なるほどね。そちらの気が向いたらまたご一緒しましょう】
【はーい】
それきり、『 』はオンラインだったが個チャは飛んでこなかった。
「ほんと、『 』でさえお前はどうでもいいんだな……」
「んー、ゲームは遊ぶものって認識だからガチ勢に食ってかかられてもねえ……」
やる気? 生きることに必要でないなら、他は全てが遊戯ではないのか。
その条件は人生のうちに数多変わってくるから、ゲームが生きていくのに不必要で勉強のみが必要とか、そんなことは言わない。
ただ、巷の本屋で流行ってるリアル鬼●っことかが生存条件だったら私は死んでいるというだけだ。
一度生存条件が変われば、誰が生き残って誰が死ぬかなんてわからない。
人は無碍にすべきでないが、外は敵ばかり。
寿や朱音、ゆき、白夜、他にも知り合った人はたくさんいるけれど、私を大切にしてくれた、更に現在進行形でなおも大切にしてくれている人が優先なのは至極当然のことだろう。
『 』が例え有名人であろうと、私にとっては今さっき10分間、ゲームで追っかけ回されただけであり。
私にとっては息抜きの時間に起こったハプニングのようなもの。
弟がちっちゃい頃蜘蛛を殺虫剤で追っかけまわしてじゃがいもにまで殺虫剤をぶっかけてだめにした逸話とかそういうレベル。
ああ、他にもあったかな。
漢字テストで『失敗(シッパイ)』を『矢敗(ヤバイ)』って書くとかな。
ああ、そんなハプニングに比べれば『 』のやっていることなど瑣末なことにすぎない。
「寿、明日の夜は空いてる?」
「明日は夜勤だから無理だわ」
「おうふ、了解」
じゃ、といって通話を切る。
息抜き終了。
2:48。
ああ、深夜というかあと2時間足らずで外には朝が来る。寝なくては。
くあ、と欠伸をして洗面所へ向かった。
PCの電源は、数分後に切れた。
すべては私の妄想である(キリッ
続けられたらちょっとずつ書き足していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。