宇佐見蓮子は動かない   作:陰猫(改)

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蓮子と不思議なバッグ

 蓮子が持っている長年愛用しているバックには科学世紀では解明出来ない奇妙な仕様があった。

 原理まではわからないが、中に入れた金目の物が消え、本当に必要な時だけ現れて取り出せるようになると言う物である。

 しかも時には元の物質ではない同等の対価の代物になったりと必然的に等価交換になったりもする場合がある。

 幼少期の蓮子も当初は誕生日に貰ったこのバッグの用途が解らなかった為、不便にすら思う事があった。

 ある日、あまりにも使い辛いバッグにクレームを入れる為に蓮子は父と共に専門に扱う店に行き、商品を別の物と交換して貰おうと行った所、説明を受けた店員から、こんな言葉を貰う。

 

「我々は様々なバッグを作って参りましたが、こちらのバッグは過去に製作されたバッグを再現されたとても希少価値が高い代物となります。いまの技術で此方のバッグを再現出来る者は存在致しません。

 それとこのバッグは特殊で御座います。お客様はこの真の使い方をご理解されていないご様子ですが、本当に交換なさいますか?」

 

 こんな言葉を貰ったので蓮子はバッグに対して、改めて興味を示す。

 結果として蓮子は考えあぐねて「また来ますので、少し考えさせて下さい」と店員に告げて、父と共にその時はその場を後にした。

 それから数時間後の帰り際に父の車がエンストして動かなくなる。

 最悪な事に蓮子の父も蓮子自身もスマホのバッテリーがあまりないと来ているので蓮子の父が仕方なく、どこか連絡が出来る場所へと徒歩で向かおうとした時であった。

 不意に蓮子はバッグに何か入っている事に気付く。

 それが予備のバッテリーだと気付いて蓮子は驚いた。

 こんな物を入れた覚えは全くないし、バッグの中は交換する事も踏まえて空の状態にしていた。

 なら、このバッテリーはなんなのかと考えた蓮子はふと、いつ日だったか、バッグに入れておいたお年玉が消えていた事を思い出す。

 あの時はなんでなくなったか理解出来なかったが、もしやと思いつつ、父に予備バッテリーがあった事を蓮子はとりあえず話す事にする。

 蓮子の父は何故、蓮子が予備のバッテリーを持っているのかに不思議に思っていたが、蓮子は敢えてバッグから出した事を口にしなかった。

 そうして、レッカーの来る待ち時間の間、今度は空腹感を感じた。

 父は連絡した車の対応処理やレッカーの代金で痛い出費を費やし、とても手持ちの所持金だけでは外食などをするには足りそうもなかった。

 そこで蓮子は再びバッグの中に視線を落とす。

 この時の蓮子は徐々にではあったが、バッグの特殊な価値とやらに気付きはじめていた。

 そして、それはバッグの中を覗いて確信へと変わる事となる。

 蓮子が確信した事──それはこのバッグは持ち主が非常事態や本当に困った時に真価を発揮すると言う事である。

 このバッグは入れた物の価値と同等か或いは持ち主が真に必要性にある時に等価交換で出てくる。

 このバッグが希少で特殊と言った店員のアドバイスは事実であった事に蓮子は納得した。

 こうして、蓮子はバッグに入れたお年玉からバッテリーの代金を差し引いた分の所持金で父と共に外食する事が出来たのであった。

 それからしばらくして蓮子の父の車の修理が終わって後日、改めて例の店員の元に向かった際、蓮子は「やっぱり、このままで大丈夫です」と父に代わって伝えると店員は「どうやら、娘様はバッグの真の使い方をご理解なされたようですね?」と満足そうに微笑む。

 その帰り際、蓮子は父に「何かお父さんに隠している事あるのかい?」と質問されたが、それに対して蓮子は「それだけ素敵なバッグだって解ったって事よ」と答える。

 蓮子の父はそんな蓮子ほど、バッグの価値を理解している訳でもなく、ただ蓮子がバッグを交換する事をやめた事に関して「まあ、蓮子が良いなら良いんだ」と返して車を走らせ、帰路に着く。

 

 その後も蓮子はこのバッグを大切にした。

 結局、このバッグの特殊さに気付いたのは京都大学で親友となるマエリベリー・ハーン以外にはいなかった。

 きっと、この希少価値を本当に理解出来る者は数知れないのだろう。

 そう思うと蓮子はこのバッグを大切にして良かったといまでも思うのであった。

 

【蓮子と不思議なバッグ・完】

岸辺露伴は動かないのオマージュ作品ですが、元になったタイトル作品を知りたい方いますか?

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