宇佐見蓮子は動かない   作:陰猫(改)

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蓮子、牡蠣を密漁する

 時は少し遡り、宇佐見蓮子はマエリベリー・ハーンと共に再びオールド・アダムを訪れる事となる。

 今回もまたマエリベリー・ハーンことドクター・レイテンシーの話題で盛り上がる中、宇佐見蓮子は生牡蠣とワインで一杯やっていた。

 

「如何ですかな。当店自慢の牡蠣のお味は?」

 

 生牡蠣を食す宇佐見蓮子にバーのオーナーが訊ねてくる。

 そんなオーナーに宇佐見蓮子は逆に質問で返す。

 

「この牡蠣は天然物ですね?・・・科学世紀のこの御時世では本来ならば、食べる事なんて出来ないでしょう。何よりも人工的な嘘で塗り固めたような味がない」

 

 宇佐見蓮子はそう言ってから口元をナプキンで拭うとオーナーの真意を見抜こうとする。

 

「この牡蠣は天然物で間違いない。では、この牡蠣は一体、何処で獲れるのか?」

「・・・ふむ。だとしたら如何します?」

「どうもしませんよ。ただの好奇心ですから」

「好奇心なのは間違いないでしょう。そして、私達と同じく密漁するのもね?」

 

 オールド・アダムのオーナーはそう言ってニヤリと笑うと宇佐見蓮子にある場所を伝える。

 

 ───

 

 ──

 

 ─

 

 月明かりが照らす中、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンは水泳禁止と書かれたゲートを侵入し、牡蠣の密漁をする為にやって来る。

 密漁者を警戒しているには警備も手薄でドローンによる監視さえなかった。

 マエリベリー・ハーンはそれに対して良からぬモノを感じ、宇佐見蓮子もオーナーに何らかの思惑がある事に警戒を強める。

 

 牡蠣は宇佐見蓮子が想像していたよりも簡単に手に入った。

 警戒していたマエリベリー・ハーンも簡単に手に入る牡蠣の存在に徐々に夢中になっていく。

 

 そんな中、宇佐見蓮子は明らかな異常さを感じた。

 確かに牡蠣は思っていたよりも簡単に入手出来る。しかし、あまりにも簡単過ぎると・・・故に宇佐見蓮子は逆に警戒心を強めた。

 

 ──と突然、高波が襲い、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンは海中へと放り出される。

 

 親友の安否を確認しようとした宇佐見蓮子はそこで信じられないものを目撃する。

 牡蠣達が明らかに気を失ったマエリベリー・ハーン目掛けて集まって来るのだ。

 岩肌と分離し、マエリベリー・ハーンの柔肌を狙うように海流に乗って急接近して来る。

 そんな牡蠣達の行動に宇佐見蓮子はオーナーの真意に触れた気がした。

 そして、何故、天然物の牡蠣が手軽に入手出来るかを考え、自分達が撒き餌か何かに使われているのだと理解する。

 

 宇佐見蓮子は衣服で思うように動けない中、マエリベリー・ハーンの身体を掴むと海上へと浮上し、浜辺へと泳ぐ。

 マエリベリー・ハーンは相変わらず、気を失ったままだが、生きてはいる。

 

 宇佐見蓮子はマエリベリー・ハーンに人工呼吸をしてから最寄りの店でレスキュー隊へと連絡する。

 

 後日、名前は伏せられているが、二人の事がニュースとなる。

 見出しは『遊泳禁止エリアで水泳していた女性2名を救助』と流れていた。

 

 宇佐見蓮子はそれに対し、反省すべき点を反省した。

 宇佐見蓮子は改めて、牡蠣達の行動やオーナーが何を考えていたのかを考える。

 

 恐らく、オーナーの狙いは牡蠣の繁殖である。

 しかし、天然の絶滅種である牡蠣を繁殖させるには通常の繁殖方法では育たないだろう。

 そこで密漁者──特に標的となる女性をそそのかせ、牡蠣達と交わらせる。

 

 女性の身であるからこそ、なんともゾッとするような話であろうか・・・。

 

 無論、オールド・アダムのオーナーは知らぬ存ぜぬで通すだろう。そして、密漁を赦す公的機関もである。

 恐らくは知っていて見過ごしているのだろう。

 

 ある意味、牡蠣にまつわる深淵を覗いた気分である。

 しばらく、牡蠣は食べれそうもない。

 

 そう思いながら、宇佐見蓮子はマエリベリー・ハーンが退院するのを待つ。

 それから、しばらくして退院したマエリベリー・ハーンが古い伝承にある物質を宇佐見蓮子に見せる事になるのだが、それはまた別の物語である。

岸辺露伴は動かないのオマージュ作品ですが、元になったタイトル作品を知りたい方いますか?

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