聖園ミカの弱くてニューゲーム   作:Red_stone

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連合軍編8話 ホド決戦

 

 

 ミレニアムに突如襲来した予言者、ホド。突然の事態だが、居合わせたメンバーと先生が呼びかけたメンバーが対処する。

 本体にむかって走るミカとネル。そして少し後ろをアリスとモモイが必死についていく。更にその後ろでエイミが周囲を警戒している。

 

「ねえ、あなたはアリスちゃんだよね? 先生にはよく頼られちゃったり?」

「はい! 先生はHP1のマスコットなので、守ってあげなきゃいけないですから」

 

「……あは。ま、危ないところには行ってほしくないよねえ。話は変わるけど、それ大丈夫?」

「何のことでしょう?」

 

「いや、重くない? 私でもそれ持って走れとか言われたらげんなりするんだけど」

「ふふふ! アリスは器用万能キャラなので、INTだけではなくSTRにもステータスを振ってあるんです! へっちゃらですよ!」

 

 砲台とすら呼べるような大きさの銃器、『光の剣』をぶんぶんと振って見せた。

 

 モモイは、え、あのお嬢様アレを持てるの? と目を剥き――ミカは「強力な身体能力、スタミナも人間離れしてるんだ」と鋭くなった目の光を隠した。

 先生はミカ相手でも生徒の情報を流出させることはない。だが、トリニティの権力をもってすれば独自に調査できる。アリスがサンクトゥムで重要な役目を振られたということも調べがついているし、ある時点までは目撃証言すら存在しない国籍偽造の不審者ということも知っている。

 

「ま、頼りにしてるよ。エンジニア部が開発したご自慢の超兵器、その威力を見せてもらうとしようか」

「いいでしょう! この勇者の剣――『光の剣:スーパーノヴァ』でもって世界を滅ぼす魔王を焼きつくしてみせましょう!」

 

「あは、相手は魔王と言うより4天王……いや、この場合は10天王。……いや、9天王なのかな? どっちだろ」

「おい、ミカ――そんなにカテぇ相手かよ」

 

「そうだよ、ネルちゃん。少なくともあいつのお仲間『ビナー』は、ゲヘナとトリニティの戦車隊の全力砲撃を種も仕掛けもなく耐え抜いた。豆鉄砲じゃいくら叩いても意味がない」

「くはっ! 面白ェ。ご自慢の防御力を叩いて砕いて割ってやるよ。……スイカ割勝負と行こうじゃねえか!」

 

 見えてきたホドに対して、ネルは更に加速。

 

 そのホドは上部だけを地上に出した丸いロボットだ。腕の代わりに幾本もの槍状のムチを所持し、そしてレーザーの発射口が目のように光っている。

 見るからに恐ろしい見た目だが、このメンバーではむしろ戦意を煽る効果にしかなっていない。ただモモイだけがあれやばくね? と震えていたが。

 

「さあ、こんなんで終わってくれるなよ!」

 

 まるで殴りかかるかのように跳躍し敵へと肉薄、その目のような場所に弾丸を叩き込む。

 

「――!」

 

 ガシャリ、とまぶたが閉まった。弾丸はそのシャッターに痕すら付けられずむなしく跳ねた。そればかりか、ムチの一本がネルを襲う。

 

「はっ。こんなんでアタシを捉えられるかよ!」

 

 空中で身をひるがえし、ムチを回避。その瞬間に自らの体を蹴りだして地面に着地。

 

「――!」

 

 だが、ホドを見上げた瞬間にはその目には光が渦巻いていた。このタイミングでのレーザーはかわせない。

 

「そんな焦んじゃねえよ」

「……二人の世界なんて、妬けちゃうよ?」

 

 ミカの射撃がホドの目を撃ち、逸らした。レーザーは意味もなく上空を焼く。

 

「勇者の力、その身に受けなさい魔王10天王! 光よ! エナジーオーバーロード…リリースッ!」

 

 隙を晒したホドを、極大の光が撃ち据えた。

 

「――!」

 

 凡百の生徒ではかすっただけでも気絶するこの一撃、だがホドは後退すらせずに耐え抜き、そのムチを振り下ろした。

 

「きゃっ!」

「アリス、危ないっ!」

 

 モモイがアリスを押し倒し、直撃は避けたが吹き飛ばされた。

 

「よくもやってくれやがったな! ……ッ!?」

 

 ネルが激高した、その瞬間にホドが動く。その身体が震え、傾いた。――なにかが、射出される。

 

「――インベイドピラーだとォ!」

「先生、いくつ!?」

 

『射出体は5つ。それも――』

「おおい、オメエラ手筈はどうなってやがる!?」

 

 ネルが通信機越しに戦闘開始前から展開していたインベイドピラー対処部隊に怒鳴る。

 

『もう片付いてるよ! 今来たのもすぐに始末する』

『ゲーム部もまだやれます!』

 

「そうかよ。んで――」

「2つがこっちね。この辺りにはタレットなんかもないハズだけど……?」

 

 ドス、と床に突き刺さったインベイドピラー。それは装甲を展開し、何かを広げていく。

 

『エネルギーフィールドを確認しました。ミレニアムの電力を乗っ取っています』

「バリア……ただでさえ硬いのに」

「はっ。なら、ぶっこわしゃあいいだろうが。鍵を外に置いとくバカがよォ!」

 

 ミカとネルが目の前のピラーに攻撃を始める。バリアは本体を守るためのもの、ピラーになら攻撃できる。

 

「――アリスも!」

「アリスちゃんはだめ!」

 

「なっ!? 私も戦えます、ミカさん!」

『アリス、チャージを。バリアが解けた瞬間に叩き込んで』

 

「なんと。分かりました、勇者の大舞台ですね! アリス、チャージを開始します!」

 

 しばし、銃弾の音が響いて。

 

「――!」

 

 ホドが、ピラーへの攻撃に集中する二人を不意に攻撃する。突然に、真横から槍が飛んでくる一撃だ。

 

「……ちぃっ!」

「きゃんっ!」

 

 血が、舞った。

 

「その程度かよ! こちとら多対1には慣れてんだ!」

「あはっ! 不意打ちで倒せるほど私は甘くないんでね!」

 

 ネルは多数の不良たちを下した経験が、ミカは無数の聖徒会のミメシスと戦いつづけた経験がある。

 視界の外から攻撃されるなど、それこそ慣れたもの。ゆえに対応できる。その程度でまともに喰らうようではやってこれなかった。

 

「――おらあ、やってやったぜ!」

「あは、これで終わり!」

 

 ネルが蹴りを、そしてミカが拳を叩きつけた。その瞬間にボン、と煙を上げてピラーが砕け散った。

 

「なあ、先生。どっちが早かった!?」

「私が先でしょ!」

 

『同時かな。アリス……危ないっ!?』

「え……ギミック解除時の特殊攻撃!? チートですっ?」

 

 バリアが解除された瞬間にホドが目のシャッターを開く。すでにチャージは完了していた。

 早撃ちは、ホドの勝利――そう思われた瞬間に。

 

「パターン分析完了。エネルギーチャージは見えてる」

 

 狙いすましたショットガンの一撃が、ホドの顔面を強制的に横へと動かした。振り向いてもう一度射線をアリスに合わせる、その前に。

 

「魔力充填120パーセント…行きます! この光に意志を込めて…貫け! バランス崩壊!」

 

 アリスから撃ち放たれた光の束が振り向いたホドの目に突き刺さった。

 

「――!」

 

 のけぞり、そしてがくりと頭を垂れた。

 

「ダウン取った! 今だよ、みんな。一斉攻撃を!」

 

 ミカの攻撃のもと、全員が持ち得る限りの弾丸を叩き込んでいく。

 

「こいつ、こんなに攻撃してるってのに……!」

「まだだ。まだ倒せない。もっと……!」

 

 だが――装甲の剥離すらも起らない。

 

「相手のHP、レッドバーどころかイエローバーにすらなってません!?」

「強いし硬いし……! これ、難易度ルナティックじゃない!? 絶対に難易度設定間違ってるって!」

 

「るせえ、モモイ! もっと撃ち込め!」

「やってるよぉ!」

 

 ついに、ホドが身震いする。

 

「気を付けて! 信号増幅中……動きを再開するよ!」

 

 エイミが警告した瞬間に、敵は動き出す。

 

「――!」

 

 咆哮した。ように見える。敵は槍を構える。

 

「ふっ。勇者は敵の攻撃に膝を付くことなどないですよっ!」

「あ、アリス……あれマズくない?」

 

 槍が動く。

 

「危ないっ!」

 

 狙われたのはアリス。まずは攻撃力が高く動きが鈍いところから狙うのは定石だ。

 

「ディフェンスモード転換……! そこっ」

 

 砲弾のように撃ちだされた槍、2本のうちの1本をショットガンが撃ち据えて叩き落とす。

 

「うぅ……!」

 

 だが、アリスをかばったことで残りの1本をまともに喰らった。

 

「苦しむのは慣れてる。全力で行く……!」

 

 吐血を無理やり飲み下し、自らの奇跡の作用で回復する。自らを傷つけた槍が引き戻され、次の攻撃を準備するのを見る。

 構わず、本体を攻撃する。

 

「ああ――とっととぶっ倒れやがれェ!」

「このこのこの……! なんで、人を傷つけるの……!」

 

 さらにネルとミカが駆け、空中へと身を躍らせる。

 敵は長大な身体で自身を持ち上げている。視界に映っているのは上部のほんの一部だ。ゆえに、掘り進められた地下やビルの間を飛び回ることで肉薄してゼロ距離戦闘を敢行する。

 

「――!」

 

 ホドが苛立ったようにムチを振り回した。だが、そんなものに当たる二人ではない。

 どこかを見るように視線を巡らせるが、期待したものはない。他の場所に展開したインベイドピラーはすべて破壊されていた。

 そればかりか。

 

「援護するよー」

「行きますっ!」

 

 その張本人達までもが攻撃に参加する始末。本来なら乗っ取った武器で攻撃するはずだったのに、まさか援軍の合流を許すとは。

 窮地を前に、ホドは新しい機能を開陳する。

 

「――!」

 

 ホドの全身から光が迸る。それは収縮し、そして次の瞬間には膨張し破壊的なまでのそれが弾けた。

 

「くそがっ!」

「きゃっ!」

 

 前線5人のメンバーすべてに届く破壊の光。しかも、近くに居た二人は瓦礫に叩き付けられた。

 

「はっ。まだだぁっ!」

「痛い。……でも、まだ立てる!」

 

 うずもれた瓦礫の中から束縛を蹴り飛ばし、戦闘を続行する。瓦礫どころかホド自身の体まで駆けながらも銃弾を叩き込む。

 

「――!」

 

 だが、ホドとてやられるままではない。轟、と先に倍する光がアリスめがけて放たれた。

 

「ふふん。AI単純すぎっ! 攻略本を読むまでもないねっ!」

 

 モモイがアリスを連れて脱出する。そして置いて行かれた光の剣は攻撃が当たっても傷一つないままだ。

 かわした後に光の剣を取りに戻る。

 

「パターン解析完了。あなたはもう終わり……!」

 

 エイミがショットガンの一撃を与えたところで、二度目のダウンを取る。

 

「みんな、攻撃を!」

 

 号令をかける。

 

「はっ! さっさとお陀仏しろやァ!」

「人と仲良くする気のない機械なんて……!」

「魔王の仲間よ、去るのです!」

「私の怒りの弾丸を食らえ!」

 

 4人に加え、更に援護していたメンバーも総攻撃をかけていく。

 

『行けるか……?』

『敵の信号を監視中、順調にエネルギーレベルが低下しています。このままなら倒せるでしょうが、しかし……』

 

『『――』』

 

 特異現象捜査部の部室から戦域を監視する者達もかたずを飲む。

 

『ヒマリ、何か……』

『エネルギー上昇を確認しました。ホド、動きます……!』

 

 さすがのヒマリも焦ったような押し殺した悲鳴のような声を上げた。

 

「うわ。まだやるの? いい加減に飽きてきたんだけど」

「効率的じゃない」

 

「チッ。嫌になるくらいにしぶとい奴。おい、アリスにモモイ! キツいようなら先に帰ってろ!」

「いいえ、勇者は敵に背中を見せません!」

「私も、まだやれる!」

 

 目に宿った光を見て取った5人は攻撃をやめて様子を見る。敵からどんな攻撃が来ても対応できるように。

 

「――!」

 

 そして、目を覚ましたホドは……地を掘って潜って行った。

 

「逃げた……」

「って、おい! 逃げんな、ゴラア!」

 

 ネルが穴の中に銃弾を撃ち込むが、しかしそれは無駄だ。ミカがやれやれとため息を吐く。

 

「とりあえず、ミレニアムの危機は去ったし……帰ろうか?」

 

 

 

20万PVの同人誌は誰がいい?

  • ナギサ様
  • セイアちゃん
  • ミカ(二冊目)
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