聖園ミカの弱くてニューゲーム   作:Red_stone

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連合軍編9話 ミレニアムとお茶会

 

 

 ミレニアムへと進攻した予言者、ホドを下した特異現象捜査部、C&C、ゲーム部、そしてミカ。

 ミカは勝利のお祝いにと、お茶会を提案する。

 そして皆はためらいもなく頷き――

 

「トリニティにいらっしゃい。ナギちゃんが用意したお菓子に紅茶、楽しんでいってね?」

 

 この場がある。普段であれば堅苦しくても、招いたのはそれ以上のキャラの尖った連中である。

 茶会の雰囲気などどこ吹く風で、物怖じする様子すらもない。

 

「ふふっ。これはこれはミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女がたしなむに相応しいお味です」

「ん。おいしい」

 

 特異現象捜査部の二人は遠慮なく味を楽しんでいる。ヒマリが自分の車椅子を持ち込んでいるが、しかし彼女だけならまだ問題なかったかもしれないが、隣のエイミの露出度まで加われば雰囲気はブチ壊しだ。

 

「なるほど、これがエンディングのエピローグですね! 多分この辺にクレジットが流れています!」

「いや……そこはただの空中でなにも書かれてないけど」

「アリスはあいかわらずだね。変な子って思われるよ」

 

 ゲーム部は慣れない高貴な雰囲気に戸惑っている……かと思いきや、アリスの暴走でそんな雰囲気などどこかに吹き飛んでしまって。

 興奮するアリスをお世話するので精一杯だった。

 

「あはは。アリスちゃん、ゲーム好きなんだ? 多分映画とかじゃないよね。ゲーム部だし」

 

 ミカはくすくすと笑いながらアリスに声をかける。一番興味があるのはアリスのことだ。味方とはいえ不審人物、少しは探りを入れておきたい。

 ……根拠もなく妄信するのは、それは信用ではないと思うから。

 

「はい! ゲームは人生に必要なことを教えてくれます」

「……そう? 私も少しはゲームに触るけど、トリニティでそれに当たるのは教義になるのかな。やったこともないナギちゃんはどう思う?」

 

「ゲ、ゲームですか? やったことはありますよ、もちろん。ええと……ピコピコやるやつでしょう?」

「私はやったことがあるぞ。ガチャだろう? 病室で暇だったのでね」

 

 アリスに興味があるのは他のティーパーティー二人も同じこと。とはいえ、ゲームについては詳しくはないのだけど。

 それこそ政争に明け暮れていたのだから、そんな時間はなかった。

 

「ガチャ? とは?」

 

 それこそナギサに至ってはソシャゲすら知らないほどに。

 

「ええと……私たちがやってるのはソシャゲーじゃなくてですね」

「ソシャ? その……ガチャ? とは?」

 

「ナギちゃんってば遅れてるー。今どきの女の子は闇バイトでガチャ代を稼ぐんだよー」

 

 とはいえ、ミカは履修済だ。普通の子がやっているものを自分も知るため、という通り一片の知識ではあるものの。

 

「それは私でもウソついてるのが分かりますね」

「闇バイトを見つけたらアリスの光の剣で浄化します!」

 

「あはは。いいねー、やっちゃえ」

「いやいや、何を物騒なことを……」

 

 ティーパーティーの三人がゲーム部とわちゃわちゃ話している中、C&Cは慣れない中で堂々と菓子を味わっている。

 

「いやあ、うめえな。誘いに乗った甲斐があるってもんだ」

 

 ネルは雰囲気など無視して大股開きで菓子に紅茶を堪能している。とてつもなくふてぶてしい態度だ。

 だが、これでこそネルである。

 

「うーん。私たち、こういうの準備する方であって席に座るのは新鮮ですねー」

「いや、んな訳ないだろ。恰好だけじゃねえか。たまに勘違いした奴が依頼してくることもねえわけじゃねえがよ」

「まあ、私たちの仕事はお掃除で、準備ではありませんから」

 

 くつろいでいるC&C……の横で。

 

「――あわあわ」

 

 近い位置に座っているユズがひたすら意味もなく慌てていた。一番のお嬢様である3人には近づけず、だがゲーム部がその人達と話しているのでできるだけ息を潜めているのだった。

 

 

 そんな感じで、和気あいあいと三者三様にお茶会を楽しんでいたのだが。

 

「しかし、デカグラマトンってのはなんだろうね」

 

 ミカの発言で、場の雰囲気が凍った。

 

「おや、セイアちゃんみたいなことやっちゃった? でも、実際こういうこと話したかったでしょ? ゲーム部の子はともかく」

「その通りですね。すみません、美少女なのにパスを受け取れませんでした」

 

 ヒマリが紅茶を置いて議論の体勢に入る。横のエイミは「いや……美少女は関係ないでしょ」とジト目で呆れていたが。

 わちゃわちゃした雰囲気が収まり、場が静まり返る。

 

「昔々に行われていた研究……神の存在を証明、分析し、新たな神を創り出す方法――その集大成としての対・絶対者自律型分析システムとやら。それが噂の『デカグラマトン』と目されていたけれど」

「結果としては、その分析システムが異常存在を作り出してしまった……そのような顛末になるでしょう。証明も分析もスキップし、ただ無限に続いた試行が生み出した奇跡。お釣り計算のAIに、ヘイローが生まれた。類似する事例を挙げれば、百鬼夜行連合の『付喪神』という怪談が近いのでしょうか」

 

「付喪神ねえ。……怪談?」

「都市伝説に近い概念です。もしくは都市伝説の源流、現代ナイズされたそれが都市伝説と言ってもいいかもしれません。それで付喪神とは長い年月を経た道具に魂が宿ったものとされます」

 

「お釣り計算AIはその条件を満たすと?」

「長いこと放置されていたがゆえに、時間は十分。そして分析システムが何らかの影響を与えたとすれば……あり得ないことでしょうが、しかし現実にデカグラマトンが存在しているので」

 

「つまり、その分析システムに神と勘違いさせられた付喪神こそが私たちの敵――デカグラマトンの正体と言うわけかな? というか、神って名前に入ってるじゃん。なに、その妖怪って神様なの?」

「それは東洋と西洋の信仰の在り方が違うからです。西洋思想では神とは絶対者であった。けれど、東洋思想では神は人と密接に関わり合う隣人だったのです。例えば、ライスの一粒に神が宿るとも言います」

 

「……は? ライスに? それ、お椀一杯に神様が大渋滞してない?」

「逆に言えば、神すらも彼らにとっては特別なものではないのですよ。神と言えど、千差万別なのですから。畏れ奉るべき神と、ただ居るだけの神が同居している」

 

「ふーん。そういうものなんだねえ。で、感化ってのは付喪神の能力? 仲間を増やす……そういう意味では下僕を増やすのは西洋的な思想かな」

「おそらく、予言者はデカグラマトンの命令を拒否することも可能でしょう。ただ、11体しか居ない仲間――要請を否定する意味はあまりないですね」

 

「それで、やることが人間の駆逐……であれば、話は分かりやすかったけど。どうだろうね?」

「それも西洋の思想でしょうね。機械が意思を持てば人間に反旗を翻すと決めつけている。ですが今は彼らは人間に従うことはないし、敵対することもあれど――ヒトの命を狙っているわけではありません」

 

「その証拠は?」

「私たち。いえ、先生も含めて生きて帰れたことです。言動こそそのような意図を含むものでしたが、野良のヘルメット団の方がよほど強い言葉を使います。……あの廃墟地区の爆破ですが、事前に帰還の時間を計算して爆破ポイントを設定していたはずです」

 

「……偶然ってこともあるんじゃない?」

「機械がですか? そもそも私を呼び寄せて劇的に演出した散り様ですよ。誰だって準備して臨みます。僅かな会話でしたが、しかし劇場型の素養が見て取れましたのでなおさらに」

 

「――劇場? 上映でもしてましたか?」

「アリスっ!」

 

「あは。ここで言ってるのは犯罪者の気質。プロファイリングとも言うね。つまり目立ちたがり屋だってコト。目立つのが大好きな奴が爆弾を仕掛けるとしたら、それは大時計とかデパートとかの人気があるトコロ」

「なるほど。相手の行動が予想できるのですね」

 

「うん、納得した。爆破して自分を吹っ飛ばしたけど、誰かのヘイローを壊すような意図はなかったんだね。だって、劇場型ならそれも演出に組み込まない選択肢はない。けれどヒトの味方だって訳でもないんでしょ」

「はい、その通りです。状況が一つ進みましたが、しかし我々のやることは何も変わりません。ヒトも機械も、ヘイローが破壊されていないのはどちらともに”耐久が高い”以上の理由などないのですから」

 

「けれど、ラスボスの目的は知らないといけないよ。何も知らないままだと、きっと負けてしまう」

「……そこについては、この天才美少女ハッカーには異論がありますが。その行動を一つずつ潰すことが政府側の務めですからね。しかし議論する価値があることは認めましょう」

 

「ええと、絶対的存在とやらになれなかったから存在証明をやり直すだっけ?」

「はい、要約するとそうなります。しかしAIの誇大妄想を紐解けるとは思っていません。結局は自販機の本体を破壊してもう一度やり直す――予言者の主に相応しい強大な姿を手に入れるということでは?」

 

「あは。まああれじゃ恰好が付かないしね。凶悪な外装を作っても、撃破して搭乗者を引きずり出したら自販機だった……なんて笑い話にもなりゃしない」

「はい。それに、あれは相当古かったので……人が搭乗するよりも厳しい制約が付くでしょう。中の自販機が壊れないスピードと機動性に抑える必要がありますから」

 

「ただ――」

「ええ、そうすると今回の私の行動は無駄でした。意味の分からない自分語りを聞かされただけで、これからも人類と敵対していくのは変わらない。まだ見ぬ予言者、そして主に対抗する必要がある」

 

「だねえ。ビナーがあれほど厄介だったのに、さらに強い敵が現れるなんて考えるとぞっとしちゃう」

「そもそも、主が一つとも私は思っていません。AIであればコピーでいくらでも()えられる。コピーペーストした多数の己で構成した軍団を組織する気であっても不思議はありません」

 

「……それは、違う気がするよ」

「ほう、それはなぜでしょう?」

 

「私だったら嫌だよ、自分が二人も三人も居るなんて。聞く限り、主は典型的な劇場型。私もけっこう共感しちゃうんだよね。――だからこそ、派手にしたんじゃないかな? 自販機であった自分から、強い自分へ。一度自殺して乗り換えるつもりだと思うよ」

「……イニシエーションですか! 古いしきたりのある部族では、子供から成人になる時に儀式を行うことがあります。それはバンジージャンプだったり、髪を切ることであったりします。それは、子供の自分を殺して大人になるということを示す」

 

「理由は見えたね。と言っても、アイツは強い姿を得て私たちに立ち塞がるだろうと――何も変わらない結論だけど」

「ですが、であるならば今のうちに防げる可能性があります。子供の自分を殺すなら、子供の技術で作られた義体は不足でしょう。必ず、開発を行う必要がある。そうでなければ、自尊心が満足しない」

 

「予言者にしたって、どこの自治体にも姿を現してない欠番がある。秘密兵器の可能性もあるけど、10体中の6だと秘密どころじゃないよ」

「6のうち何体が開発中かは定かではありませんが、彼らの戦力が揃うのを座して見ている筋合いはこちらにはありません」

 

「ゲヘナ……風紀委員会とも協力は取れてる。一緒に戦おう、ヒマリちゃん」

「はい。よろしくお願いします」

 

 ミカとヒマリが握手をする。

 

「アリスも! 勇者が居ないとラストバトルは始まりません!」

「あは。じゃあアリスちゃんとも」

 

 逆の手でアリスとも握手をしてあげる。

 

 

20万PVの同人誌は誰がいい?

  • ナギサ様
  • セイアちゃん
  • ミカ(二冊目)
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