デカグラマトンの兵器工場を担当する予言者・ケセド。作戦はその戦力の消耗であったが、ネルは言うことを聞かず工場の奥へと進んで行く。
そして、ツルギとヒナも負けるものかとばかりにそれぞれ突入して予言者の本体を目指す。
「――はっ! 一番乗りだ!」
「キヒャ! いっちばぁん!」
「どうやら、私が最初のよう……!?」
工場を守るロボット達を蹴散らし、それぞれ奥底へ到着した瞬間に顔を見合わせる。
ネルは扉を蹴り開け、ツルギは壁を破壊し、ヒナは開放されている上からひらりとやってきたのだが。
どんな偶然か、ラスボスが鎮座するそこへ別々の方向から同時にたどり着いた。
「――!」
奥に鎮座する機械、その解放された装甲が目の前で閉まり球体と化す。一瞬見えた小さなアレが本体かと、思う暇もなくロボット達が襲い掛かる。
2足歩行のそいつらは思い思いの兵器を持って、ケテルの後方より左右に別れて行進してくる。
「はっ! 今更見飽きた雑魚共が!」
ネルが飛び出し、左側の方へ銃撃を浴びせかける。今までのそいつらと同じならこれだけでなぎ倒せる。
「……なにィ!?」
だが、そいつらは少し違う。まだ生きている。――壊れかけながら、反撃のために手に持つ兵器を向ける。
根性なのか? 簡単にはくたばってくれないようだ。
「気を付けて、厄介な敵よ」
しかし、ヒナがマシンガンでなぎ倒す。
今まで相手にしてきた雑魚機械とは違うとはいえ、こちらは最強チーム。多少強くなったところで苦戦しては名折れというものだろう。
「ぎゃはぁ!」
わずかに遅れてツルギも右へ突撃している。状況判断も早いさ、それでこその最強チームなのだから。
「」
ロボットたちが声もなく応戦――するのをジャンプで飛び越える。
「――!?」
ケセドの当惑する声が聞こえた気がする。意にも解さずにツルギはケセドへショットガンの一撃を浴びせかける。
「ひゃっはぁ!」
一発、二発。さらには手に持ったショットガンを捨てて服の中から取り出して2発をまとめて。
ショットガンは散弾の一撃、正面を隙間なく打ち据える打撃武器とも言える。
「……ぬぎぃ!?」
なのにまったくもって揺るぎすらもしない。それは他の予言者も同じことではあったけども。
そして、飛び越えたロボット達が振り向いてツルギに向かって狙いを付けている。
「ツルギ!」
ハスミが正確な射撃でロケット砲を持っている個体の頭を射貫く。一番攻撃力が高いのは始末した、が――
「ぎゃぉう! ぐぉう!」
雨あられと降り注いだ銃弾はかわし切れない、被弾した。
「ツルギさん!」
ヒナがマシンガンで掃射する。ほとんどのロボットを倒した。だがやはりしぶとい、倒し切れずに攻撃は続いている。
「っぐ。ぬぁう……!」
まだ兵器を手放さないロボットをショットガンで反撃した。これで全滅、だが手強い相手だと十二分に思い知らされた。
「おらあ! 殻に閉じこもってんじゃねえぞ!」
ネルが本体に向かって銃撃を浴びせかけるが……
『効いていません。援軍が来ますよ』
「お嬢様かよ。ふん、何体来ようが同じこと……!」
上空から到着したのはドローン部隊。搭載される火器に限りはあっても、浮いているうえに小さいアレは当てづらい。
「任せて」
ヒナが掃射する。……だが。
「いっちょまえにかわしてやがるな! アカネ、やれ!」
「あら、それでは、掃除を始めましょうか」
アカネが爆弾をぶん投げる。ドローンはその瞬間に逃げようと上空に上昇しようとするが。
「逃がすかよ、馬鹿が!」
ネルが爆弾を撃ちぬいて誘爆させた。爆破の衝撃は自分達の身すら打ち据えるが。
「まだ……だ!」
まだ敵ドローン軍団は生きている。衝撃波を耐えて跳び上がり、生き残ったドローンを二丁拳銃で撃ち落とす。
「やっぱコイツラかてェ!」
『いえ、違います。硬くなってはいません。これは……行動パターンのリアルタイム補正です』
「ああ!? なんだってェ、お嬢様ァ?」
『一体一体をケセドが操っているのです。だから手強い……!』
「つまりはNPCからキャラコン操作ってコトかよ! やってくれるじゃねえか!」
『N……? キャラ?』
「その認識で問題ないでしょう。ナギサさん、手立ては?」
『はい、ケセドの防殻の解析を完了。あれは硬すぎてあらゆる攻撃や熱を通しません。ですが、熱を通さないということは――』
「御託はいい! あのギミックの突破にゃ何をすればいい!?」
『襲来するロボットを倒し続けてください。操作対象が倒れるごとに負荷がかかるのです。オーバーロードすれば、あの防殻を開いて熱を逃さざるを得ない』
「ずいぶんとご機嫌な結論じゃねえか! 聞いたか、お前ら! まずはロボットからぶっ倒すぞ!」
「ぎゃはぁ!」
「効率的に、ね」
対抗手段を見つけた彼女たちは頬に笑みを刻む。だが、ケセドとて簡単にやられなどしない。
「――!」
床が開き、下からタレットが上がってくる。そして同時に登場するロボット達。
「だから見飽きたってんだよ!」
ネルがロボット達に銃撃を浴びせる。が――
「速ぇ!?」
「……チ」
ネルの銃撃をかわしたばかりか、続くヒナの掃射さえも避けて――
「舐めるなァ!」
ツルギが飛び出し、ショットガンを撃つ。だが、それすらも敵は避ける。
「ぎゃおう!」
撃たれた銃弾がツルギを撃ち据える。
「……くすぐってぇじゃねぇか!」
血が流れるが、しかし浮かぶのは凶悪な笑み。お返しだとばかりに超至近距離からショットガンで敵を撃ち据える。
「残り……4。ハスミ!」
「いえ、残りなどありませんよ」
ハスミが小気味よく敵を撃ちぬいて行った。速く、上手い――そんな相手だろうと正義実現委員会で育んできたコンビネーションだ。
「負けてられるかァ! カリン! タレットを撃破だ!」
「ターゲット確認、一発で吹っ飛ばす」
タレットと地面の脆い接続部を撃った。だが、タレットはまだ止まらない。
「おらァ!」
ネルが蹴り飛ばして破壊する。
「皆、注意して。まだ……!」
敵は左右に展開していた。左から速攻で片づける気が、ここまで手間取った。ゆえに右が万全の体勢で突入班を撃ち据える。
「痛……でも、タレットだけは」
ヒナは痛みに耐えて撃ち返す。十分な狙いを付けられないが、タレットは動けないがためにそれでも当たる。
「くぅ……! けれど」
小さな身なれどゲヘナの風紀を守ってきたのは伊達ではない。銃撃の嵐の中に二本の足でしっかりと立ってタレットを撃破した。
「負けてられるかよ!」
「ふっふっふっふっふ……死ねぇ!!」
最大の脅威であるタレットが沈黙した。攻撃こそ続いているが押さえつけてきたものがなくなった二人は矢のように飛び出す。
5発や6発の被弾など知ったことかとばかりに撃ちまくる。
「豆鉄砲ごときでこのあたしを倒せるかァ!」
「我慢比べで機械に負けるか!」
かわしている訳ではない。ただ突っ込んで、敵の体に銃弾を叩き込む。強力な神秘を持つからこそできる強引な戦法。
だが、それができる最強クラスの戦力を集めてきた。
『オーバーロードを確認――防殻が開きます! 一斉攻撃を!』
ついに、ケセドの本体を守る殻が開いた。
「戦う相手を間違えたなぁっ!!」
「かか、かかかかか、しゃあ!!」
「逃げることはできない」
全力で、ただひたすらに一発でも多くの銃弾を叩き込むことだけに集中する。
「「「――ッ!」」」
熱を逃がすための十数秒、何分にも感じられるかのような静寂な時間が過ぎた。
『ケセド、活動再開します!』
ナギサからの警告が耳を打った。その瞬間、一斉掃射が彼女たちを襲う。僅かでもダメージを重ねようとする心の隙を突かれた。
しかも、弾幕から逃れようにも妙に避けづらい弾幕。
「チィッ! まさか、こっちの戦闘データを学習したとでも言うのかよ!?」
「学習したとしても、能力が強化されたわけじゃない」
ヒナがマシンガンで撃ち返す。だが、襲い来るロボット達はすべてかわしてしまう。動きがさらに一段強化されている。
ケセドが慣れ始めているのだ。戦術がよりいやらしさを増して、行動を封じるための面制圧を学習した。
「……ネルさん!」
「おうよ! 機械でも銃弾の雨の中を駆け回る敵まで想定してねえだろ。おらおらおら!」
だが、危険を承知でマシンガンの雨の中に突っ込んで場をかき回すネルの動きにまではついていけない。
そしてネルの動きには対応しきれずに後衛メンバーから狙いすませた一撃で一機ずつ落とされていった。
「次ィ! ドローン部隊……上か?」
「なっ!? これは、避けられない……!」
まるで天井を覆い尽くすかのような数のドローン部隊が現れた。間発入れずに飽和攻撃を仕掛けてくる。
「どうにか、私が上がれれば……!」
もはや壁にまで見える弾丸のカ-テンにおさえられて立つこともできないヒナ。ツルギが撃ち返すが、ドローン軍団は二機や三機撃墜したところで減りはしない。
「ぐ……けれど反撃はできる……!」
ハスミもまた撃ち返していく。
「それであたしを止めた気かァ!」
攻撃を喰らいながらもネルが跳ぶ。弾丸のカーテンを突き抜ける。至近距離でドローンはネルへの狙いを付けられない。
「ひゃははははは! ぶっ飛べえ!」
その隙にまとめて撃墜することを狙い――
「――ッ!」
ドローンが一斉に自爆した。
「がっ……!」
ネルが地面に叩きつけられ、血を吐いた。そしてすぐさまやってくる後続のロボット達。
「ちぃぃっ……!」
押し込まれてはマズイと、ツルギがしゃにむに突っ込んでショットガンで応戦する。さらにハスミがサポートに回るのだが。
「ここに来て、数に任せた力任せですか……!」
数が多い。それにツルギにしてもその嗅覚で不利を嗅ぎ分け5分に持って行こうと無理をしている。
ただ”数が多い”、これまでの流麗な操作とはかけ離れた乱雑な火力が牙を剥きツルギを撃ち据える。
『ツルギさん! このままでは全滅も……。撤退を!』
通信機の向こうでナギサが叫ぶ。そもそもこれは敵戦力を削る消耗戦のつもりだった、ここで命をかける必要などどこにもない。
「……後ろにも」
更に現れた援軍、背後からの挟み撃ちにC&Cが歯噛みする。
「蹴散らすわ」
ヒナが特攻。もはや余裕などない、少しでも敵を削らなければ攻撃の圧力に耐えられない。むしろ攻めている側が泥沼の消耗戦に引き釣り込まれた形になっている。
「ぐぉう!」
「……面倒、ね!」
だが、さらにさらに現れる後続。機械はどこまでも冷静にこの侵入者を排除しようとしていた。
結局のところ、このロボットたちは予言者の仲間ではなくいくらでも増やせる手足に過ぎないのだ。敵を倒すのに必要な消耗を計上し、スケジュールを立てるだけのこと。
『ツルギさん、ヒナさん。……敵中枢への攻撃手段はこちらにはありません。どうか、どうか帰ってきて……!』
ナギサは涙ながらに懇願する。そもそも予言者を攻めるつもりなどなかったのをこの場のメンバーが突入してしまったのだ。
やらないのではなく、できない。工場の奥底に居る予言者への砲撃やミサイルが有効ではないと分かっているのだから。
「このまま……では……!」
「――泣き言なんざ聞かねえよ。負けて帰れるものかよ」
ネルが起きた。
「おい、てめえら! 気張りやがれ! あのドローンの起動、そして大量のロボットども――あいつだってキツいはずなんだ……よ!」
そして走り、ロボットを飛び越えて予言者本体へと飛びつき攻撃を加えた。馬乗りになり、二丁拳銃が連続する衝突音を響かせる。
『ネルさん!? 防壁を解除しない限り、本体への攻撃は無駄――』
「……だが、あたしを無視はできねえ」
敵兵達は一斉にネルの方向を向き攻撃した。
「――ぐあっ……! だが、あたしはこんなもんじゃやれねえぞ!」
ボロ雑巾のようになりながら吹っ飛ぶが、空中でクルリと回転して着地する。一歩間違えなくても自分の身が危ない囮役を買って出た。
「無茶なことを!」
「だけど、反撃の糸口はつかめた」
ネルのは無理筋の攻撃、反撃は本体を守るための防衛本能。機械であれば無駄な一手を費やす隙はなかったかもしれないが、このケセドはヘイローを持つ”感化された機械”だ。
目の前で攻撃を繰り出す危険な、それでいて隙だらけの敵を見逃せなかった。それが、自分の完全な作戦を自ら崩すことになろうとも。
「「「――」」」
無慈悲な軍隊の目が一瞬であれど、わき目に振れた。ならばこの場の精鋭たちはその隙を見逃さず反撃に出る。
『敵の処理速度が落ちています。……じきに――オーバーロードします!』
そして、ここまでの策をもってしてケセドも限界まで近づいた。そして、ロボット達が活動を停止しケセドが防殻を開く。
「待ってたぜ、この時をなあ!」
ぼろぼろの姿で血まみれになりながらも、跳んで上から銃撃するネル。
「おお!」
「これで!」
ツルギとハスミが息を合わせて球体をねらい撃つ。
「フィナーレを……!」
さらにヒナが球体の中心を狙い定めてレーザーのように連続した射撃がケセド本体を貫いて行く。
そして、ついにケセドにひび割れが入る。
「終わ……れェ!」
ネルがヒビを狙い蹴りつけた。――ビキリ、と大きな音が鳴った。
「――」
ぷくり、と球体が一瞬膨らんだ。
「あ?」
動かなくなったそれがまるで空気を抜いた風船のように飛び回り――
「……と」
ネルがそばの地面に着地すると同時にケセド本体そのものが地下へ崩落していく。ついに決着、危ういところではあったが競り勝った。
「いよっしゃあ! ぶっ倒してやったぜ!」
『エネルギー反応は地下へ落ちました。活動再開は確認できません。皆さま、本当にお疲れさまでした』
「は。重ね重ねお嬢様は心配性だな? 何度来てもあいつじゃあたしにゃ勝てねえよ」
『今日のところは我々の勝利ですね。ですが、氷河へ向かったミカちゃんと特異現象捜査部が心配です』
「――別にあたしが援護に向かってやってもいいぜ」
『ネルさんは一番の重症なので、早く治療を受けてください』
不快な感想が来たので更新をストップします。
20万PVの同人誌は誰がいい?
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ナギサ様
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セイアちゃん
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ミカ(二冊目)