魔導騎士物語~覇王と称された狼~   作:伊達 翼

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第九十七話『やりきれない気持ち』

第四天、エデンの園に突入するイッセー達。

 

第五天へと向かう途中、二つの影に遭遇する。

八岐大蛇を宿す天叢雲剣を持つ八重垣と、その傍らで座り込む紫藤局長だった。

 

紫藤局長は自らを犠牲にして八重垣の復讐を止めようとしていた。

しかし、それを許すイッセー達ではない。

 

八重垣がその狂剣を振るう刹那、イッセーが飛び出して紫藤局長を救い出す。

そして、紫藤局長はイッセーに八重垣を止めてもらうように頼む。

 

それに応えるようにしてイッセーはクリムゾンブラスターを放ち、八岐大蛇の首を吹き飛ばす。

そこへゼノヴィアとイリナのコンビがそれぞれの聖剣を掲げる。

それに合わせるようにイッセーもまた左腕にあるアスカロンを出して聖なる波動を放つ。

三人の放つ聖なる波動によって八重垣から邪悪な波動が潰える。

 

その瞬間…

 

「………クレーリア…僕も、天使になれたのかな…?」

 

八重垣の体を1人の女性が優しく抱き寄せるビジョンが…。

 

 

 

オートクレールの浄化の力によって天叢雲剣に宿っていた邪龍の邪気は消え、八重垣もまた地に倒れていた。

イッセーは八重垣に自らも悪魔の女性を愛していると言う。

そんなイッセーに八重垣が尋ねる。

 

「もしかしたら…君達の間を引き裂く者が現れるかもしれない。その時、その悪魔の女性を、君は…守れるかい…?」

 

「守る。守ってみせる! たとえ、世界が否定しても、強大な敵が現れたとしても…俺は彼女を守り抜いてやる!!」

 

「悪魔の君は…そこの天使も守れるのかい?」

 

「種族なんて関係ない。離れたくないなら、側にいりゃいいのさ…」

 

そんな問いにイッセーはそう答えていた。

 

「そうか……そうなんだな……俺も、彼女を守りたくて…」

 

それを聞き、涙を流す八重垣。

 

「俺達なら…きっと…」

 

分かり合える、という意味を込めてイッセーは八重垣に手を差し伸べる。

 

「あぁ…そうなってたら、どれだけ……」

 

そう答えて八重垣もまた身を起こしてイッセーの手を掴もうとした。

 

だが、その瞬間…

 

ドンッ!!

 

起き上がった八重垣の上半身の胸を魔力が撃ち貫いていた。

 

「がっ…!?」

 

大量の血を吐いて再度倒れる八重垣。

 

「なっ…」

 

その光景に絶句するイッセー達。

 

「うひゃひゃひゃ! そりゃダメっしょ?」

 

そこへ聞こえる耳障りな笑い声…。

 

「リゼヴィムッ!!」

 

クリフォトの首魁、リゼヴィムだった。

 

「八重垣君!」

 

イリナに肩を借りながら八重垣の元へとやってくる紫藤局長。

 

「……いいんです…これで…」

 

その八重垣は、どこか安らいだような表情をしていた。

 

「こんな…こんなの、悲し過ぎます…!」

 

そう言って回復を行うアーシアだが、八重垣の傷は塞がらなかった。

 

「……あぁ…僕も…きっと彼女も…この時代で、君達に…出会いたかったよ……」

 

そう言い残し、八重垣の体は崩壊して塵と化していた。

 

イッセー達は怒りを胸にリゼヴィムと対峙する。

 

………

……

 

時は少しだけ遡ってデュリオと忍がイッセー達を送り出してすぐの第三天では…

 

「ほいじゃま、いっちょ気張りますかね」

 

クロウ・クルワッハを前にデュリオは…

 

「禁手化!」

 

ゴオオオオッ!!!

 

煌天雷獄の禁手を発動させていた。

 

「あれが、ジョーカーの禁手…!!」

 

それを遠目から見ていた忍もその強い波動を受けて戦慄を覚えていた。

 

「さて、クロウさんや。いっちょ俺と踊ってくれよ」

 

天使の輪が四つに増え、黄金の天使の翼を12枚も広げた転生天使が邪龍最強と称されるドラゴンの前に立ちはだかる。

 

「ふっ…面白い…!!」

 

その変化を嬉々として受け入れたクロウ・クルワッハはデュリオに肉薄する。

 

 

 

一方で…

 

「ふふっ、エクセンシェダーデバイス使いと言ってもその武装が必ずしも選定者とマッチしてる訳じゃないのね」

 

カーネリアが漆黒に輝く光の槍で少女の斬撃を受け流しながらそう言っていた。

 

「……………」

 

少女は無表情のまま、さらに刀を振るう。

 

「反応が薄いわね。それとも、何か事情でもあるのかしら?」

 

「……………」

 

『その事情も知らない人が領明ちゃんを語らないでくれるかしら?』

 

カーネリアの言葉に沈黙してる少女に代わり、キャンサーが口を開く。

 

「随分と過保護なデバイスね」

 

ギンッ!!

 

「………っ……」

 

カーネリアの力任せな一撃で少女は後退してしまう。

 

「やっと人間らしい顔をしたわね?」

 

その僅かな表情の変化を見逃さずに指摘する。

 

「………………」

 

それに反応することなく少女は二刀に魔力を集める。

 

『クレッセイション、発動!』

 

「………………」

 

斬ッ!!

 

少女はカーネリアの真正面から斬り掛かる。

 

「このくらいの斬撃。私には効果ないわよ?」

 

戦車の特性から攻撃力と防御力に優れている上にカーネリア自身もまた近接戦闘には慣れているから余裕で少女の斬撃を受け止めていた。

 

「………………」

 

『コアドライブ、最大稼働!』

 

ギュイィィィ…!!

 

パールホワイトの魔力粒子が二刀に集まり、その威力を水増ししていく。

 

ビキッ…!

 

威力が増したことによってカーネリアの光の槍にも罅が入っていく。

 

「これは…」

 

流石に少しマズいと判断したのか、カーネリアは槍を手放して一時後退する。

 

「………………」

 

少女はそのまま二刀を振り下ろすと、光の槍を砕いて魔力斬撃を繰り出していた。

 

「そんな直線状の攻撃なんて…」

 

カーネリアもまたその場からさらに空へと飛び上がり、攻撃を回避しようとする。

 

『追撃します!』

 

しかし、魔力斬撃はまるでホーミングミサイルのようにカーネリアを追尾し始める。

 

「へぇ…そんな機能もあったのね」

 

再度光の槍を生成すると、カーネリアはその光の槍を魔力斬撃に向けて投擲する。

 

「…………散って……」

 

投擲された光の槍が直撃する瞬間、魔力斬撃が拡散して小さな魔力斬撃となって四方からカーネリアを追い詰めようとする。

 

「ちっ…」

 

堪らず舌打ちをするカーネリアは手元に光の槍を作り出して防御に徹する。

 

 

 

カーネリアが少女と戦って少し防戦になっている頃…

 

「ハウリング・バスター!」

 

「クレセント・バスター!」

 

忍と魔女による純粋魔力砲撃合戦が繰り広げられていた。

 

「(あの魔女は狼夜伯父さんを憎んでる。しかし、伯父さんはもう…)」

 

そこには恐らくリゼヴィムが関わっており、聖杯を用いて狼夜を復活させてから復讐の機会を与える。

そんな契約があったのかもしれないと、忍は考えていた。

 

「(だが、そんなことをして今更何になる…! 悲しみの連鎖が広がるだけだ…!)」

 

一応、フィライトで狼夜を火葬した時に残った遺灰は未だ自室に保管している。

 

「(だったら、俺が止める他ないのか…?)」

 

しかし、そうなると次なる問題も浮上する。

カーネリアと戦っている少女だ。

 

「(母親殺しとなった俺を怨む可能性もあり、結局はこの悲しみの連鎖を断ち切れないことになる…)」

 

それでは本末転倒だ。

復讐が復讐を呼ぶ結果になる。

 

「(そんな悲しい結末…誰も望んじゃいない…!!)」

 

だが、結局はどうしたらいいのかわからず、堂々巡りとなる。

 

「(くそっ! どうしたらいいんだよ…!!)」

 

その焦りが僅かな隙を生み…

 

「クラレット・バイパー!!」

 

まるで蛇のような軌道を描く砲撃が、単調になっていた忍の砲撃をすり抜けていき…

 

ズガァァッ!!

 

「しまっ……がぁ!?」

 

忍の体に直撃していた。

 

「これで終わりだ、狼ッ!!」

 

忍に直撃するのを見るや、魔女は忍の周囲に結界を張る。

 

「ッ!?」

 

「潰えろ、狼! 狼殺結界ッ!!」

 

ブゥンッ!!

 

「ぐっ…がぁあぁぁぁ!?!?」

 

結界が張られると忍の体に激痛が走る。

 

「この前は範囲を優先したが、今回はお前だけに対するピンポイントでの結界。この間の比ではないと知れ!!」

 

つまり、前回の襲撃時は効果範囲を広げたために威力が弱まっていた。

それでも威力を最大にすることで中にいた忍と少女は苦痛に苦しんでいたが…。

しかし、今回は忍のみを対象に結界の範囲を絞って使用したということだ。

そのため、前回よりも狼に対して高い威力を発揮する。

 

「(な、なんで…ここまでして、狼のことを…?)」

 

なんとか打開策を開こうと…

 

「れ、霊鎧装…!」

 

霊鎧装を展開した時だった。

 

「ぐあああああああ!!!?」

 

さっきよりも激しい激痛が忍の体を支配する。

 

「(れ、霊力を…出力した、瞬間…また、激痛が……ま、さか…?)」

 

それを踏まえ、忍はあることに気付く。

 

「(この結界は……対、霊狼、用…!?)」

 

この結界内では霊力が何かしらの形で利用され、苦痛を伴うようになっているのだと考えた。

 

「(だが…どうやって、霊力を…?)」

 

そこで忍の眼にはカーネリアと戦う少女が映る。

 

「ッ!?(まさか…自分の娘を、実験台に…?)」

 

もし、そうだとしたら…目の前の魔女は、それほどまでに狼…徳に霊狼を怨んでいたことになる。

 

「(だとしても…そんな…そんなこと…!)」

 

激痛に苦しめられながらも…

 

「許しておけるかよおおおぉぉぉぉッ!!」

 

忍は立ち上がる。

 

「無駄よ! 霊狼である限り、その結界からは…」

 

「妖華撃ッ!!」

 

妖力を用いた一撃で結界を粉砕していた。

 

「バカなっ!?」

 

「要するに、霊力を使わなきゃいいだけだろ? 絡繰りさえわかれば何とでもなる…!」

 

忍の中には魔・気・霊・妖・龍の力が巣食っている。

それらの内、魔女が研究していないだろう力を用いれば、結界も容易に破壊出来るのだ。

 

「ちっ、狼風情が…!!」

 

魔女が激昂していると…

 

「あらよ、っと!!」

 

「ッ!?」

 

横合いからの奇襲に忍も思わず、その場から退避する。

 

「ちぇっ、外したかぁ~」

 

クルクルと得物を振り回すのは…

 

「ディー!?」

 

絶魔勢のノヴァの部下であるディーだった。

 

「よぉ、狼。久し振りじゃん? なんだって力を使わないのか不思議だから、ちょっち横槍入れてみました!」

 

悪気もなくそう言ってのけるディーは死神の鎌を肩に担いでいた。

 

「邪魔をするな!」

 

この横槍には魔女の方も大変ご立腹な様子だった。

 

「まぁまぁ、おばさん。ここはノヴァ様に免じて退いてくれよ。アンタには必要になるだろうってノヴァ様の判断なんだぜ?」

 

「ちっ!」

 

ギリッと歯軋りを立てそうな勢いで舌打ちする魔女は…

 

「領明! ここは一旦退きます! 下がりなさい!!」

 

カーネリアと戦っていた少女を呼びつけていた。

 

「………………」

 

それを聞いてカーネリアに魔力斬撃を放った後、少女が魔女の元へと合流する。

 

「本当に私に必要なものなのでしょうね?」

 

「あぁ。少なくともノヴァ様はそう考えてるみたいだぜ?」

 

「なら、せいぜい当てにさせてもらいます」

 

そのやり取りを見て忍も驚く。

 

「(あの魔女、絶魔とも関係が…!?)」

 

いや、それよりも…

 

「待て! 絶魔に関わるな! そいつらは…!」

 

霊狼族の仇。

そう言おうとしたが…

 

「狼を殺せるなら…私はどんな手でも使う…!!」

 

魔女は怨嗟の念を込め、それだけを言い放っていた。

 

「ッ…」

 

その言葉に忍は何も言い返せなかった。

 

「次こそは貴様を討つ。首を洗って待っているがいい…!!」

 

そう言い残し、魔女と少女はディーの敷いた絶魔の使う転移魔法陣で共に消え去っていた。

 

「…………く、そ…っ!!!」

 

バキッ!!

 

忍はその場で拳を足元に叩き付ける。

 

「(俺は、あの2人に対して何も出来ないのか…?)」

 

魔女と少女の復讐劇は終わらない。

その終止符を打てるとしたら、それは狼夜を殺させるしかないのか…?

そんな考えが忍の頭の中を過ぎる。

 

「(それに、絶魔が絡むとなれば…)」

 

皮肉…と言わざるを得ないか…。

霊狼の少女が一族の仇である絶魔に手を貸している。

それが、どれだけ忍に精神的ダメージを与えているか…。

 

「まったく…エクセンシェダーデバイスも厄介なものね」

 

そう言って己の髪を軽く撫でてカーネリアが忍の元へとやってくる。

 

「立ちなさい、坊や。戦いはまだ終わってないわよ」

 

「………あぁ…わかってるさ…」

 

カーネリアの言葉に忍は立ち上がると、クロウ・クルワッハと絶賛戦闘中のジョーカーの元へと移動する。

 

「ジョーカー! 助太刀する!!」

 

龍気を纏った一撃をデュリオとクロウ・クルワッハの間に叩き込みながら忍が加勢する。

 

「あなた、一体多が好きな龍なんでしょう?」

 

その横合いからカーネリアが光の槍を突き出していく。

が、それをクロウ・クルワッハは裏拳で砕いていた。

 

「おぉ、狼君に堕天使の姉さん。助かるわ。いやね、このドラゴンの兄さん、強いこと強いこと」

 

禁手化してるデュリオがそんな風に軽口を叩いていると…

 

「よく言う。さっきから絶妙な間合いからの攻撃を繰り返し、隙の無さも相俟って多少攻めあぐねているというのに…」

 

クロウ・クルワッハからの賛辞(?)が飛ぶ。

 

「そいつはどうも。で、そっちの方は大丈夫なのかい?」

 

クロウ・クルワッハの言葉を受け流しながら忍に尋ねる。

 

「……あまりよくはないが、今はこちらに集中させてもらう」

 

感情を呑み込んだような忍の物言いに…

 

「あんまり無理は良くないぜ?」

 

デュリオは心配そうに声を掛けていた。

 

「…………………」

 

デュリオの言葉に何も言い返せていないと…

 

「些か興が削がれたな」

 

クロウ・クルワッハが拳を引く。

 

「行くなら行け。次にまみえる時までにそっちの狼は万全な状態になっていてほしいがな」

 

「………っ」

 

クロウ・クルワッハの言葉に思い当たることでもあるのか、忍は苦々しい表情をしていた。

 

「では、お言葉に甘えましょうかね、っと」

 

禁手を解くと同時にデュリオが第四天に続く門へと飛び立つ。

 

「行くわよ、坊や」

 

「……………あぁ……」

 

クロウ・クルワッハの横を通り過ぎる瞬間…

 

「龍を御せるのは…何者でもない。その龍自身だけだ」

 

忍の耳に聞こえるような呟きをクロウ・クルワッハは言い残していた。

 

「…………………」

 

それに応じることなく忍は駆けていく。

 

………

……

 

第四天では、リゼヴィムを相手にイッセー達が苦戦を強いられていた。

腐っても前魔王ルシファーの息子。

神器無効化を持っていたとしても、その打撃力や魔力はやはり魔王クラスと言っても過言ではなく、イッセー達はほとんど手も足も出せずにいた。

 

だが、リゼヴィムはここで一つの過ちを犯した。

それは…アーシアを殴ったことだ。

それを契機にして召喚されたファーブニルは烈火の如き怒りを露わにしてリゼヴィムへと襲い掛かる。

 

『逆鱗』

それはドラゴンが何かしらの形で持つとされるモノ。

それに触れたら下級のドラゴンであったとしても豹変する。

ドラゴンを怒らせてはいけない、という戒めでもあるのだろう。

 

それをリゼヴィムは…無遠慮にも触れた。

"アーシアに危害を加える"という、最も愚かな選択をしたのだ。

 

ファーブニルの猛攻に当てられ、イッセーも新たな力を持ってリゼヴィムに挑む。

その力とは…赤龍帝・ドライグが生前持っていた能力の一つ『透過』であった。

鎧は消え去ったが、透過の力によってイッセーはリゼヴィムを叩きのめすことに成功する。

 

そして、ドライグもまたリゼヴィムに対して…

 

『ルシファーの息子よ。お前は何を敵に回しているのかわかっているのか? 聖書の神が忌み嫌った力の塊、ドラゴンだ。俺も、白龍皇も、ファーブニルも決して舐めてくれるなよ? 我等はその気になればただの力任せの暴力で世界を何度だって破壊出来る。それをしないのは、お前よりも今の生き方を楽しめているからだ』

 

そのように言い放ち…

 

『神如きが、魔王如きが、俺達の楽しみを邪魔してくれるなよ』

 

そう、宣告していた。

 

それは奇しくも三大勢力の戦争時、二天龍が神と魔王に吼えた口上に似ているという…。

 

そこへ駆けつけるD×Dのメンバーと曹操。

それに上層から降りてきた天使長・ミカエル。

 

ミカエルからの慈悲の無い攻撃を受けるリゼヴィム。

だが、リゼヴィムはルシファーの黒翼によってその攻撃を受け切っていた。

そして、愉快犯の空気から一変し、冷徹な一面を見せて改めてD×Dを自らの夢の障害だと認定していた。

 

リゼヴィムは既に目的を達成したという折をその場にいた者達に聞かせていた。

それはリゼヴィムの母、リリスが神の目を盗んで隠したという干からびた知恵の実と生命の実…。

それを聖杯で復活させていたのだ。

その隠し場所があったのは、煉獄の奥地にある冥府に繋がる隠れ道だという。

ならば、何故天界まで攻めてきたのか…?

リゼヴィム曰く『実を探す、ついで…』だそうだった。

 

その答えに殆どの者がリゼヴィムへの敵意を向けたが、それを阻んだのがオーフィスの分身体であるリリス。

それに興が醒めたように撤退するクリフォト。

だが、クロウ・クルワッハだけはリゼヴィムの帰還命令を無視してその場に残ったのだった。

 

 

 

その後の戦後処理は主に天使達が行っていた。

不幸中の幸いなのが、『システム』には特に影響がない事だろうか。

 

「結局、出遅れてしまったか」

 

結局、戦闘の終盤で天界へと送り込まれた残りの紅神眷属と神宮寺眷属。

 

「ごめんね、しぃ君。どうも結界のせいで次元転移も不安定だったから遅くなっちゃった」

 

「いや、気にしないでくれ。来てくれただけでも感謝してるさ」

 

そんなことを言い合っていた。

 

「しかし、まさか曹操まで来ていたとはな…」

 

「あぁ、それには俺も少し驚いたがな…」

 

忍と紅牙の視線の先ではイッセーと何やら会話している曹操の姿があった。

 

「…………………」

 

「元同僚として話さないのか?」

 

「いずれ時が来たら、な」

 

立ち去る曹操の背中を見つめていた紅牙だった。

 

その後、イッセーの元にクロウ・クルワッハがやってきて戦えと要求したものの、流石に疲れが溜まっていたイッセーが休憩させてくれと頼んだところ…あっさり、引き下がっていた。

クロウ・クルワッハはそのままその場から飛び去ってしまっていた。

 

そして、イッセーもイッセーで新たな力を邪なことに使って天界の警告を受け、皆に認知されてしまうのだった。

 

 

 

だが、これで全てが終わった訳ではない。

忍にはまだ、やらなくてはならないことがあるからだ。

それは絶魔と接点を持っていたあの魔女と同族であるあの少女のことである。

 

来たるクリスマスの日。

それは思いがけない決着を迎えることになる。

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