魔導騎士物語~覇王と称された狼~   作:伊達 翼

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第百二十五話『卒業式の狂宴』

駒王学園、卒業式当日。

 

卒業生達にとって高校生活最後の日。

早く目覚めて、朝早くから来る者もいれば、いつも通りにやってくる者もいる。

 

朝早く来た者達の中にはリアスや朱乃、ソーナ、椿姫などがおり、ソーナと椿姫は校門の掃除、リアスと朱乃は旧校舎のオカ研の部室に向かって昔話をイッセーに話したりと、残りの時間を有意義に過ごしていた。

 

そんな中…

 

「………………」

 

三年生のある教室…窓際の席に座り、窓の外を見る雅紀。

その視線の先には、忍と共に登校してきた智鶴の姿があり、とても幸せそうでいて、少し寂しそうな表情をしている。

 

「(ふんっ…忌々しい…)」

 

雅紀はそんな智鶴の表情を見つめつつも、隣にいる忍へと怨嗟の籠った視線をぶつけている。

卒業式には相応しくない憎悪のオーラを人知れず纏って…。

 

「(何が異種族との交流だ……何が武力を用いた対話だ…)」

 

年末年始での総会の続きにて忍が言っていた組の未来について否定的な考えを燻らせていた。

 

「(そんな思想…組の未来には必要ない…!)」

 

雅紀にとって大事なことは一つ。

 

「(智鶴さんさえいれば、他のことなどどうでもいいんだ)」

 

智鶴の意識を自分に向けること。

それが叶えば、他の事柄など気にしない…いずれ破滅を迎えそうな思想だ。

 

「(そのために邪魔なのは…やはり、紅神…)」

 

瞳が濁り、深く暗い憎悪のオーラを無意識の内に表に出さず、その身に秘めて卒業式へと赴く雅紀。

 

この歪んだ想いが爆発するのは、そう遠くないかもしれない…。

 

………

……

 

そして、卒業式は粛々と進行していき、在校生代表の送辞をゼノヴィア、卒業生代表の答辞をソーナが読み上げていた。

また、保護者の中にはリアスの両親、グレイフィアやミリキャス、バラキエル、智鶴の祖父などの姿もあった。

 

そうして式が終わり、三年生はそれぞれ笑い合い、泣き合い、抱き合い、最後に一緒に写真を撮ったりとしている中…

 

オカ研のメンバーはリアスと朱乃を出迎えた後、人目のつかないところに向かい、色々と大事な話をしていた。

 

木場、小猫、ギャスパーはリアスへの呼び方を改め、姉と呼ぶことに。

イッセーのリアスへの敬語卒業。

イッセーが王として自らチームを率いて国際大会に参加することを表明。

ロスヴァイセがリアスの元からイッセーの眷属に入り、イリナが国際大会でのチーム入りを表明。

そして、イッセーがリアスに将来を共に歩んでほしいと告げ、その告白をリアスは受ける。

 

ちなみにイッセーの歓喜の叫び声を聞きつけたイッセーの友人である松田と元浜もやってきて、イッセーが改めてリアスと付き合っていると告げ、ちょっとしたケジメをつけていた。

その後の卒業式の二次会で2人にイッセーが色々と言われたが、それでも楽しい時間を過ごしていた。

 

………

……

 

オカ研メンバーがそのようなことをしていた一方…。

 

式が終わった直後、駒王学園に通っていた紅神眷属も集まっていた。

 

「ち、智鶴、さん…卒業、おめでとう、ございます…」

 

「まぁ、無事卒業できたようで、おめでと」

 

「ありがとう、萌莉ちゃん、緋鞠ちゃん」

 

卒業証書の入った丸筒を手にした智鶴に萌莉と緋鞠がお祝いの言葉を送る。

 

「卒業おめでとう。智鶴」

 

「ありがとう、しぃ君」

 

忍もまた智鶴にお祝いの言葉を送る。

 

「彼がいないから寂しいと、大学部からこちらに来ないように」

 

雲雀がそのような釘を刺す。

 

「雲雀さん。流石に智鶴だってそんなことは…」

 

「………………」

 

忍が弁明しようとしたが、当の智鶴がサッと目を逸らした。

 

「……ま、まぁ…節度さえ守ってもらえれば…」

 

「甘やかすような発言はしないでください」

 

忍の言葉に、すかさず雲雀が釘を刺す。

 

「あ、あはは…」

 

萌莉がその様子に苦笑し…

 

「笑い事じゃないでしょうに…」

 

緋鞠も呆れている。

 

そうしてこちらは特に大事な話はなく、紅神眷属もまた卒業式の二次会を行うべく、智鶴の祖父である組長や一部の側近と合流して明幸の屋敷へと戻ることになった。

 

しかし、無事に卒業式を迎え、全員の気が少し緩んでいたせいか…

 

「アリエス、やれ」

 

ある男による、『襲撃』が始まる。

 

『ホントにいいんだな?』

 

「いいから、やるんだ!」

 

『あいよ。キュービック、発動』

 

ブンッ!!

 

強固な結界が智鶴1人と、忍、萌莉、雲雀、緋鞠の4人を別々にして閉じ込める。

 

『ッ!?』

 

突然のことに全員の反応が遅れる。

 

「ふ、ふはははは…遂に、この時が来た!」

 

その場にアリエスを従えた雅紀が現れ、狂気に満ちた暗い笑みを浮かべていた。

 

「(雅紀さん!?)」

 

「(雅紀君!?)」

 

結界の中で忍と智鶴が同時に声を上げるが、それは外に漏れなかった。

同時に雅紀が何を言ってるのかも皆にはわからないが…。

 

「紅神…貴様に智鶴さんは渡さない…!」

 

「(雅紀さん!)」

 

雅紀の言葉は聞こえないが、忍は結界の中からドンドンと壁を叩く。

 

「何を言ってるのか聞こえないが…しばらくそのままでいることだな」

 

『ま、向こうにも聞こえちゃいないだろうがな』

 

「行くぞ、アリエス。智鶴さんだけを連れていく」

 

そう言って雅紀は懐から魔法陣の描かれた紙を取り出すと、それを地面に投げつける。

 

『転移は専門外なんだがな。ま、指定した地点に移動するだけの簡単な陣だし、俺でも魔力を供給すりゃ使えるんだがな。ま、一応と付くが…』

 

そう言ってアリエスがコアドライブからダイヤモンドシルバーの魔力を魔法陣に流すと、それが拡大して雅紀とアリエス、そして智鶴を閉じ込めた結界を包み込み…

 

「(しぃ君…!)」

 

「(智鶴!!)」

 

互いに手を伸ばし合ったが、次の瞬間には雅紀とアリエス、閉じ込められた智鶴は消え去ることとなった。

 

そして、アリエスが消え、しばらくして4人を閉じ込めていた結界は消失する。

 

「雅紀さん…」

 

結界から解放された忍は、雅紀の匂いを追おうとするが…

 

『マスター。申し上げにくいですが…捜索は困難です』

 

「油断しました。まさか、こんな身近にこのようなことをしでかす者がいるとは…」

 

アクエリアスは捜索が困難と言い、雲雀も己の不覚を恥じていた。

 

「卒業生の明智 雅紀。やってくれたものです」

 

「………………」

 

忍はグッと歯を食いしばりながらも…

 

「皆は、先に待ってるだろう組長達と合流して事の次第を伝えてくれ」

 

その場の3人にそう伝えていた。

 

「し、忍さん、は…?」

 

心配そうな萌莉の言葉に…

 

「俺は…智鶴を迎えに行く」

 

確固たる意志の下、忍はそう告げていた。

 

「雅紀さんの問題を先送りにしてきたツケを…払いに行く…」

 

そう言って忍はその場から走り去っていた。

 

「忍!」

 

「緋鞠。やめておきなさい」

 

忍を追おうとした緋鞠を雲雀が制止させる。

 

「でも、姉様!」

 

「これは…あの子自身が解決しないとならないことなのよ」

 

「それは、そうだけど…でも!」

 

「わかってあげなさい。こればかりは、あの3人の問題なのだから…」

 

「っ…」

 

雲雀はそう言って踵を返し、組長の元へと向かうのだった。

それを慌てて緋鞠と萌莉も追う。

 

その後、雲雀が智鶴の祖父に事の次第を伝えた。

また、雅紀も卒業生だったことから一緒に来ていた幹部・明智にも事情が話されたものの、雅紀の父である幹部・明智は他の幹部から集中砲火を受けることになった。

組長は静かに瞑目し、先に屋敷に戻る、と雲雀達や他の幹部を引き連れて屋敷へと戻るのだった。

 

「(紅神の倅よ…孫娘を、頼む)」

 

組長は帰路に着く中、心の中でそう呟いていた。

 

………

……

 

~???~

 

とある海沿いの廃倉庫が立ち並ぶ地区。

そこの倉庫の中に結界に閉じ込められた智鶴と、雅紀とアリエスがいた。

 

『それで? マスター、こっからどうする気だ?』

 

アリエスが智鶴を閉じ込めた結界を維持した状態のまま、雅紀へと問いかける。

 

「彼女が俺を受け入れるまで…閉じ込めておくさ」

 

そう言う雅紀の眼は狂気に満ち満ちていた。

 

『アクエリアスのマスターがそれを許すとは思えんがな』

 

「来るならば、迎え撃つだけだ。お前の力なら、可能だろう?」

 

『まぁ、守る分ならエクセンシェダーデバイスの中でも屈指の耐久戦を演じてやるよ』

 

「奴も隔離してしまえば、問題あるまい」

 

『まぁ、な…』

 

アリエスは基本、守りに特化したエクセンシェダーデバイスである。

その防御力はエクセンシェダーデバイス内でも屈指の性能を誇るのは間違いない。

しかし、アリエスには懸念があった。

 

『(アクエリアスのマスターと、俺のマスターとじゃ…そもそもの経験値が違う。おそらく、マスターは勝てねぇな。俺の性能をフルに使えたとしても、多分負ける。せっかく俺に合致する選定者を見つけたってのになぁ…)』

 

アリエスの方が雅紀よりも今の状況を冷静に分析できているようだった。

 

『(さてはて、どうしたもんかね?)』

 

アリエスはしばし考えた後…

 

『(ま、結末だけは見届けてやるかな。せっかくマスターと認めたんだからよ)』

 

選んだ手前、雅紀の結末を見届けようと考えていた。

 

「智鶴さん…あなたを真に愛せるのは、俺だけなんだ…」

 

そう呟き、結界に触れる雅紀。

 

「(雅紀君。私は…)」

 

智鶴が何かを言おうにも結界が邪魔をして言葉を聞かせることも、聞くことも出来ないでいた。

 

「さぁ、来い…紅神。決着を着けてやる」

 

その言葉に呼応するかのように…

 

キィッ!

 

タイヤが擦れたような音が倉庫の外から聞こえる。

 

『来たようだぜ?』

 

「あぁ…アリエス。スローンフォームだ」

 

『あいよ』

 

ガシャン…!

 

倉庫の奥にアリエスが分離・変形した玉座が出現し、一部装備が雅紀の手に渡り、雅紀は玉座へと腰掛ける。

 

『(さてさて、俺の防御がどこまで通用するかね?)』

 

アリエスは玉座のまま、そのようなことを思う。

 

コツ、コツ…

 

駒王学園の制服のまま、忍が廃倉庫の中へと入ってくる。

 

「雅紀さん…」

 

「紅神…」

 

お互いに駒王学園の制服姿であるが…忍は、すぐさまネクサスを起動させるべく、起動シークエンスを行う。

 

ピッ、ピッ、ピッ…

 

「智鶴を…返してもらいます」

 

ピッ…

 

『Complete』

 

ネクサスを起動させ、バリアジャケットを展開した忍は、進むのをやめない。

 

「アリエス! キュービックを積み上げろ!!」

 

『あぁ…』

 

キンッ!!

 

雅紀の指示通りにアリエスは小さな立方体型の結界を積み上げていき、壁を作り出す。

さらにアリエスに搭載されているマナリフレクションシステムが発動しているので、魔法の類は全て反射されるようになっている。

 

「………………」

 

しかし、忍は静かに歩を進めていき、キュービックが集積されて作られた壁の前まで行く。

 

「それ以上は進めまい!」

 

「………………」

 

雅紀の嘲笑を聞きながら、忍は静かにキュービックの壁に右手を置くと…

 

「ッ!!」

 

濃密な龍気の波動を右手から瞬間的に放出し、キュービックの壁を粉砕する。

 

「なっ…」

 

その光景に雅紀は絶句する。

 

「………………」

 

忍は何も言わず、雅紀の元へと向かう。

 

「くっ…止まれ!!」

 

雅紀はアリエスの装備である杖『ツインヘッドスタッフ』を掲げ、今度は忍を閉じ込めるように結界を展開する。

 

「………………」

 

ブンッ!!

 

結界が展開されるよりも速く移動したことで、忍はアリエスの結界から逃れていた。

 

「何故だ!? 何故、捕まえられない!?」

 

結界が展開し終わる前に真・神速の速度によって忍は結界を回避している。

それを理解できていない様子の雅紀。

 

「雅紀さん……俺はもう、昔の泣き虫だった頃の俺とは違うんだよ」

 

そう言いながら、忍は着々と雅紀との距離を縮めていく。

 

「ちっ! アリエス!」

 

堪らず、雅紀はアリエスから立ち上がると、アリエスに命令する。

 

『チェンジ、アーマーフォーム』

 

すると、アリエスが玉座形態から雅紀の身体に鎧として装着される。

 

「紅神ぃぃぃ!!!」

 

ツインヘッドスタッフの裏…狼の頭部の口から魔力刃を形成し、大鎌のようにし、忍へと大振りで斬りかかる。

 

ガシッ!

 

「雅紀さん…あなたの気持ちは、わからないでもない」

 

雅紀の振るってきた魔力刃を素手で掴む忍は雅紀に向けて言葉を紡ぐ。

 

「何を知った風な口を…!!」

 

「聞いてくれ。俺だって…昔は大きくなったら、明幸から出て行こうと考えてた時期もあったんだ」

 

「なにぃ…?」

 

「俺は…ちぃ姉に気に入られてただけだから…雅紀さんみたいに組の人間じゃない。部外者だと思ってたんだ…」

 

「ッ!?」

 

それは奇しくも大晦日の総会で雅紀が言い放っていた言葉だ。

 

「お前、智鶴さんから聞いて…!!」

 

「? 何のことです?」

 

今の忍の反応を見て…

 

「(まさか…こいつも同じことを思ってた…?)」

 

雅紀の大鎌を持つ力が少しだけ緩む。

 

「本当ならいちゃいけない人間なんだって思ってた。きっと、俺の存在が邪魔になる時が来るんだろうなって…そんなことを思ってた時期もあったんだ」

 

「………………」

 

「でもさ…この1年…色々なことが起きて、俺自身も色々と変わってった。そして、ちぃ姉のことが大事なんだって…何度も再認識できたんだ」

 

素手で掴んでるせいか、忍の手から血が流れて地面に滴り落ちる。

 

「雅紀さんがちぃ姉のことが好きだってことも重々承知してる。けれど、ちぃ姉の…智鶴の隣に居ること。これだけは誰にも譲らない。譲りたくないんだ」

 

そう言って忍は雅紀の顔を見る。

 

「ぁ…」

 

その表情はとても穏やかだった。

 

「雅紀さん…ごめんね」

 

「……ッ!?」

 

忍の謝罪の言葉に雅紀の心が揺らぐ。

 

「俺がいたばかりに…雅紀さんの想いを…奪ってしまって…ごめんなさい」

 

「…………ょ…」

 

雅紀は忍の謝罪を受け…

 

「今更遅いんだよ!! お前がいなきゃよかった!! ホントにそうだ!! お前さえいなきゃ、俺が智鶴さんを支えてくつもりだったんだ!! それなのに、お前は…お前はッ!!!!」

 

「………………」

 

雅紀の慟哭を忍は正面から受け止める。

 

「どこまで俺を惨めにするんだ!! 俺はお前が憎い!! 智鶴さんと結ばれた"忍"!! お前が心底憎いのに…」

 

ガタガタとツインヘッドスタッフが震える。

 

「どうして…どうして、俺はお前のことを許しちまいそうになるんだよ!!」

 

ポタッ、ポタッ…

 

そう叫ぶ雅紀の眼からは大粒の涙がこぼれていた。

 

「雅紀さん…」

 

「忍…これだけは答えろ…」

 

ツインヘッドスタッフから手を離し、忍の胸倉を掴み、頭突きをかましながら雅紀は言う。

 

「……はい」

 

「お前は…必ず、智鶴さんを…幸せに出来るって胸を張って言えるのかよ…?」

 

「必ず、幸せにしてみせるよ。"雅紀兄"」

 

頭突きをかましたため、お互いの顔同士が至近距離にあり、お互いの眼を見ながらそんな問答をした忍と雅紀。

 

「……生意気なんだよ、泣き虫が…」

 

「………………」

 

雅紀が忍の胸倉を放し、少しだけ距離を置くと…

 

「アリエス。智鶴さんの結界を解け…」

 

『……わかったよ、マスター』

 

アリエスに指示し、智鶴を閉じ込めていた結界を解く。

 

「しぃ君! 雅紀君!」

 

結界から解放された智鶴は2人の名を呼ぶ。

 

「……昔から、敵わなかった訳だ…」

 

それを聞き、雅紀は自嘲するかのように呟き…

 

「紅神。智鶴さんと、幸せにな」

 

穏やかな笑みを浮かべ、それだけ言い残していた。

 

「雅紀君…」

 

智鶴は何と言っていいのか迷ったらしいが…

 

「はい」

 

忍はそう答えていた。

 

「アリエス。お前とも、ここまでだ」

 

『そうかい。短い間だったが、世話んなったな。雅紀』

 

鎧から待機状態に戻ったアリエスとそんな会話をした後…

 

「紅神。アリエスを頼む」

 

「いいん、ですか?」

 

「ケジメは、しっかりとつけないといけないからな」

 

雅紀はそう言うと、アリエスを忍へと手渡していた。

 

その後、忍が転移魔法陣を展開し、外に置いてあったアステリア、そして智鶴と雅紀と共に駒王町の明幸家の屋敷へと戻った。

戻った後、雅紀は非は自分にあると認め、駒王町から出て行くことを決めた。

駒王学園大学部への編入も蹴って地方へと旅立つことになる。

 

 

 

明智家は当然見送りなどせず、1人で静かに出て行くことになると思われたが…。

 

「紅神。それに、智鶴さん…」

 

雅紀の旅立ちに、忍と智鶴が見送りに来ていた。

 

「雅紀兄…元気で」

 

忍は簡潔にそれだけ伝えた。

 

「雅紀君…」

 

智鶴は雅紀を一回だけ抱き締めると…

 

「あなたの想いに応えられなくて、ごめんなさい…」

 

それだけ伝えていた。

 

「……いいんです。あなたが幸せなら、俺は…」

 

雅紀もそれだけ伝えると、智鶴から距離を取って一礼していた。

 

「さようなら」

 

そして、踵を返すと雅紀は電車に乗り込むのだった。

 

 

 

春は出会いと別れの季節。

新たな出会いがあれば、様々な形での別れもある。

そんな季節の、一幕だった…。

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