魔導騎士物語~覇王と称された狼~   作:伊達 翼

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第百二十七話『大会の裏で行われていた、青春と禁忌』

レーティングゲーム国際大会『アザゼル杯』が開幕した。

 

開会式より早10日が経とうとしていた。

既に試合を数戦行っているチームもあれば、試合を行っていないチームもあった。

 

イッセー率いる『燚誠の赤龍帝』チームは既にこの10日で三戦こなしており、いずれも勝利しているが、どうにも苦手を突かれて苦戦を強いられているようなことが評論家などに酷評されていて、事前の期待が高まっていただけに落胆の声も多かったようだ。

 

一方で、ヴァーリやリアス、サイラオーグ、ソーナ、デュリオ、曹操、鳶雄さんなどのチームは順調に勝ち星を挙げていて評価もそこまで悪くはないらしい。

他にも神クラスを有するチームも基本的には勝利を収めている。

 

ただ、未だ試合をしてないチーム。

帝釈天のチームなどがそうだが、様子見なのか、それとも別の思惑があるのか…。

そうしたチームの中には忍率いる『紅神眷属』チームや紅牙率いる『紅』チーム、海斗率いる『海王』チームもいた。

 

何故、次世代を代表する三チームが未だ試合をしていないのか…?

これにはそれぞれの事情があった。

 

………

……

…

 

『紅神眷属』チームの場合。

 

「ふむ…」

 

忍が自室にて、これまで実戦と訓練の中で得た眷属の戦闘経験や特性、さらには性格を改めて一から分析し直していた。

 

「………………」

 

そうして黙々と、眷属にしてきた娘達(智鶴を始めとした駒と絵札のメンバー)、並びに眷属ではないが距離感的に近しい娘達(雲雀や桃鬼など)の情報をネクサスを用いて精査していた。

さらに今大会専用に運営から配信された大会基準での駒価値がわかるアプリもあり、それも用いることで大会用のチーム編成を考えている真っ最中だった。

ただ、予選ではチーム編成の変更が可能なので、忍は少し慎重になり過ぎているのかもしれないが…。

 

しかし、忍が慎重になり過ぎる理由もあった。

以前、一回とはいえ、グレモリー眷属とレーティングゲームを経験し、敗北を喫して冥界のメディアからは色々と言われたのもある。

現に期待のホープとして注目されていた燚誠の赤龍帝チームが冥界のメディアにぶっ叩かれているのだ。

 

それともう一つ…今大会に参加している"とあるチーム"の存在である。

そのチーム名は…

 

「『ディストピア』チーム…」

 

忍が特に警戒を強めているチームだ。

その理由は…

 

「ノヴァ…一体どういうつもりだ?」

 

『ディストピア』チームの王は現絶魔勢を率いている黒幕『ノヴァ』であり、チームメンバーは六天王に加え、知らないメンバーも2名ほど増えて参加している。

ちなみにチーム編成は王のノヴァを筆頭とし、女王に『リヴァーレ(忍が知らない人物)』、戦車に『ヴァイクル(同じく忍の知らない人物)』とジン、騎士にロンドとジャガー、僧侶にディーとグリード、兵士にクーガ(駒価値は5個分)という布陣だった。

六天王はいずれも神器保有者であり、しかも禁手に至っているので、兵士の駒価値の基準が高くなっていることも想定されており、兵士以外の駒の役目を与えるのは何らおかしい話ではない。

兵士以外に収まるのなら問題ないが、忍も知らない未知の人物…それも2人が女王と戦車という重要な枠を取っていることが少し不可解だった。

 

「俺の知らない絶魔の古参勢? いや…だったら、何故今まで俺達の前に出てこなかった…?」

 

何か理由があるのか、それとも最近になって見つけた新参者なのか…?

 

「……判断材料が少ないか…」

 

幸い、と言っていいのかどうか…ノヴァ率いる『ディストピア』チームもまだ試合をしていないチームの一つだ。

なので、ノヴァ達が動いてから、自分達も動くのも一つの手だろうという考えも頭の隅にチラついていた。

しかし…

 

「……受け身に構えてちゃ、まるで怯えてるようだよな…」

 

そんな自分の今の在り方に苦笑し…

 

「皇鬼さん…」

 

師の名を呟き、パンッと両手で頬を叩くと気合を入れ直す。

 

「確か、今日が組み合わせの発表だったか。次の組み合わせ発表までに色々と試したい組み合わせを決めないとな」

 

そして、忍の熟考は再開される。

 

ちなみに眷属である女性陣は忍がチーム編成を決めている間、それぞれが訓練メニューをこなしていた。

 

………

……

…

 

『紅』チームの場合。

 

「で? お前はまたなんで出渋ってるんだよ?」

 

駒王町にあるマンション。

その一室を借りている紅牙の元に秀一郎がやってきていて、そう尋ねていた。

 

「調と切歌のことだ。駒経由で俺の魔力を受けた影響かどうかは知らんが、適合係数が若干上がったらしい。しかし、正規装者3人に比べたらまだまだだ。そんな状態では戦闘に向かない。それにもうあいつらもリディアンに通うことになった。その辺のスケジュールも考えなくてはな」

 

「王ってのも大変だねぇ~」

 

他人事のように紅牙の話を聞き、秀一郎は肩を竦める。

 

「それよりも、お前の方はいいのか?」

 

「何が?」

 

「『刃狗』チーム。声を掛けられていないのか?」

 

「あ~、まぁ…一応、な…」

 

その反応から何となく察する。

 

「何故、蹴った? 旧知の仲なのだろう?」

 

「そりゃまぁ、鳶雄の方とも交流はあるし、昔馴染みだけどよ…」

 

紅牙の問いに、秀一郎は…

 

「でも…だからこそ、対戦してみてぇんだよ。間近で見てきたからこそ、あいつと…戦いてぇってな」

 

獰猛な笑みを浮かべながら、そう答えていた。

 

「お前も物好きだな」

 

「そんな物好きを眷属にした奴には言われたくねぇよ」

 

「ふんっ…」

 

互いに軽口を叩き合った後…

 

「ん? そろそろ時間か」

 

紅牙が時計を見つつ、その場から立ち上がる。

 

「何か用でもあんのか?」

 

「八神に呼ばれていてな。2人で話がしたいのだそうだ」

 

そう紅牙は答えると…

 

「へぇ~…(それってデートじゃね?)」

 

秀一郎は内心でそんなことを思う。

 

「次の対戦発表までには答えを出す。それまで、お前もゆっくりしていてくれ」

 

「あいよ」

 

戸締りの関係上、一緒に部屋を出た2人はそれぞれの行く場所へと向かう。

紅牙ははやての元に、そして秀一郎は…相方2人の元へ…。

 

………

……

…

 

『海王』チームの場合。

 

「親善のために大会への登録はしたものの…正直、人材不足なんだよね」

 

海斗は借りているマンションの一室で困ったように呟いていた。

 

海斗の陣営はお世辞にも人材豊富とは言い難かった。

ぶっちゃけ、海斗を含めた痣を持つ4人を合わせた5人しかいないわけだ。

しかもその中でも戦闘できるのはアリア以外の4人となってしまうわけで、4人でこの大会を戦い抜くのは厳し過ぎると言わざるを得ない。

 

「とは言え、一回も試合をせずにいるのも問題か」

 

しかし、現状では人材を探すパイプやコネがないのも事実。

どうしたものかと、海斗は考えを巡らせていた。

 

「いくら自陣にエクセンシェダーデバイスが2機あるとは言え、神器保有者も油断ならない相手だしな。出来れば、その辺の知識か、それに準じた知識を持つ人をスカウトしたいものだ」

 

そんな願望を口にしたところで叶うとは限らないが、口にするだけならタダなので言ってみただけである。

 

「とりあえず、探してみるかな…」

 

そう呟き、海斗もまたマンションの一室から外へ出かけることにしたのだった。

 

そう、『海王』チームは単純な人材不足のせいで試合になるか不安だったので、まだ対戦を見送っていただけなのだ。

海斗は人材を見つけ、確保できるのか?

 

………

……

…

 

そういった具合に次世代の三チームはそれぞれの理由で試合を見送っていたが、『紅神眷属』と『紅』チームは近々参戦しそうな雰囲気がある。

 

そんな中、燚誠の赤龍帝チームの対戦相手が決まっていた。

相手は堕天使陣営所属のバラキエルが率いる『雷光(ライトニング)』チームだ。

三大勢力的に注目されている二チームの対戦カードに周囲の期待も高まっている。

 

『燚誠の赤龍帝』チームと『雷光』チームが『オブジェクト・ブレイク』という内容のゲームでぶつかり合い、白熱したゲーム展開を繰り広げ、イッセーが朱乃に対する想いやハーレム王になるという想いをバラキエルにぶつけていた。

 

………

……

…

 

そんな中、ちょうどアザゼル杯の開会式の翌日辺りだろうか…。

とある次元世界にて…。

 

「初めまして、『蒼真(そうま) 新星(しんせい)』です。短い間ですが、よろしくお願いします」

 

礼儀正しい挨拶と一礼をして蒼い髪の美少年…『蒼真 新星』が転校の挨拶をしていた。

 

「蒼真は家の都合で短い間しか通えないそうだ。みんな、短い間だとしても仲良くしてやってくれ」

 

担任の教師が教室内の生徒達にそう言っていた。

 

「じゃあ、蒼真の席は…蛇神の隣か…」

 

教師は、あからさま、とは言わないが、微妙な表情で空いている席の隣を見た。

 

「ぼそっ(何かあったら、先生に言うように…)」

 

「?」

 

「ともかく、蒼真は蛇神の隣だ。さ、席に着け」

 

教師の囁きに新星は首を傾げたが、すぐにそれを払拭するように席に着くように促す。

 

「お隣、失礼しますね」

 

外が見える窓際の最後尾の席に座った新星は、その隣に座る蒼い髪の少女に挨拶する。

 

「………………」

 

だが、少女は気にした風もなく、チラッと新星を見ただけで挨拶はしなかった。

 

「僕は蒼真 新星と言います。よろしければ、お名前を伺っても?」

 

「……『蛇神(へびがみ) 莉緒(りお)』。短い間だけど、よろしく」

 

軽い溜息を吐いた後、なんともぶっきらぼうな感じで返事をする女生徒こと、『蛇神 莉緒』。

 

「よろしく。蛇神さん」

 

「………………」

 

笑みを浮かべて挨拶する新星に対し、莉緒は関係なさそうに正面を見る。

 

これが、2人の始まりだった…。

 

………

……

…

 

新星が転校してから早3日が経った。

 

「莉緒(・・)さん。今日は何処に行きましょうか?」

 

「……アンタの行きたい場所でいいよ」

 

この次元世界において休日の今日、新星は莉緒とデート(・・・)していた。

 

何故、そんなことになっているのか?

事の発端は、新星が転校した放課後のこと。

 

………

……

…

 

「蛇神さん。少しよろしいですか?」

 

「…なに?」

 

面倒そうに新星に問い掛ける莉緒。

 

「ここではなんですので、こちらに…」

 

「?」

 

そうして莉緒が新星に付いて行き、やってきたのは校舎裏。

 

「で、私に何の用なの?」

 

やや警戒した様子を見せつつ莉緒が新星に尋ねる。

 

「その…今日初めて会ったのに、こんなことを言うのは正直どうかと思われますが…」

 

「なによ? ハッキリ言って」

 

新星の煮え切らない態度に莉緒がそう言うと…

 

「……好きです。僕と付き合っていただけませんか?」

 

告白された。

 

「………………は?」

 

突然のことに莉緒も少し間の抜けた表情になる。

 

「一目惚れ、というのでしょうか? あなたを一目見た時から、妙に胸の高鳴りを感じていまして…」

 

そんな莉緒を置いて新星が告白の理由を告げている。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!?」

 

「はい?」

 

「なんで、いきなり告ってんのよ!? 確かに、私達は今日出会ったばかりなのは否定しないけど、なんで私なのよ!?」

 

「ですから、一目惚れかと…あなたを見ていると、こう胸の高鳴りが……ずっと転校生活を続けてますが、こんなことは初めてで、僕も正直戸惑ってます」

 

「………………」

 

新星の言葉に莉緒が口をパクパクとさせていると…

 

「それで…出来れば、返答を聞きたいのですが…?」

 

「へ、返事って…告白の!?」

 

「そうですが?」

 

「~~~っ!///」

 

新星の言葉に莉緒の顔が赤くなり、言葉を詰まらせる。

 

「……ほ、保留、じゃ、ダメかしら?」

 

「保留、ですか…」

 

莉緒の返答にあからさまにシュンとなる新星。

 

「当たり前でしょ!? 出会って早々付き合ったら、それはそれで問題でしょ!?」

 

「そうですかね?」

 

「(こ、こいつ…!)」

 

新星が首を傾げたのを見て莉緒のこめかみがピクつく。

 

「では、こうしましょう。僕とデートしてください」

 

「だから、なんでそうなるのよ!?」

 

代案を思いついたみたいに表情を輝かせ、新星がそのようなことを言い、またしても莉緒が驚く。

 

「デートして僕達の相性を確かめたいだけなんですが…ダメですか?」

 

「ぐっ…つ、次の休みの日なら…まぁ、空いてるけど…」

 

「じゃあ、その日にしましょう」

 

即断即決と言わんばかりに決める新星の勢いに莉緒がガックリと肩を落とす。

 

「(こいつ…見かけによらず肉食系?)」

 

そんなことを思いつつ、新星とのデートが決まってしまった莉緒は溜息を吐くのだった。

 

………

……

…

 

そうして新星が転校してからデートまでの2日間にも新星のアプローチは続いた。

新星の莉緒への名前呼びもその一つだった。

そして、2人は散策デートを行い、相性というものを確かめていた。

 

そして、デート後のこと。

 

「それで、僕と付き合ってもらえますか?」

 

「………………」

 

新星とのデート。

莉緒にとってはそれほど苦でもなかった。

むしろ、こんなに人の温もりを感じたのは久方振りにも思え、自然と新星のことを考えるようになっていた。

 

「……はぁ。いいわ。付き合ったげる。但し、浮気とかしたら承知しないから」

 

「ありがとうございます、莉緒さん」

 

そうして付き合うことになった新星と莉緒。

 

だが、この答えが…あんな結末になるとは…莉緒自身、思いもしなかったのだった。

 

………

……

…

 

それから1週間。

新星と莉緒が正式に交際を始めて1週間が経つ。

2人の親密度は、それなりに高くなっていて2人で行動する姿をよく見かけるほどだ。

 

そんな2人は今…

 

「莉緒さん…」

 

「新星…その、ホントに行っていいの?」

 

「はい。問題ありませんよ」

 

新星が住んでいるマンションに莉緒がお呼ばれしていた。

 

「どうぞ」

 

「お、お邪魔します…」

 

莉緒が恐る恐るマンションの…新星の借りている一室へと入る。

 

「ご、ご両親は?」

 

「実は、今日は帰ってこないんですよ」

 

「え…?」

 

「だから、今日は莉緒さんとずっと一緒にいれますね?」

 

屈託のない笑みを浮かべてそんなことを言う新星に…

 

「ぁ、ぅ…あ…////」

 

何と答えていいのかわからない様子の莉緒だった。

 

「莉緒さん」

 

「は、はひ!?////」

 

新星に呼ばれ、莉緒がガッチガチに緊張する。

 

「実は、大切なお話があるんです」

 

「た、大切な話…?」

 

「はい…」

 

そう前置きをしてから新星は…

 

「僕は、そろそろ次の場所へ行かなくてはならないのです」

 

「………………え?」

 

それを聞いて莉緒の頭は真っ白になる。

 

「各地を転々としている生活ですから…莉緒さんと別れるのは心苦しいのですが…」

 

悲しげな表情のまま語る新星。

 

「………………」

 

それを莉緒は呆然と聞き流していた。

 

「僕から想いを伝えたのに、このような別れ方をするのも嫌なのですが…」

 

「いや!」

 

莉緒は新星に背を向け、耳を塞いでそれ以上聞きたくないとアピールする。

 

「聞きたくない! そんな、そんなこと聞きたくない!!」

 

「莉緒さん…」

 

そんな莉緒の姿に新星はそっと後ろから抱き締める。

 

「……アンタとは、まだ10日程度の付き合いなのはわかってるけど…それでも、別れるって思ったら…なんだか…」

 

この10日という短い期間だが、それでも2人の間には確かなモノがあったのだろう。

それが、どれだけ残酷なことであっても…。

 

「……僕と、離れたくありませんか?」

 

新星は莉緒にそう問いかける。

 

「離れたくないよ…新星。私…」

 

莉緒がそう答えた時、彼女の運命は…決まった。決まって、しまった…。

 

「そうですか…」

 

その時、新星の優しかった笑みが…歪んだ暗い笑みへと変貌する。

 

「莉緒さん…」

 

抱き締めていた腕を解き、莉緒の名を呼んで彼女を振り向かせようとする。

 

「新せ…」

 

ズシャッ!!!

 

「……ぇ…?」

 

振り向いた瞬間、新星の腕が莉緒の胸を貫く。

ベチャッと、返り血が新星を汚すが、新星は邪悪な笑みを浮かべたまま…。

 

「な、ぇ…?」

 

状況は掴めない莉緒が何かを言おうとするが、声にならずに口をパクパクと動かすだけに留まる。

 

「ふふふ…良いですね。その愛した者に殺されかけているという絶望の表情。これだから絶望の瞬間というのは堪りません」

 

その口調、暗く黒い邪悪な笑み…それは…

 

「し…ん…せ…ぃ…?」

 

「ふふふ…未練がましくまだこの個体の名を呼びますか。しかし、流石はEX級のリンカーコアを持つ者です。無意識だとしても魔力で生に執着しますか。ですが、もうお遊び(・・・)の時間は終わりです」

 

「な…を…って……?」

 

「必要なのはあなたではなく、あなたの保有するリンカーコアです。まぁ、この世界では知覚されていないようですから言っても無駄でしょうが…」

 

「………………」

 

「意識が遠退き始めましたか。安心なさい。あなたとこの個体はずっと一緒です。この世界では、火事で心中した。そういう筋書きです」

 

ボァッ!!

 

部屋の中で蒼き炎が渦巻き、周囲の燃えやすい物体に燃え移っていく。

 

「……………………………」

 

莉緒の瞳が虚ろになっていき…

 

「さようなら、蛇神 莉緒さん。そして、ようこそ…新たなるコア(・・・・・・)よ」

 

新星がそのように言うと同時に莉緒の胸を貫き、その際に摘出していたリンカーコアを転送陣に乗せて、いずこかへと転送させていた。

その直後、部屋のガスに引火したのか、爆発が起きてマンションの一室から火災が発生した。

 

この火災によってマンションにいた被害者が続出し、鎮火後に焼死体となった2人の学生の遺体が見つかった。

その名は出火元の一室を借りていた『蒼真 新星』と、その部屋にいたであろう『蛇神 莉緒』。

 

この次元世界では、何らかの事情による学生心中として報道された。

しかし、事実は違う。

この事実を知る者は…もう、この次元世界には誰もいない。

 

………

……

…

 

~変異フロンティア~

 

「ふふふ…ご苦労でした」

 

莉緒から摘出されたリンカーコアが手元にきたことで、ノヴァは目の前に鎮座する白銀色の鎧の胸部プロテクター…その六芒星型の空洞部にリンカーコアを取り付ける。

 

「さぁ…目覚めなさい。13番目の黄道星座…蛇遣座のエクセンシェダーデバイスよ」

 

そして、始まる…禁忌の外法が…。

 

『………………』

 

それを傍らで見せられていたカプリコーンは…絶句していた。

 

『(そんな…この技法は…失われたはず。私達だけ(・・・・)で、終わったはずなのに…どうして…?)』

 

そんなことを思いながら、カプリコーンは新たに誕生する同胞(・・)の存在に戦慄を覚えていた。

 

「ふふ…」

 

「………………」

 

さらにノヴァが禁忌の外法を行っている空間には、2人の男女の姿もあった。

 

 

 

13番目のエクセンシェダーデバイス。

いや、そもそも『エクセンシェダーデバイス』とは…?

13番目の機体が、日の目を見た時…山羊座以外の11機は、どのような反応を見せるのだろうか?

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